詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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毎日更新って都市伝説、御存知ですか?私は知りません。ええ知りませんとも。


時系列的には緋想天が先なんですが、作者のモウガマンデキナイ!な精神によって詭弁には先に地底旅行券(片道)をプレゼント。
漸く……漸く好きなあの子が出せるっ……と……良いなぁ……ッ!


落とし穴ですよぉぉぉぉぉ!!!?

 皆さまこんにちは。詭弁答弁です。今日は真冬の妖怪の山にやってきました。冬という事で一面雪景色。右も左も真っ白です。

 さて、何故真冬に妖怪の山にやってきているのかというと、これも偏に守矢神社からの依頼という訳です。守矢神社は妖怪の山の頂上付近に建っている事から、人里に住む普通の人間では参拝は困難を極める。故に此度私のような便利屋が安全な参道の整備、或いは参拝者を安全に人里から神社までを結ぶ乗り物の設営準備等を任された次第。参道の整備も、乗り物設営の準備も、先ずは安全な通り道の確認をする事が第一に必要な事。よってこうして歩いて妖怪の山を登って()()訳なのですが……

 

 今、俺は足を滑らせ、転んだ先に偶々ポコッと開いていた穴から転落している最中である。

 

 

「そんな馬鹿な事あるぅぅぅ!!!???」

 

 

 ないわー。そんな事ありえないわー。雪の積もった山道に苦戦して、偶々踏みしめた所が凍り付いた上に苔むして超滑りやすい石で、滑って手を着いた所に偶々人一人分程度入れるような大きさの穴が開いていて、しかもそれが雪によって隠されていた。そして今、その穴にズボォッ!!っと真っ逆さまに落ちている俺。空を飛ぶってこんな感覚なのね。いやぁー……助けて厄神様、御祓いおねげーしやす。

 

「って言ってる場合じゃないってのぉ!!」

 

 穴の中は真っ暗。身体は真っ逆さま。何時頭から穴の底に突き刺さるか分からない恐怖が俺を襲う。嫌じゃ!こんな死に方しとうない!

 空を飛べないという、普通の人間にとって当たり前だが幻想郷においては明らかな不利が此処に来て俺に襲い掛かる。いやほんと、どうしよう。そんな事考えている間にも、落下速度は体感どんどん加速していく。

 

「くッ!!『輝け如意陽輝棒』ッ!!!」

 

 手に持っていた陽輝棒が真っ暗な穴の中で輝き、周囲を照らす……が、それでも穴の底が見えない程に深い。

 陽輝棒を振り回し、穴の横壁を叩いた反動で反対側の横壁に近づく。

 

「『硬気功』ッ!『大地の加護』ッ!」

 

 気を練り、自身の肉体を鋼のように頑強に強化し、更にその上から妖精手甲によって強化された魔力の鎧を纏う。

 迫る横壁に手を伸ばし、少しでも落下速度を弱めようとする……が、落下速度が余りにも早過ぎた所為で岩のように硬い横壁に腕が弾かれた。……だが、何とか身体を捻り、脚を下に向けられた。

 

「ぐぅぅッ……!!『緊急脱出(ベイルアウト)』ッ!!!」

 

 霊力や魔力を足先に集め、そのまま爆発させる。本来であれば自分一人を爆発の勢いで高く跳ばすための緊急避難的な技なのだが、四の五の言ってられない。足先から伝わる衝撃がそのまま腰、背中、肩を通り頭まで貫く。

 

「『緊急脱出(ベイルアウト)』!!!」

 

 二度、三度と繰り返し、漸く目に見えて落下速度が弱まった……と思った矢先の事。視界の下、穴の底に白い何かが見えた。まさか、穴の底……

 そう思い至った瞬間、地面に叩きつけられて身体がグシャグシャになる未来が想像出来た。

 

「(止まれ止まれ止まれ止まれッッッ!!!)」

 

 もはや声も出ない程に引き攣った喉で声にならない声を上げながら足先を何度も爆破して、必死になって落下速度を抑え続ける。全身の骨が爆破の衝撃で粉々になっていく感覚がするが、ミンチ肉になるよりもマシだ。

 そして……

 

 白い何かに包まれるように受け止められ、網に掛かった魚のような気分を味わいながらブチブチという音を聞き、漸く落下速度が0になった。

 

「……死んだかと思った」

 

 大丈夫?口から魂出てない?

