詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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花映塚編はあっさり風味


春ですy……なんじゃぁこりゃぁ!?

 春。幻想郷中の花が一斉に開花した。

 

「いやなんでぇ!!?」

 

 

 

 今年は終わらない冬……なんて事にはならず、だいたい例年通りに春がやって来た。リリーホワイトも元気に叫びながら俺に飛び付いてくるのももはや風物詩と諦めた。

 

「詭弁さん!春ですよー!春ですよー!!」

 

「分かった、分かった……寝ているところに飛び込むのは止めろ。な?」

 

 だが家にまで襲撃してくるとは聞いていないんだがぁ!?

 抱きついてきて離れないリリーを何とかして剥がしながら寝巻きから着替え、朝食を食べる。この前の超人モードになってからというもの、普通の状態でも日頃食べる量が格段に増えた。まあ、増えた分仕事効率も格段に上がってるから収支で言うとプラスなのだが。アレかね、スーパーサイヤ人になった事で本当に細胞レベルで強化入ったのかねぇ。

 

 食事の時ですら引っ付いてくるリリーを何とかしながら、今日の分の仕事をしようと家を出たら……冒頭に繋がる。

 

 

 さて、ここでようやくリリーが興奮し続けている理由が判明した。要するに春になった+異変という妖精大興奮コンボを受けてテンション爆上がりになっているということだ。

 

「外!外いきましょー!」

 

「はいはい」

 

 まあ何にせよ仕事で里の外に行くんだ。そこにリリーが付いてくるだけである。

 桜、向日葵、野菊、桔梗……咲く季節がバラバラな花々が一斉に咲いているのはある主壮観だ。

 今日は魚屋に卸す為に魚を釣り、八百屋に卸す為に山菜を採ってくるという完全出来高払いの仕事を2つこなす。

 

「春ですよー!春ですよー!」

 

「静かにしろ、天狗達が寄ってくるだろうが」

 

「あぅ」

 

 リリーにデコピンしつつ、先ずは山菜採りに妖怪の山へと移動する。

 山菜を()()()取るには、妖怪の山以外の場所を目指すべきである。だが、『大量の山菜を』取るには、妖怪の山を目指すべきである。ただ、妖怪の山は天狗達の縄張りなので下手に深入りすると天狗達が襲ってくるし、深入りしなくても天狗の機嫌が悪いとやっぱり襲ってくる。俺はその辺慣れているから天狗達が襲ってくるギリギリを見分けて山菜を――

 

「そこの人間!止まりなさい!」

 

「んぉ」

 

 ……まあ、今の俺なら天狗相手にむざむざ殺される事はない。見つかっても何とかなるなる。

 空から降りてきたのは下っ端哨戒天狗こと犬走椛。俺が妖怪の山に登ろうとする度に必ずと言って良いほど現れる可愛い白狼天狗だ。お前俺の事好き過ぎない?

 

「誰がお前なんか好くものか!!ってそうじゃない、また無許可で山に侵入する気だな!?」

 

「無許可じゃないぞ」

 

「嘘つけ!!大天狗様から何も聞いてないぞ!!」

 

「大天狗なんかに許可貰うかよ。だがちゃんと山に登る許可は貰ってるぞ」

 

「一体誰から貰ったと!?たかが普通の人間に山に登らせる奴なんて――」

 

「鬼」

 

「――えっ?」

 

「鬼の伊吹萃香が言ったんだよ。『何時でも妖怪の山に登って良い』って」

 

「……い、いやいや!騙されないぞ!!なんで今さら、鬼様が出てくる!?口八丁もいい加減に……」

 

「『鬼は嘘が嫌い』だそうだな。もし仮に俺が鬼の言葉を()()()としたら、大変なことになるとは思わないか?」

 

「っ……!た、確かに……いや!証拠ッ!!証拠はあるのか!!?」

 

「証拠ねぇ……」

 

「ほ、ほーら見なさい!証拠なんて無いんだろう!分かったらさっさと里に帰れ詭弁!!」

 

「……はぁ、分かった」

 

「なら他の天狗に見つかる前にさっさと「じゃ本人呼べば良いよね?」……へぇっ?」

 

 

「すぅ……伊吹萃香ぁーーー!!!ちょぉーっと来てぇーーーッッ!!!」

 

 

 妖怪の山の麓から爆発的な大声を出して伊吹萃香を呼ぶ。あまりの大声によって辺りで休んでいた鳥達が一斉に飛び去り、飛んでいた天狗はその優れた耳が災いして一時的に空間識失調に陥った。

