詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
正月は主に燃料用の薪を作って売ったり、獣やこの時期の山菜を狩ってきたり、時々襲撃にくる冬の妖怪達を蹴散らしたりと、新年早々から忙しい日々を送っていた。慧音先生からも
「……こんにちは、詭弁さん」
「ん?おう、妖夢ちゃん。こんにちは」
今日も雪が降る中で、薪を作るために木こりをしている最中に妖夢ちゃんと出会った。最近はよく里の外で会うことが多く、会えば軽く話す仲になっていた。
魂魄妖夢。半分人で半分霊魂という種族で、冥界に住んでいるのだが時々こうして現世に降りてくるそうだ。
「詭弁さん、一つお願いがあるのですが……」
「んぅ、なんだ?大体の事なら
「詭弁さんの持っている春、私に下さい!!」
「……ん?」
「ですから、詭弁さんの春を私に下さい!」
「……あー……ココでか?」
「はい!」
わお。
いや、マジでか。この娘の目が本気ですと語っている。う、うーん……この娘中々に……。
……よし、分かった。俺も男だ。覚悟を決めよう。
そうして着ていた服を脱ぐと、妖夢ちゃんが慌てだす。
「な、な、何故急に服を脱ぎだすんですか!!?」
「えっ?妖夢ちゃんが俺の春を欲しいって……」
「言いましたけど!だからと言って何故服を脱ぐんですか!?」
「???服が汚れるだろ?え、もしかして服を着たままの方が良かった?」
「当たり前でしょう!!!」
「お、おう……そういうことなら……」
そうしてズボンの
「ちょっと寒いから勃つまで時間ちょうだい」
「わぁぁぁぁぁ!!!なんてモノ見せてるんですかぁぁぁぁ!!!」
妖夢ちゃんが両手で目を覆い、指の隙間からガッツリと俺の股間を見ている。なんて古典的な……じゃなくて。
「妖夢ちゃん。依頼として春を買うという話では……?」
「お、お金が必要でしたら少しなら有りますが!
「んん?????」
何か話がすれ違っている気がする。
「妖夢ちゃんが売春を求めたのでは?」
「ばいしゅ……!?違います!!!詭弁さんの持っている『春度』が欲しいだけですよぉ!!」
……あ、寒いからチンチンしまうね。
はて?春度とな?
「桜の花弁のような物を何枚か持ってますよね!?それは春が結晶となったものでして、それを集めることでより春っぽくなるものです!」
『春っぽくなる』とは、なんとも抽象的な表現だ。だが、そうか。俺が意図的ではなかったとは言え、この春度を集めていた事で俺の回り及び家の周辺が若干暖かかったわけか。
「つまりその春度を売春すればいいわけだ」
「売春から離れてくださいっ!」
まあ春度を集めているとは言え、時期的にはまだ冬。幾ら沢山集めた所で春はまだ訪れない…………待てよ?春度を集めることで春っぽくなるということは、
チャキ。鍔鳴りが響く。
「詭弁さん。余計な詮索はしないでください。春度の対価が必要であれば、私が持っている分で支払いましょう。ですが、『渡さない』と言うのであれば……強引に奪っていきます!」
「ははは、喧嘩っ早くて良くないなぁ。『渡さない』なんて言ってないだろうに。まあ、どうせ拾い物だ。妖夢ちゃんが持っている物と交換しよう」
「……本当ですね?」
「取引で嘘は吐かないさ。じゃあ持ってるもの見せて?」
「……ふぅ。正直、詭弁さんと戦うのは気が引けていた所でした」
そうして妖夢ちゃんが持っている物を見る。
中身が軽いがま口。刀の磨き粉と油落とし等の日本刀の点検用品。空き瓶。綺麗な小石。
「お前これでよくまあ取引を持ちかけたな。感心するわ」
「ち、違うんです!本当はもっとお金を持っていたのですが、買い物に使ってしまったのを忘れてて……」
「で、更に俺から
「言い方ァ!!?違いますっ!今日は偶々……」
「偶々お財布の中身を忘れるほどに買い物をしたと。妖夢ちゃんの
