詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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詭弁、例え無意識でも相変わらず()()()()()()()にヘタレるもよう。脱童貞は何時になることやら。


結婚式ですよぅぐッ……!

 宴会から明けて翌日、いまだに結界の施された部屋にこもっている霊夢の様子を確認するために、八雲紫は結界破りを試みていた。

 

「これはただ霊夢が心配なだけで出歯亀とかそういうのじゃないから」

 

「誰に向けて言ってるの?」

 

 ふんふふーん、と鼻歌交じりに強固な結界を解いていく八雲紫を呆れた目で見ている幽々子。

 

「ん~……霊夢の結界術の上達を褒めれば良いのか、こんな事で本気出す霊夢を叱れば良いのか悩むわねぇ……よし、ようやく結界が解けたわ」

 

 パシッと渇いた音が響いた直後、内側から障子が開けられ中から霊夢が現れた。

 

「あっ……は、はぁい♥️いつもニコニコ貴方のそばに這い寄るゆかりん―――」

 

「夢想天生(拳)」

 

「ふィぎゅっ」

 

「ゆ、紫ぃー!!!?」

 

 謎の遺言を残し幻想郷の空を高速で吹っ飛んでいく八雲紫に、思わず手を伸ばす幽々子。そしてキシッ……と床板が鳴る音で、自身の未来を予知した。

 

「ち、違うのよ霊夢!私は紫を止めようとしたのよ!本当よ!」

 

「……」

 

 キシッ……

 

「わた、私の静止を無視して紫が勝手に!私止めたもん!止めたもん!」

 

 キシッ……

 

「だからねっ、ねっ!その拳を一旦下ろしましょっ!そういうのって詭弁の役割でしょっ!ねっ!」

 

 キシッ……

 

「やだー!やだー!!!」

 

「夢想封印(拳)」

 

「ぴぎュっ」

 

 その日、亡霊は空を飛んだ。『あぁ、成仏ってこんな感じなのかしら……』と考えながら、空を飛んだ。

 

 

 

「うぅ~ん……騒がしいな……ん?霊夢、出てきたのか……って臭っ!?」

 

「……魔理沙、ちょっとお風呂に入ってくるわ……」

 

「お、おう、是非とも入ってこい……詭弁は大丈夫か……?」

 

 魔理沙が件の部屋を覗くと、床一面に虹色にキラキラ光る正体不明(モザイク状)のモノが撒き散らされていた。

 

「臭っ!?ゲロ臭ッッ!!!?……うっ、」

 

 魔理沙もキラキラ虹色に光る正体不明(モザイク状)のモノを吐き出す為にトイレに駆け込んだ。

 

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

「目が覚めたら服が変わってるって結構ホラーだと思うの」

 

「知らないわよ」

 

 天子ちゃんの膝枕を堪能してた所からぷっつりと記憶が飛んで、気が付いたら日が昇りきっているのが見えたし気が付いたら服が変わってた。それに頭が割れるように痛いしお腹の中がぐるんぐるん回ってるような感じがして非常に気持ち悪い。

 そうして腹の不快感と戦ってると朝食(時間的には昼食)が出来たらしく、霊夢ちゃんが呼びに来て今に至る。

 

「いただきます」

 

 霊夢ちゃんの作る料理は質素ながらも美味しいなぁ!ぐるんぐるん回ってる胃に優しく染み渡る……ううむ、昨日はそんな飲んだ記憶が無いんだがなぁ……外の世界の酒は悪酔いしやすいのかも知れん。

 そうしてモソモソ飯を食べてると、不意に霊夢ちゃんから声を掛けられる。

 

「それで、詭弁はこの後どうするつもりなのかしら」

 

「んにぃ~……まぁ家に帰って()の準備かなぁ」

 

「……式?」

 

「ありゃ、言ってなかったっけ。だいぶ経って里の皆も落ち着いてきたし、異変解決の宴会以外にもここいらで一つ『目出度い事』でもやって皆の気を盛り上げようかと」

 

「……なにを、する気なのかしら」

 

「んなもん決まってるでしょ―――

 

 

 

 ―――()()()だよ」

 

 

 

 結婚(けっこん)とは、夫婦になること。婚姻(こんいん)とは、『結婚すること』『夫婦となること』『社会的に承認された夫と妻の結合』である。『婚姻』は配偶関係の締結のほか配偶関係の状態をも含めて指している。

 そういう意味では俺と天子ちゃんは()()『婚姻』してないことになる。近い言い方をすれば『同棲』だろうか。とは言っても『同棲』を始めてまだ一週間弱。それも肉体改造の為に朝から晩まで延々汗水垂らしまくってただけだ。()()()()()()()なんてモンじゃないくらいお互いに触れ合っていたが、少なくとも色味のある生活ではなかったことは確かである。

