詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
幽香ちゃんに襲撃されて幾日。今日もまた博麗神社で宴会をすることになった。
「……えっ、また?」
「おう、まただぜ。そういうわけでまた酒の準備よろしくな!」
「お、おう……」
魔理沙の奴、ここ数日置きに開催される宴会に疑問を持たないのか?
……まあ、宴会となるとあられもない姿を晒す女の子が増えるし、俺的には全然問題ないのだが……酒代はバカにならないんだよなぁ……。
「んにぃ……もっと仕事頑張らないとなぁ」
営業とかしてみるか……?
まあ、それは後で考えるとして。今は酒の確保だ。
ここ数日で常連客になってしまった酒屋でまた酒を大量購入。酒屋のおっちゃんに『また女の子侍らせて宴会か?』とからかわれる。間違ってない。
大八車を引いて博麗神社に向かう。
◆
数日後。里の外で木こりをしていると、魔理沙が空から飛んできた。
「詭弁!今日も博麗神社で宴会やるぜ!」
「……お前アホだろ」
「?」
今日もまた宴会のお誘いが来た。幻想郷は宴会好きが多いとは言え、幾らなんでもやりすぎだ。何よりもう行きつけの酒屋の酒はほぼ売り切れだ。まあ他にも酒屋が有るから酒は大丈夫と言えば大丈夫だが。
魔理沙に、最近宴会続きなことをおかしく思わないのかと聞いた。
「……言われてみれば確かに。なんか博麗神社に集まっちまうから、特に気にしてなかったぜ」
「それと、なんか最近辺りに妖気を感じる。多分だが此処のところの宴会続きは妖怪の仕業だろうな」
「なるほどな、つまり異変か。魔理沙様の推理によれば、『宴会を行うことで得する奴』が一番怪しいぜ!」
「『宴会を行うことで得する奴』……ねぇ?そんな奴居るか?」
「ああ。運の良いことに私にゃ一人心当たりが有るぜ」
「……あー。そう言えばここ最近の宴会の幹事はお前だったな魔理沙」
「はっ!宴会になったらいつもセクハラばっかしてる詭弁の方が怪しいぜ!!」
まあ、うん。戦う理由がお互い出来てしまったのなら仕方ないな。ここは丁度里の外で、しかも良い感じに離れているから里には被害が及ばないだろう。
「詭弁!悪いことは言わないから、さっさと自首した方が良いぜ?」
「そう言うお前こそ、痛い目見てからじゃ遅いぞ!」
そして始まる弾幕ごっこ……と呼ぶには、互いの距離が近すぎる。この前の宴会の時に感化されたのか、弾幕格闘とでも呼ぶべき勝負となった。
数メートルの距離から互いに弾幕を放つ。至近距離でありながら互いに弾幕が当たらないのは、集中力の賜物か。
「行くぜ!」
先に仕掛けてきたのは魔理沙。弾幕を放った直後の硬直を狙って瞬時に感覚を詰めてくる……が、その動作に移るまでがあまりにも
「『
「うわっ!?」
如意陽輝棒の光によって伸ばされた影からの不意打ち。突進するように突っ込んできた魔理沙の意表を逆に突いて大きな隙を晒した。
「『
陽輝棒の先端から数多の雷の槍が飛び出し、魔理沙を黒焦げにした。
「ぐはぁっ!?クソっ!」
「近距離戦なら俺に分があったみたいだな」
「ちぇっ!まあ酒に弱い詭弁が犯人な訳無いよな」
「だから最初っから『妖怪の仕業』だって言っただろうが」
まあ、その事に関しては俺にも言えるんだが。……さて、じゃぁ犯人は誰だろうな?
