詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
最近、別原作のアイデアが割と溢れてきて執筆作業に支障が出てきました。だが全てを書く時間も無ければ脳も足りない……詭弁君みたいに増えたい……誰か私の替わりに書いて(切実)
詭弁ですよ!シリーズは三次創作を応援していますん!!
夏もまだまだ盛況と言ったところ。あの春雪異変からずっと幽霊達が自由に行き来している所為でお盆がお盆になっていない感じがする今日この頃なんですけど。
「百物語……ねぇ?」
「んぃ。今度暑気払いの一環として里の集会所で怪談をやる事になったんだが、如何せん俺ってば口が達者過ぎるだろ?里のじいちゃんばあちゃん達が恐怖のあまり心臓止まったらヤバいし、だから先ずは
「自分で『口達者』とか言うか普通?……まあ、詭弁に関してはその通りなんだが」
場所は博麗神社。そこに俺を含めた人間組5人が揃っていた。
「百物語って……怖い話ですかぁ……」
「ああ、そういえば貴方
妖夢ちゃんが自身の半霊を抱きかかえながら怯え、咲夜ちゃんがその姿を一瞥する。
「百物語か、面白そうだぜ。最近暇していた所だ」
「そうねぇ。最近特に暑いし、丁度良いわね」
「参加するのは此処にいる5人だけかしら?」
「そりゃ怪談話なのに本物の妖怪とか混じったら一々冷やかしが入るだろ。それじゃあ雰囲気出ないじゃないか」
「ええぇ……私も参加するんですかぁ……」
「大丈夫だよ妖夢ちゃん。もし本物のお化けが出て来たら斬れない物を斬るいい練習になるって!」
「なにも大丈夫じゃないですよぅ!」
「じゃあ皆暇してるみたいだし、早速今日やりましょうか」
「ひぃー。私帰りますぅ!」
そう言って飛ぼうとした妖夢ちゃんの肩を掴む。
「おっと、良いのかな妖夢ちゃん?百物語のお誘いを断ると大変な目に合うよ?」
「でも怖いのは嫌ですー!」
「まあ聞けって。知ってるか?
「ひ、ひぃ……いつなんですかぁ……」
「それは百物語の誘いを断った人が夜に寝る時。枕元に立っているそうだ。『百物語から逃げる臆病者の魂を取って食べる為に』……」
「嫌ぁぁぁ!!!参加しますぅ!参加しますから食べないでぇー!!!」
「参加決定だな」
「貴方……酷いわね」
さて何のことやら。
そうして夜。場所は博麗神社……から離れ、人里の外側にある古い小屋。辺りには妖怪の息遣いが聞こえなくもなさそうで聞こえない。
「ここは?」
「んにぃ、俺が里の外で活動する時の拠点の一つだよ。普段から使ってる場所じゃないけど、休憩できるように座布団やら何やら用意して定期的に掃除しているんだ。……ま、気が付けば妖怪の溜まり場になってる時もあるけど」
「なるほどな。今回の百物語には丁度良いぜ」
「うぅ……なんでこんな所でやるんですかぁ……せめて博麗神社にしましょうよー……」
「何言ってるのよ。本当にお化けが出てきた時に、神社の中じゃ暴れられないじゃない」
「霊夢ちゃん、一応ここ俺の家と言えば家なんだからここでも暴れないでね……。さて、改めて百物語のルールを説明しよう……と言っても、今日やるのは『簡易版』とでも言うべきやり方なんだけどね」
1、怪談話を語り終えるたびに、火の灯った蝋燭を一つ消す。
2、怪談話は妖怪や幽霊が出る物じゃなく、不思議話の類でも可。
「ルールはこれだけ。簡単でしょ?」
「そうね、小難しい事しなくていいのは楽だわ」
「んにぃ、じゃあ早速やってくか。初めは誰からにする?」
「そりゃ勿論発案者の詭弁からだぜ。一発目から怖いのを頼むぜ?」
「ひぃぃ……こ、怖くない話でお願いしますぅ……」
「ははは、一発目から全力で行くと後が白けちゃうよ。まあ最初はジャブって相場が決まってるもんだぜ魔理沙。……っつー訳で不思議話『カラス』」
