詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
博麗神社
「……で?詭弁は?」
「なんかふて寝するってよ」
「はあ?」
* * * * *
あれから暫く。桜もほぼ散り、青々とした葉っぱが代わりに生い茂るようになった。
だというのに、未だに花見と称して博麗神社で宴会を断続的に行っている。その宴会に参加しなくなってからよく分かるようになったが、やはり幻想郷一帯に怪しい妖霧が漂っていた。
「『排魔の陣結界』……っと」
どんな影響があるか分からない以上、なるべく里から切り離していた方が安全だろう。
さて、今日の仕事はもう終了。メイちゃんの所に行こうかな……と、歩きだしたら正面の空から咲夜ちゃんが飛んできた。
「こんにちは咲夜ちゃん」
「ええこんにちは。貴方が異変の犯人?」
「断続的に行われてる宴会の事か?」
「それ以外に何があるのよ」
「最近里に出没する『謎の妖怪盗み食い』とか」
「そんなモノに興味ないわよ」
「里の酒を大量に買い占める『謎の大八車引き』とか」
「それは貴方じゃない」
「あとは……空飛ぶ可愛いメイドちゃんとか」
「私も有名になったものね」
「可愛いからね」
「……」
「それで、俺に何の用で?」
「調子狂うわね本当に……貴方が宴会を続けさせているのかしら?」
「違うって言ったら?」
「犯人は皆そう言うのよ」
「咲夜ちゃん可愛いって言ったら?」
「貴方しか言わないわよそんなこと!」
咲夜ちゃんがナイフを投げてくるのを合図に戦闘が始まった。
無数のナイフが飛んでくるが、それら全てを陽輝棒で叩き落として咲夜ちゃんに接近する。
「くっ……時符『プライベートスクウェア』」
「甘いぜ、
周囲の時間が止まるが、俺と咲夜ちゃんは動き続けている。
「しまった、私の時間に干渉出来るのを忘れていたわ……」
「んにぃ、遠慮はしないぞ」
陽輝棒で飛んでくるナイフを落としながら咲夜ちゃんを叩く。
あーくそ、さくやちゃん速すぎてうまく当てられないなー。
「ちょっ!?あ、貴方わざと狙っているでしょう!?」
「さて何のことやら」
激しい弾幕勝負になると、衣服へのダメージが大きくなるのはもはや周知の事実だ。だから咲夜ちゃんの服がボロボロになるのは仕方のないことなんですよ!
あー惜しいッ!咲夜ちゃんの脚を狙ったつもりの攻撃が、ミニスカートを扇情的に裂いてしまった!ガーターベルト丸見えっ!
「きゃあっ!?」
「ごめんね!わざとじゃないんだ!パンツまで破れたら大変な事になっちゃうね!」
「あーもう!止めよ止め!!」
咲夜ちゃんは破れたスカートを押さえて逃げていった。うん、眼福。
「はっ!異変解決にかこつけて皆の衣服を破れるんじゃね!?俺ってば天才かよ!」
なーんちゃって。そうそう上手く行くわけ……。
「見つけたわよ詭弁。貴方、最近宴会に参加してないわね?この異変について……知っていることを全て話しなさい!」
「あ、アリスちゃん……。ふっ!そっちこそ宴会を続けて何を企んでいる!」
「……話す気は無い、と。仕方ないわね、それなら身体に聞いてあげるわ!」
アリスちゃんが攻撃してきたので、丁寧に衣服を剥いて差し上げた。赤い下着がセクスィ……。
「お、お、覚えてなさいよっ!!!」
破れた布の切れ端で身体を隠してアリスちゃんは逃走。お尻丸出しですよ。
「……天才かよ俺」
妖怪服剥ぎが誕生した瞬間だった。洒落にならん。
◆
「詭弁さん……!貴方がこの異変の犯人か、斬れば分かる!!」
「はーいお洋服脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「きゃーっ!!?ちょっ!服を狙うのは止めてくださいっ!!」
「辺りに漂っている妖気だけど……まさかとは思うけど、詭弁。貴方が犯人じゃ無いでしょうね?」
「そう言うパチュリーちゃんが犯人じゃないって証拠を見せて貰おうかホラホラ!」
「ひゃぁっ!!?服を破らないでっ!!服の内側に証拠なんて有るわけ無いでしょ!」
「妖夢がお世話になったみたいね~。……ちょっとオイタが過ぎるんじゃないの?」
「奪衣婆直伝、
「きゃー!きゃー!!」
◆
なんか、遂に来るところまで来てしまった感が有るが……今の俺は修羅。その命朽ちるまで止まることは無いのだ。
時間は昼と夜との境目、場所は博麗神社。正面には……異変解決モードの霊夢ちゃんが悠然と立っていた。
「……来たわね」
「んぃ。その様子は……もう黒幕に当たりをつけたって所かな?」
「そうよ。……どんな理由があっても、私の邪魔をするのなら容赦しないわよ詭弁」
「邪魔だなんてそんなそんな。今日の詭弁さんは霊夢ちゃんに勝ちに来ただけだよ」
