詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
?「私なんか感想欄ですら出番無い」
?「メインヒロインの筈なのに……」
長いトンネルを抜けると、そこは繁華街上空でした。いや、なんで?
……ああ、そういえば昔、地の底には地獄の繁華街があったって聞いた事あるな。ふぅん、つまりいつの間にか地獄まで降りてきてしまったという訳か……。そんな事ある?
ここまで一本道だった事から、地上に戻るには別の所から行かなきゃならなそうだ。ふむ……誰か道案内してくれないかな。岩壁を伝って下まで降りる。
地底の明かりに照らされて、雪がちらちら降っているのが見える。地底にも雪は降るんだなぁ。よっ……と、地面に着地。改めて見れば、里並みに発展している街のようだ。あ~……そういえば伊吹萃香のヤツがしきりに地底に連れて行こうとしていた事を思い出す。地獄に人なんて居るのかと思えば、実際居るのは怨霊と鬼、あとは今の
「―――で、勇儀姐さんがよぉ」
「クカカ、そりゃお前が悪いのぅ」
……ふむ、話し声が聞こえる。地上への道を知ってるかもしれん、と話し声の主達に声を掛ける事にした。……まあ、素直に教えてくれるとは期待してはないけど。
二人の前に出る。立派な口ひげを蓄えた壮年の男と、長いあごひげを棚引かせている老齢の男に見える二人組だが、二人ともその頭部には拳ほどの大きさの角が生えていた。鬼か。
「すみませんお二人さん、ちょいと道を尋ねたいんですが」
「ンぁ?……人間?しかも生きているヤツだと?」
「ん?ほぉー……珍しい事もあるもんじゃのぅ」
「ちょっと色々あって此処まで落ちて来たんだが、地上に戻る道は知らないか?」
「あ~?……フン、知ってると言えば知ってる」
「さて、知らんと言えば知らんのぅ」
「何言ってんだコイツら」
二人ともニタニタと嗤いながら同じような仕草で、顎を指で擦る。
「まあ待てよ。何の因果か、折角旧都まで人間が来たんだ。多少は
「なんで俺が野郎なんぞを楽しませなきゃなんねえんだ」
「クカカ、見た所多少は
「無論勝負方法は
問答無用と言わんばかりに壮年の男鬼が殴りかかってくる。さて、鬼と言えばあの怪力か……と、伊吹萃香を思い出す。受け止めるのも、受け流すのも凶。となれば―――
「
「ばゴハッ!!?」
「……ひょ?」
壮年の男鬼の拳を潜り込むように
「……伊吹萃香より遥かに弱いな」
「な、なんじゃオヌシ!!?
口から猛火を吐き出す老齢の鬼。だが伊吹萃香の妖術に比べればぬるま湯の様だ。
「『風人拳』」
神奈子様を信仰してから会得した、風を生み出す力。文ちゃんや早苗ちゃんの生む風に比べれば微風も良い所だが、魔力によって風の力を増幅すれば、この通り。多少の炎では焼けない風の鎧が出来上がる。
吐き出される炎をかき消しながら駆け、老齢の鬼の顔面を容赦なくぶん殴る。
「と、年寄りには優しく―――」
「うるせえ!『
腰の入った右ストレート。風の力も相まって、もの凄い勢いで錐揉み回転しながらぶっ飛んで行く老齢の鬼。
「……あっ、しまった。殴り飛ばしちゃったら道案内させられねえじゃん」
失敗失敗……と反省したと同時に空高く飛んでいた壮年の鬼と錐揉み回転しながら飛んでいく老齢の鬼が音を立てて地面と壁に突き刺さる。
「なんだなんだ?」
「ケンカだケンカ!」
「おい!人間が殴り込みに来たらしいぞ!」
「マジか!!血祭にあげてやろうぜ!!」
火事と喧嘩は江戸の華、と言わんばかりに血の気の多い連中が一瞬で騒ぎを聞きつけ、騒ぎが騒ぎを呼ぶ事態になる。そして何処からともなく集まってくる、頭に角の生えた男女の群れ。百鬼夜行かな?
「居たぞ!人間だ!!」
「ヒュゥ!アタシ好みの顔だ……攫って食っちまおう!」
「ああいうイケ好かねえ顔はぶっ潰してやりてえもんだ!」
「ひひ、具合の良さそうな長物持ってるなァ……オレに寄越せェェ!」
「こう言うのって普通人数差逆じゃない?」
大きな金棒を持った女鬼、拳に鉄の輪を嵌めた赤肌鬼、ボロボロの野太刀を両手に持った青肌鬼。それぞれが嗤いながら我先にと襲い掛かってくる。
人間一人に対して鬼三人ってどういう事よ。あ、よく考えたら俺増えられるじゃん。
「《陰》、《陽》!」
「野太刀のヤツは任せろ」
「じゃあ赤肌は任せな!」
《陰》が持った『巨人の短剣』を青肌鬼にブチ当て吹き飛ばし、《陽》は霊撃を使って赤肌鬼を運び、俺は女鬼の金棒を陽輝棒で迎撃する。
「ははっ!