 

……んにゃぁぁ……詭弁、お前その呼び方止めろよぅ……

 

 幻想郷中から霧が萃まって形作るのは、二本角の幼女こと伊吹萃香。直前まで酒を飲んでいたのか、その顔は真っ赤に染まっていた。

 

「悪いな、何処に居るか分かんないし、態々呼びに行くのも面倒だったからさ」

 

「素直で良し、後で殴らせろよな」

 

「だぁが断るぅー」

 

「お、お、鬼様!!?」

 

「んぉお……?誰だお前、天狗か?」

 

「その子は白狼天狗界のアイドルこと犬走椛ちゃん。名前だけでも覚えていってね!」

 

「……ふーん、犬走……ねえ?」

 

「あひゅっ!?よ、よろしくお願いします……(馬鹿詭弁さん!!鬼に名前覚えられたら面倒な事になるに決まってるじゃない!!?)」

 

「んで、なんで伊吹萃香を呼んだかと言うと、この前妖怪の山登って良いって言ってただろ?ソレの証明の為に呼んだんだよ」

 

「ん~?……そんな事言ったっけなぁ?」

 

「言った言った。超言った」

 

「お、おい詭弁っ!お前鬼様の怖さを知らないのか……っ!適当な事言って鬼様を怒らせでもしたら――」

 

「あー!そーだそーだ!言ったな確かに!!いやーついに地獄に行く覚悟が決まったか詭弁!勇儀のヤツも喜ぶな!」

 

「んぅ?地獄になんぞ行かんぞ。品行方正な俺が地獄に落ちる訳が無いだろう!山菜取りに山登るだけだ」

 

「えー!?行こうよ地獄にさぁー!勇儀のヤツも首を長くして待ってるって!」

 

「誰だよユウギって」

 

「――えっ、あの……鬼様……?本当に詭弁(こんな奴)に山を登る許可を出したので……?」

 

「出したよ。と言うか詭弁も一々天狗なんかに許可貰わなくても好きに山に登ればいいじゃん」

 

「そうしたいのも()()()()なんだが、陰湿天狗がなぁ……」

 

「……ふーん?そもそも()()()()()()()()()()妖怪の山にのさばってる天狗……ってのも可笑しな話だなぁ?」

 

「ひっ……あの、鬼様……?」

 

 伊吹萃香の不穏な空気を読み取った椛ちゃんは、顔を青くしながら伊吹萃香から隠れるように俺に引っ付く。お前そういうあざとい所やぞ(興奮)。

 

「おい、犬走って言ったな。お前天魔の所まで案内……いや、やっぱアタシが直接行った方が早いな。丁度良い、久々に()()()()を揉んでやるとするか」

 

「い、幾ら鬼様とは言え、既に山を離れた身!勝手なマネは―――」

 

「あ”?」

 

「キャイン」

 

「おいコラ、可愛い可愛い椛ちゃんを威圧するな」

 

「だって~」

 

 伊吹萃香が椛ちゃんを睨み付けた所為で、椛ちゃんの尻尾が内股に潜り込み、更に俺の服の中にまで頭を突っ込んできた。

 俺はため息を吐きつつ、伊吹萃香の頭に軽く手刀を落とす。

 

「ぶー……そもそもこの山はアタシら鬼が居た時から―――いや、今は関係ない話だね。ま、とにかくアタシはちょっと天魔のヤツに話をつけてくるから、詭弁は自由に山を散策してな。……それと、近いうちに必ず地獄にまで来てもらうからね!」

 

「だから地獄に落ちるような事はしてないというのに」

 

「おい、犬走。お前は詭弁の護衛をしな。他の天狗共が寄ってきたらお前が追い払うんだ」

 

「くぅん……」

 

 そう言って伊吹萃香はまた霧となって何処かに消えていった。呼んだのは俺だけど嵐のような奴だなぁ。

 

「……な?言った通り鬼から山登って良いって言われただろ?」

 

「何でこんな事になるのよぉ……うぅ、こんな事なら詭弁さんをさっさと通しておけば良かった……」

 

 まあ、天狗達がこの後どうなろうが俺には直接関係ない事だからどうでもいいや。

 

「もし行く場所に困ったら俺が責任もって保護してあげるからね椛ちゃん!!」

 

「当たり前だッ!!!お、お前のせいでこの後大騒動になるんだぞ!!?」

 

 それはしーらね。

 ……さて、山菜山ほど採ろ。山菜の花が開花していて実に探しやすい。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 採った山菜を山ほど担いで、今度は川沿いに山を下りて霧の湖に到着。椛ちゃんはついてきた。

