東方白望記   作:ジシェ

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アマツバメは夏は日本に冬はオセアニアらへんらしい。さて望はどこにいるでしょうね?関係ないけど更新忘れてた。


九十六話 ~絶望を与える者~

もう正直近付くことに抵抗を覚えるが、また村でも町でも都市でも見つかる保証はない。

背に腹は変えられないのだ。

そう…変えられ―

 

「………」

 

再び落ちる鉄球…しかもさっきより近い。

土が顔まで跳ねる程。

 

「はあ…でも日本じゃないな。ミッションの紙を見た時に300年後の間って絞ったし…今は凡そ700年くらいか?鬼の四天王を狩るのは…900とかだったか?平城京…安?どっちでもいいか。あたりなら…」

 

凡その年代はそのあたり。

なら大きい事件とかは終わった直後のはず。

それで戦争や抗争はないと思う。

そもそもこの時代なら日本は都が出来ているはずだ。

村や村間の小競り合いをやる時代は終わっている。

 

「こんなことなら鳥も調べとくんだった…」

 

今一番がっくり来てるのは言語の壁だが…

 

―――――

 

「雄叫びしか聞こえねぇ…」

どうやら本気で戦争中のようだ。

雄叫びと怒号、泣き声に血渋き…まさに戦争。

もう見たくはなかった光景だ。

少し空に移り反対の勢力を見たが、明らかな装備の差。

村は塀のみに対して向こうは盾と槍の突進隊。

これは…あれだ…

 

「侵略…いや…確か…植民地戦争ってやつか…?」

 

記憶が薄れているというより思い出せてないのだろう。

おかげで歴史も断片的に浮かぶ。

覚えた年齢の違いだろう。

幸い必要な記憶はある。

ただこの世界は前の日本とは違う。

装備は弱いが、時々不思議なものも見える。

というか一人だけ目立つあの姿…紫髪の女性…

 

「遠くて分かり辛いけど…聖じゃね?」

 

現在の望は知らない。

聖白蓮は鬼騒動の凡そ直後程に封印される。

故に彼女は今、誰も知らない歴史にいるのだ。

 

「聖って妖怪の味方…もとい人妖平等主義だよな?てことはあれ…妖怪か?」

 

不思議な力を使う人に見えない者はおそらく皆妖怪。

しかし多勢に無勢、しかも能力があるのは聖達だけじゃない。

相手もいくらか能力者はいるようだ。

このままでは…聖達は負ける。

 

「仕方ないか…言葉が通じるか分からないが、知ってる奴が死ぬのを黙って見るのは気分が悪い。」

 

それに幻想郷に聖がいないことで、本来弟子になる妖怪達がどう行動するか分からない。

助けるのは聖のためだけじゃない。

とはいえ一方的に攻撃するつもりはない。

勝てないと認めさせて、戦いを止めさせる。

なに簡単なことだ。

過去に造った巨大な火球をまた造る。

 

「これでも止めないなら落としてやるよ。人のいないとこに。…てかこんなにでかかったっけ?」

 

しかし戦争を止めるのにこんなことしたらまた仙人…いや規模的に神とか言われそう。

面倒だしこれ終わったら別の場所に行くかな。

案の定戦争は止まった。

全員が上を見上げて絶望の表情を浮かべた。

ただ問題は逆に全員が上を見上げてへたりこんでしまった。

火球の維持も一生は続けられないし、一度落とすしかない。

戦いを止めれば自分達には落とさないと理解出来る知恵者がいると願おう。

少し離れた場所に落とす。

素晴らしい焼け野原だ。

 

(さて…どうかな?)

 

絶望を浮かべていた連中は今度は困惑の表情となった。

しかし後方からの指示があったのか、立ち上がってまた突進の準備を始めた。

おそらく火球の威力は見たが、殺す勇気もなく横に逸らした臆病者。

しかも火球を再び造る力はないと、勝手に考えたのだろう。

見当違いも甚だしい。

再び手を振りかざし、上空に火球を造る。

後方に見える少し豪華な装備の者を見据えて静かに微笑む。

見える距離ではなかろう。

しかし部下には見えるだろう。

横を焼け野原にして微笑を浮かべる化け物が。

そうまでして漸く撤退を開始した。

 

「人間の傲慢さは相手するとしんどいな。」

 

火球を消して地上へ降り立つ。

言葉が通じることに少しの期待をして、ほんの少し微笑んで聖白蓮へと挨拶をする。

 

「初めまして。」

 




千年前くらいのオセアニアは独自の文化や言語で更に地域ごとバラバラに散らばってたらしい。
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