東方白望記   作:ジシェ

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また忘れてた。


八十話 ~海の底~

村長の家で一晩過ごし、次の目的地…まあ目的も何もないが…情報を集めることにした。

正直鬼騒動はまだ二百年近く先…もっと言えば三百は先だろう。

正確な年代は分からないが、戻る必要もない。

島が近くにあるならそこに行こう。

 

「さて…まずは村長かね?」

 

部屋を出て村長を探す。

しかし出掛けているようでどこにもいない。

仕方なしに適当に村を回ることにした。

 

―――――

 

「――」

「……」

 

忘れてた。

言葉通じないんだった。

村長を探すのが先か。

 

「……おや?先日来た方だったかな?」

「あ…?……あれ?」

「僕の言語は君と同じようだね。」

「あんたは…?」

「名前を聞いてるならないと答えるよ。見者と呼ばれているよ。能力がその類でね。」

「賢者?」

「見る者と書いて見者だよ。」

「ふーん…」

 

しかし言葉が通じるのが一人でもいたのは行幸。

色々聞くとしよう。

 

「まあとりあえず村長の居場所知らないか?」

「さあ…そこまで広い集落でもないし、すぐ見つかるんじゃないかい?」

「まあそれもそうか…とぉ!?」

 

普通に会話していたら急に地面が揺れた。

水上である以上波が凄い。

 

「やれやれ…また揺れたね。」

「最近多いのか?」

「そうだね…この分だといつ地面に穴が空くか…この集落も長くないのかもしれないね…」

「まあ…こんな不安定な場所が長いとも思えんが…」

「だな…うん?」

 

何やら釣り堀が騒がしい。

地震の後だし…嫌な予感がする。

 

―――――

 

嫌な予感というものは、往々にして当たるものだ。

釣り堀が向いた側の地面が割けている。

亀裂…どころか断裂している。

というか釣り堀ごと崩れている。

誰か落ちていてもおかしくない。

 

「少し話を聞いてくるよ。落ちた人がいるかもしれないしね。」

「言葉分かるのか?」

「体の動きで通じるよ。少しは分かるしね。」

 

そう言って人の集まりに姿を消していく。

 

――――――

 

数分後…見者が戻って来た。

 

「どうだった?」

「最悪なことが分かったよ…村長が落ちたらしい。」

「はあ!?」

 

どうやら朝いなかったのは釣りをしに来てたようだ。

地面の断裂によって崩れた釣り堀ごと落ちていったようだ。

周りに飛べるやつもいなくて助ける手段がなかったと。

 

「そんな狙ったように……仕方ないか…」

 

俺は軽く準備運動をして穴に近づく。

 

「何するつもりだ!?」

「村長助けに行く。」

「無理だ!止すんだ!こんなどれだけ深いかも分からない穴に飛び込むなんて…危険過ぎる!落ちたなら村長が生きてるわけもないだろ!?だから止めるんだ!」

「…俺さ…困ってる人放っとけないみたいなんだよな…もしかしたら生きてるかもしれない。助けられるかもしれない。たったそれだけで、妖怪を助けるし、妖精を救うんだ。」

「何言って…」

「そんな性格してるからさ…村長も助けたいんだよ。」

 

制止を振り切り穴へ飛び込む。

後ろで叫ぶ声が聞こえるが、もう遅い。

さてさて…この先何があるか…見せてもらおうか。

 

―――――

 

「うおわ!?」

 

飛んで減速しようとしていたら、何か糸のようなものが顔に当たった。

下に行く程数が増え、全身に糸が絡まる。

地面が見えるくらいまで落ちてやっと把握した。

粘度や本数何より張り方から考えて蜘蛛の糸だ。

 

「お…おお…!望様…!貴方まで…!」

「村長!無事だったか!」

 

しかし糸でぐるぐる巻きにされているようでまるで繭のようになっていってる。

今もまだ形成中…つまり…

 

「お前がこの巣の主か!」

 

上半身は人、下半身は蜘蛛、顔は違うが幻想郷に関する蜘蛛の妖怪はたった一つ。

奴は紛れもない…

 

「土蜘蛛!」

 




来週更新なし!ちょい予定ありまして…
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