「相手にならないがな。『
自身の身体を強化する。拮抗していた力は、一気に形勢を傾けた。
「なっ!?勇儀姐さんぐらいにしか負けたこと無いのに!?」
「井の中の――ってヤツかな?」
陽輝棒を振り、女鬼の金棒を弾く。女鬼が大きく体勢を崩した所で、激しく金棒を突き上げる。
「『
金属特有の甲高い音を上げ、粉々に砕かれる金棒。武器を失った女鬼はその光景を見てたじろぐ。
「アタシの『
「『攫って食う』と言う事は、逆に
「人が鬼を食うだと!?生意気なッ!!」
武器が粉砕されたというのに、尚も両手を打ち付けて掛かってくる女鬼の戦闘意欲には驚嘆を禁じ得ない。なるほど素晴らしい。それなら俺も全力でお相手致そう。
腕に着けている『妖精手甲』に魔力と気力を通す。
「『魔装:
岩よりも硬く強化された肉体から大量の蒸気と共に放たれる気力を
数瞬後、衣服全てが弾け跳ぶ女鬼。
「……ッ!??ぎにゃぁぁぁぁぁッ!!!?」
プシュゥゥゥゥと音を立てて排熱する俺の身体と、音を立てて顔を真っ赤に染まる女鬼。恨むんならそのばるんばるん揺れて俺を惑わすおっぱいを恨むんだな……ふ、良き写真が取れた♥
「「「お、覚えてろッ!!!」」」
丁度俺と同じタイミングで決着が着いたのか、顔がボコボコに腫れあがった赤肌鬼と全身ボロボロに変わった青肌鬼と女鬼が捨て台詞を吐いて何処かへと走り去っていった。
何だったんだ……と思ったのも束の間の事。
「スゲェ!!あんな強い人間なんて久々じゃねえか!!」
「次はオレと勝負しろ人間ッ!!」
「馬鹿野郎!次はオレとだ!!」
「オレサマ、オマエ、マルカジリ!」
「邪魔だボケ!」
「ンだとゴラァ!!」
「喧嘩だ喧嘩だ!」
「ブッ殺してやるよ!!」
「人間テメエ掛かってコイやボケェ!!」
爆音みたいに煩い声が囃し立て、一気に辺りは混沌とした空間に包まれた。しかもよく見れば周りは鬼やその他妖怪達に囲まれて退路が無いと来た。
「「ブッ殺す!!!」」
「轟鬼兄弟がまた喧嘩してるぞ!今日はどっちが勝つか、さぁ張った!張った!!」
「アタイと勝負しな人間!!」
「邪魔すんなブス!オレが先にヤんだよ!!」
「あ”あ”!?テメェみてえなノロマな肉ダルマなんて出る幕じゃないよ!!」
「カッチーン!!ブステメェ言ったなッ!?先にお前から捻り潰してやる!!」
「上等じゃないか!その四肢捥いで本当の肉ダルマにしてやるよ!!」
「バカヤロー!貴様等ワシの店先で暴れるんじゃねぇーッ!!」
「おーいコッチに酒持ってこい!!」
「ギャハハハ!どっちが勝つか賭けだ賭け!!」
里での祭を彷彿とさせるような大爆音での大騒ぎ。眩暈がするような声の大きさで辺り一帯は喧噪に包まれた。あーもー滅茶苦茶だよ!
