詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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作者「さーて前話の後書きの影響はどんなもんかなぁーっと……」
感想19件(投稿時)
「……ま、まぁ、過去にもっと感想来た事もあるし……全裸には程遠いな!うん!……一応評価確認するか……」
☆9ずらーっ!
「……ま、まぁまぁ……☆10無かったし全裸までは……半裸位で……」
ここすき者20 総数190
「はぁぁぁぁもぉぉぉぉぉ書けば良いんだろぉ書けばぁ!!!U・N・E・Iのブラックリスト入りなんざ怖くねぇ!!!」


あ、今回は色々試してみました。その結果なんか長くなっちゃったので分けます。早苗ちゃんの全裸はまた次ねッ!!!!!
代わりと言っては何ですが詭弁が脱ぎます。


信仰を捧げよッ!!!

 幻想郷に新しい神社が引っ越して来た宴会から数日。俺の家に客が来た。

 

「おぉぉ……此処が本物の万事屋ですね……!」

 

「便利屋だっての……んで、早苗ちゃん。今日はどうした?」

 

「はい。今日はですね、守矢神社に信仰を集めるために是非とも詭弁さんの力を借りたいと思いまして……昨日里で信仰集めをしていたんですが、全然手応えが無くてですね……」

 

「そういや外の世界から信仰集めに来たんだっけな。よしよし、手伝ってあげよう。勿論有料で」

 

「よろしくお願いします!あ、これ前金です!」

 

「うんう……ん?早苗ちゃん、これもしかしなくても外のお金?」

 

「え、ええ……そうですが」

 

「外の世界のお金は幻想郷じゃ使えないよ」

 

「えっ、ええっ!!?そんなぁ……えっ、てことはもしかしてウチって今無一文っ!!?」

 

「あはは、博麗神社より貧乏神社とはねぇ。でも安心してよ、例え無一文でも依頼は受けてあげる」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!か、必ず後でお支払しますから!」

 

「あー、お金は大丈夫。お金のかわりに……このおっぱいで払ってくれれば良いから!」

 

 そう言って早苗ちゃんのおっぱいを突っつく。ほう……サラシ越しでもこの柔らかさ!大きさといい、これは期待できますねぇ。是非ともサラシを外して、生の大きさを見てみたい!

 

「ぴぃっ!!?や、やめてください!?」

 

 バッ!と俺から離れながら両腕でおっぱいをガードする早苗ちゃん。なんだろう、隠す仕草もグッと来るものがあるな。

 

「良いのかなぁ?神社、無一文なんでしょ?仮に山の妖怪達からのお供え物が来たとしても、それだけで食い繋ぐ事が出来るかなぁ?……というか、妖怪達のお供え物ってお酒ばかりじゃない?」

 

「うぅ……言われてみればほとんどがお酒だったような……」

 

「勿論依頼となれば全力で結果は残すさ。そうすれば里の人からお賽銭やらお供え物やら沢山ゲット出来るだろうねぇ。ほら、命が掛かってるんだから、おっぱいの一つや二つくらいで済むならそっちの方が良くない?」

 

「……で、でもぉ……そ、そうだ!何処かからお金を借りれば!」

 

「何処かからって、何処から?ちなみに先に言っておくけど里の貸金業は例え妖怪や神様相手でも相当な担保を要求するよ?神社に、担保になりそうなものある?それも外の世界ならともかく、幻想郷でも価値のあるようなものが」

 

「ううぅ……思い付かないです……どうしよぉ……」

 

「でも大丈夫!俺なら貸金のアイツにデカい()()があるから、俺の口添えなら無利子無担保で大金を貸してくれるさ!」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「勿論!俺と早苗ちゃんの仲だろ?」

 

「うう……詭弁さんが聖人すぎます……」

 

「いや、どう見てもあの手この手で()()()()させようとしてくる悪徳業者じゃないの……」

 

 ぬっ、と空間を裂いて現れたのは妖怪の賢者こと八雲紫。

 

「出たな妖怪スマキラー」

 

