東方白望記   作:ジシェ

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20日区切りにしたくて更新しなかったら20日になったことに気付かんかった。


九十五話 ~未だたどり着けず~

「本当に行っちゃうの?」

「…ああ。」

「こいし。そんな捨て犬みたいな顔しないの。また来てくれるから…ね?」

「うん…」

 

別れを惜しむ二人を後にし、再び果てのない航海へ出る。

まあ海に戻る必要があるわけではないが、紫の能力の移動はあくまで座標移動。

故に島の座標が分からない俺は海に帰るしかない。

はっきり言って辛い。

しかし留まる時間が長い程、人間は留まり続けることを選ぶものだ。

俺も例外じゃない。

そんな暇はないのだ。

知人の命と一時の苦労…天秤に掛けるまでもないのだから。

 

―――――

 

さて…もうお分かりのことだろう。

迷って二ヶ月だ。

これで計五ヶ月海で過ごしている。

まあ三ヶ月区切りにさとり達のところに行くことを決めたし、もう一度行くかもしれないな。

 

「にしたって島無すぎないか…?」

 

単純に五ヶ月真っ直ぐ(正確じゃない)飛んで島がないのは異常だろう。

かといって能力を受けた気配もない。

しばらく魚ばかり食っているが魚が通る時点で閉鎖もされてない。

鳥について行くことも今やってるが、付いて行くこと一ヶ月だ。

この鳥の種類は知らんが、一ヶ月飛び続ける鳥などいるのか?

渡り鳥には普通なのかもしれないが。

 

「どこまで行くんだよー…」

 

まあ鳥に付いていく限り島にはいずれたどり着くだろう。

それまで追い続けよう。

 

―――――

 

更に一ヶ月…諦めかけたその時に、島は見えた。

思わず絶叫した程嬉しい。

鳥には感謝しかない。

着かなかったら鳥肉にしてたかもしれない程魚飽きた。

 

「あ”あ”ーー…ありがとなーじゃなー」

 

向こうは何も知らないだろうが。

結局どこの島に着いたかも分からない以上、やることはただ一つ。

 

―――――

 

「それで来たのですか…」

「どうせしばらく来れないだろうからな。一時的な別れの挨拶ってとこだ。」

「でもお兄ちゃんならそう言って来てくれるんでしょ?優しいもんね♪」

「いやー多分無理だぞ?何故か知らなんが俺は巻き込まれ体質みたいだからな。なんか起きるぞ多分…」

「巻き込まれ体質じゃなくて割り込み体質でしょう?」

「なんだ。紫もいたのか。お前も三ヶ月区切りにしてるのか?」

「ええ。およそではあるけれど…『も』ということは貴方もなのね。」

「三ヶ月が丁度よくてな。」

「むー…お兄ちゃん!しばらく会えないんだったらしばらくいてよ!?」

「分かった分かった。ほら…フリスビーでもして遊ぼうな。」

 

広い館内で犬にフリスビーを取らせる。

他にも猫をじゃれつかせたりオウムの声真似で遊んだり、ここでは動物との触れあいが素晴らしい。

動物好きなら大喜びだろう。

動物以外でも勿論遊びはした。

ここにいる時だけは保育園の従業員な気もする。

こいしの体力…凄い。

 

―――――

 

気付けば地霊殿に二週間泊まった。

 

「…そろそろ行かないと堕落する!」

「今更なにを…貴方面倒泊嫌いでしょう?堕落なんて元々でしょうに。」

「ヤバい未来の回避に動いててどこが堕落だよ!そうでなくてもまずい。早く行かないと…」

「…行っちゃうの…?」

「こいし…悪いな。会わないと…謝らないといけない奴がいるんだ。俺はそいつを守りたいんだ。だから…もう行くよ。」

「……望さん。こちらを差し上げます。」

「これは…?」

 

札を三枚渡された。

見覚えがある。

これは紫が結界のために使う札だ。

 

「紫さんから貰って、更に教わって作ったものです。私じゃこれが限界でしたけど…能力を使えるよう封じ込めました。三回だけ、心を読む能力が使えます。発動から札が燃え尽きるまで、有効に活用して下さい。」

「これは……しれっととんでもないの作ったな?」

「お姉ちゃん紫さんが来る度に頑張ってたよ?」

「頑張って下さい。応援してますよ。」

「また早く来てね!絶対だよ!」

「……ああ!」

 

三度二人の下から旅立つ。

次の島では何があるのだろうか…

 

―――――

 

どれくらい歩いたのか。

飛ぶと仙人とか妖怪とか勘違いが酷いから飛ばなかったが、そろそろ飛ぶ必要を感じてきた。

まあ気長に歩くとしよう。

時間はまだまだあるのだから。

 

「……ん?」

 

上に影が出来たように暗くなった。

ふと見上げれば、轟音を立てて真横に何かが落下した。

見れば巨大な鉄球。

どうやら進行方向丁度から飛んできたようだ。

 

「…やっぱり巻き込まれ体質だろ…」

 

 




アマツバメって鳥は10ヶ月飛ぶんだって。調べてマジかてなった。
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