「誰か地上への帰り道教えてくれぇー……」
「お兄ちゃん、コッチコッチ」
頭痛を押さえながら悶えるように絞り出した声が聞こえたのか、小さな子供の声がすぐ近くで聞こえる。直後、唐突に左腕が何かに掴まれる感覚がしたと思えば、いつの間にか俺の身体は喧噪の輪の外側に居た。
「皆の無意識の隙間を通ったんだよ。凄いでしょ?」
「お、おう……」
俺の手を引っ張っていたのは、緑色の瞳が特徴的な幼い姿の少女だった。
「私は古明地こいし。貴方は?」
「俺は詭弁答弁。里の……あー、地上の便利屋だ」
「知ってるよー。お金次第で何でもやってくれるんでしょ?」
「俺の気分次第でな」
言い方に若干悪意を感じたが……まあ良いか。
しかし地底世界にまで俺を知ってる奴がいるとは。
そのままこいしに引っ張られるように喧噪を後にする。繁華街を少し離れ、地底の中心へと連れてかれる。
「何処向かってんだ?」
「私の家だよ。貴方面白そうだからお姉ちゃんに紹介しようと思って!」
「姉?」
「そう!お姉ちゃんはすっごい可愛いんだよ!」
ぴょんぴょん跳ねながら自身の姉の良い所をあげつらうこいし。姉妹仲が宜しそうで何より。
「あ、お燐とお空だ」
「あれっ!?こいし様!?今まで何処に行ってたんですか!?さとり様がずっと心配してましたよ!!」
「あはは、すぐ戻るって伝えて?」
「待て待て。その前にやる事があるだろう?」
「ん?ありゃ、こいし様が人間連れてる。珍しい事もあるもんだ」
「うん。結婚するの」
「……えっ」
「寝言は寝て言え。そんな事よりお嬢さん方、俺の名前は詭弁答弁。お二人の名前は?」
「うにゅ?私は霊烏路空。お空で良いよ」
「あ、アタイは火焔猫燐。お燐って呼びな……えっ、こいし様、本当にこの人間と結婚する気ですか!?」
「本気だよ?だってこんなにイケメンなんだもん!」
「こいし様面食いだったの!?」
「ヘイお空ちゃん、キミ可愛いね。何の妖怪?」
「可愛い?えへへ……私は地獄烏だよー」
「烏!なるほどそれでこの立派な翼か!触っても良い?」
「良いよ!」
「どれどれ……ほう、やはり素晴らしい手触り。柔らかくてスベスベ―――」
「いやアンタ何いきなりお空の胸揉んでるんだい!!?」
いきなりじゃない。ちゃんと『触っても良い?』と聞いただろ。大きくて素晴らしいおっぱいでした。
「話の流れ的に普通触る所は
「誰も翼を触りたいとは言ってないだろ。それに翼は鳥妖怪にとって敏感な所だからいきなり触ったら失礼だろ!」
「胸揉んどいて何言ってんのこの人間!!?」
「お燐!お燐!なんかこの人間におっぱい触られたら凄い気持ち良かったよ!お燐も触ってもらいなよ!」
「アンタ馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけどそこまで馬鹿だったのかい!?」
「はっはっは、お空ちゃん。どうやらお燐ちゃんは少し恥ずかしがり屋の様だね。多少強引になるけど、一回
「分かった!」
「ちょ、お空!!?離しなっ!離せ!やめ、止めろぉー!!!んにゃぁぁぁ!!!」
こ、これは……!見た目からでは想像できない程に詰まったおもち!しかもコイツ……
「ねー?気持ちいいでしょー?」
「マッサージと違うんだよお空ッ!んっ……!にゃぁ……!?あっ……ぅ……」
「大丈夫大丈夫。地上では胸部マッサージが流行ってて、誰も彼もがおっぱい揉まれてるから!特に俺は『特級胸部按摩師』の資格を持ってるから安心して!」
「なんかよく分かんないけど凄い!」
「やだ……こんな道の真ん中でぇ……っ!んにゃぁぁ……」
「そうかそうか、じゃあ何処か近くの空き家でしっかりと続きをごぶっ」
気が付けばいつの間にか腹に包丁が突き刺さっていた。
「こ、こいし様?」
「ああ、ゴメンねお燐。でも詭弁が悪いんだよ?だって結婚相手をほっといて他の女の子に手を出すんだもん。ねえ、なんで?私じゃダメなの?」
「だってお前子供なんだもん」
流石に子供相手に欲情しねーよ。腹に
「いや、普通『痛かった』で済む?」
「済むんだよいつもの事だから」
「腹刺されるのがいつもの事って何!?」
なあに、人間肩に風穴開こうが腹掻っ捌かれようが意外と何とかなるもんだ。俺が言うんだから間違いない。
「……アンタ早死にしそうだねぇ」
童貞捨てるまでは死ぬ気はない。
そのままこいしに思いっきり引っ張られるまま引き摺られるように大きな屋敷、『地霊殿』に連れ込まれた。
『地霊殿』の重苦しい扉が大きな音を立てて閉まった。
モブ鬼程度なら簡単に薙ぎ倒せる詭弁君でした。
モブ鬼君達のカタキはあの方に任せましょうね(暗黒微笑)
なんでこいしちゃんの好感度高いかって?そりゃ次回説明するよ。たぶん。頑張れ未来の俺。
???程度の好感度
お空:触られると心と身体がポカポカしてくる程度の好感度
お燐:顔は良いけどお前……程度の好感度
こいし: も っ と 私 を 見 て
???:テメェよくも大事な妹を……
???:へえ、強い人間が地底に降りてきた、ねえ?そりゃぁ……愉 し そ う だ