詭弁ですよ!霊夢ちゃん! 作:名は体を表す
目が覚める。いつも通りの朝、いつも通りの空、そしていつも通りの―――
「おーい詭弁、起きてるかー?」
「んぃ、ちょうど今起きたばかりだ……おはようにとり」
「ん、助けはいるかい?」
「要らねえよ、もうとっくに慣れてる」
よいしょっ、と身体を起こして布団から抜け出る。俺を起こしにきたにとりを片手で制しながら
「
「サンキューニット」
「ちゃんと名前を呼びなよ」
壁に立て掛けていた杖を持ち、片足の代わりに床を突きながら居間に向かう。
「起きましたか詭弁さん、おはようございます」
「んにぃ。おはよう、阿求」
居間には朝食の準備を終えたばかりの阿求が座っている。
ここは稗田家の邸宅。食客として俺は阿求に雇われている……のだが、
「ささ、どうぞこちらに。今日は新鮮なヤマメが捕れたので塩焼きにしてみました」
「んぃ」
良いとこのお嬢様だというのに自ら腕を振るって料理を作る事に首を傾げんでもないが、こんな生活もそこそこ長い故に細かいことをいちいち指摘していたら幻想郷では生きていけない。時には黙って状況を飲み込むのも必要だ。……なんの話だっけ。
阿求の横に座り、食卓に着く。杖を使っての立ち座りも慣れたものだ。
「……ねえ阿求、私の分は?」
「……にとりさん、まだ居たんですか。用事が済んだのなら妖怪の山にお帰りいただいてもよろしいんですよ?」
「おまっ、徹夜で詭弁の機械義肢を整備させておいてその仕打ちは無いんじゃない!?」
「元はと言えば詭弁さんの義肢に余計な機能をつけた貴方の責任でしょう?叫べば腕が飛ぶ機能なんていつ使うというんですか?」
「ロケットパンチカッコいいじゃん!私悪くない!」
カッコ良さに関しては否定はしないが暴発が怖すぎる。『飛べ』と叫べば発射されるわけだが、問題なのは俺以外の声にも反応してしまう点である。仮に小さい子が俺の近くで『飛べ』と言ったら、突如吹き飛ぶ俺の右腕。有り体に言って軽く恐怖映像である。ふざけ半分でヤバみ。
―――と、
◆
人里イチ……否、幻想郷イチのイケメン少年の朝は早い……こともないけど遅いこともない。普通だ。
日が地平線から完全に顔を出して少し経ち、太陽の光が部屋の中に入り込んでくるくらいの時間になると自然に目が覚める。そして朝食を取った後は、基本的に阿求の書く『幻想郷縁起』編纂の為に取材に行くか護衛(役に立たない)するか、もしくは自由時間である。
「詭弁、義肢の調子はどう?」
「んぅ、問題は無いな。……もっと軽くなればと思わなくもないが」
「必要な機構を詰めたら重くなるのは仕方ないだろ!」
「ブースター、閃光弾、小型ミサイル、ワイヤー射出機構……全部要るか?」
「絶対要る!」
「絶対要らんわこんなん!」
「なんで!?本当だったら自爆機能もつける筈だったのに詭弁がワガママ言うから涙を飲んで我慢したのになんだよその言いぐさ!」
「お前俺をどうするつもり!?ただでさえ気だるい重さだっつーのにこれ以上重くなったら歩けないだろうが!」
「大丈夫!そしたら無事な方の足の代わりにキャタピラ着けて走破性能を高めれば良いから!」
「何一つ良くねぇ!!!」
これ以上無事な四肢を気軽に持ってかないで?
俺の左腕と右足を見る。謎金属で出来た機械の義肢が銀色に輝いていた。銀の装甲の下には、着けている俺にも良く分からないワイヤーや歯車が詰め込まれている。
「詭弁さん。今日の予定の事ですが……」
「んぃ、命蓮寺のおっぱ……じゃなくて、住職に話を聞きに行くんだろ?」
「……ええ、まあそうなんですけど。ちょっと外せない用事が出来てしまったので詭弁さん一人で行ってもらえますか?」
「おう、分かった。おっ……住職のセッ、ぽうを聞いてくれば良いんだな」
「ちょいちょい欲望滲み出てるじゃん」
「ものすごく不安ですが……」
そういうことになった。
おっぱい住職の居る命蓮寺は里から近いとは言え妖怪が跋扈する場所だ。気を引き締めて行こう。
そうして義肢をガチャガチャ鳴らしながら外を歩いていると、向こうから紅白のおめでたい服装をした少女が歩いてくるのが見えた。
「あら、おはよう」
「おはようございます霊夢さん。その節はどうも」
「別に気にしなくていいわよ、仕事だし」
彼女は博麗霊夢。俺の母さんが博麗の巫女の職を退き、その全てを託された今代の博麗の巫女にして命の恩人である。詳しく話すと長くなるが、まあよくある話だ。俺が妖怪に喰われかけた時に助けてもらったというだけの話。
「……貴方、その腕と足……随分重そうね」
「ええ、まあ……見た目以上に重いですが、これがまあこう見えて意外と細かく動かせるので重宝してます」
そう言って霊夢さんに左の義手を見せ、手を握ってみせる。
「ふーん。まあ大事無さそうで良かったわ」
「お陰さまで」
霊夢さんも何か用が有るらしく、そのまま別れた。霊夢さんは恩人だが……もう少し肉付きが良かったらなぁと思―――
「ふん!」
「ごぶっ!!?」
突如後頭部に走る衝撃によって、言葉通り視界が明滅した。目ん玉飛び出てない?大丈夫?
