詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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さてさて、ようやくマトモに永夜抄。
永夜抄と言えば人間と妖怪の二人組ですね。さて、詭弁の相方は誰にしましょうか。


今日も良い夜だねぇ……えっ?月が変?

 その日はいつもと同じだった。いつもと同じように働き、いつもと同じようにセクハラし、いつもと同じように帰って寝る。それで一日が終わるはずだった……。

 

 時刻は亥一つ(だいたい午後9時)。既に日は沈み、妖怪達の時間だというのに俺は未だに里の外を歩いていた。

 

「あー痛たた……くそぅ、幽香ちゃんの()()も結構しんどくなってきたなぁ」

 

 身体中に青タンを作りながらトボトボ歩いていると、辺りに霧が萃まってきて、同時にむせそうな程の酒の匂いが漂ってきた。

 

「うぐっ……この匂いは、伊吹萃香……」

 

「正解ー。最近はずいぶん()()()()()ようじゃないか」

 

 霧の向こうからヒック、としゃっくりをしながらふらっふら歩いてくる子供の姿。伊吹萃香が今日もまた酒を飲みながら現れた。

 

「はぁ……何の用だ?ただ会いに来た……なんてガラには見えないが」

 

「なによー。用もなく会いに来ちゃマズいのか?」

 

「そりゃそうだろ。子供はもう寝る時間だ」

 

「アンタよりも遥かに大人だよ。経験って意味でね」

 

「なら良い大人は明日に備えて寝る時間だぞ」

 

「あたしは悪い大人だからまだ起きてるよ。じゃなくて、アンタはあの月を見て何か気がつかないか?」

 

「月?」

 

 伊吹萃香に言われて月を見上げる……が、いまいち言いたい事が分からない。

 

「月が綺麗ですね?」

 

「死ぬのはまだゴメンだね。……って、そうじゃない。今日は満月だってのに月が欠けているのが分からないか?」

 

「欠けてたら満月じゃないだろ」

 

「ああそうだ。久々に月見酒を洒落込もうと思ったのに、これじゃ台無しさ」

 

「だから自棄酒しようってか?」

 

「それも良いが、まずは月を欠けさせた犯人を見つけてとっちめてやろうってね」

 

「……んぅ。なら普通霊夢ちゃんの所じゃないか?」

 

「霊夢の所には紫が行ってる。あたしも異変解決に参加したい」

 

「要するに暇潰しじゃねえか……」

 

 伊吹萃香が俺の肩に飛び乗り、ぺしぺし頭を叩く。

 

「さあ、適当に歩き出せー!」

 

「お前が霧になって犯人捜しすれば良いのに……」

 

「それじゃあツマラナイじゃないか!」

 

「はぁ、疲れてるんだが……」

 

 そうして、俺達は異変解決に向けてゆっくり歩き出した。

 

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 霧双の格闘チーム

 

チーム共通特徴 至近距離での弾幕の威力が非常に高い。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 さて、俺達はアテもなく歩き出した……というわけでもなく、『月が欠けている』と言うのなら月に関係する妖怪が怪しいと思い動いている。

 人間である俺からすれば、今空を登っている『月』に違和感は無いのだが()()()にとっては大きな異変らしい。妖精達が騒ぎだし、興奮した者が俺達に向かって弾幕を放ってくる。異変って感じ。

 そんな中、伊吹萃香は笑いながら飛んでくる妖精達を撃ち落とし続けている。

 

「あはは!たまにはこういう()()()も良いもんだ!」

 

「あんまり妖精をいじめるモンじゃないよ」

 

 何が楽しいのか、片っ端から妖精を倒していく伊吹萃香。まあ()()だから多少打ち所が悪くても死なないし、仮に死んでも何処かで復活するらしい。『一回休み』とかなんとか。だからと言って積極的に倒したい見た目でもないのだが。

 

 伊吹萃香がケラケラ笑いながら飛ぶのを眺めながら付いていくと、あちらこちらからボンヤリ光るホタルが飛んできた。

 