「どこぞの殺虫剤(フマキラー)みたいに呼ばないで頂戴。あとスマキじゃなくてスキマよ……まぁ、それはともかく。早苗さん?外の世界のお金なら私が換金しますわよ?……少なくともこの男に頼るより良いと思いますが」

 

「本当ですか!?じゃ、じゃぁ家にあるタンス預金も全部……?」

 

「勿論、いくらでも両替致します」

 

「や、やったぁ!これで無一文神社じゃなくなる!」

 

「おいおい八雲紫、いくらなんでも営業妨害だぞ」

 

「営業妨害って……貴方悪徳金融か何かかしら?」

 

「失礼だな、ウチでは金本位制と()()()()のダブルスタンダードを採用してるだけだぞ!」

 

「初めて聞いたわその制度……」

 

 そんなこんなで俺の目の前で外の世界のお金が両替され、普通に前金を渡された。チッ……。

 

「紫さん、ありがとうございます……」

 

「あら、別に気にしなくても良いのよ?外から来た方が安心して幻想郷で暮らせるように気を使うのも私のお仕事だから♪」

 

「そう言ってこっそり両替手数料取る気なんだろ俺は詳しいんだ!手数料として早苗ちゃんの胸を()()()()()する気なんだ!?」

 

「貴方と一緒にするんじゃないわよこのスットコドッコイ!!」

 

 さりげなく胸をガードしながら八雲紫から距離を取る早苗ちゃん。

 

「ちょ、違うわよ!?別に胸で両替手数料なんて取る気ないわよ!?」

 

「『胸で』!?じゃぁ違う何かで取られるんですか!?すみません私は至ってノーマルですので!!」

 

「胸じゃなかったらお尻か……もしくは口には出来ないようなあんなことやこんなことを……」

 

「やだー!私は至ってノーマルなのにーっ!!」

 

「えーい貴方達ちょっと黙ってなさい!!!」

 

 早苗ちゃんのおっぱいを邪魔された仕返しはこのくらいにしておくか。

 

「ひぃ!よ、寄らないで下さい!助けて詭弁さぁん!」

 

「誤解よ!私は同性愛者じゃないわよ!!?」

 

「幽々子ちゃんといつも一緒に居るのは違うのか」

 

「ち・が・う・わ・よ!!!」

 

 仕返しはこのくらい。ただし弄るのを止めるとは言ってない。

 

「『雪の降る夜。人肌恋しくなった八雲紫は亡霊の友の寝床に忍び込み、死んでいるはずなのに仄かに暖かい体温を深く感じるために能力を用いて互いの衣服をとり、肌と肌の境界を―――』」

 

「キャー!キャー!違うもん!そういうのじゃないもん!!!」

 

 顔を真っ赤に染めた八雲紫は、その能力を用いて作った()()()の中に顔から飛び込んでいった。

 

「……」

 

「……」

 

「……さて、じゃあ依頼を受けるとしますか」

 

「あ、はい」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 さて、早苗ちゃんを連れて人里を軽く練り歩く。

 

「ど、何処に向かっているんですか?」

 

「まぁまぁ、慌てない慌てない。早苗ちゃん、『信仰』って何か知ってる?」

 

「『信仰』が何か……って、それ神職に聞きます?」

 

「んぃ」

 

「『信仰』とは、言葉の意味なら神聖なものを絶対視して信じ、尊ぶものです。そして信仰の有り方とは、心の所作。人間は何かにすがらなければ真っ直ぐ生きていくのは難しいです。そこで絶対に折れない柱である神様を()()()()事で正しい生を全う出来るのです」

 

「ふむ、なるほどねぇ。じゃあ、今の時代で人間が最も()()()()()()ってなーんだ?」

 

「え、ええ……か、神様……ですか?」

 

 早苗ちゃんの答えにチッチッチ(tsk tsk tsk)と指を振りながら正解を教える。

 

「今の時代、最も信仰を集めているのは……『お金』だよ」

 

「『お金』……ですか?むしろ()()とは無縁の物に思えるんですけど……」

 

「地獄の沙汰も金次第とは言ったもので、昔はそれこそ神様に縋るしか無かった事でも、今では金であらゆる物事を解決する事が出来る。まあ限界はあるけど」

 