今日行うという宴会には念のため参加はしなかった。
◆
月が頂点に昇ったくらいの時間。何故だか胸騒ぎのする俺は寝ていた布団から出て、完全武装で里の外に向かった。
里から妖怪の山に向かう途中に、良い感じに開けた平野が有る。そこに来たら、俺の目の前で霧が萃まっていき、角が生えた子供のような姿を取った。
「よく来たな、人間」
「……お前は……誰だ?」
頭をぐわんぐわん揺らしながらフラフラ立つ少女は、手に持った瓢箪の中身をごくごく飲みながら俺を見据える。
「ふ、ふふ……あぁ、今の世にこんな懐かしき人間が居るなんて。勇儀の奴が見たらすぐにでも拐っちまいそうだねぇ」
「懐かしい……?生憎お前みたいな奴には会ったことないが?」
「あぁ、そう言う意味じゃないよ。お前の纏う空気が、昔の人間にそっくりなだけさ。誠実で、嘘つきで、小賢しくて、間抜けで、強く、弱い人間にな」
「それは只の普通の人間では?」
「そうさ、普通の人間。でも、今じゃ殆ど見かけなくなっちまった。だからあたしらは幻想郷から去っていった」
「幻想郷から去った?……いや待てよ?そんな話何処かで……」
「自己紹介がまだだったね。あたしは萃香。鬼の伊吹萃香さ」
「俺は詭弁答弁。伊吹……萃香、鬼……!?『鬼の目にも涙』『鬼の霍乱』『鬼を酢に指して食う』の鬼!?」
「いや……まあそうなんだけど。なんか釈然としないなぁ……」
「鬼か、丁度良い。長年気になっていた事を知るチャンスか!」
「へぇ、やっぱり良いねぇ。『鬼退治』に積極的な人間は本当に久しぶりだよ!」
「『オニのパンツは良いパンツ』なのか試させて貰う!!」
「いやちょっと待て」
鬼……伊吹萃香が手を広げて待ったを掛ける。仕方ないなぁ。
「なんだ?俺は早く帰って二度寝をしたいんだ」
「あー……何?あたしのパンツ目当てなの?」
「だって気になるし」
「そういうことじゃないだろう?……くっ、前の宴会の時から何となく察してたけど、相当なスケベだなお前」
「……?何言ってんだ?幼女相手に興奮しねえけど」
「……嘘じゃないとか、それはそれでキレそう」
「大丈夫、代わりのパンツは用意してやるから!」
「そう言う問題じゃないんだよなぁ」
「じゃあどういう問題だよ!」
「矜持の問題だ」
そう言って手に持った瓢箪の中身を飲む鬼。
「いいかぁ?あたしだって女の子なんだぞ?男から堂々と『興味ない』なんて言われると沽券に関わるんだよ」
「へべれげで常に酒飲んでる様なヤツが『女の子』であってたまるか。そんな事言うならせめて身長か胸囲を倍以上にしてから言うんだな」
「……言ったな?ミッシングパワー!!」
そう言って鬼は巨大化した。
巨大化した。
えっ?
「ははは!どうだ!身長も胸囲も倍以上になったぞ!」
「お前それはズルいだろ!?」
違うんだよ。俺が思ってた感じと全然違うんだよ……。
「……くっ!男に二言は無い。これからは幼女相手でも頑張って興奮する事にしよう……」
「あー?なんか違う気がするが……まあいい!久々の『鬼退治』楽しませてもらうよ!!」
「待ってその状態で!?」
俺の大よそ4~5倍くらいの体格となった伊吹萃香がその巨体から拳で攻撃を繰り出してくる。嘘でしょ。
転がるように退避するが、拳が地面をぶち抜いた衝撃で身体が紙風船のように飛ばされた。
「おっと!力加減間違えると簡単に死んじゃうかもな」
「くそっ。幽香ちゃん以上に理不尽だ……!」
限界まで身体強化を掛ける。鬼……鬼……確か鬼にはなんか弱点がある筈だ……何だっけ……。
ええいまだるっこしい!とりあえず叩く!叩いて考える!
伊吹萃香の巨体から繰り出される拳は、巨体特有の遅さも相まって直撃を避ける事は簡単だ。だが拳が地面に当たった衝撃波が辺りに撒き散らされて、当たらなくても身体はミンチ必至。なら、妖精の力を借りるしかない。
二撃目の拳が降ってくる。
「『
辺り一帯の地面に大量の水分を足して、ドロドロのベチョベチョに変える。ドボン!!と大きな音を立てて鬼の拳が地面に突き刺さったが、先程よりも衝撃波はかなり弱い。そして突然地面の状態が変わった為に、かなり深くまで拳が地面に埋まってしまったようだ。
「つまり攻撃チャンス!」
お伽噺に語られる鬼は、とにかく強く恐ろしいモノだという。なら適当な場所を狙った所で攻撃が通らないなんて事もあり得る。何より相手は凄いデカい。なら、狙う場所は此処っ!
