四日目
この日から新人戦が始まる。
一日目は新人戦スピード・シューティングとバトルボードの試合がある。
達也「調子はどうだ?雫」
雫「問題ない、むしろしっくり来すぎて怖いぐらい。」
達也「そうか。」
雫「ねぇ、本当に私の専属にならない?」
達也「何度も言っているが、その話はお断りだ。」
雫「なんで?金額が足りなかった?」
達也「そういう問題じゃない。俺は誰かの専属なんてするつもりが無いってことだ。」
雫「気が変わったらいつでも待ってる」
達也「とにかく行ってこい。」
新人戦スピード・シューティング
予選Aブロックの第一試合は雫からだった。
七草真由美side
真由美「工藤さんのやつはよくわかんなかったけど、こっちでは、見極めて見せるわ。」
摩利「まだ言ってたのか。」
真由美「当たり前よ。あんな訳の分からない魔法を見せられて興味がでない訳無いじゃない。…ねぇ、リンちゃん、達也くんから何か聞いてる?」
鈴音「聞いていますが、あまり口外するなと言われているので黙秘します。」
真由美「ええー、いいじゃない。リンちゃんと達也くんのケチ。」
摩利「真由美に話したら変な風に広まっちゃうからな。その点、達也くんはよく理解しているよ。」
真由美「ちょっと、摩利。どういう意味よ。」
鈴音「貴女に話すとすぐに拡散されると言うことですよ。」
真由美「何よ、そんなことしたことないし。」
摩利「いやいや、あるからな?」
真由美「私がなにをしたっていうの?」
鈴音「まず、渡辺委員長の彼氏の名前を大勢の前で堂々と発表したり、十師族の権力を使って生徒の付き合ってるカップル達を紙に纏めて公開したり…後は…。」
真由美「もういいです。」
摩利「始まるぞ。」
そんなこんなで雫の第一試合が始まった。
雫はすべてのクレーを振動系魔法で砕いていく。
この時、達也がCADに細工が無いか調べていたりするが、
見事にパーフェクトをとった。
雫が使用した魔法の仕組みは有効エリア内に一辺十mの立方体を設定し、各頂点と中心の九つのポイントを震源として、起動式にその番号を入力すれば震源ポイントを中心に半径六mの球場破砕空間が形成されるという魔法であり、精度を落として発動速度を速めている。
そして、この魔法の最大の特徴は震源ポイントを変数化することで、番号を選択して引き金を引くだけで魔法を放つことが出来るという点。
よって、〈マルチ・キャスト〉も自由自在である。
達也が深雪達に合流してからした説明を鈴音が真由美と摩利にも話していた。
鈴音「この魔法の名前は『
摩利「真由美の魔法とは発想が逆なんだな。」
真由美「よくこんなもの思い付くわね。」
鈴音「まぁ、まだ序の口ですがね。」
摩利「なんだ、まだあるのか?」
鈴音「ええ。風間君は新人戦で革命を起こすのかってくらい凄い事をしでかしますよ。」
真由美「す、すごいわね。」
――――――――
達也「お疲れ様。」
雫「なんだか、拍子抜け」
達也「意識の隙間を縫うようなクレーの出し方を予想したんだが、」
雫「新人戦はそんな難しくないよ。」
達也「そうみたいだな。」
雫「ねぇ、Bブロックの試合を見に行っていい?」
達也「もしかして、栞の試合か?」
雫「たぶんそう。…それよりも、達也さんは三高の人達と仲がいいんだね。」
達也「確かに、俺達は三高に行こうという考えもあったのだが、やっぱり妹に誘われたからな。それで、一高を選んだ。」
雫「へぇ~。」
そして、2人は栞の試合を見ていた。
達也「さすがは第一研か。」
雫「移動魔法?」
達也「栞は壊した破片を移動させて、他のクレーを壊す『
雫「私は負けない。」
そして、栞はこの試合、パーフェクトをとって予選を突破した。
「貴女が一高の北山さんですか?」
雫「そうですけど、貴女が十七夜さんですか?」
栞「そうです。試合は拝見しました。
雫「こっちこそ、負けない。」
達也「にしても、『数学的連鎖』は本当に厄介だな。」
愛梨「ふん、私の目に狂いはないわ」
達也「なるほど。なら、俺達も盛大にもてなしてやらなきゃな。…じゃあ愛梨、栞、また会おう。」
栞「北山さん。私は負けません。では」
愛梨「はぁ、達也がいる一高が羨ましいよ~。」
達也「ほら、栞が先行ったぞ。」
愛梨「え?嘘、栞待って~。」
愛梨と栞が達也達から離れていく。
達也「どうだ、雫。やる気出たか?」
雫「もちろん。達也さんの為にも優勝して見せる。」
達也「頑張れよ、雫。」
そして、一高は残りの2人も含めて、3人揃って決勝に上がった。
次回はバトルボードの予選と雫VS栞まで行けたら行きます。