「うーん……それが()()とどう繋がるんですか?」

 

「それが最初の質問に繋がる訳だ。おっ、丁度茶屋が見えてきたし、そこで甘いものでも摘まみながら話そうか」

 

 そう言って茶屋の前にある、緋毛氈の敷かれた床机*1に腰掛ける。さあさお隣にどうぞ。

 

「おばちゃーん、『白餡蜜』二つねー!」

 

「あいよーぅ」

 

「ここの『白餡蜜』はすごく美味しいんだよ。折角だから奢ってあげるね」

 

「わぁ、ありがとうございます!……それで、()()()()()がどう関係するんですか?」

 

「んぃ。コレは俺の考えなんだけど、『信仰』ってのは要するに()()()()()()()()()()()だと思う訳なんだよね」

 

()()()?」

 

「早苗ちゃんが俺ん家に来て依頼をした時、前金って言って外の世界のお金を出したじゃない。なんでお金を持って来たんだ?価値のある物なら金とか、それこそ沢山お供えで来た酒とかでも良かっただろ?」

 

「なんでと言われても……どんな依頼でも()()()受けるって言われてましたから」

 

「そうだね。()()って言われたら普通、お金が必要って思うよね?じゃあその()()って何だ?」

 

「普通が何だと言われても……」

 

「んにぃ、()()を明確な言葉にするのは難しい。つまりその()()の中に潜在的な無意識があり、その無意識は()()()()()と言い換えられるんだよ。要するに、『お金をこれだけ持っていけば依頼を受けてくれるだろう』という意思があり、その意思とは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を持っているという前提からなるんだ」

 

「な、なるほ……ど?」

 

「『白餡蜜』二つ、おまちぃ」

 

「んぉう、ありがとう。お代は此処に置いとくよ。ほい早苗ちゃん」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 白餡蜜とは、餡蜜の上にこれでもかと言う程に白いクリームが乗っかったカロリーの暴力(女子の天敵)である。しかも下の餡蜜も小豆餡盛り盛り果物満載、白玉や求肥もいっぱい。こんなの食べて良いんですか!?良いんです、たーんと食いな!

 

「そして上から冒涜的な黒蜜をたっぷりかけてドーン!」

 

「あぁぁぁぁ!!カロリーが!!カロリーが!!!」

 

「かるーく混ぜて食べると……甘くて美味い!」

 

「ぐぅっ……目の前でそんなにおいしそうに食べられると……!」

 

「ほらほら、俺の奢りなんだから遠慮すんなってー」

 

「うぎぎ……食べたら絶対太る、絶対太る、絶対太るっ……でも食べちゃうっ!!!」

 

 巫女の質素な生活とは。

 

「うう……凄く美味しい……程よく甘くて、時々果物の酸味と苦みの所為で延々食べられる……」

 

「体重計乗るのが楽しみだねッ!!!」

 

「止めてぇぇ!!」

 

 閑話休題。

 餡蜜を食べ終えた後、お茶を啜りながら話を再開する。

 

「……さて、このようにお金はモノの対価として十全に機能するだろう。しかもよっぽどの事が無い限り、ある日突然持っていたお金が全てガラクタになりました!……って事も無い。何故なら皆この()()に対し、同量の金属以上の『価値』を認めているから。だから皆お金さえあれば何でも出来ると、お金を()()する訳だ。まあ例外も居るけど

 

「うむむ……つまり守矢神社の信仰を集めるには、まずは『お金』に対する信仰を何とかしなければならないんですね……」

 

「んぃ。まあ幻想郷だとお金なんて関係なく生きている妖精や妖怪も多いし、そんな人食い妖怪が目の前に居て『持ってる金全部やるから助けてくれぇ』と命乞いしたって聞いてくれはしない。そういう意味じゃ『お金』に対する信仰も弱いけど……そんな妖怪や妖精が居ない外の世界は、なんか色々ヤバイんだって?」

 

「うーん……詭弁さんの話を聞くと、外の世界では神様はまず信仰を得られないですねぇ……。食べる物や飲む物、衣服、住む所、生きるや死ぬに至るまで全て『お金』が関わってるんですから……」

 