 だが、それもこれまで。天子ちゃんの肉体改造も終わり、後は()()()()()()()が始まる。同じ食卓で向かい合って食べる食事。一緒に入るお風呂。そして夜は……むふっ。

 …………いやまあ、流石にそれは早すぎか。

 とまあ、実質的には結婚してるようなものなのだが世間的にはまだ結婚してないことになっているのが俺と天子ちゃんとの関係だ。そこで一つ大々的に『結婚式』を挙げる事で、名実共に婚姻関係を結ぶ事が出来る。

 

 ……って()()()()が言ってた!

 難しい事はよく分からんが、名居さん含めた複数の天人達が結婚式場の準備とか諸々を進めているらしい。俺がやる事と言ったら、名居さんが言ってた『白のタキシード』を用意するくらいだ。……結婚式と言ったら紋付羽織袴じゃないのか?

 

「そういう訳でアリスちゃんに『白のタキシード』を作ってもらおうかと」

 

「…………いつ、結婚式を挙げるつもり?」

 

「そうだなぁ、今天人達が立派な式場を建ててる。天子ちゃんのウエディングドレスも作ってるらしいし、俺のタキシードも作って……だいたい一週間前後ってところかな」

 

「一週間……ね。何処で行うの?」

 

「んぃ。隕石が落ちた『何もない丘』の辺りだよ。あそこなら里からも近いし、今は本当に()()()()から丁度良いし」

 

「……そう」

 

 それから霊夢ちゃんは黙ったまま食事を終えた。ふむん?なんだったんだろうか。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「ってなわけで白タキシードを作ってアリスちゃん!」

 

「……何でアンタの結婚式衣装を私が作らなきゃいけないのよ(私が花嫁ならともかく)」

 

「えぇ?だってアリスちゃんなら白タキシードって何か知ってそうだし」

 

「それはどういう意味かしら。とにかく()()作らないからッ!」

 

「ええ!?な、何をそんな怒ってるん……?」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 さてさてそんな訳であっという間に一週間が経った。天気は快晴、気候も少しだけ暖かくなって良い感じ。結局白タキシードは呉服屋で何とか作ってもらった。結婚式場は広く、多くの人妖が集まって俺達を祝ってくれる―――

 

 

「さァー始まりました『()()()()()()()()()』!優勝者は()()詭弁と結婚する権利が与えられます!」

 

「くくく……司会実況は人里の呉服屋にして優勝賞品である詭弁の一番の親友『五福助兵衛』。解説はこの我、天人である『名居守天蓋』でお送りしよう」

 

 なんだこれ。

 

 いやなんだよこれ。

 

 天子ちゃんとの結婚式ぃー!と意気揚々に現地に向かってみれば名居守による無言の腹パンが待っていて、一瞬意識が飛んだ瞬間に『天界の秘宝』とやらの力によって完全拘束。なんか凄い豪勢な椅子の上にふん縛られている今日この頃なんですけどー。

 そして俺を拘束している『天界の秘宝』……これまた何故か居た霖ちゃんによれば、名を『蒼穹の大枷』と言うらしく、大空が大地から離れすぎないように留めておくための拘束具らしい。ンなもん人に使うなよ。だがその力は本物らしく、一切の気・魔・霊力が身の外に出る気配が無い程に完全に拘束されている。

 

規則(ルール)は単純!()()()()()()()()()()()()!!ただし『殺し』はご法度だぜ!飛び入り参加大歓迎!武術、妖術、弾幕、何でもござれ!ド派手に大暴れしろォい!!」

 

「くく……幻想郷において、我こそが『最強』の座(詭弁の嫁)にふさわしい、と思う奴はあらゆる障害を薙ぎ倒して征くがよい……」

 

 今明らかに『最強の座』って書いて違う読み方したよな。

 おかしい。妙だぞ。どうしてこうなった。俺は……俺はただ皆の溜まりに溜まった鬱屈を少しでも晴らせればと思って……。

 

 さながらコロッセオのように、隕石が落ちた為にすり鉢状に抉れた大地を囲うように大きな建造物が建ち、その中心に二人の少女が立っている。一人は長い青髪の少女、比那名居天子。もう一人は氷の妖精、チルノ。

 

「詭弁との結婚式だって思って楽しみにしてたのに……ちょっとキツいウエディングドレスも頑張って着たのに……」

 

「なんかよく分からないけど、アンタを倒せばアタイがサイキョーだって認められるのね!」

 