「それを邪魔と言うのよ」
「まあまあ。思えば、ここ最近はキチンとした形で霊夢ちゃんと戦ってないなぁってね。そういうわけで久々にボコボコにしてあげるよ!」
「泣く羽目になるのは貴方よ!詭弁!」
霊夢ちゃんが大量の弾幕を放つと同時に飛び上がる。空を飛ばれちゃ打つ手がない……から、こうする。
「『
「っな、糸!?」
博麗神社一帯に魔力と霊力を練り合わせた魔法糸を張り巡らせる。魔力糸はドーム状に編み込まれ、結界として機能しだした。
これで霊夢ちゃんは空を飛ぼうにも結界が邪魔して高く空を飛べない。
「破壊しようにも、その糸は魂と肉体だけを縛る!霊撃も夢想天生も無駄だ!」
「……やってくれるわね。でもそれで勝ったつもりかしら?」
「何言ってんだ。
キラキラ光らせた陽輝棒を回転させるように高速で振り回し、その軌跡が魔法陣となる。
「『
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!」
魔法陣から武装した《陽》が飛び出し、弾幕を撒き散らしながら霊夢ちゃんに突撃する。
魔法によって強化された《陽》の弾幕を
「わははは!!!たーのしー!」
「私は楽しくないわよっ!」
《陽》は手に持った『光の短剣』を振り回し、霊夢ちゃんの巫女服の袖を僅かに切り裂いた。
「危ないじゃないの!」
「大丈夫だよ!当たっても『痛い』だけで済むし!但し服は裂けるけどね!」
「それに《陽》ばかりに気を取られて良いのか?」
「っ!」
陽輝棒の容赦の無い一撃が霊夢ちゃんの脚を掠める。お返しとばかりに弾幕を張ってくるが、その全てを陽輝棒で打ち落とす。
「このぉ、霊符『夢想妙珠』!」
俺を常に狙って移動する光弾が何発も放たれる。だが、残念。その技は対策済みなのだよ!
陽輝棒は光を操る。光を操る事は、すなわち影を操る事に繋がる。強い光には、より暗い影が常についてまわるのだ。
「『
陽輝棒を背中に伸ばし、強く輝かせる。目が眩んでしまった霊夢ちゃんは、的外れな方向に弾幕を飛ばしてしまう。
「くっ……そこッ!!」
「ざぁんねん!それは俺の影分身だよっ!」
霊夢ちゃんの怖いところは、視覚を封じただけでは
「ほーらコッチコッチ!」
「どっち向いてるの?左だよ左!」
「違う違う、右に居るよー!」
「そっちじゃないって!」
「たーのしー!」
「ああもう五月蝿いッ!!!!」
俺の声が結界内で反響し、霊夢ちゃんが冷静さを失う。
声に反応して霊夢ちゃんは霊撃を放つが、やはり俺には当たらない。完全に頭に血が昇っている状態で、隙だらけだ。
「後ろの正面だあれ?」
「っ!?しまっ―――」
《陽》の持つ光の短剣が霊夢ちゃんの巫女服を斬り捨てた。
バサリと服が落ちる。今の霊夢ちゃんは、上はサラシと巫女袖だけ。下はボロボロに破れている巫女スカートからチラチラ見える脚が眩しい。
「……やってくれたわね……!!」
「くく、ようやく
巫女袖だけ残して脱がすってなんか凄い興奮する。いや、そんな事はどうでもいい。後はそのサラシとスカート、下に履いてるドロワを何とかすれば勝ったようなもんだ。
……と思ったら、霊夢ちゃんが神社の中に駆け込んでいった。ありゃ?
「待たせたわね。さ、オシオキの時間よ」
「追加で着てくるなんて聞いてない!!?」
霊夢ちゃんは神社の中で替えの服を新たに着てきた。そんなぁ。
くそ、こんな事ならせめて人里近くまでおびき寄せるべきだった……ハッ!?
その後
「ひぃ、本体が張った糸のドームに叩きつけられてるぅ……」
「次はアンタよ、《陽》」
「まって霊夢ちゃん!俺はただ本体の命令に従ってただソゲブッ!!!?」
「この結界は良く跳ねるから面白いわね」
ぶん殴られた《陽》が糸のドームによって弾かれ、また霊夢ちゃんの元に寄せられて再び殴られる。
残念!詭弁の冒険は此処で終わってしまった!!
「紫、居るんでしょう?早く出てこないと詭弁以上にボコボコにするわよ?」
「怖いこと言わないで……」
「今の私は虫の居所が悪いの。率直に言うわ。黒幕の居場所に案内するか、半殺しにされるか選ばせてあげる」
「勘弁してよー……」
そうして長く断続的に続いていた宴会はひとまずの終わりを見せた。
散り行く春を名残る宴会には、詭弁も参加していた。
本格的な夏が始まる。
萃夢想編完!
巻きで行くわよ巻き巻き。
次回閑話を挟んで永夜抄編!割と先が長いなぁ!
対霊夢用に詭弁が開発した、『飛べなくなる』結界。この結界の中で飛び続ける事は出来ない。『夢想天生』も半分くらいしか効果が無い。
戦符「リトルレギオン」+式神「八雲藍」みたいな性能の技。相手の衣服に特効ダメージを与える。