「資本主義の闇だなぁ……さて、そろそろいい時間か。じゃ行こうか」

 

「えっ、行くって……何処に?」

 

「そりゃ勿論、信仰を集めにさ」

 

 

 

 ◆

 

 

 

「ここは……」

 

「呉服屋。まあ俺の友達がやってる所だ」

 

「いらっしゃいませー!おー詭弁!その子が例の!」

 

「んぉーう五福。()()の準備は出来てるか?」

 

「万端!少し待ってろ、今取りに行くわ!」

 

()()?何ですか一体……?」

 

「んぃ、まあ()()()()の小道具だよ……さて早苗ちゃん。凄い言い方をするけどまず理解してほしいのは、()()()()()()()だよ」

 

「っ!どういう意味ですか!?神様を売り物にすると!?」

 

「売り物だなんてまさか。『ビジネス』ってのは要するに()()()()()の関係さ。例えば鍬も持ったことの無い町人が居たとする。そんな人に『ウチの神様は農業の神!御利益は勿論豊作です!ぜひ信仰してください!』なぁんて言っても信仰するかねぇって話よ」

 

「む、むぅ……」

 

()()のニーズ*2に合わせるのも必要だが、まずは自身のシーズ*3に合わせて顧客を選ぶのさ」

 

「わ、分かるような……分からないような……」

 

「そこでまずは()()の厳選作業。基本的に里の爺さん婆さんはお金以外にも信仰する神様は既に居る……が、逆に若い世代は特に信仰する神様を決めている訳じゃない。それこそ神は居れど信仰せず、困った時の神頼み……なんてのが多数派だ。まあ祭とかだと率先して騒いだりするが」

 

「つまりその若い世代を上手く掴めば……!」

 

「信仰を簡単に獲得できるって訳さ」

 

「おおっ!……で、でも昨日信仰集めをしていた時は全然手ごたえが無かったのですが……」

 

「そりゃ時間か場所が悪い。神を信仰してないとは言っても、働かなきゃ生きていけないんだ。俺みたいに自由に時間作ってる奴じゃなきゃ大抵昼から夕方位の間じゃなきゃ忙しいモンだ。んで、そんな時間に暇してる奴が溜まる場所と言えば……」

 

「……と言えば?」

 

「酒場に決まってる」

 

 むしろ昼ちょい過ぎくらいに家に来たからビックリしたぜ。どうやってうまい具合に時間潰そうか考えてたんだから。

 

「おぉー!つまり今から酒場で信仰集めをすれば抜群に効果があると!!分かりました!ではすぐに行ってきま―――」

 

「結論を急ぐな。なんで呉服屋に来たと思ってる」

 

「……なんでですか?」

 

()()()を取りに来たんだよ」

 

「ほい待たせたな!コレが例のアレだ!!!」

 

 そうして五福が持って来た桐箱を開けると、()()()()()()()()()()()()()

 

「……何です?何も入ってませんが……」

 

「早苗ちゃんは『馬鹿には見えない服』の話って知ってるか?」

 

「え?ええ……『裸の王様』ですよね?それがどうしたんですか?」

 

「桐箱の中身、持ってみ」

 

「中身って……どう見ても空じゃ……ッ!?」

 

 早苗ちゃんが桐箱の中身を手に取る。

 

「えっ!?重さがあるっ!?なんで!?」

 

「ふっふっふ……それはオレと詭弁が長年研究を重ねに重ねた、現代の『馬鹿には見えない服』!!」

 

「ズバリ!『信心深いものには見えない服』だッッッ!!!」

 

馬鹿なんじゃないんですか?

 

 長かった……もうもの凄い長かった……ッ!完全に透明な糸と、糸を織る技術を作るのがもう本当にしんどかった……!!!

 

「さあ着てくれ」

 

「着ませんよこんなの」

 

「「なん……だと……?」」

 

「なんだも何も着るわけないじゃないですか!!」

 

(どうする詭弁!)

 

(……こうなればどんな手を使っても着させる!プランBだ!)

