詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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小説情報からランキング過去最高何位か分かるようになればいいのにと思う今日この頃。
やはり定期的に感想を強請らねばならぬか……


冬は続きますよ!

 風邪を治して幾日。陽輝棒を振り回しながら里の外を特に用も無くぶらぶら歩いている。基本的に冬場は色々と依頼も重なって忙しくなるのだが、何故か今日は何の依頼も無く暇を持て余していた。

 陽輝棒は太陽の光を放つというだけあり、弱い妖怪なら光を放つだけで近寄って来なくなる。更に辺りに降り積もった雪を溶かして道を作る事も簡単。便利。

 陽輝棒だけで溶かし切れなかった雪は、妖精手甲の力を使って溶かす。妖精手甲のお陰でエレメンタルを使わなくても属性魔法の威力が底上げされるのは非常に助かる。

 

「『熱線魔法(バーン)』」

 

 細い炎線が道行く先の雪を溶かし、一本道を作り上げる。溶けた雪によって地面がぐちょぐちょに濡れるが、雪に足を取られるよりかマシだ。

 適度に魔法の炎で道を焼き、太陽の光で自身を照らす。辺りの気温は非常に低いが、自分が通った所だけは暖かくなる。そんな風に暖気を撒き散らしていると当然、冬の妖怪達が面白くないと襲撃してくる。

 

「ちょっとちょっと困るわよー。折角の冬なのに暖かい空気出されちゃコッチの面子が立たないわー」

 

「お、雪女」

 

「そういう貴方は人間?にしては太陽の力を感じるし……」

 

「そりゃ人間だから太陽の力を放つだろう。呼吸ひとつで太陽のエネルギーを纏うなんて普通だぜ」

 

「ええ……最近は若者の人間離れが深刻ねぇ」

 

「見た目若いのに年寄りぶるのは良くないな」

 

「あらやだ。今のって口説かれたのかしら」

 

「そういえば雪女といえば嫁入り伝説が流行ってたなぁ」

 

「別に流行ってる訳じゃないのよ?そういう雪女が居ただけ」

 

「じゃあ俺と身も心も解け合うような一晩を過ごさない?」

 

「……ん~、そんな直球で口説かれたのは初めてだわぁ」

 

「ついでに俺の初めても貰ってくれると―――」

 

「なーにやってんだぜ詭弁」

 

 突然声を掛けられたと思ったら、空から白黒の物体が降ってきた。もこもこした防寒仕様の普通の魔法使い、魔理沙だ。

 

「雪女を嫁にしようと画策してたところだ」

 

「ほー、それで進捗は?」

 

「あと一押しってところかなぁ」

 

「勝手にお嫁さんにしようとしないでー」

 

寒符「リンガリングコールド」

 

 辺りに冷気が増してきたと思えば、弾幕の粒が大量に放たれた。

 

「おっと危ない。はは、詭弁のヤツ振られてやんの」

 

「チッチッチ、まだ勝負は分からんよ。『昇陽発気(ライジング・サン)』」

 

 弾幕を避けながら、陽輝棒から沢山の光弾を放つ。一発一発が陽気を持った弾幕で、冷気の弾幕と相殺する。

 

「もう、そんなのズルいわ!怪符『テーブルターニング』」

 

 大量の弾幕が放たれ、今度はレーザーまで撃たれる。割と本気モードじゃな?

 

「おいおい、私まで巻き込むなっての!恋符『マスタースパーク』」

 

 魔理沙から放たれる光線が雪女を焼いた。

 

「ひーん、最近の人間は怖いー」

 

「あ、逃げられたぜ」

 

「おいおい、俺の未来の嫁さんを追い払うなよ」

 

「どうせ詭弁の嫁になるような物好きな妖怪は居ないしいいだろ?」

 

「居るかも分からんだろいい加減にしろ!」

 

 この魔女っ子は……

 

「それで、なんでお前こんな所をほっつき歩いてるんだ?」

 

「んぃ、暇つぶしに散歩してるだけだ。そういうお前は何してんだ?」

 

「私は宴会の誘いに来ただけだぜ。もうすぐ大晦日だろ?神社で人を集めて宴会しようと思ってな。詭弁も参加するだろ?」

 

「おぅ、そういえば大晦日が近かったな。んまぁ大晦日はいつも仕事で神社に行ってるんだが」

 

