どれだけの人を助けただろうか。
どれだけの人と共に時間を過ごしただろうか。
今までの時間全てで、何故少しもこの疑問を抱かなかったのか。
俺はこの世界に来て何を思った。
この世界が…
今俺は…彼らを人として見てるのか?
「……」
「…まあ君に分からないことは僕には分からないんだ。急くことでもなし。特別興味のあるわけでもない。気が向いたら教えてくれ。」
「……く…」
「ん?」
「ははは!」
「ど、どうしたんだい?急に…」
「いや…悪い悪い!何か謎が解けてさ…」
「…謎?」
「ああ。」
馬鹿な話だ。
疑問に思わなかったんじゃないんだ。
すぐに解ける程に簡単なだけだった。
彼らをどう思う?
そんな愚問に悩む意味はなかった。
「紫はな…俺にとっての執筆者だ。話を綴り、道を創り、物語を成す…そんな作家だ。でもそれは…お前もだ。」
「…僕が?」
「ああ。それどころかこの集落の人、一目しか会わなかった町の人、土蜘蛛でさえ…俺の物語、それを綴る一冊の本。それを書くのはお前達なんだよ。」
「…訳が分からないな。つまり君は本のページに過ぎないのかい?」
「そうかもなぁ……俺が皆を守るのはきっと…綴られた願いを叶えてるんだよ。だけど心があるから、一番良い形でそれを叶えてる。そう思ってるんだ。作家がいないと、物語は終わりだろ?」
「……少し僕には難しいな。結局それは操り人形だ。夢を叶えるカラクリだ。」
「でも俺はそれを望んだ。間違いなく…望んだんだ。紫という作家の夢のために、物語は綴られた。その先を…その話の完成を、願うからこそ俺は旅してるんだ。」
「…君にとっての僕達は…」
「……さてと…何かスッキリした!…気がする!からさ…一丁蜘蛛退治と洒落込むか!」
―――――
物語で死んだキャラは、物語から退場する。
だけどそれを許さないのが紫という作家だ。
なら俺も許さない。
人間だろうが妖怪だろうが必要ないなら殺さない。
だから行こう。
脅しても生かしてやる。
「ほ、本当に行くのかい?」
「当たり前だろ?行かないでどうすんだよ。」
「でも…妖怪相手に殺し無しで説得なんて…」
「大丈夫大丈夫。俺殺せる奴ぁ中々いねぇよ。」
「…気をつけて。」
「おう!」
立てた策はこうだ。
片端から全妖怪説得していく。
人間を襲わないようにと。
以前の鬼同様に。
ただそれだけ。
まあつまりは策もくそもない力業。
そんな大した準備もせず、穴に俺は飛び込んだ。
事前に準備したのは唯一…穴を閉じる仕掛けのみ。
入った穴は完全に閉じ暗がりに落ちる。
物語の章を変えるとしよう。
それと自分投稿してたもう1つ…2つ…の方もそろそろ書きます。こっち読んでる人には関係ないけど。要は暑いの終わって調子いいわけです今。ちなみに現在気温自分にはまだちょいと暑いです!