詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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前話のレミィは紅い霧の中だったとはいえ、お昼なのに主人公を一撃でノした実力者……強い……。
主人公、まさかのピーチポジション。


人間生きてりゃ割と何とかなるって良く言うじゃん?

 目が覚めると知らない部屋だった。

 

「何ココ……」

 

 左肩の痛みに呻きながら辺りを見回すと、全体的に赤を基調とした洋室である事が分かる。そして部屋の中においてある椅子に座っているメイド服の少女がジッと俺を見ていた。

 

「……」

 

「……」

 

 髪は銀髪のボブカット。もみあげ辺りから三つ編みを結って、その髪の先には緑色のリボンが付いていた。

 リボンを着けているという事はオシャレさんだな!(錯乱)

 

「おはようございます」

 

「もう夜になるわよ」

 

「こんばんは」

 

「ええこんばんは」

 

 なんだろう、この子から凄い独特なテンポを感じる。ぶっちゃけタイプです!

 

「すみません、一つ聞いても宜しいですかね?」

 

「ええ、どうぞ」

 

「スリーサイズは―――」

 

 瞬間、俺の全身の皮膚を縫うように大量の銀のナイフがベッドに突き刺さった。

 

「女性にそういう事を聞くのは失礼ですわ」

 

「そうかもしれませんが、美しい女性の事を詳しく知りたいと思うのはおかしい事でしょうか」

 

「っ!?」

 

 今度はパッと煙のように……否、元から居なかったかのようにメイド少女の姿が消えた。超スピードとか催眠術とかそんなチャチなモノじゃねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気がしたぜ。

 

「……誰かー、このナイフ抜いてってくれませんかー?」

 

 今俺の全身が銀のナイフによって固定されており、これでは起き上がる事も寝返りをうつ事も出来やしない。

 そして左肩が痛い。

 

 

 あ、やばい……トイレいきたい……!

 

 

 

 俺が左肩の痛みと尿意と格闘していた時、ようやく紅白巫女は重い腰を上げたという事をまだ知らなかった。

 

「危うく人ん家で尊厳を解放するところだった……」

 

「なんかゴメンナサイ……」

 

 そして俺は偶々部屋の前を通った妖精メイドによって救出されたのだった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 尿意から解放された後、案内してくれた妖精メイドを口説いた末に得た情報によると此処は霧の湖直近にある『紅魔館』だと言う。

 そして『紅魔館』の主は吸血鬼レミリア・スカーレットで、今紅い霧を撒き散らしている張本人だと言う。

 吸血鬼とはなんか凄い強い妖怪らしく、夜の王であり、太陽光以外ではそうそう倒す事が出来ないとか。

 

「ふんふん、他に弱点は?」

 

「あっ、あっ、流水とか、あっ、ニンニクとかあっ、あっ、炒り豆やイワシの頭とかが苦手ってあっ、あっ、あっ、あっ、」

 

 ……誤解無きように伝えておくが、単純に妖精メイドの頭を撫でているだけである。妖精は容姿も性格も子供っぽい者が非常に多く、褒めたり撫でたりがよく()()のだ。霊夢ちゃんとかは面倒になってすぐ弾幕で撃ち落としたりするけど……。

 特に俺は、自分で言うのも何なのだが『顔が良い』から大抵の子には好印象だ。その上鍛え上げた動物を撫で殺す程度の能力(ナデポ)で、ほらこの通り。

 ……しかし妖精にしては中々賢い子だな。

 

「他にこの館には誰が居る?」

 

「あっ、お嬢様の妹様とか、あっ、御友人の魔法使いであるパチュリー様とかあっ、メイド長の咲夜さんとかあっ、あっ、門番の妖怪さんとかあっ、あっ、あっ、」

 

「うん、よく分かった。教えてくれてありがとうな」

 

 頭を撫でながら妖精メイドの頬に口づけを落とす。

 

「っ~~~……ぁ」

 

 顔が真っ赤に染まり、ポシュンッ!と音を立てて妖精メイドが気絶した。

 気絶した妖精メイドは部屋にあった長椅子に運び、優しく寝かせる。

 

「……さて、何処から向かうか」

 

 僅かに復活した魔力を、左肩に集めて回復魔法(リジェネ)を唱える。僅かな魔力で痛み止めと怪我の治療を同時に行えるから割と重宝してるぜ……。

 さて、少なくとも吸血鬼レミリア・スカーレットは俺が逆立ちしたって倒せそうにない。なんせ夜の王だって言うのに真昼間でやられてるんだからな……。同じように『妹様』なる相手も吸血鬼だろうからパス。人間舐めるなって言ってたお前は何処行っただって?バカ野郎プライドだけで人間生きてけねえんだよ!