 

 思念伝達の魔法を覚えておいてよかった。

 

「早苗ちゃん、さっき話した事は覚えているだろう?信仰はビジネスだ!若い世代には『未来が良くなる』って御利益より即物的な御利益の方が分かりやすい!そして()()()()()()()()()()()()()()()()というのは、即信仰に繋がるんだ!この服を着れば『信じようかな?』と思った奴がふと早苗ちゃんを見れば、服が若干透けて見える。そこで俺が『神奈子様を心から信仰すれば早苗ちゃんの服が透けて見えます』と言えば、若い男達はスケベ心から熱心な信者になるだろう!」

 

「だからと言って脱ぎませんよ!?乙女の身体を何だと思ってるんですか!!?」

 

「幻想郷で新興宗教が信仰を集めるならこれくらいのインパクトが必要なんだって!かの『秋姉妹』も信仰を集めるために()()()しか身に付けなかった時もあるんだから!」

 

(お前が騙してな)

 

(俺だけの責任じゃねえし!)

 

(うるせぇ!何でお前ばかり良い思いしてんだこの野郎ッ!)

 

 と思考空間で殴りあいしているのを尻目に、早苗ちゃんは若干迷いが出てきたのか『信心深い者には見えない服』と俺の間で視線をさ迷わせている。

 

「で、でもどう見ても透け透け……どころか何もないんですけど……」

 

「そりゃ早苗ちゃんの信心がカンストしてるからさ!俺の目にはレース生地くらいにしか見えないぜ!」(合わせろ!)

 

(了解!)「あぁ、オレは商売の神様の熱心な信者なんだが、ちょっと厚手のシースルー生地くらいに見えるな!」

 

「む、む、む……詭弁さん程の信仰心でもそれくらいなら……いや、結局()が見えてるじゃないですか!?着ませんよ恥ずかしい!」

 

 くっ、まだダメか……なら最終手段っ!

 

「俺も着るっ!!」

 

(おまっ、バカか!!!)

 

「依頼を受けた以上、俺にも負担を背負わなきゃな!女の子一人だけに恥ずかしい思いはさせないぜ!」

 

「き、詭弁さん。そこまでしていただけるなんて……ありがとうございます!」

 

「良いって事よ!さぁ早苗ちゃん、透明でやりづらいとは思うけど、そこの試着室で着替えてきな!」

 

「はい!」

 

 そうして試着室に入っていった早苗ちゃん。

 

(ちょろいぜ)

 

(……じゃねぇだろ!!おま、()()()は一着しか無いんだぞ!どうするつもりだ!!?)

 

 『信心深い者には見えない服』なんてものは真っ赤な嘘(透明だけど)。正確には俺の魔力によって作られた、『幻術用の媒体』なのだ。魔法を使ってない時は当然誰が見ても無色透明な服なのだが、幻術を使えば特定の人には見えたり見えなかったりと遠隔制御で自在に操れる……のだが、当然それは媒体となる『透明な服』ありきの技術なので、透明な服無しにそんな器用な幻術なんて使えない……が、だからと言ってそれで諦められるか?

 

(どうする?じゃない……どうにかするんだよ!)

 

 考えろ……考えろ……!ただの幻術だと、『信心深い者には見えない服』と銘打っている筈なのに早苗ちゃんにも見えてしまう。だからと言って全裸で外を歩こうモンなら普通に騒ぎになる。早苗ちゃんには服を着ていないように見えて、それ以外の奴には服を着ているように見えるようにするためには……くっ、妙案が思い付かない……諦めるな、俺!『信心深い者には見えない服』は、元はと言えば俺の魔力だろ!何か手はある筈だ……!

 

 信心……信仰……無意識……っ!そうか!発想を変えて、()()()()()()()()()()()()()()()!!

 相手の無意識に働き掛け、『俺が裸でも騒ぐことではない』と思い込ませればいけるっ!!!

 

 くくく……『早苗ちゃんを半裸を拝んだ上で出歩かせて羞恥心を煽る』作戦……貰ったッ!