カラス……と言えば、まあ思いつくのは烏天狗だろうが、此処で話すのは普通の何の変哲もないただの鳥のカラスだ。
カラスは頭の良い鳥としてかなり有名だ。俺がまだ小さな子供の時の事、里の外に出た事も無いような頃の話。里の一区画の生ごみを集めていると、区画ごとに野生のカラスが生ごみを荒らし回っていた。余りにもカラスによる被害が多いから、里では一度その区画ごとに『生ごみの見張り当番』を作る事になった。大体そういう時に当番になるのは決まって俺の家なんだが、まあそれ自体は良い。
カラスは頭が良いから、生ごみを集める曜日になると決まって朝一から『ごみを集める場所』に溜まりはじめる。そしてその場所に生ごみを人が捨てていき、離れた所を一気に荒らしに来る。見張り当番が居たらよそ見をしているうちに狙い、或いは敢えて目の前で荒らそうとして
本題は此処から。俺の親が『見張り当番』を当時子供だった俺にやらせ、渋々朝一から見張りをしていた所だ。生ごみがまだ一つも無い所に俺がぼぉっと立ってたら、偶々目の前を一匹のカラスがちょんちょん跳ねながら通っていったから、俺はカラスに向かって『おはよう』と声を掛けたんだ。それに驚いたのかカラスはバサバサ音を立てて飛んで行った。
そしてまた少し時間が経って、近くの家の人が生ごみを回収場所に置いたら今度はカラスが二匹並んでちょんちょん跳ねてきたから、また俺はカラスに向かって『おはよう』と声を掛けた。今度はカラスはすぐに逃げずに、ジッと俺を見てから飛んで行った。するとしばらくしたら辺りに集まり始めていたカラスが離れていき、結局その日は俺の所の区画だけカラス被害が無かった。
「そういう事があって寺子屋でその体験談を話したら、俺の真似をしてカラスに挨拶する子供が増えてな。俺含めてその子達の周りではカラス被害が無くなった」
「へえ、カラスって人の言葉が分かるのね」
「妖怪でも無いのに人の言葉がわかるモンか?」
「それは知らん……だから不思議話」
「うぅ。怪談話と聞いていたから、怖い話じゃなくて良かった……」
「何言ってんだ妖夢、これから怖い話をするんじゃないか」
「……嫌だなぁ」
妖夢ちゃんが自身の半霊を抱きかかえているのを後目に、蝋燭の火を一つ消した。
「そうだな。詭弁が軽いジャブで来るなら、私も最初は軽い話にしとくか」
そうして魔理沙は魔法の森で起きた奇妙な話を始めた……。
◆
そうして何順か話し、場が温まってきた頃。本格的に怪談を話すとしようかね。
「さあ、そろそろ背中がゾクゾクするような怪談が欲しいと思ってきた頃合いじゃないか?」
「も、もっと面白い不思議話をしましょうよぉー……」
「馬鹿ね妖夢。それじゃあ結局百物語をやる意味が無いじゃないの」
「そうだぜ。やっぱ怪談といったら怖いモンじゃないと」
「でも日頃から妖怪がすぐ傍に居るのに、背中がゾクゾクするような怪談なんてあるの?」
「チッチッチ。いつも妖怪の傍に居るからと言って忘れられるような『怖さ』なんて、それは妖怪の真の怖さじゃないよ。人は何時だって何かを
『闇の妖怪』
本当の闇を知っているか?今の外みたいに、月明かりや星明かりが見えるような
真の闇の中は何も聞こえないし、何も感じる事が出来ないという。何故なら光を飲み込む闇は、音も、意識も、精神も、全てを飲み込むから。
魔法の光や退魔の霊光も意味を成さない。言葉通りに何も見えない。自分が光を出しているという感覚も無い。
……だけど、ただ一つだけ。真の闇の中で見える物がある。それが『闇の妖怪』。
妖怪……と呼んでいるが、それが
その姿を明確に知る者も、記した書物も無い。でも、『闇の妖怪』が居る事は間違いない。何故なら『闇の妖怪』は、宵闇の妖怪ルーミアの産みの親だからだ。