「ありゃ、そうだったか?」

 

「『代わりに参拝してきてくれ』って依頼ばかりだ。博麗神社の神様は何か知らんけど、なんかの御利益求めてるんだろ」

 

「景気が良さそうで何よりだな。まあいいや、とにかく伝えたからなー」

 

 そう言って飛び去っていく魔理沙。嵐のように来ては去っていったな。

 さて……そうか、もうすぐ大晦日か。

 

 

 俺の目の前に季節外れの桜の花びらが一枚舞い降りた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 大晦日の朝。

 

「じゃあ詭弁、コイツを頼んだよ!」

 

「コレも持っていってくれよ!」

 

「ぐへぇ……今年も多いなぁ……」

 

 俺は家の前に積み上がった米、酒、野菜、菓子類等を大八車に乗せて、魔法を使って固定する。重さは変わらないから辛さは変わらん。キツイ。

 毎年大晦日に、こうした品々を博麗神社に奉納する事が俺の仕事になった。昔は極一部の人間が博麗神社まで、それこそ命懸けで奉納していたそうなのだが、今は大抵の妖怪相手に負けない俺が居るから、こうして里中の信心深い家から代わりに奉納してくるように頼まれる。

 里から博麗神社までの道のりは山あり谷あり……というわけではないが、まあ一般人にはキツい道のりだ。ましてや妖怪達もわりとウジャウジャ居るし、霊夢ちゃんも神社までの道のりを整備すればイイのに……。『嫌よ、面倒臭い』と言いきられるのは目に見えているが。

 

「さぁて、頑張りますかぁ」

 

 あえて声に出すことで、自分の中のスイッチを切り替える。ここからはお仕事モードだ。

 大八車を引き、里を出る。空は雲が多く、切れ間切れ間に青い色が見える。曇りのち晴れといったところかな。道には雪が積もり、寒気を漂わせている。さむゅいぜ。

 さて、里を一歩外に出れば、そこは妖怪達の領域。のこのこと現れた俺を取り囲むように猿型妖怪達が現れた。両手は大八車を引くために塞がっており、その状態でどうやって妖怪の襲撃を防ぐかというと……

 

「『如意自在陽輝棒(タクティカル・タクト)』」

 

 如意陽気棒に魔力糸を結び付け、気を流しながら魔法の力でもって振り回す。自分の力で振るよりかは弱い一撃だが、そこは太陽の力でカバー。一撃当たれば猿型妖怪を打ち倒すには十分。さらに振り回すだけならそれほど気も魔力も使わないので、それこそ一日中振り回せる。

 ギィギィ唸り声を上げながら取り囲んでくる猿型妖怪を蹴散らしながら、博麗神社に向かって動き出した。

 

 

 猿妖怪を蹴散らし、雪にはしゃぐあまり突進してきた犬を退かし、ふよふよ浮いてきた闇の球体に陽輝棒を突き刺したりしているとようやく博麗神社が見えてきた。この長い階段がまた面倒なんだ。

 階段の斜面に沿うように霊力を使って結界を張る。そして出来た結界の斜面を大八車を引いて上る。気を抜けば大八車の重さに引っ張られて真っ逆さまに滑り落ちるから注意だ。まあそんな事になったら魔法で何とかするんだけど。

 

「と、う……ちゃくっ!」

 

 ぶへぇ、と息を吐きながら博麗神社まで上りきった。あーもーしんどいなぁー。

 

「お疲れ様。素敵な賽銭箱はあそこよ」

 

「もう目を瞑っても何処にあるか分かるくらい知ってるよ……」

 

 最近の恒例だからか、奉納品を持ってくる頃には霊夢ちゃんが入口で出迎えてくれる。

 奉納品を一度本殿の中に入れ、その後里の人達から預かった賽銭を入れていたがま口ごと賽銭箱に入れ、二拍手一礼。もの凄いテキトーな参拝方法だが、『正しい参拝方法覚えるより、心からお祈りした方が良いわよ』と霊夢ちゃんが言うからそれに倣う。それでいいのか巫女、と思わなくもない。

 そして奉納した物は霊夢ちゃんによっておざなりに神様に捧げられ、さっさと本殿から食料の保管庫に移される。

 

「それでいいのかよ」

 

「別に良いわよ。神様から文句が来た事ないから」

 