 

 

 

 

(よく考えたら、体よく騙されている気がする……)

 

 私は東風谷早苗。幻想郷に引っ越してきたばかりの女の子。今は万事屋……じゃなかった、便利屋の詭弁さんと一緒に人里で信仰集めをしようとしてるのですが……今は何故か透明な服を着させられそうになっています。これじゃぁ本当に裸の王様みたいになっちゃいますよ……。

 

(うぅ、詭弁さんは悪い人じゃなさそうなんですが、性欲にド正直というか……一体何故神奈子様も諏訪子様も詭弁さんに近づくように言ったんだろう。神奈子様はともかく、実際に会ってない筈の諏訪子様まで……)

 

 神奈子様曰く、『ヤツは是非ともウチに引き入れたいね』との事ですし、諏訪子様も神奈子様の話を聞いただけなのに『早苗の婿に丁度良いじゃん!』とか言いますし……。別に詭弁さんが嫌って訳じゃなくていくら何でも性急に過ぎるというかもっと互いを知ってからというか

 っと、思考が逸れた。ともかくこの透明な服を着るのは流石に……詭弁さんには悪いですが、また別の方法を模索してもらいましょう。しかし宗教はビジネス……かぁ。私には無かった発想だなぁ。

 

 そう思いながら試着室のカーテンを少し開けて詭弁さんに声を掛ける。

 

「詭弁さん。あの、すみませんがやっぱり流石にコレは―――ングっ!!?

 

「んぃ?どうした早苗ちゃん、流石に透明な服だと着るのが難しかったか?」

 

 カーテンの向こうに、下着一枚だけになっている詭弁さんが立っていた。ほぼ、裸。

 

「ききき詭弁さん!?なぜゆえに服を着ていないんですかッ!!?」

 

「どう見ても着てるじゃない……あぁ、早苗ちゃんは信仰心カンストしてるから、『信心深いものには見えない服』が完全に透明に見えるんだったっけ。えっ、って事は今俺早苗ちゃんにとってパン一姿晒してるっ!?ヤだ恥ずかしい!!」

 

(ルナティック白々しい……)

 

 そ、そうか。詭弁さんは今『信心深いものには見えない服』を着ているから、今は私にしか半裸姿を見せていないのか……。

 咄嗟の事で、すぐさまカーテンを閉めた。だというのに詭弁さんの肉体が脳裏に焼き付いて離れない。全身余す所なく鍛え上げられた筋肉、だがそれは見せる為に膨らませているモノでは無く、限りなく無駄を削ぎ落とした所謂『細マッチョ』というやつだろうか。ちらと見ただけでも巌のように硬そうな筋肉の鎧に身を包んでいたが、その身に刻まれた幾つもの大きな傷跡が彼の生き様を物語っているように思えた。

 心臓がドッ、ドッ、と早く鳴り響く。顔が熱い。もの凄くありきたりな表現を使えば、恋に落ちた……というものだろうか。

 少し前まで、恋愛ごとなんて所詮自分には関係の無い事だと思っていた。だが、今は……。

 

(もっと詭弁さんの身体を見たい……)

 

 ただ見るだけじゃない。前からだけじゃなく、横や後ろから近くで眺めてみたい。触ってみたい。色々な欲求が悶々と出てくるが、頭を振る事で無理矢理振り払う。こ、こんな事考えている場合じゃない……ちゃんと人里でも守矢神社の信仰集めをする為に頑張らないと……。

 

(……この透明な服を着れば()()()()()()詭弁さんがすぐ傍で一緒に信仰集めを頑張ってくれるのでは?)

 

 名案……いやいや、肌を晒すのは流石に……いや、でもちゃんと下着を着ていれば問題ないのでは?

 

(そう、言わばコレは水着のようなモノ!水着なら実質下着と同程度の露出ですけどセーフですし!というかそもそも『信心深いものには見えない服』という事ならちゃんと服着てますし!なら全く問題ないですね!!)オメメグルグル

 

 そうと決まれば早く着替えなくては。詭弁さんが待ってますし、若い世代の人達(ターゲット層)が酒場から移動してしまうし、詭弁さん(キンニク)が待ってますしッ!

 

(……あ、肌触りが凄い良い……パジャマにもピッタリかも……)

 

 そうして着ていた巫女装束を脱ぎ、意外と大きく感じる透明な服を着る。ぜ、前後は合ってるかな……?

