詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
迷いの竹林の中、俺達はそれなりにゆっくり歩いていた。
「こんなゆっくり歩いてると夜が明けちゃうよー」
「だからって無理に急ぐモンでも無いぜ」
竹林の中は天然の迷路になっており、中を熟知していないとすぐに迷って出られなくなってしまう危険な場所だ。しかも地面は極僅かな坂になっており、真っ直ぐ歩いているつもりでも斜めに逸れていったり、飛んでも極僅かに傾いて伸びている竹によって平衡感覚が崩されてしまう、といった場所である。
よっぽどの事が無い限り、竹林の中に入りたがる者は居ない……はずだった。
突如俺達の眼前をレーザーが通りすぎる。
「動くと撃つ!間違えた、撃つと動くだ」
「撃たなくても動くだろうが」
竹林を割いて現れたのは魔理沙とアリスちゃんの魔法使いコンビ。こんなところで奇遇だねー……とはならないよなぁ。
「率直に聞くが、月を欠けさせたのはお前らか?」
「違うよ」
「あら、私の勘では詭弁が異変について知ってると思ったのだけど?」
「アリスちゃんの『勘』も鈍ったもんだ。今なら格安で『勘修理』を請け負うけど?」
「どうやって勘を修理するって言うのよ」
「そりゃ勿論、右斜め45度」
「生憎叩いて治るような簡単な頭してないの」
「なんでもいいや。話はぶっ飛ばしてから聞くよ!」
「鬼ってのは野蛮だぜ」
「窃盗犯が何か言ってら」
そしてお馴染みのように始まる弾幕勝負。竹林はレーザーや人形が飛び交う戦場に早変わりした。弾幕の嵐によって下手に近づくことも出来ず、相手も距離が離れてるために弾幕を当てる事が出来ない上に下手に近寄れば待っているのは鬼の一撃か痛烈な打撃。勝負は早くも硬直状態となった。
「ちぃっ、いつまで夜が止まってるか分からないってのにこんなところで時間食う訳にも行かないぜ」
「そうは言っても相手は詭弁に鬼よ?生半可な策は通じないわ」
「策なんて要らないぜ。押してダメなら押し潰す!弾幕はパワーだぜ!!」
恋心「ダブルスパーク」
「いいね、そういう意気込みは好きだよ!」
「脳筋魔女に脳筋鬼か……」
極太のレーザーが二本同時に放たれる。それと同時に大量の星型弾幕も放たれた。
魔理沙の代名詞、マスパが強化されて再登場ってかぁ?
「マスパ攻略の基本その一。『レーザーに真正面から立ち向かわない』」
二本同時に放たれる事で、タダでさえ広い極太レーザーの照射範囲が更に増える。そしてマスパは大抵の弾幕を飲み込み打ち消す程の火力を持っているから、レーザーが当たらないギリギリで攻めるのは無為と化す。
そこら中に生えてる竹を足場に、三次元的に跳ね回る。気分はさながらピンボールの玉だ。
「魔理沙貴方外してるじゃないの!どんなに高火力でも当たらなきゃ意味ないでしょ!?」
「あーうるせえな!私にばかり押し付けないでお前も働け!」
「仲悪いね君達」
丁度良い所に生えていた竹のしなりを使い、マスパを撃っている魔理沙の丁度真上に陣取ってそこから大量の弾幕で撃ち落とす。
「『
陽気の弾幕が隙だらけの魔理沙に直撃するかと思いきや、アリスちゃんが間に割って入り人形を投げ込んだ。
魔符「アーティフルサクリファイス」
人形が爆発して陽気弾幕を打ち消した。
そしてその隙に二度目の射撃準備に入った魔理沙が、俺に向かって再びマスパを放つ。竹のしなりの勢いを使って回避する。
「クソっ!地形戦は詭弁の得意分野だぜ!」
「俺ばかりに構ってて良いのか?」
鬼火「超高密度燐禍術」
ズガァン!と大きな音を立てて伊吹萃香が地面を殴ると大量の炎が吹き上がった。
「そぅれ追い焚きだ!『フレイムピラー』!!」
炎のエレメンタルを使い、妖精手甲で更に強化した魔法の炎柱を複数打ち立てる。辺り一面火の海だ。
「ははっ、詭弁も豪快なヤツだなぁ!」
「笑ってる場合か!?竹林が火の海になるぜ!?」
「落ち着きなさい魔理沙、あれは全部『陰火』よ。生き物に害はあれど、物を燃やす力は無いわ」
「冷静ぶってるところ申し訳ないが俺の魔法の炎は『衣服だけは燃やす』特別製だぞ!!」
「だから貴方のその無駄に器用な魔法改造の仕方なんなのよ!!?」
チリチリと服の端が燃えだすアリスちゃん。その事に気が付き慌てだしたが、その隙を鬼は見逃さない。
「そぉりゃああ!!」
「っ!?しま―――きゃぁぁっ!!!」
「アリスっ!?」
伊吹萃香に