闇の妖怪に会う方法は至極簡単だ。『新月の日の夜、目を閉じて外を出歩く事』。星明かりを目蓋で遮り出歩き続けると、どんな妖怪にも襲われない。何故ならどの妖怪も、闇の妖怪を恐れているから。その儀式を行っている者を襲ってしまえば、それは闇の妖怪への
新月の夜の下、目を閉じて歩いていると……いずれ闇の妖怪に辿りつく。目を閉じている筈なのに、何故かその姿が
「ああそうそう、もう一つ闇の妖怪に会う方法があった。『新月の夜に厚い雲が星明かりを覆い隠し、
そう言って、蝋燭の火を消した。
「そういえば百物語を語り終えたら現れる妖怪が『闇の妖怪』という説もあるみたいだな。どうだ妖夢ちゃん、一つ試してみるか?」
「ひぃぃぃ!嫌ですぅー!!!うわーん詭弁さんのせいで新月の日に外歩けなくなっちゃうじゃないですかー!!」
「はは、ようやく怪談っぽくなってきたぜ。じゃあ次は私の番だな!」
百物語は続いていく……。
◆
『饅頭怖い』
「人の頭部そっくりの生きた巨大な饅頭がひっそりとこの世に住んでいて、夜な夜な小さな子供の元に這ってくるんだ。そして寝ている子の耳元でこう囁く……『ゆっくりしていってね!!』」
「ひゃあああああ!!!」
『饅頭怖いパートⅡ』
「そうして倍々に増えていく饅頭は河童製のロケットによって宇宙に飛ばされたが、宇宙全てを増殖した饅頭によって埋め尽くされるのはもはや時間の問題だ」
「饅頭怖いいいい!!!」
『饅頭怖いパートⅢ』
「『半殺し』の餡と『皆殺し』の餡を投げ捨てこう言った。『次はお前が饅頭になるんだよォォ!!!』」
「嫌あああああああ!!!!」
「詭弁の奴イキイキし過ぎだぜ……」
「ほぼ妖夢しか怖がらせてないわね」
「饅頭怖……えっ?」
「えっ?」
◆
長く続いていた百物語ももう終盤。それに夜明けもだいぶ近くなってきた。
妖夢ちゃんは部屋の隅で縮こまっている。
「もうヤダ……お家帰る……かえるぅ……」
「おい詭弁、妖夢の奴がもう気絶寸前だぜ」
「うーん……この様子だと本番ではもうちょっとマイルドな感じの話を増やした方が良いかなぁ……」
「妖夢が特別怖がりなだけよ」
「そうね……でも普通に百物語としてなら丁度良いんじゃない?」
「んぅ~……まあ、もう少し考えるか……次、百物語の99話目だが……100話目なら百物語の締めとしてド定番があるんだけど……よし、こういう話はどうだろうか?題して『
俺もそうなんだけど、みんな普段寝る時は大抵布団の中で一人で寝ているよね。でも本当は一人で寝るのは、凄く危険な事なんだ。寝相が良い人はまだ安全なんだけど、寝相が悪い人……特に、起きたら掛けてあった布団を抱きしめて寝ていた人は、注意した方が良い。それは寝ている間に『一人寝』に襲われていた可能性があるから……。
『一人寝』というのはすごく非力な妖怪で、煎餅布団一つとて持ち上げられない程に力が弱い。でもその代わり特異なチカラを持っているんだ。それは『掛け布団に化ける事が出来る』能力。
布団を持ちあげられないから寝相の良い人の布団は退かせず、もし布団に変化していても布団が二重になってるからすぐに分かる。でも寝相の悪い人が布団を蹴とばしていたら、蹴とばされた布団の替わりとなって掛け布団に化ける。その重さや肌触りは普段から使っている布団そっくりで、誰にも見分けはつかない。布団になってどうするかだって?当然、寝ている人を食べるのさ。
『一人寝』の食事は変わっていて、寝ている人の汗や呼吸を食べるんだ。勿論そこまでならほとんど害は無いに等しいんだけど、もし『一人寝』が満腹になったら……とても恐ろしい事になる。
『一人寝』が満腹になったら真の力を発揮できるようになり、寝ている人を抱きしめるように布団で包むんだ。そうしてどうなるかって?