 

「だって山に暫く戻りたくないですし……」

 

「ここまで騒がしさが聞こえるってのも珍しいモンだよな」

 

「春ですよー!」

 

 妖怪の山から光弾や光線がもの凄い放たれているが見なかった事にする。

 さて、山菜の次は魚。ゆっくり釣りでもしていきたい所なのだが……山菜は鮮度が命。ササッと漁をしていく事にした。

 稚魚、未成魚の類まで乱獲してしまえば生態系が崩れてしまい、手痛いしっぺ返しを食らう事になる。故に狙うは大物。それに里の近くの川で獲れるような魚だと魚屋で普通に扱ってるものだから俺的にあまり旨味が無い。

 と、言う訳で自作した目の粗い投網を取り出す。春の狙い目はやはりイワナやマス、ヤマメやアブラと言ったところか。

 投網に魔力を込めて、霧の湖に向かって投げる!!すると俺特製の投網が自動的に大物を捕獲してくれる大変優れモノな逸品なのだ。魚屋のおっちゃんがめっちゃ欲しがっていたが量産出来ないモノだからダメ。

 

「っと言ってるうちにHIT!!」

 

 投網が引っ張られるように張り詰め、俺を霧の湖に引きずり込もうとしてくる。甘いわっ!『身体強化』!!

 

「ッッッ!!?まだ引っ張られるだとっ!?」

 

「わー!危険ですよー!?」

 

「世話の焼けるっ!」

 

 俺の腰に引っ付くようにリリーが、俺の後ろから添うように椛ちゃんが力を貸し、一緒に引っ張ってくれる。それでもじわじわと引き摺られるように湖に近づいていく。

 

「ぐっ……ぬぬぬ……!ンなら……『火事場の馬鹿力』だ!!!」

 

 ミシミシッ!と俺の筋肉が鳴り、120%の力を引き出す。ふふふ、魚相手にここまで手こずるのは初めての経験ですよ……!

 

「そ……おらぁぁぁぁ!!!」

 

「きゃああああ!!!」

 

 そうして漸く投網を引っ張り上げると、網の中には人ほどに大きな魚が掴まっていた。

 人ほどに大きな魚というか、人魚だった。

 

「うわーん!水の中で人間に負けるなんてー」

 

「人魚……ですか。食べられるのかな……?」

 

「しかも食べる気満々だー!?」

 

「こらこら椛ちゃん、人魚を食べようとしてはいけません。大丈夫ですかお嬢さん?すみませんねこの投網が勝手に獲物と勘違いしたようで」

 

「うぅ……ありがとう、貴方は優しいのね……」

 

「いえいえ、ところで人魚の人の部分と魚の部分の境目がどうなってるのか見させてもらいますね」

 

 そう言ってから人魚のスカートみたいになってる部分を思いっきり捲り上げる。

 

「……えっ?」

 

 ほうほう……なるほど、これはこれは……大変興味深い。人魚は下着を着けないし下の毛も生えてな―――

 

「嫌ああああ!!!?」

 

 尾ひれビンタが炸裂ッ!

 俺をK.O.した人魚はそのまま湖に戻っていった。

 

「……変態ッ」

 

「春ですよー!!!」

 

「痛っ!痛ッ!!?止めろお前ら蹴るなっ!!」

 

 その後魚を大量に獲って里に帰り、山菜と魚を纏めて卸したのだが『多すぎだ馬鹿野郎』と言われかなりの量が残ってしまった。

 

「と言う訳で余らせても腐るだけだし、椛ちゃんも食ってけ」

 

「……まあ、別に吝かではないけど」

 

 つん、とそっぽを向いてるが内心喜んでいるのが良く分かる。だって尻尾に出てるんだもん。

 

「尻尾を見るな!」

 

「それは無理だ」

 

 さーて今日は山菜と魚の鍋パだー。

 

 その後めっちゃ食った。

 

「(人間が食べる量じゃないと思う……)」

 

「はー食べた食べた……ん?どうした?」

 

「別に……」

 

 

 春はまだまだ続く。

 




もみじちゃんは人間相手だと頑張って男口調にしてるのが可愛いんだ!でも時々無意識で丁寧口調に戻っちゃうのがてぇてぇなんだ!

前話だけで21個(投稿時点)もの感想ありがとうございます!!!大変励みになりました!
じゃぁ今話は当然、もっと感想来ますよね?(暗黒微笑)
感想忘れたら……ふふふ。
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