 

「……随分派手に落ちてくるなあと思ったら、人間だったか。河童あたりが嫌がらせに花火でも落としてきたかと思ったよ」

 

 身体に纏わりつく白い何かに悪戦苦闘していると、横穴から中々奇抜な服装をした金髪ポニーテールの少女が現れた。

 

「おお、よく見ると私好みのイイ『男』じゃないか。しかも五体満足……じゃなさそうだけど、まあ原形残ってるだけマシか」

 

「そう言う君も俺好みの美女……俺の名前は『詭弁答弁』。しがない一般人だ」

 

「おやご丁寧に、私は『黒谷ヤマメ』。しがない土蜘蛛さ」

 

「土蜘蛛……はて、聞いたことあるな。病気を操る妖怪だったかな?」

 

「お、正解~」

 

 土蜘蛛……蜘蛛って事は、この白い何かはもしかしなくても蜘蛛の糸か。

 

「ふっふっふ、何の因果か知らないけど、土蜘蛛(わたし)の糸に絡まるなんて『食べてください』って言ってる様なモノよ。今すぐパクッと食べちゃっても良いんだけど……折角のイイ男だからちょっと()()()()()()にしようかねぇ?」

 

「……そういえば蜘蛛の糸って()()()から出るよな」

 

「……ん?いや、まあ……オシリと言えばオシリ……かな?」

 

「……」

 

「……」

 

「クンクンクンクンクン」

 

「ちょちょちょっ!!?意味深な事言ってから糸の匂いを嗅ぐんじゃないよっ!!!」

 

 仄かに甘い匂いがした。

 

「分かった。アンタさては馬鹿だね?」

 

「馬鹿とは失礼な。人里一の『大天才(ベスト・ジーニアス)』とも呼ばれた俺が馬鹿な訳が無い」

 

「なら地上の人間は馬鹿ばかりなんだねぇ」

 

 それはどういう意味ですかね。

 と、蜘蛛の糸に絡まっている俺の上に跨るように乗るヤマメちゃん。

 

「何をする気でせう」

 

「何って、そりゃぁ()()()()()に決まってるじゃないか。さて、その邪魔な服を脱ぎましょうねぇー」

 

「いやああああ食われるぅぅぅぅ!!!」

 

 性的な意味でなら勿論バッチ来いなんですが食事的な意味ではらめなのぉぉぉぉ!!!

 口に魔力を溜め、勢いよく噴き出すと共に炎に変換する。

 

「『火炎弾(ドラゴンブレス)』!!」

 

「うわっち!!?火ぃっ!?」

 

 吐いた炎に驚き、跳び退くヤマメちゃん。その隙に全身に魔法の炎を纏い、蜘蛛の糸を焼き切る。

 

「むむ、久しぶりの人間なんだ。逃げようったってそうは行かないよ!罠符『キャプチャーウェブ』!」

 

 そう言ってヤマメちゃんは弾幕を放って来た。ふぅん、良いだろう。戦うというのなら……人間らしく生き残る為に、こちらも武器を取ろうではないか。

 放たれる弾幕を駆け抜け、ヤマメちゃんにすれ違うように一閃。手に持った光の短剣がヤマメちゃんを斬り捨てる。

 

 より正確に言えば、ヤマメちゃんの着ていた服の下部分(膨らんだスカート)を斬り捨てた。

 

「な……っ!?キャーッ!!!!

 

 は?何その紐パンツ。誘ってんのか?お?ケツでか過ぎて後ろからじゃほぼ履いてないようにしか見えないんだが?