 チルノは()()()に座ってる俺に向かって笑顔でVサインを送ってくる。

 

「見てなさい詭弁!()()()()()()()()()がついでにアンタを貰ってってあげるわ!」

 

「……妖精の癖に、私に勝つつもりかしら……?」

 

「おおっと!試合開始の鐘はまだ鳴っていないが、両者共に戦気万全!だがまだ選手紹介もまだ終わってないからおっぱじめないでくれよー!」

 

「くく……元々長い青髪のじゃじゃ馬娘、比那名居天子は詭弁との結婚式を行うつもりで来ていたからな。だが安心しろ、無事に参加者全員叩きのめせば晴れてお前達は夫婦となる」

 

「ふざけんじゃないわよクソジジイ!!!サイコロ状に加工してやるわ!!!」

 

「さてもう一方!比那名居天子に相対するは氷の妖精チルノ!!」

 

「『妖精』という種族は本来、弱く儚い存在。だが、今()()()は例の隕石による影響か、普段以上の力を妖精に与えているようだ。具体的に言えば妖精達はかなり丈夫になり、その身に秘めた力を最大限に活用する事が出来るだろう。特に妖精としては破格の強さを持つという『氷の妖精』はその恩恵が顕著に現れるだろう。くく……妖精と侮ると痛い目を見るかもな……」

 

「なるほど!その辺に居たヤツを適当に連れてきた訳では無かったんですね!さあ、試合は間もなく開催しますが未だに選手は二人だけ!これではぶっちゃけ企画倒れになってしまいますが!!」

 

「案ずるな。もう間もなく……来たか」

 

 コロッセオの壁を飛んで、中央の舞台に舞い降りる銀・紅・白の影。

 

「「「 その結婚、ちょっと待った!!! 」」」

 

「何奴!?」

 

「詭弁さん!愛というのは時間を掛けて育むモノ……それをこんなぽっと出の女性に捧げるのは間違ってます!」

 

「わ、私の方が詭弁さんをもっと幸せに出来ますよっ!」

 

「詭弁お前……約束っ!忘れたとは言わせないからなっ!!」

 

「おお~っと!ここで飛び入り参加してきたのは冥界からの来訪者『魂魄妖夢』!吸血鬼の先兵『紅美鈴』!更に竹林の案内人『藤原妹紅』だぁぁぁ!!!」

 

「くく……皆粒揃いの実力者……()()()が盛り上がる事は間違いないだろう……!」

 

 堂々と飛び込んできた妖夢ちゃん、メイちゃん、妹紅先生。だが、まるで飛び込んでくる場所を間違えたのかとでも言いそうな表情を浮かべる。

 

「……あれ?詭弁さんの結婚式会場って、此処であってますよね?」

 

「えー、と?き、詭弁さん?なんでそんな所で、しかも厳重に縛られてるんです?」

 

「おい、詭弁……説明しろ」

 

「俺が知りたいわ!!!」

 

「さあ人数が揃った!今この場に居る参加者全員で戦い、最後まで残っていた奴に『幻想郷最強』の称号と共に詭弁と結婚できる権利が与えられます!この後から飛び入りで参加してくる者を含め、全てを薙ぎ倒して栄光を掴めェ!!!」

 

「くく……機を見て飛び入り参加するのも良いが、()()()()()になった時点で試合は終了。既に居る者は連戦の不利があるだろうが、後から飛び入り参加する者は()()()()()()()()()()()()()リスクがある。さあ競え!争え!『幻想郷最強』の称号(詭弁の正妻の座)は一つしか無いぞ!」

 

「それではこれより()()()()()()()()()を始めさせて頂きます!美しき少女達によるキャットファイト&ドッグファイトを御覧じろ!レディぃぃぃ……ファイトッ!!!

 

 だから、もう……ちゃんと!しっかり!!説明しろよォ!!!

 




今日はここまで。


次回予告!

 名居守の暗躍により何故か突然始まった、最強を決める幻想郷式コロシアム!
 しかもその噂を聞いた人妖達が次々とコロッセオの中に飛び込んでくる!風のように広まる噂は留まる事を知らず地底世界にも広がって……!?
 最後に立っていた奴が詭弁と結婚できるというとんでもないルールに詭弁LOVE勢が黙ってる訳ないだろいい加減にしろ!

 次回!『結婚には多くの困難が立ちはだかるとは言え限度ってモンがあるだろ!!』
 優勝賞品は詭弁の貞操。お楽しみに!


あっ、好きなキャラの好きな所を感想に書くと勝率が上がるってけーねが言ってたウサ。
一言付き高評価だともっと勝率上がるって言ってたウサ。
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