 だそうで。

 さて、何やかんやあって朝に里を出立したが、もうすぐ昼時だ。お腹減った。

 

「……どうせ朝そんな食べてこなかったんでしょ?アンタの分も準備してあるからさっさと上がりなさい」

 

「やったぜ霊夢ちゃん大好き!」

 

「はいはい、さっさと手洗いなさい」

 

「ンな子供じゃあるまいに……」

 

 そうして手を洗い、霊夢ちゃんと一緒に昼食を食べる。霊夢ちゃんの作る料理は質素でありながらバランスが良く味付けも美味しいんだ。

 

「そりゃどうも。……そういえば久々に詭弁の料理も食べたいわね」

 

「おっけー。じゃ宴会ン時に出すから適当に仕込みしておく」

 

 霊夢ちゃんが質素でも味付けの良い料理なら、俺は野生的で豪快な味付け専門だ。まあ狩りや採集したその場で作って食べる事が多いからな、俺は。最低限の調味料だけ持って、食材は近場で狩るのがメインだから。それでもこれが中々に好評なんだよな。

 その後霊夢ちゃんと駄弁りながら仕込みをしていたら時間が過ぎて行き、日も沈みかけた頃に魔理沙やレミリア達がやってきた。

 

「じゃあ私は神事の準備をしてるから」

 

「おう」

 

 霊夢ちゃんが本殿に向かって行くのを眺めていたレミリアが首を傾げる。

 

「神事?霊夢は何かやるのかしら?」

 

「年の終わりから新たな年明けに掛けて準備してな、アメカカポのミコトとかいう悪い神を弱らせて天照大神を勝たせるとか何とか」

 

「アメカカポ?」

 

「詭弁、天香香背男命だぜ」

 

「ああそう、それ。明けの明星である天香香背男命と天照大神が年明けに戦うんだが、天照大神が負けるとその年は妖怪の力が強くなるんだって」

 

「なんですって!?ちょっと霊夢を止めてくるわ」

 

「止めんかお子ちゃま吸血鬼」

 

「誰がお子ちゃまよ!!!」

 

 本殿に飛んで向かおうとしたレミリアを物理的に掴みあげて止める。

 

「妖怪の力を強めたいって気持ちは分からんでもないが、仮に天照大神が負けるとレミリアも不利益を被るぞ?」

 

「何でよ、良い事じゃない。まあ、人間の貴方達にとっては良くないことでしょうけど」

 

「ところがどっこい。天照大神が負けて、妖怪の力が強くなったらどうなるか。当然強くなった低級の妖怪達が調子に乗って里に襲撃を掛けたりするだろう。そしたら俺含め里の退治屋達は大忙しだ」

 

「まあ、そうね」

 

「だが、退治屋も無数にいる訳じゃない。怪我をしたら前線から下がらざるを得ないし、退治屋の数が減れば人里は危機に陥る。そしたら博麗の巫女たる霊夢ちゃんが出張らざるをえない訳だ」

 

「ふんふん」

 

「博麗神社から里まではひとっ飛びとは言え、距離がそこそこある。里に妖怪達が襲撃されてから向かっても、霊夢ちゃんが着くまで抑える役の退治屋は居ない。()()()()()()()()なんて事が無いように、霊夢ちゃんは里の近くか、或いは中に引っ越しせざるをえないだろうなぁ」

 

「……続けなさい」

 

「そしたら今みたくレミリア嬢が霊夢ちゃんとこに遊びに来ることは早々出来なくなる。里に大妖怪が平然と来るのはご法度だからな」

 

「……」

 

「というか、そもそも天香香背命が勝ってもレミリア嬢に大した利点も無いだろ。妖怪の年になるって言っても恩恵を受けるのは普通の妖怪達だけ。大妖怪と呼ばれる者達には()()()()()でしか影響受けないよ。それでも霊夢ちゃんの儀式の邪魔をするかい?」

 

「………………まあ、別にアンタの言葉に従う訳じゃなくて、気が変わっただけよ。咲夜、宴会の準備をなさい」

 

「御意に」

 

 

「また詭弁が()()を垂れまわしてるぜ」

 

「実害無いんだから良いだろ別に」

 

 そうして夜が更けていき、宴会の準備が着々と進んでいった。

 




次回は年末ー年明け。そして遂にあの娘が本格始動。


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