「知ってるか?ホタルは求愛行動の一環として尻が光るそうだ。天敵の鳥やコウモリなんかに見つかるリスクを負いながらも、愛の為にその命を懸ける。ロマンチックな虫だよねぇ」

 

「ふーん。まあ酒の肴になれば何でも良いけど」

 

「月見酒洒落込もうとしてたというヤツの言葉か?」

 

「あたしは好きな時に好きなように飲んでるだけさ」

 

「四六時中飲んでるのに?」

 

「そりゃ酒が好きだからね」

 

 ホタルの群れを眺めながら歩いていると、突然辺りが暗くなってきた。

 

「んぅ?月が雲に隠れたかな?」

 

「んぁー?いや、普通に光ってるぞ?」

 

「えー、でも辺りが暗くなってきたけど……」

 

「あぁ、そりゃアレだ。鳥目になったんだなお前」

 

「鳥目かぁ……ん?そういえば―――」

 

「ちょっと待ったー!そこ行く人間!止まりなさーい!」

 

 突如現れる声、だがその正体が良く分からない。分からないというか、見えない。

 

「貴方、こんな夜中に何処に行こうっての?」

 

「―――そういえば鳥目に良く効くコレが在ったわ」

 

 そうして陽輝棒を振りかざし、夜の世界に日輪を出現させる。

 

「きゃぁーっ!!?眩しいっ!?何っ!?何事!?急に朝が来たっ!?」

 

「んにぃ?誰かと思えばミスティア・ローレライ。俺を鳥目にさせたのはお前か」

 

「そうだけど!?だからって朝にすること無いじゃない、もう!これじゃぁ()雀の名折れよ!」

 

「そうか、じゃあ妖怪らしく退治してあげよう」

 

 思いっきりブンブンと音が鳴るくらい強く陽輝棒を振り回す。

 

「止めて!?」

 

「おい詭弁、弾幕勝負ならあたしにもやらせろ」

 

「えー」

 

「二対一なんて卑怯よっ!」

 

「ん?なるほど……じゃあお前のお友達も萃めてやろう。えいっ」

 

 伊吹萃香が空中の何かを引く仕草をしたと思ったら、遠くから茂みを掻き分けるような音が近づいてきて、一匹の妖怪が現れた。

 

「うーん?今こっちで何か……あれ、ミスティア?詭弁も居るし……そっちの子は前に百物語会場に居たような……」

 

「よし、これで二対二だ」

 

「えっ?何?どういう事なのミスティア?」

 

「うぅぅ~、こうなりゃヤケよ!リグル、一緒に戦うわよ!」

 

「月の異変を解決せにゃならんって言うのに、こんなのんびりで良いのか……?」

 

 そうして始まる二対二の弾幕勝負……なのだが、決着は非常にあっさりと着いた。そもそも相手は名有りとは言え弱い方の妖怪二体。一方こちらは鬼と妖怪退治も生業としてる便利屋。負ける理由が無かった。

 

「うーん、手ごたえ無いなぁー」

 

「そりゃぁ一()当千のお前なら大抵の奴等が束になったって手ごたえ無いだろ」

 

「つまんない!これから向かう先でもっと楽しめりゃ良いんだけど……」

 

 時刻は亥三つ(だいたい午後10時半)。夜は、まだ長い。

 




という訳で詭弁の相方は捻くれ鬼こと伊吹萃香です。なんで萃香かというと、他のキャラだと異変そっちのけで相方にセクハラし続ける詭弁君しか書けなさそうだったから。
多少強引に詭弁を動かせるキャラとしては中々に良いチョイスなのではないでしょうか。

クズ「伊吹萃香は博麗神社によく出没する。何度も博麗神社に行けば、必然的に何度も顔をあわせる事になるだろうな」
萃香「一度コイツの家に行った事があるんだけど、ズリセンこいてる最中だったからかなり気まずくてね。思わずぶん殴っちゃった」
クズ「家で自家発電に励んでたらいきなり後ろから殴られる身にもなれ?この酔っ払い」
萃香「その後下半身丸出しのまま喧嘩したのは楽しかったなぁ。またやろうね」
クズ「次同じ事があったらその瓢箪叩き割ってやるからな……」
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