あなたは比企谷八幡に憑依した。



※この作品は無断転載した側ではなく、された側です。
ご了承下さい。

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※この『あなた』は架空の人物であり、作者読者を含めて現実に存在する一切の人物とは関係がありません

満足行く出来では無かったので、惜しまれつつも一度封印した作品のリメイク版です。


あなたは総武高校の学生である

「キモオタ今日も学校来てる」

 

「死ねば良いのにね。比企谷マジキモーい」

 

 今日も総武高校では、比企谷八幡に冷たい視線と冷たい言葉が投げかけられる。

 これでも最近は大分無くなってきた方だ。

 というか、そもそも比企谷八幡に構いたくないという生徒達が主流になったというのが正解だ。

 更に言えば、教師達もそうであるというのが大正解だ。

 

 

 ここは『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の世界である。

 この世界の主人公であった比企谷八幡に憑依した一人のあなたの物語であった。

 

 原作の主人公である比企谷八幡はイケメンでも、超能力があるわけでも、頭脳が明晰でも、身体能力がズバ抜けているわけでも無い。

 普通に卑屈なボッチである。

 

 そして、その比企谷八幡に憑依したのは、ボッチで卑屈な比企谷八幡に共感したあなた。

 あなたもまた、ごく自然にボッチで卑屈である。

 

 あなたは、比企谷八幡に憑依したことを自覚するや否や、学校の人気者である葉山隼人達の集団が、如何に『偽物』であるかを長々とアニメやゲームのキャラクターやそれらの名言(笑)を例えに駆使して話し続けた。

 あなたはその主張でみんなが目覚めて自分の語る『本物』を理解すると、そう考えていた。

 

 それまでの比企谷八幡は目立たない陰気なボッチという扱いであった。

 しかし、人気者やその周囲を長々と空気や立場も読まずに批判するアニオタとなったあなたは、目立たない陰気なボッチから、なんと嫌われ者のアニオタにジョブチェンジした。

 

 物事は事実の正否だけで無く、誰が言うか、どのように言うかと言うことがとても重要である。

 物事の正否だけで結論がすむのなら、素人がググって法律を調べて自己弁護すれば良いし、そもそも裁判など起きない。

 

 それまで比企谷八幡は発言力の無い癖に五月蠅く口を挟むアニオタなどでは無かったが、そうなってしまった為に周囲から完全に嫌われた。

 

 

 しかしあなたはそれでも周囲にアニメキャラのセリフなどを例えにしたり、漫画の悪役がどうなったとかそんな例えをしながら延々と周囲に説教した。

 

 

 

 

 そして遂に、周囲は比企谷八幡に何も言わなくなった。

 比企谷八幡などという騒音発生器は、いない者として無視するのが正しいと周囲の者は認識したのだ。

 

 

 もし、比企谷八幡に憑依したのが高学歴の弁護士や、ベンチャー企業の社長などであれば、原作以上に比企谷八幡は幸せになれただろう。

 それこそ原作知識など無くてもきっとそうなったはずだ。

 何故なら彼らは原作の比企谷八幡より遙かに優秀な中身であるからだ。

 ハードが同じでソフトがより良ければ、必然的にマシになるだろう。

 そもそもそんな優秀な人達は、比企谷八幡になるより、八幡よりも優秀な自分自身でいたいと思うだろうが。

 

 しかし、原作の比企谷八幡に共感を覚えるような卑屈なボッチや理想を託す敗北者。

 つまり原作の比企谷八幡とそう変わらないかそれ以下の存在が比企谷八幡とすり替わっても、原作以上に上手くいく保証などない。

 

 原作キャラクターの能力を遙かに超える中身が憑依しなければ、そのままのスペックであれば原作以上に上手くいくことなんて無い。

 

 今回比企谷八幡に憑依したあなたは、人生何をやっても駄目な奴だった。

 顔も悪い。運動も出来ない。モテない。

 そんなあなたが逃避した先は漫画・アニメ・ゲーム・ラノベ・ネットだった。

 勉強だって、それら娯楽の誘惑にいつも負けて、そもそも誘惑と勝負すらせずに白旗を揚げて成績は良くも無かった。

 勉強していても直ぐにスマホに夢中になれるのに、スマホを触ると勉強に移る気持ちには何時になっても切り替わらない。

 結局何も出来ない人間のまま、そんなあなたでも就職出来る底辺職に就職するも、そういった低レベルな場所に集まってきた不良連中にいじめられて引きこもりになり、自殺した。

 

 コミュニケーション・頭脳・スポーツ。

 その全てに劣った駄目人間が比企谷八幡に取り憑いたのだ。

 ハードウェアはそのままで、ソフトウェアは劣化。

 原作の比企谷八幡以上の結果が手に入ると、どうして言えるのか?

 

 

 原作では彼を見放さなかったあらゆる人物に見放された比企谷八幡は、次の憑依先を求めて飛び降りた。




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