『一人寝』が、その人と
記憶も意識も、何もかも入れ替わって『一人寝』がその人に成り代わり、その人は『一人寝』になってしまう。
そうなってしまったら最期、
「『一人寝』に襲われないようにするには、二人以上で一緒に寝れば大丈夫だ。『一人寝』は違う人の汗や呼吸を一緒に食べることが出来ないからね。夏の暑い夜、寝苦しさから布団を蹴飛ばしてないか?そんな子は『一人寝』の格好の餌食だぞ?」
そうして残り二つとなった蝋燭の火の内の一つを消した。
と次の瞬間、妖夢ちゃんが俺に向かって飛び付いてきた。
「あ”ぅ”ぅ”ー!!一人で寝れなくなっちゃったじゃないですかぁー!!」
「んぃーしょうがないなぁ。じゃあ今日は俺と一緒に寝ようか」
「約束ですよぅ!!」
「「「おい」」」
三人から同時にツッコまれる。
「おっどうした?皆も一人で寝るのが怖くなっちゃった?」
「そうじゃないわよ」
「詭弁、お前
「弱みに付け込んで……最低ね」
「なんだぁ?皆して妖夢ちゃんに嫉妬か?しょうがないな!よし、今日は皆でお泊り会だ!」
「誰もそんな事言ってないんだぜ」
「み、皆さんも一緒に寝ましょう!」
「えぇ……嫌よ。詭弁に何されるか分かったもんじゃないわ」
「じゃ、じゃあ……私も一緒に寝ますから……!」
妖夢ちゃん以外全員顔を押さえた。無論俺も。
もう百物語とかどうでもいいわ。
「優勝は妖夢ちゃんで異議ある人ー?」
「「「異議なし」」」
「え、ええ!?なんで!?優勝ってなんですかぁ!?」
それは知らんけど、とにかく優勝は妖夢ちゃんだ。
気が付けば、既に朝日が昇っていた。
オチはとある方をリスペクトしました。妖夢ちゃん可愛い。
妖夢ちゃんの可愛さを100分の1でも表現出来てたらいいなぁ。
(ちなみにこの百物語は今後の伏線とかじゃ)ないです。書きたいから書いただけ。(今後オリジナル妖怪が活躍とかは)ないです。
ところでこの話を書いている最中に通算10万UAを達成してました。記念の小話を……誰か書け(無茶振り)
ほら、俺が書くと流れメチャクチャになるし……またUNEIによってR-18送りにされかねないし……
という訳でお前らの感想待ってるぜ!!妖夢ちゃんをすこれ!
あ、突然ですが何となくアンケート始めました。何となく答えて戴けたら何となく今後の更新内容に影響するかも分かりませんが、何となくご参加ください。
注:基本的に作者の気まぐれ更新なのは変わりません。あくまでも参考程度にしますので。
これからの更新内容について参考までにご意見をください。あくまで参考程度にします。
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なるべく原作時間軸沿いで異変に絡ませて!
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気が付いたら異変解決してる体で日常回多め
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時間軸バラバラでも書きたい事だけ書けば?
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ダークネス展開(R-18)はよ!
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詭弁君には違う世界線に行って貰いたいな!