 

「となると魔法使いか、メイド長か、門番の妖怪かぁ……」

 

 吸血鬼を()()に持つ魔法使い……それってどんなヤツよ。メイド長……俺の勘が正しければ、俺が起きた時に居た子だよなぁ……あの瞬間移動?に対応できるか……。門番の妖怪……門番の妖怪……。

 

「門番の妖怪が一番情報無いじゃん……」

 

 とりあえず何故俺が生きたままこの館に連れてこられたのかが分からないが、脱出できるのなら脱出を目指すべきだろう。なら目指すべきはこの館の門&門番か。

 

「つーか霊夢ちゃん早いとこ動いてくれれば良いんだが……あの子結構呑気な所あるしなぁ」

 

 とか何とか考えながら移動していれば、凄い大きな部屋に出た。

 ……あーコレあれか。いわゆるエントランスって所か。なら必然的に館の入り口たる門&門番も近いな!出入口と思われる大きな扉に颯爽と近づき、扉を開けると―――

 

「恋符『マスタースパーク』!!!」

 

「なっ、太っ!!?キャァァァ!!!」

 

「あーこーいうパターン―――」

 

 (恐らく)門番の妖怪と紅魔館の入り口扉と共に、魔理沙が放ったであろう極太レーザーの極光に呑まれた。

 

 

 

 

「イタタ……く、やっぱり弾幕戦は苦手だなぁ……」

 

「苦手と言うわりには綺麗な弾幕だったぜ」

 

「結局負けてるんですから意味ないですよぅ……」

 

「……んぅ。感想戦は結構なんだが退いて貰えると助かる」

 

 門番の妖怪の尻の下敷きになりながらも声を絞り出す。ナイス生尻……なのだけれども、あまりこういう事を考えるのも良くないと思うのだが今の俺は割と重症だから許してほしい。重い……。

 

「っ!!?キャァッ!い、いつの間にそんなところに!!」

 

「マスパでぶっ飛ばされた時かな」

 

「うっわ、詭弁お前なんでこんなトコに居るんだぜ」

 

「こっちの台詞だ魔理沙。お前こそなんで此処に……」

 

「ん?まあ何か目ぼしい物を探しにな」

 

 でたよ天然泥棒気質……お前面白そうだからって何でも持っていくの止めろコラ。

 

「人間の命は短いんだ。なら待っている暇は無いだろ?」

 

「だからって人様の物盗っていく普通?」

 

「借りてるだけだぜ。おっと!こんな事してる場合じゃない、あいつもすぐにコッチにきそうだ!」

 

 そう言って魔理沙は箒に跨り、館の中に飛びこんでいった。

 

「元気な奴だな」

 

「……あのー」

 

 遠慮がちに緑色の門番妖怪が伺ってくる。

 

「怪我は大丈夫ですか?」

 

「怪我?まあ弾幕ごっこ用のマスパ直撃したくらいで怪我はしないよ。(慣れたし)」

 

「あ、いえ……そちらではなく左肩の方です」

 

「ん?」

 

 聞けば、俺が気絶していた際に吸血鬼レミリア・スカーレットが血だらけの俺を担いで紅魔館に入っていったのを見ていたらしい。まあ門番というのなら見てるか。

 俺はボロボロになっている服を軽く肌蹴させ、左肩を見せる。そこには大きな傷跡が残っていたが、肩に開いた穴は塞がっていた……と思ったが、さっきのアレでまた傷が開いたらしい。血が止まらねえ。回復魔法(リジェネ)自体はまだ効果が続いているから痛みは無いし、いずれ塞がるだろう。

 

「うん、軽く重症だな」

 

「『重症だな』じゃないですよ!肩に大穴開いてよく平然としてられますね!!」

 

「あー……まあ肩に穴開くくらいは慣れてるし……」

 

「慣れる!!?貴方人間ですよね!?どんな生活してるんですか!!?」

 

 どんな生活……里の外で木材や食材を集めたり、時折喧嘩吹っかけてくる妖怪相手にボコボコにしたりされたり、割としょっちゅう来る花の妖怪に全身あちこち風穴開けられたりしてる生活を思い起こす。

 

「何で生きてるんだろうね俺……」

 

「本当にどんな生活してるんですか!!!?」

 

 人間死にかける事に慣れると、色々麻痺してくるな……。魔法や霊力が使えて本当に良かった。マジで。

 

「(魔法や霊力が使えるからこそ面倒な事になっているのでは……?)」

 

「ところで俺の名前は詭弁答弁。一応普通の人間だ」

 

「えっ……あ、紅美鈴(ホンメイリン)です。紅魔館の門番やってます……」

 

「紅……中華系の妖怪かな?もしかして武術に強い系……?」

 

「え、ええ。まあ大抵の武術家には負けない程度には……」

 

「マジか。じゃあ俺を鍛えてくれないか!?」

 