 

「はぁー流石蜘蛛、ここから糸出してるだけあるなぁ。ムチムチじゃん」

 

「触るんじゃなァい!!!ヒトが気にしてる事をズケズケ言うんじゃないよッ!!!」

 

「何言ってるんだ?むしろコレくらい肉付いてた方が女性らしくて美しいじゃないか。うはぁ、柔らか」

 

「えっ……そ、そう?えへへ……ってだから触るな!揉むなッ!!」

 

 ケツのデカい女も好きです。

 背中から生えた蜘蛛の脚がバタバタ暴れて俺を振り払う。

 

「くぅ……乙女の身体をベタベタ触った罪は重いよっ!」

 

乙女(Girl)淑女(Lady)の間違いだろ?」

 

「そんなに褒めても何も出ないって!!」

 

 いやんいやんと身体をくねらせるヤマメちゃん。蜘蛛も求愛ダンスを踊るんですね。詭弁君のムスコもイライラしてきました。

 

「ええいさっきから調子が狂うなぁ……!生意気な人間め、原因不明の熱病に浮かされるが良いわ!」

 

「そう言えば蜘蛛の糸ってたんぱく質が主成分だよね。折角の巣を壊しちゃったし、ここはお詫びに()()たんぱく質を注入(意味深)してあげるね!」

 

「話聞けよぉ!」

 

 さっき死にかけたせいか、性欲を持て余す。まぁ、生物的な本能なんですけども。人間性を捧げよ……。

 

「(ま、マズい……!あのヤバめな目付き……このままじゃ、逆に()()()()ッ!)毒符『樺黄小町』!!!」

 

 大量の弾幕が放たれるが、直撃コースのモノだけを全て叩き落とす。

 俺が一歩前進する毎に、ヤマメちゃんは一歩後退を繰り返し、ついには壁際まで追い詰めた。

 

「実に扇情的な姿で私、大変興奮致しますッ!!!

 

「う、うぅ…………は、初めてだから優しくして……

 

良いぜ!俺の○○○(ピーー)が紳士にするかは別だがなァ!!!

 

 

落符『秋の釣瓶フォーリング』

 

 

 ガゴォンッ!!!

 

 突如脳天からとんでもない程の衝撃を受け、そのまま地面に顔から叩き付けられる。そしてその衝撃で意識が何処かに飛んでいってしまった。

 

 

「ヤマメ大丈夫?うわぁ凄い格好」

 

「ううっ……ありがとうキスメぇ……助かったよ……」

 

「どういたしまして。それでどうするこの人間、食べちゃう?」

 

「いや、止めておこう。こんなん食べたらお腹壊しちゃうよ……」

 

「ふーん……ま、ヤマメがいいならいいけど……」

 

「(九死に一生を得たけど…………なんだろう、ちょっと残念にも思う……)」

 

「どしたのヤマメ、行くよ?」

 

「あ、うん」

 

 

 

 

 

「行ったか?」

 

「行ったな」

 

「はぁ、()()の性欲も困ったモンだ……」

 

「いつか身を滅ぼさなきゃいいけど」

 

「無理だな」

 

「無理だねぇ。……で、この()、登れそうかね?」

 

「……無理そうだ。壁の土が柔らかくて到底よじ登れそうにない。魔法で上に行こうにも高すぎて魔力が尽きるのが先だ。其処の横穴が地上に繋がってるのを祈るしかないな」

 

「ふぅーん……図らずも地底旅行……まあ、最悪俺だけ地上に飛んでいって救援呼びに行けるし、なんとかなるでしょ!」

 

「そうだな……まぁ、なんにせよ本体の回復に当たるか」

 

「オッケー!」

 

 

 そうして目が覚めた時にはヤマメちゃんは何処にも居なかった。くそぅ……。

 

 一人なのに騒がしい地底旅行が、始まる。




と言うわけで(旧)地獄旅行編、始まり始まり。
この後に控えてるあの方とかあの方とか、地底の連中ってなんでこうえっちが過ぎるの?教えてエロい人。

感、評、こ、よろ!

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