 一応鏡を見て確認する。サラシを胸に巻き、白いパンツを履いている私。どう見ても下着姿です。本当にありがとうございました。

 

「早苗ちゃん、着替え終わったか?」

 

「えっ!?あ、はいッ!」

 

「じゃあ開けるね」

 

「え、ちょ――」

 

 シャッ、と試着室のカーテンが開かれる。目の前に半裸の詭弁さんが……

 

「あ、あの……えっと……ど、どうですか?……なんて」

 

 透明な服の裾(多分ワンピースタイプの服だと思う)を摘まんでその場で一回転してみる。……私が着てるコレが、私が見えてる通りに本当に透明な服だったらただの痴女だなぁ……なんて思いながら。顔、赤くなってないですかね……?

 

「おー!凄い似合ってるじゃん。めっちゃ可愛いよ!」(あれぇオカシイなぁ!?なんで普通に服着てるように見えてんの!?)

「……ぷぷぷ」

「美人は何着ても似合うとは言うが、想像以上だな……」(おい詭弁お前話が違うじゃねえか!!?早苗ちゃんの下着姿は!?)

 

「に、似合ってます?そうですか……ちなみに私は今どういった恰好ですか?」

 

「自分じゃ確認出来ないからしょうがないね!青色を基調としたシックなワンピースだよ!」(うるせえ俺も分かんねえよ!アレか!?俺が今無意識を操る魔法使ってる所為か!?あーもー解らん!)

 

「ちなみにお代はこの馬鹿が全額持つから気にすんな!それそのまま持って帰って良いぞ!」(クソッ!肝心な所でヘマしやがってこの馬鹿野郎!)

 

(馬鹿野郎とは何だテメェ!俺は今からぶっつけ本番で無意識を操る魔法を試すんだぞお前早苗ちゃんの半裸姿でも見なきゃ割に合わねえ助けてくださいッ!!)

 

(知るかボケッ!!!)

「くすくす」

 ふへへ……ナマの詭弁さんはやっぱ良い身体してますねぇ……ハッ!一瞬ヤバい扉を開けてしまったような気がする……!

 

「よ、よーし!じゃあ詭弁さん、信仰集め頑張りましょう!!」

 

「お、おう!そうだな!よし、じゃあ近くの酒場に案内しよう!」(作戦は失敗かっ……ッチ!いや、だが早苗ちゃんにとって今の自身の恰好は半裸である事には変わりない……メインターゲットは失敗だが、サブターゲットは成功させるっ!)

 

 そうして詭弁さんの後をついていく。……下着姿の詭弁さんの後を、ついていく。

 

(背中広いなぁ……触りたい……舐め―――ハッ!?いやいや、何考えてんの私!!)

 

(くっ……予想なら羞恥に悶える早苗ちゃんを見れる筈だったんだが、まるで()()()()()()()してるかのように自分の格好を意識しないな……手強い……!)

 

 そうして何とか意識を保ちながら、漸く酒場の前に来た。いよいよ、信仰集めの本番が始まる……!

 

 

 私達の信仰集めは、これからだ!!

「もうちっとだけ続くよ!」

 

*1
時代劇でよくある甘味処の前にある赤い色の長椅子みたいなヤツ

*2
顧客が求める需要

*3
自身が提供できる何か




ご愛読ありがとうございました――――
勿論続きます。

元々詭弁の第一印象は『良い』程度だった早苗ちゃん。神奈子様との戦闘を見て好感度が上昇した所で、神奈子様と諏訪子様の言葉によって詭弁をめっちゃ意識し、そして詭弁の半裸を見た事がトドメになりました。早苗ちゃんはチョロイなー(棒)

ちなみにですが作者の中では
早苗>>>咲夜>霊夢>魔理沙
です。異論は認める。
え?何がって?そりゃぁ……ねぇ?やっぱり外の世界の方が豊かだし、良いモン食ってるから……ねぇ?

たいじゅう!!!

「八坂の神風!!!」

ぐわぁー次回こそ裸にひん剥いてやるからなぁー。
感想評価ここすきボタンを忘れるんじゃないぞー。
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