星々の王と妃   作:旭姫

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三章 第十六話 飛行術式体験会

会議室

 

現在会議室は三高の幹部陣が使っている。

 

「―つまり、一高の快進撃は選手だけの問題じゃないってことか?」

 

将輝「そうだ。優勝した北山選手はともかく、他の2人はそれほど魔法力が高いとは言いがたい。」

 

真紅郎「将輝、達也があれは汎用型だって言ってたけど気付いた?」

 

将輝「ああ、あれは汎用型で照準補正がついていた。」

 

「汎用型に照準補正だと!?」

 

真紅郎「去年、ドイツのドュッセンドルフで照準補正付き汎用型の実験があったんだよ。」

 

将輝「改めて調べてみるまで俺も知らなかったが、あの実験はただただ汎用型に特化型の特徴を合わせようとして失敗した実験だったんだが…。」

 

愛梨「彼がそれを実現してしまったと…。(さすが達也ね。早く例のやつ体験したいわ。)」

 

真紅郎「その通り。そして、彼が担当する競技は、あと3つ。バトルボードにピラーズブレイク、ミラージバット、そして、選手として、ピラーズブレイクだね。」

 

「厄介だな。」

 

将輝「ああ。彼奴と当たる時はソフト面で二3世代分ハンデがあると思った方がいい。」

 

将輝のこの言葉で、会議が終了して会議室から幹部陣が皆退室していく。

 

真紅郎「さて、愛梨は明日の準備は出来てるの?」

 

愛梨「もちろん、準優勝は確実に取れるわ。」

 

将輝「問題は桜井さんか…。」

 

真紅郎「達也からは障壁魔法に特化しているとしか言われてないからな…。」

 

愛梨「障壁魔法でボールの侵入を防ぐとか?」

 

将輝「それはもはやチート過ぎてアウトだろ。」

 

真紅郎「そして、奴等が何処で介入するかも問題だよね。」

 

将輝「達也の話だと、敵はどうやら横浜中華街にいるらしいが詳しい所在は調査中だそうだ。」

 

真紅郎「達也からは現行犯で捕らえるとしか言われてないからなんとも言えないけど…。彼等の狙いが一高に集中している所を見ると達也の予想は的中しているらしいね。」

 

将輝「どうせこの後会うんだ。その時に打ち合せしよう。」

 

真紅郎「そうだね。……ごめん、愛梨。君には伝えてなかったかもね。」

 

愛梨「本当よ。私は何一つとして聞いてないんだからね。後でしっかり説明してもらうわよ。」

 

――――――――――――――――――

 

夜の訓練場には将輝、真紅郎、愛梨がとある人物達を待っていた。

 

そして数分後、お目当ての人がアタッシュケースを持って将輝達の方まで歩いてきていた。

 

達也「お待たせ。」

 

将輝「遅いぞ、達也。」

 

達也「すまないな、用意に手間取って。」

 

愛梨「ねぇ、達也。そのリーナはわかるけどその後ろの2人はどなた?」

 

達也の後ろには高身長の男性と小柄で愛梨と同じくらいの身長の女性がいた。

 

「初めまして、達也のご友人方。私は新発田勝成。達也の再従兄弟に当たる。」

 

「そして、私が勝成様の恋人にしてガーディアンの堤琴鳴です。」

 

勝成「いや、恋人なのは否定しないがもう、ガーディアンじゃないだろ。」

 

琴鳴「いいえ、私は貴方様のガーディアンです。これは譲りません。」

 

達也「勝成兄さんは防衛省の方で勤務していて、琴鳴さんはその秘書も勤めているんだ。」

 

勝成「よろしくね、3人とも。にしても、達也に友人か。なんか、昔のお前からは想像できないな。」

 

琴鳴「そうですね、大きくなって嬉しいです。」

 

達也「ちょっと、昔の話を掘り返さないでくれ。」

 

将輝「あの、勝成さん。」

 

勝成「ん?君は…一条将輝君だね。どうしたんだ?達也の昔話か?」

 

将輝「それも聞きたいですが、その前に、達也の再従兄弟と言うことは、もしかして。」

 

琴鳴「よくぞ、気付かれました、将輝殿。そう、勝成様は四葉家の次期当主候補にあらせられます。」

 

勝成「まぁ、私は本家の当主は深雪さんに譲って琴鳴と結婚して分家当主になるつもりではいるよ。」

 

将輝「そうだったんですか。それで、今日はなんで達也と?」

 

勝成「今日は達也に届け物だよ。」

 

愛梨「達也が今持っているやつですか?」

 

勝成「それもだけど、もう1つね。」

 

真紅郎「もう1つ?」

 

達也「それは秘密だ。」

 

愛梨「ねぇ、そんなことはいいからまずは体験しない?」

 

真紅郎「そうだった。」

 

達也「じゃあまずは、お前達三人な。その後に勝成兄さん達で。」

 

勝成「いや、私達は既に体験しているからいいよ。」

 

達也「母さんですか?」

 

勝成「御当主と深夜さんにやらせていただいたよ。」

 

達也「そうですか。その件は後でじっくり母さんにお話を伺うのでとにかくまずはやりましょうか。」

 

達也の指示のもと、将輝、真紅郎、愛梨は飛行魔法を楽しんだ。

 

そして、飛行魔法を終えると、達也は勝成と琴鳴を見送り3人を高官専用の部屋に迎えた。

 

達也「さて、お前達は俺に何か用があるんだろ?なんとなく予想はつく、どうせ無頭龍(ノー・ヘッド・ドラゴン)のことだろ。」

 

将輝「よくわかったな。」

 

達也「お前達の目付きでなんとなく自室で話すような無いようじゃなかったからな。それに、愛梨もお前達と同じような目をしていた時点で愛梨にも話していたのだろ?」

 

真紅郎「ごめんね。」

 

達也「別に構わないよ。もともとリーナにも話すつもりは無かったんだからな。」

 

将輝「そうか。それで、調査は何処まで言ってるんだ?」

 

達也「協力員の話では、彼等は九校戦の始まる一月ほど前に来ていたらしい。そして、横浜中華街の亡命外国人の為の宿舎の誰も知らない秘密の階にいるそうだ。後は、現行犯で発見すればすぐにでも突入は出来る。幹部メンバーは既に顔と情報を一致させている。」

 

真紅郎「スターズの情報力には恐れ入るね。」

 

将輝「俺が一条の当主になったら真っ先にスターズと同盟を組むからな。」

 

達也「それなら俺もお前が同盟結びに来たときに堂々とスターズの人間だと言えるようになるよ。」

 

真紅郎「スターズのNo.2がよく言うよ。」

 

達也「俺はNo.3だが?」

 

愛梨「リーナよりも権力持ってる貴方がなに言ってるのよ。それに、国際魔法協会も常任理事に昇格したんでしょ?」

 

達也「おい、何故それを知っている。」

 

将輝「俺が教えた。」

 

達也「おい。」

 

真紅郎「あはは、明日も早いからそろそろお暇するよ。」

 

達也「そうだな。じゃあまた明日。」

 

 





次回は次の日です。

内容は新人戦クラウドボール、バトルボード決勝リーグです。

では、また次回。

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