「クソ、小癪な……ッッッ!!!?」
「
如意陽輝棒を全力で鬼のスネに向かってフルスイング。もの凄い音が鳴って鬼の片足を薙ぎ払った。
「あ”あ”あ”ッッッ!!!おまっ!!!ココはシャレにならないって!!!?」
鬼はスネを押さえて七転八倒している。シャレになるとかならないとかじゃなく、コッチは命張ってるんだからそういう文句は無しにしてほしい。
「くっ……覚悟しなっ!符の壱『投擲の大天岩戸』」
ズダァンッ!!と地響きがするほど強力な跳躍をしたかと思えば、腕をぐるぐる振り回す。するとその腕に萃まるように岩があちこちから飛んでくる。
腕に岩を萃めながらぐるぐる振り回し……そのまま投げたぁ!!
「いや死ぬわァ!!博麗式
空間から融けるように消え、別の場所に現れる。霊力の消費がそこそこ激しいが、瞬時に移動する事が出来るからなるべく使いたくない奥の手の一つだ。
「ん?今のは……まあいいや。ホラホラ、次行くぞー!」
また腕をぐるぐる回したかと思えば大岩を集めてくる。勘弁しろ。
陽輝棒に気と魔力を込めて威力の高い弾幕を生成し、そのまま射出する。的がデカいからとにかく当てて怯ませなければ岩がガンガン飛んでくる事になる。
弾幕を放って、移動し、また弾幕を放つ。とにかく回避を優先しながらスペルブレイクを狙う。
「もう、いっちょぉー!」
岩が高速で飛んでくるが、何とか避ける。もう精神的にかなりキツイ。だがもう少し……あと、ちょっと……!
「おりゃぁァ!!」
弾幕がようやく鬼を撃ち落とし、スペルブレイク。だが勝負はまだ始まったばかり。
「くはっ!!良いねぇ人間!凄く楽しくなってきたよ!符の弐『坤軸の巨大鬼』」
今度は更に山のように大きくなって、空高く跳躍した。えぇ……。
そして俺にめがけて落ちてくる。踏まれればぺしゃんこだ。
「馬鹿野郎お前馬鹿野郎!!!」
そしてまた跳躍。俺めがけてまた落ちてくる。ふざけんな!!
着地し、再び大きな地響きが鳴るが構ってられない。衝撃波が自分の身を痛めつけるが、無理矢理手甲のガードと
「あ”痛ッだァッ!!?」
バランスを崩して膝を付いた隙に、山のように巨大な鬼の身体を登る。一寸法師みたいだな俺。
そうして何とか肩まで登りつめた所で鬼の身体が大きく揺れた。
「ええい鬱陶しい!!」
鬼の手が、肩にまで登った俺を払い落そうと伸びてくる。マズい避けっ!!?
俺は足を滑らせ、真っ逆さまに落ちてった。
「いやなんて場所に入るんだお前っ!!?」
「うおお……落ちるっ、落ちる……!」
鬼の服の内側には取っ掛かりらしい取っ掛かりも無くそのまま滑り落ちるかと思ったが、
「あッ♥!?はっ、お、お前ッ!?バカ野郎ンな所に引っかかるなッ!!?」
「危ねぇっ!?暴れるな落ちる!!」
「ふざけ、んっ♥クソっ!!こんな恥辱は初めてだこの野郎っ!!」
振り落とされないように爪を立てて
そして酒ではない要因により顔を赤く染めた鬼の身体がみるみるうちに小さくなっていく。
「くそぅ!お前相手にはこれくらいで丁度良い!」
そうして山のように大きかった身体は、俺の身長の約二倍程度に落ち着いた。まあそれでもデカいのだが。
「仕切り直しだ!符の参『追儺返しブラックホール』」
鬼が何かをぐっと握りしめて放り投げたと思えば、そこに吸い込まれるような引力を感じた。
「何でも有りかっ!?『
吸い込みに対抗するように妖精手甲を媒体として地球の引力を強める。これで多少の攻撃では怯まない
鬼の引力に逆らいながら、陽輝棒で攻撃を仕掛ける。
「スペルカード無視するなー!」
「いやお前殺しに来ててそれは無いだろ!?」
大振りに振り回される手脚の攻撃を的確に避け、その隙を陽輝棒で
一見すると俺が優勢に立ち回っているように見えるが、相手は鬼。一撃でもマトモに入ってしまえばそこでゲームオーバー。油断は出来ない。
スペルブレイク!
