星々の王と妃   作:旭姫

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三章 第十二話 バトルボードの事故

それは女子本戦アイス・ピラーズ・ブレイクの決勝と同時刻にやっていた本戦女子バトルボードの試合中に起こったことだった。

 

その試合は一高、二高、三高、七高の選手が出場していた。

 

特に、この試合は昨年の決勝カードである、一高の渡辺選手に七高の選手、そして、三高の水尾選手という好カードが揃っている。

 

そんな試合にはアイス・ピラーズ・ブレイクの決勝と同じように観客席は満員だった。

 

そして、試合が始まると、一高渡辺選手が先行し、その後ろに七高選手が随行していた。

 

そして、2つ目のコーナーを曲がった辺りで七高選手に異変が起きた。

 

コーナーでは減速魔法をかけるのだが、何故かCADが動かず、そのまま加速して行った。

 

そして、一高渡辺選手もそれを助けるために移動を停止して受け止める体勢になった。

 

しかし、水面が妙な動きをしてバランスを崩し、2人ともがフェンスにぶつかり、その場で倒れた。

 

この影響で、試合は一時中断となった。

 

―――――――――――

 

試合の状況を見るために試合映像をもって達也の部屋にアイス・ピラーズ・ブレイク組であった、達也とリーナ、千代田花音と五十里啓、そして将輝達三高組(栞と沓子も含め)は、達也の部屋でこの試合映像を見ていた。

 

達也「これは…。」

 

啓「難しいね…。」

 

花音「啓、どういうこと?」

 

啓「何者かの妨害があったと考えられるけど、会場の警備は厳しくて、人からの妨害はほとんどあり得ないんだよ。」

 

真紅郎「なら、人外の可能性を考えると…。」

 

達也「なぁ、沓子。遅延術式を施した精霊魔法って出来るか?」

 

将輝「まさか、精霊魔法の可能性を考えているのか?」

 

愛梨「でも、人じゃ出来ないならそうなるわよね。」

 

達也「ああ。で、沓子。どうだ、出来そうか?」

 

沓子「出来るのは出来るが、渡辺選手の体勢を崩す威力にはならないはずじゃ。それこそ、七高選手のオーバースピードが無ければ、効果は無い筈じゃ。」

 

真紅郎「七高選手のオーバースピードが無ければ……ね。」

 

達也、真紅郎、啓の技術者3人はこの事故の真相に気づいたのか、顔を歪める

 

達也「これを見てくれ。」

 

達也はちょうど接触事故が起こる少し前の映像を出した。

 

達也「本来なら、ここで減速しなければならないんだが……。」

 

リーナ「加速している。」

 

花音「大会に選ばれるほどの選手がそんなミスをするとは思えない!!」

 

将輝「CADに対する細工か?」

 

愛梨「でも、一体誰が?どのタイミングに?」

 

真紅郎「七高のエンジニアでは無いだろうし……」

 

啓「大会…委員…。」

 

啓の呟きで、全員が驚愕する。

 

達也「大会委員だとしても手口が分からない。……だから、将輝達も先輩方も気を付けてください。」

 

啓「分かった。」

 

花音「これを七草会長に伝えた後に、黙秘を要求してくるわ。」

 

達也「ありがとうございます。」

 

啓と花音が部屋からでていく。

 

将輝「で、これも奴らの仕業だと考えてるのか?」

 

達也「おそらくはそうだろうな。」

 

真紅郎「水尾会長もお気の毒に。しっかりと戦って勝ちたがってたのに…。」

 

達也「将輝はこの会場に来てる筈の九島閣下にこの事を伝えてくれないか?」

 

将輝「なら、お前もついてこい。」

 

愛梨「ちょっと、待って。その、3人のいう奴らって誰よ?」

 

達也「第一高校がここに来るとちゅうにあった事故があるだろ?それの元凶だ。」

 

栞「あれは事故じゃなかったの?」

 

沓子「混乱を避けるために事故と偽ったのじゃろう?」

 

リーナ「そうよ。」

 

そして、その後、達也達は4人で九島烈の元に行き、警戒を促して、その日を終えた。

 

ちなみに、達也達が事故の真相を調べていた時に行われたバトルボードの決勝は三高の水尾選手が優勝した。

 

渡辺選手が棄権したので本戦ミラージ・バットには深雪が繰り上がりした。





というわけで、次回から、新人戦に入ります。


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