「うおっ!?危ねっ!!」
「だから受け止める優しさはお前らに無いのか……」
投げられた勢いで目を回し気絶したアリスちゃんを飛んで避ける魔理沙。地面に激突する直前にアリスちゃんを受け止め、怪我をしないように勢いを殺す。おっぱい柔らか。
「よくもアリスをやってくれたな!光撃『シュート・ザ・ムーン』!」
「いやそんなこと言うならアリスちゃんを受け止めてやれよ……」
再び大量の星形弾幕をばら蒔いていく魔理沙。今度は地面に着弾した所から空に向かって伸びるレーザーが放たれる。
陰火と星形弾幕が舞い散る桜吹雪のように辺りを飛ぶ。気絶しているアリスちゃんを背負い、辺りを駆け回った。
「あはは!中々やるじゃないか黒いの!次はこれだ!鬼気『濛々迷霧』!」
伊吹萃香の身体が霧となり、そこから大量の米粒のような弾幕が撒き散らされる。
「くっ……ここは一旦引くしかないか」
魔理沙は弾幕を散らしながら俺達から離れるように動き出した。霧状の伊吹萃香も、逃がさんと言わんばかりに魔理沙を追いかける。
……アリスちゃんをここに一人置いていく訳には行かないか。
俺はアリスちゃんを背負ったまま二人を追いかけた。背中に感じるおっぱいの感覚に集中しながら。
散り行く弾幕を追いかけると、既に勝負は佳境に入っているのかあちこちがボロボロになり始めた魔理沙と伊吹萃香。
戦い自体は伊吹萃香が優勢で、魔理沙はもう満身創痍だ。
「ぐっ……これで、最後だ!魔砲『ファイナルマスタースパーク』!!!」
そして放たれる極太の極光。普通のマスパと違うところは、俺達を追いかけるように射角が変わっていくところか。いやそれエグくない?
俺は竹と竹の間を縫うように、伊吹萃香は竹を叩き割りながらレーザーから逃げる。下手に近寄ろうものなら、マスパによって薙がれた空気ごと吹き飛ばされておしまいだ。
……だが、ただ逃げ回るだけなんて
伊吹萃香が目配せをし、それに頷いて返す。
「《陽》、アリスちゃんを頼む」
「オッケーね!」
《陽》が俺の代わりにアリスちゃんを
「よし、行くぞ!おりゃぁぁぁ!!!」
「待ってそれは聞いてない」
伊吹萃香に掴まれ、岩のようにぶん投げられた。いくらなんでもそりゃ無いだろ脳筋この野郎。
空気と弾幕を裂きながら、頭から魔理沙の腹に激突。首が折れそうですわ……。
そのまま魔理沙と縺れながら地面に落ちる。そして俺は地面と魔理沙にサンドイッチされ、意識を手離した。
「よっしゃ!大命中!!!」
「嘘だろこいつ人の心を持ってるのか!?」
「う……うぅ……勝負はどうなって……?」
鬼が笑いながら、騒霊は鬼におののきながら、魔女は頭を軽く振りながら、地面に落ちた魔理沙と詭弁の様子を見に行く。
「ん?」
「お」
「あら?」
するとそこには体を重ね合わせ、
「あーこれまうすとぅーあすって奴?」
「『マウストゥマウス』よ!何処に口づけしてんのよ!」
「おっ、黒いのが立ち上がったぞ」
魔理沙は顔を真っ赤に染めて、気絶している詭弁の腹を強かに蹴り飛ばす。
「ノーカン!!ノーカンだからなっ!!!」
そう言い捨てて魔理沙は竹林を飛び去っていった。
「あっ、ちょっと!待ちなさいよ!!!」
飛ぶ魔理沙を追うように魔女も去っていった。
そして後に残されたのは鬼と騒霊と気絶している男だけ。
「あー……とりあえず本体起こすね」
「おう」
騒霊によって気付けされた詭弁の視界には、竹林によって隠されていた大きな屋敷が悠然と佇んでいた。
月給10万円(手取り)で良いからずっと引きこもってごろごろして時折趣味で小説書く生活をおくりたーい!
???「ダメだ。その願いは私の力を超えている」
詭弁のマスパ攻略の基本
その一「レーザーに真正面から立ち向かわない」
その二「判定が割と見た目詐欺な所があるからギリギリ回避は狙わない」
その三「時々連発してくるからしっかり魔理沙の様子は確認する」
その四「絶対回避出来ないタイミングで撃たれる時があるのでその時は覚悟する」
陰火について
陰火とは鬼火、狐火ともいわれる炎の事。
何かに燃え移る事は無いが、すぐそばの生命を脅かす何らかの力が放たれているらしい。
詭弁の出す魔法の炎は生命の替わりに衣服を脅かす。謎エネルギー。
最近アレ滞ってますよ?ねぇ。アレをくださいよ。アレ。アレが無いと「マスタースパークのような懐中電灯」に当たったみたいにやる気が無くなっていくんですよね。だからアレくださいよ。アレ。はやく。