「ぐぬぬっ……次っ!鬼火『超高密度燐禍術』」
ぐっ、と鬼が力を入れて地面を殴ると、そこから大量の炎が吹きあがり、辺りを火の海にする。
「熱いっ!?くっ、召霊『陰』!」
「呼ばれて参上、からの
魔力の扱いに長けている《陰》を呼び出し、燃え上がっている炎を対処させる。同時に本体の俺は鬼に向かって攻撃を続ける。
「上手いじゃないか!だが炎はもっと増えていくよ!!」
「大量の炎で来るなら、大量の氷で対抗するだけさ!『
俺と《陰》が魔力的にリンクし、氷の結界を張る。氷と炎がぶつかり合い、互いを食い合って小さくなっていく。こうなれば悠々と避けられる。
「チィ!小賢しいね!」
「知恵と経験で妖怪退治しつづけてんだよ人間は!何時だって積み重ねてきた!」
里に連綿と繋がれる妖怪退治の経験と記憶を綴じた
それが人間の可能性で、人間の力だ。
「……ハッ!!なら見せてみなよ!その人間の力を!!『百万鬼夜行』!!」
辺りに撒かれていた妖力が鬼を中心に萃まってきた。
そして放たれる大量の弾幕。辺りを吹き飛ばしながらも、鬼を中心として引っ張る力が働く。
足元が削り飛ばされ、更に常に引っ張られ続ける。回避もままならない……なら、攻撃あるのみだ。
空を飛べない俺は、地を駆けて敵を屠るしかない。
一人では何もできないから、沢山の力を扱うしかない。
何かを極められなくても、何かを成せると証明したい。
「太陽の力を、全て引き出す!如意陽輝棒!!!」
いつぞや妖夢ちゃんから交換した、赤い石を握りしめて如意陽輝棒に全気力・魔力・霊力を注ぎ込む。
「サポートは俺達に任せろ!」
「全力でブチかまして来い!」
《陽》が出てきて《陰》と共に、鬼が放つ弾幕の嵐から俺を守ってくれる。
俺は静かに呼吸を整え、如意陽輝棒を
そして握りしめた赤い石は、太陽の力を増幅する。
「『
赤い石が粉々に砕け散った。
「な……人間が、太陽に
「これが……人間の可能性だァァァァ!!!!」
煌々と輝く拳が、伊吹萃香を打ち倒した。
「勝ったッ!東方萃夢想完ッ」
―――――
―――
―
「っはふっ!!?」
目が覚めると、自室の天井が目に入った。
「……んぁ?」
念のため、念のため押入れを確認する。
如意陽輝棒、ある。妖精手甲、ある。ガラス瓶、ある。赤い石、ある。
赤い石、ある。
あれれーおかしいなー。さっき粉々に砕け散ったはずなのになーHAHAHA。
「夢オチかよぉぉぉぉぉんぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
泣いた。久々に号泣した。なんかもう色々恥ずかしすぎて暫く外出たくなくなった。
「詭弁ー!!居るかー!!?今日も博麗神社で宴会やるぜー!!?」
「馬鹿野郎かよぅ!!!」
もぅマジ無理。。。ふて寝しょ。。。
* * * * *
「ねえ萃香。貴方は馬鹿なのかしら」
「はっはっはー、すまんすまん。あんまりにも楽しくってつい……許して!」
「許すわけ無いでしょう……!!貴方が大暴れしたせいで大結界が壊れかけたのよ……!!夢と現の境界を弄ってなかったら、幻想郷が崩壊してたかも分からないのよ……!!!」
「悪かったってば……でも仕方ないじゃん。あんなにも血が滾る戦いなんて久しぶりだったんだからさぁー……あー、またやりたいなー」
「反省しなさいっ!!!」
「ぶー。……んで、マジな話なんだけど……あの詭弁って男は何者なんだい?ありゃ
「……彼は、
「……ふーん?ま、紫が
「そうならない事を祈るばかりですわ」
「……なあ、やっぱりもう一回アイツと―――」
「絶対にダメよ。それにこれは貴方の為でもあるのよ?」
「……次は本当に『退治』されるって?あはは、次こそは私が勝つって!」
「……」
「……な、なんだよぅその目は」
「……はぁぁぁ。貴方は本当に気楽で良いわね」
なんだ、夢オチか。夢オチならしょうがないな。だって夢なら何にでもなれるんだもんな。
と言う訳で夢オチになったため次回から原作萃夢想始まる予定です!予定です!
前話以上の感想ネタが思いつかないから適当に感想ネタ書きます!
感想ください!
冷房つけっぱで寝ると喉が乾燥しますよ!
そういえばこの前部屋に置いてある空気清浄機を換装したんですよ!
そして上司が栄転するので歓送会をしたいと思ってます!
明日観相師に運勢見てもらう予定なんですよ!
カラオケ行ってきたんですけど間奏って良いものですね!
はい。