「だから違いますってぇ!!普段はちゃんと節制してますから!」
「妖夢ちゃんに質問!『剣豪』と『本日限定』、どっちの言葉が好きですか?」
「『本日限定』です!」
「続いて質問!『サムライ』と『カワイイ』と『大特価』、選ぶとしたらどれ?」
「『大特価』!」
「最後の質問!『すぐに入れる大衆食堂』と『行列が出来ているカフェー』食事をするとしたらどっち!」
「人気そうなカフェーです!」
「……あかん。俺の占いでは、妖夢ちゃんは『必要なものではないけど限定と付いてる品は何となく欲しくなっちゃう病』と『安かったから買ったけど後から思えば別に要らない物だったな、と思うことが多い病』と『拘りはないけど何となく流行に乗っておかないと損をする気がする病』が併発している……。妖夢ちゃん、悪いことは言わないから一度『買い物学』を学ぼうね」
「な、何ですかその妙に具体的な名前の病気は……というか、買い物なんて学ばなくても出来ますよっ!!!」
「えっ!?妖夢ちゃん『買い物学』知らないの!?今人里で大流行の『買い物学』を知らない!?大人も子供も皆勉強してるのに!?」
「知りませんよそんなもの!……ま、まあ詭弁さんが教えてくれるというのなら、勉強するのもやぶさかでは無いですが……」
「……そういうところだぞ妖夢ちゃん。『買い物学』なんてモンは無いし、流行ってないよ。大方その空き瓶も小石も売り付けられたものだろ……」
「う……確かによく考えれば、私は何故このようなものを買ったのか……」
「『買い物学』じゃぁ無いけど……今度一緒に買い物しに行こうか。余計な出費をしない買い物の仕方を教えてあげるね」
「うぅ……よろしくお願いします……」
「じゃぁそういうことで。まだまだ寒いし、暗くなるのも早いから気をつけて帰るんだぞ」
「はい。すみません詭弁さん、今度よろしくお願いします!」
「おーぅ、気を付けろよー」
そうして俺は切った倒木を担ぎ、薪として使えるように加工するために一度里の内側に戻るのであった。
「……うぅ、なんて情けないの妖夢。詭弁さんが優しい人で良かった…………じゃ、なぁぁぁい!!!!!!」
倒木を担いでいる俺の後ろから妖夢ちゃんが飛びかかってくる。
「詭弁さん!私は詭弁さんが持っている『春度』を取りに来たんです!!『春度』を集めて西行桜を満開にさせないといけないんです!!」
「さ、桜なら春を待てば咲くでしょうに……」
「普通の春じゃ駄目なんです!!幻想郷中の春をかき集めなければ……あっ」
「……つまり幻想郷中から春度を集めて、春を奪おうと言う訳だな?」
「くっ!?まさかこのような手で暴いてくるなんて……っ!」
「いや自爆自爆」
「とにかく!!企みがバレてしまったなら口封じをするしかありませんっ!」
「ほう、『死んでもうるさそうな男』と名高い俺を口封じと。どうするんだい?」
「お願いしますっ!どうかこの事は誰にも言わないでくださいッ!!」
「まさかの懇願!!?」
「特に博麗の巫女にバレたら春を集めるのが難航してしまいます……ですからどうか……」
「ん、んぅ……女の子の
「本当ですか!?ありがとうございます!!ついでに詭弁さんが持ってる春度をください!」
「厚かましいな急に!!?春度を集めている事は言わないけど、それとこれは別問題だろうが……。拾ったモンだけど、コレがあると冬場の作業がかなり楽だしタダで渡すのは駄目だ」
「ではやはり力づくで……」
「……ちなみに商売の神の信徒である俺は、例え女の子でも強盗や万引きは絶対に許さないよ?もしそんなことしたら……
「…………私が持っているコレらで何とか手を打ってもらえないでしょうか……」
「中身がほぼ空のがま口、日本刀用品、空き瓶、小石。これでどう手を打てと?……そうだなぁ、妖夢ちゃんの持ってるその刀―――」
