星々の王と妃   作:旭姫

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二章 第二話 入学式の朝

ここは国立魔法大学付属第一高校

 

全国に九つある魔法科高校のうちのひとつである。

 

ここに女2人男1人の三人組が言い争っていた。

 

深雪「納得いきません。なぜお兄様ではなく私が主席なのですか?筆記の成績はお兄様がトップじゃないですか。」

 

リーナ「深雪、私はいいのかしら?」

 

深雪「あら、いたのかしら、リーナ。私はお兄様と話してるの、邪魔しないで。って、話ちゃんと聞いてますか、お兄様?」

 

達也「あ、ああ。でも、ここは魔法科高校だ。筆記よりも実技の方が優先されるのは当たり前だろ?それに、筆記がないとリーナに勝てないのは目に見えてるしな。」

 

リーナ「何、それ?魔法力でしか勝てない私に皮肉でも?」

 

達也「……。とにかく深雪、俺はお前の祝辞を楽しみにしてるんだ。だから、行ってこい。」

 

深雪「…話をそらしましたね。まぁ、いいです。しっかり見ててくださいね。」

 

達也「ああ。楽しみにしてるよ。」

 

深雪が去る

 

達也「さて、リーナ。このあとどうする?」

 

リーナ「入学式まで暇よね。……そうだ。膝枕して~。」

 

達也「しょうがないな。」

 

リーナが達也の膝に頭を乗せて寝っ転がる。

 

達也はその寝顔を見ながら魔法研究の論文を読む。

 

今読んでいるのは目標とは少し離れているが、【カーディナル・ジョージ】こと吉祥寺真紅郎が発表した基本コード(カーディナル・コード)の文献である。

 

基本コードとは魔法の基本情報のことで、加速・加重・移動・振動・収束・発散・吸収・放出の4種8系統の基本情報にそれぞれ《プラスコード》と《マイナスコード》があると仮定されている。

 

基本コードは一作用点に直接作用させるため、情報強化では防ぐことができない。

 

現在見つかっているのはその吉祥寺真紅郎が見つけた加重系統プラスコードのみ。

 

そして、その加重系統プラスコードの魔法が『不可視の弾丸(インビジブル・ブリッド)』である。

 

ちなみに、達也は一時期、基本コードの研究をしていたが途中で断念し、本来の目的である常駐型重力制御魔法式熱核融合炉の研究を始めていた。

 

達也(リーナの寝顔可愛いな。)

 

「そろそろ、開会の時間ですよ?」

 

達也「ああ、すいません。…こら、リーナ起きろ。(CADを常備してるのか…ということは生徒会か風紀委員の人間…。)」

 

「スクリーン型ですか?」

 

達也「ええ。仮想型は読書に不向きですから。」

 

「そうですね。っと、私がまだ名乗って無かったわね。」

 

そして、その女の人は改まって名乗った。

 

「はじめまして。第一高校の生徒会長をしています。七草真由美です。ななくさって書いてさえぐさよ。よろしくね。」

 

達也(数字付き(ナンバーズ)、それも十師族の七草か……。たしか、当主の七草弘一は母さんの元婚約者だったな。)

 

〈数字付き〉

魔法を使い、何か成果を残した魔法師の家系に数字をつける制度。

十師族>師補十八家>百家本流>百家支流という順に偉い。

師補十八家と十師族は第一から十まである魔法研究所から生まれた家で、元となった研究所の番号(一から十までの数字)を当てられた家のことを言う。また、十師族は四年に一度の選定会議で二十八家(十師族と師補十八家の総称)の中から決まる。

達也の母で、深雪の叔母である真夜が当主の四葉家は非公式ではあるが、序列一位の座についている。

七草は二位であり、弘一本人も真夜との婚約を破棄されたことから四葉に対する対抗心が強い一面もある。

リーナの大叔父でもある九島烈はその十師族をまとめる最高評議会議長である。

そして、十師族は政治・経済に多くの影響を与えることができる。例をあげれば、十文字家は警察、一条家、三矢家、七草家、九島家は軍、五輪家も娘が戦略級魔法師であることから軍、四葉は政府の闇を取り扱うために国に影響力がある。

 

達也「俺は……いえ、自分は風間達也です。で、こっちの俺の膝の上でぐっすりなこいつが、工藤利奈で、俺の恋人です。」

 

真由美「えっ!?貴方達が?」

 

達也「はて?俺は何かすごいことでもしましたか?」

 

真由美「すごいなんてものじゃないわよ。風間くんは筆記試験を平均98点で、魔法理論や魔法工学では平均70点くらいのところを小論文含めて文句無しの満点で学年一位。魔法実技も、唯一の2秒台で三位。そして、隣の工藤さんも、筆記試験はトップ10入りで、実技は第二位。首席の司波さんもあわせてスリートップよ。」

 

達也「は、はぁ。」

 

真由美「貴方、不思議ね。今度話を――」

 

「会長ー。そろそろ、始まりますよ~。」

 

真由美「わ、わかったわ。では風間くん、また今度ね。」

 

真由美は呼びに来た女の子と共に講堂に入っていった。

 

リーナ「んー。達也、どうしたの?」

 

達也「何でもない……が、お前は寝過ぎだ!!」

 

リーナ「しょうがないじゃない、眠いんだから。」

 

達也「はぁ、まあいい。とにかくそろそろいくぞ。」

 

リーナ「あと…五分。」

 

達也「却下だ、起きろ。……ほう、なら新魔法の実験台になるか?」

 

リーナ「それは嫌です。」

 

達也「じゃあ起きろ。」

 

リーナ「はぁ、しょうがないわね。行きましょ」

 




思った以上に書いたので、続きは次回に回します。

さて、次回はどこまでだろう。

達也を風紀委員に入れるかどうか。

  • 入れる
  • 入れない

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