「うぇぇ!?それは弟子を取るという事ですか!?」

 

「いや、時折組み手をしてくれるだけでいい。俺も見様見真似でやってるけど、キチンとしたモンを参考にした方が良いからな……」

 

 俺の戦闘スタイル的には『使える物は全てブッ込む』というタイプ。弾幕も使うし近接戦闘もするし手元に武器があればそれも使う。使える手札は多いに越したことは無いし、手札の()()は高いに越したことは無い。

 俺は霊夢ちゃんや魔理沙みたいに才能が豊富な訳じゃないし、それでも幻想郷で生き残るのなら手段を選んでられない……。空も飛べないしな。

 

「まあそれくらいなら全然……詭弁さん、何故そこまでしてガムシャラに強さを求めるんですか?」

 

「何故……か。好きになった子が人外染みた強さだから……かな」

 

 霊夢ちゃんの()()()()姿を思い浮かべる。一人で飛んで行く姿に、その背中を守りたいと思ったから……それが理由の一つかな。

 なんてまぁ、ガラじゃねえなあ……ふふっ。

 

「……」

 

「ん?どうしたメイちゃん?」

 

「(人間の、少年の笑顔に見惚れてたとは言えない……)いえっ!何でも……メイちゃん!?」

 

紅美鈴(ホンメイリン)だからメイちゃん。……あれ、マズった?」

 

「い、いえ!?ちょっと呼ばれ慣れてない愛称でしたので!!め、メイちゃんかぁ……」

 

 と、メイちゃんと話してたら突然弾幕の雨が降り注いだ。

 

「キャァッ!!?」

 

「危なっ!『守護術(ブロック)』……この霊力、霊夢ちゃん!!?」

 

 霊力を用いた防御で弾幕雨の傘を作ると、雨の向こうには霊夢ちゃんがふよふよ飛んでいた。

 

「ん?あら、妖精かと思ったわ」

 

「ちょ、(ひで)ぇ!!」

 

 霊夢ちゃんは異変解決モードのスイッチが入ってるらしく、異変によって興奮している妖精達を割と容赦ない弾幕で撃ち落としてきたらしい。

 俺の守護術(ブロック)だと人一人くらいの大きさしか守れず、メイちゃんを抱きしめるように守る。

 

「……」

 

「霊夢ちゃ……ちょ!?なんで弾幕濃くした!?周りに妖精居ないんだからもう張る必要無くない!!?ねえ!!聞いてる!!!?」

 

「チッ、夢符『封魔陣』!」

 

「なんで今ボム切ったァ!!?『衝破術(ボンバー)』!!」

 

 霊力を固めて撃ち出し、霊夢のボムに合わせて炸裂させる事で相殺させる。

 相殺した霊力がキラキラと夜空の星々のように煌めきながら紅い霧に呑まれていった。

 

「霊夢ちゃん異変解決に来たんじゃないん!?黒幕は先!この建物の中っ!!」

 

「……まあ良いわ。覚えてなさいよアンタ」

 

「えっ、私ですか!?」

 

 唾を吐き捨てながら紅魔館の中に入っていった霊夢ちゃん。……えっ、怖……。なんで?

 

「あはは……私何かしちゃいましたかね……」

 

「わ か ら ん」

 

 ただ一つ言えることは、メイちゃんのおっぱいデケェなってこと。身を寄せ合うように抱きしめてたら……そりゃぁ、ね?揉みしだきたいと思うのはね?自然なことだね?

 

 ……う、なんか急に背中に寒気が……。

 

「あの……おっぱいから手を離しませんか……?」

 

「ゴメンメイちゃん。なんか寒気がするからおっぱいで暖まるね!」

 

「さ、寒気ってちょ……あンっ!?」

 

「うぅ、今日会ったばかりなのに人の心配してくれる上、おっぱいも貸してくれるなんて……メイちゃんは凄い優しい妖怪だね……」

 

「貸した覚えないんですけどー!?ひゃぁ!?」

 

「あとお尻も借りるね」

 

「ふぁっ……!?まっ、あぁ……」

 

 直後、何処からともなく飛んできた針に貫かれて俺の意識は再び闇に落ちたのだった。

 

「ぅ……あ、き、詭弁さーん!!?」

 

 

 




ちなみに詭弁君はヒロアカ時空で使った詭弁式五指必殺は()()使えません。

門番さんはチョロインだと思う人ノ


詭弁ナデナデ被害者の会

二尾の黒猫「あの人間に撫でられたと思ったら全身の力が抜けた」
山の白狼天狗「普段真面目キャラで通ってるのにキャラ崩壊させられた」
赤いろくろ首「気がつけばあられもない姿を晒していた」
九尾の狐「あれはまさに傾国レベルだな。うん」



白兎・人狼「私はァ!?」
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