「こっ、これは魂魄家に代々伝わるとても大事な刀ですので絶対に渡せませんッ!!!」
「ふぅん。春度は欲しい、でも対価が無い。なるほどねぇ……」
「うぅ……お願いします……今ある物で何とかなりませんか……?」
「んぅー…………よし、分かった。じゃあ妖夢ちゃんが
「ほ、本当ですかっ!!!」
「ああ、勿論。これから言う物を『今』『この場で』渡してくれたら、今持っている春度を全部交換してあげる」
「ありがとうございますっ!!どうぞ何でも言ってください!!!」
「お、本当?じゃあ―――」
◆
冥界 白玉楼
「た、ただいま戻りました幽々子様……」
「あら妖夢、おかえりー。春度集めは順調かしら?」
「え、ええ……まあ……一応……」
「んー?どうしたの?……あら、まあまあ。まだ冬真っ盛りなのによくこんなに集めて来てくれたわね!凄いわ妖夢」
「い、いえそれほどでも……すみません幽々子様、一度自室の方に戻らせていただきます……」
「?良いわよー?……どうしたのかしら妖夢ったら。……こっそりついて行ってみよう」
「……うぅ……幽々子様に褒められましたが、まさかあんなモノを対価に要求されるとは……しかも、あんな辱めを……っ」
「(あら、着替えてるのかしら……あれ?なんで
「くっ……詭弁さんっ!この借りは必ず返しますからね……っ!」
「(詭弁……といえば、前に紫が話していた人間の男だったかしら……まさか、ウチの妖夢に手を出した?……それこそまさかね。)」
「まさか目の前でサラシとドロワーズを脱ぐように要求した上に、に、匂いを嗅ぐなんて……っ!!」
「妖夢、ちょっとお話があるの」
「ひゃぁぁぁ!!ゆ、幽々子様!!?私まだ着替えている最中なのですが!?」
「そんな事はどうでも良いわ。その詭弁って男について詳しく教えなさい?」
「そんな事っ!?」
◆
いやぁ、まさか本当に目の前でサラシとドロワーズを脱いで渡してくれるとは。よっぽど春度が欲しかったんだなぁ。脱ぎたてで生暖かいサラシとドロワを手に入れた!ってか。
顔を真っ赤に染めて羞恥に悶える妖夢ちゃんの生おっぱいとツルツルのおマタ。大変ありがとうございました。永久保存版です。ふふふ、今晩も捗るぜ……。
……待てよ?もしかしてもっと春が近づいてきた時に、今以上の春度を集めていたら?それはもっとスゴい物と交換できるのでは?ヤバイ、俺天才かよ。流石に気分が高揚します。
こうしちゃいられねぇ、もっと春度をかき集めるんだ。そう、妖夢ちゃん以上にもっと、沢山!
そして大量の春度を妖夢ちゃんの眼前に突きつけ、対価として……ぐへへ。夢が広がりますなぁ!!
ゾクッ
背中に氷柱が突き刺さったかのような悪寒に襲われる。……き、気のせいか?近くに妖怪の気配はないし……。
……まあ、妖怪は居ないしヨシ!今はとにかく春度を集めるプランを練ろう。効率的に集めるには……やっぱり妖精達の協力が必要か?使えるもんは全部使おうか。
ふふふ、ああ妖夢ちゃんを弄りまくれる日が楽しみだなぁ!よぅしとにかく春度をいっぱい集めよう!やっぱり今年は良い一年になるな!
妖夢ちゃんから交換したサラシとドロワ―ズ、ついでに空き瓶と綺麗な小石を懐にしまって揚々と歩きだした。
詭弁が死ぬまで秒読み段階!
空き瓶
無色透明のガラスで作られた空き瓶。中に薬を詰めたり、虫かご代わりに虫を入れたり、果ては妖精や幽霊の魂を詰めたり出来る。
熟練の勇者は空き瓶で光弾を跳ね返したり、空き瓶を楽器代わりに使って演奏したりするらしい。
中に物を詰め込んだら、頭上高く掲げるのがマナー。
綺麗な小石
紅く煌めく綺麗な石ころ。これを光にかざすと、内部で何億回と光を反射し続けて最終的にレーザービームのように射出される。
太陽のエネルギーを増幅させる効果があるらしい。
ところで私も妖夢ちゃんのストリップを目の前で見たいのですが、どんな善行を行えば見れますか?