「邪念を感じたわ」
「ジャネンナンテソンナトンデモナイ」
飛んでくる紅白の球から身を屈めて避けながら命蓮寺方面へ駆ける。巫女は勘が鋭いというのは本当だったようだ。おー怖い怖い……。
重い義肢を引きずるように動かしながらようやく命蓮寺に到着。身体はあんまり鍛えてないんだ、走るなんて無茶しなきゃ良かった……。
「ぎゃーてーぎゃーてー……ん?おはよーございます!」
「おぅ、おはよう――
「そして悲鳴を上げろ人間!!」
「ええー」
犬耳のような房が頭の横に生えた女の子が突如飛び掛かってくる。咄嗟の出来事に思わず硬直してしまい、そのまま飛んできた女の子の頭が音を立てて俺の左肩に激突した。
「痛っ!ちょっと!避けるなりなんなりしてよ!!」
「理不尽が俺を襲う……」
左腕が機械の義手である為に、腕と身体を接続するための機械が俺の肩回りに直付けされている。そんな頑丈な部位に頭をぶつけた女の子が慧音先生並の石頭でもない限り、痛い思いをするのは当然だろう。むしろあの勢いでぶつかってきたら頭に傷が残ることだってあり得る。怪我が無いか確認するため、右手で軽く女の子のおでこに触れて顔を近づける。
「はぅっ」
「血は……出てなさそうだな。頭は大事な場所だからな、眩暈や吐き気なんか無いか?」
「だぃじょぶでしゅ」
「そうか?顔が赤いが……少しでも違和感があるんなら無理せず安静にしてるんだぞ?」
「みゅい」
微笑みかけて女の子の頭を撫でると、破裂音のような謎の音が聞こえた後に女の子は寺の壁にもたれ掛かった。やっぱり少し無理していたのかもしれない。
「うわ……響子を口説くロリコンが居る……」
もの凄い失礼な独り言の発信源に目を向けると、黒のショートヘアーをした水兵服の少女が立っていた。ショートパンツ……アリ寄りのアリやね。
「ロリコンとは聞き捨てならん。俺の好みは貴方のようなすらりとした脚を御持ちの方だ」
「えっ、あっ、その……ありがとうございます……」
もしくは大きいおっぱいを御持ちの方か立派なケツを御持ちの方、或いはその全てを兼ね揃えた方だ。まあ言わないけど。
「んで、俺は詭弁答弁。命蓮寺のおっ住職に会いに来たんだが、取り次いでもらえるか?」
「聖に会いに、ですか(お住職?)あっ、もしかして聖が言ってた人……少々お待ちくださいね」
水兵服の少女が心当たりのあると言った表情で寺の奥へ向かっていった。ふむ……揺れるケツ……ヨシッ!
「……むー」
何故か俺に頭突きしてきた女の子から強い視線を感じる。ま、まあ無問題……。
そして少し待ち、噂に名高いおっぱいの持ち主である住職『聖白蓮』が現れた。おお……これが……まさになんと言うか、南無三って感じ。
「……あの、村紗?何故この方は突然拝み始めたのですか?」
「さあ……」
「ぬー……やっぱ胸なのかしら……」
それから命蓮寺の奥の部屋へと案内され、幻想郷縁起に書き記す為の情報を聖白蓮から聞き出していく。
そうして、太陽が頂点を越えて更に暫く。
「つまり
「そうでしょうか……そうかもしれない……」
「人も妖怪も神も仏も全て平等なら、
「し……しかし、私のような者と心を共にする男性なんて今まで―――」
「俺じゃ駄目か!?」
「ッ!?」
両手で白蓮の手を掴む。
「俺の左腕と右足は血の通わぬ異形だ、魂亡き絡繰だ。それでも俺は貴方の言葉で『
「き、詭弁さん……」
「―――……悪い。今の言葉は、正確じゃなかった。恩返しだから仕方なく、なんて意味じゃぁ無いんだ。ただ、俺が、貴方と共に生きたいという願い、それに余計な理由を付けちまった」
白蓮に顔を近づける。その金色の瞳に俺の瞳が反射して見えるくらいに、近く。
ズバァン!!!
「ええ。妙な胸騒ぎがすると思ったら……何やってんだドグサレ」
「あっ……阿求……」
その後の展開は……まあ、語る必要もないだろう。戦いの才能が無い俺はいつも通りの結末を迎えたというだけの話さ……。
続かない。
本編では元気に死んでる詭弁ほっといて何書いてるんだろう。
それもこれも全部エイプリルフールって奴の仕業なんだ!
絶対に許さねえ!ドン・サウザンド!
嘘です、ほんとはモンハンのせいです。らいずたのしい。
・戦う才能の無い詭弁
本編詭弁とは違い、霊力・魔力・気力等々を扱う才能が無い。筋力も無い。でも度胸はある。性欲もある。
生まれつき戦闘力が無い為、霊夢の事は母を通じてお互い知っているがそれだけ。霊夢と共に修業とか無いから。
色々あって右足を犠牲に阿求を助ける。それから稗田家に食客として雇われているが、事実上入り婿として対外的には扱われている。それからまた色々あって左腕を斬られ、にとりに義手と義足を作ってもらった。
実は初期の構想では本編詭弁も義手を付ける予定だったがセクハラし辛くなってしまうため断念。オートメイル……カッコいいのに。