真紅郎と別れた達也はそのまま控え室に急いだ。
達也「申し訳ないな、雫、エイミイ。午前中はクラウド・ボールの方に行ってたから、準備が中途半端で。」
雫「ううん、大丈夫。」
達也「エイミイのは昨日用意して渡しただけだから見てないんだけど、どうだったか?」
エイミイ「バッチリだよ。お陰で一試合目は勝てたから。」
達也「そうか。雫はこれからだったな。少し調整する。」
雫「達也さんの調整は完璧。絶対に勝つ。」
達也「そういえば、その服似合ってるぞ。」
雫「ありがとう。」
達也「その裾邪魔じゃないか?」
雫「襷で結ぶから大丈夫だよ。」
達也「そ、そうか。……さて、終わったぞ。」
雫「ありがとう。ねぇ、達也さん。約束、忘れないでね。」
達也「あ、ああ。もちろん。お前の優勝祝いだもんな。……忘れないから行ってこい。」
雫が控え室から離れると、深雪が交代するように入ってきた。
深雪「お兄様。」
達也「深雪。俺とお前の出番は全く同じタイミングなのは知ってるな?」
深雪「もちろんです。」
達也「そこで、ちょっとした余興をしようかと思っているんだが、――どうだ?」
達也は深雪に考えた内容を伝えた。
深雪「それは、素晴らしい考えです。お兄様!!私は喜んで協力します。」
達也「それはよかった。……それより、俺は本当にこれを着なきゃいけないのか?」
深雪「私とリーナと叔母様で選んだんです。しっかり来てくださいよ?」
達也「わ、わかったよ。」
深雪「さて、私達もそろそろ服に着替えながら雫の試合を見ましょう。」
達也「こ、ここで着替えるのか?」
深雪「先に私が着替えるのでお兄様は一回出てください。……覗きは許しませんよ(別に私は見られてもいいのですが…。)」///
達也「わかってるよ。……着替え終わったら言ってくれ。」
それから三十分後に深雪が着替えを終えて、達也の着替えを手伝いながら雫の試合を待った。
達也「なんかこの服恥ずかしいんだが…。」
深雪「私はお揃いなのがとても嬉しいです。」
達也「そ、そうか。……じゃ、じゃあそろそろ試合が始まるな。」
雫の試合は得意の振動系統『共振破壊』を利用した戦術を見せて、第一試合で勝利した。
達也「雫も調子がいいな。」
深雪「共振破壊の応用ですか?」
達也「そうだ。雫の母親は当時振動系魔法で名を馳せたAランク魔法師、鳴瀬紅音。そんなすごい人の娘だから当然雫も振動系に特化してると思ってやってみたんだが……成功だったようだな。」
深雪「鳴瀬紅音……。私も聞いたことがあります。」
達也「さて、そろそろ俺達の番だな。」
深雪「はい、私達の仲の良さを世間に知らしめましょう!!」
達也「そうだな。」
――――――――――――――
達也の試合と深雪の試合は隣で行っており、ちょうど達也と深雪が背中合わせになるような状態で試合を行うことになる。
達也と深雪が揃って登場したとき会場は静まり返った。
選手の説明の時に2人が従兄妹であることは知られており、それだけだった。
しかし、2人の服装は巫女と神主の服装。
2人の出す雰囲気が普通の兄妹とは思えなかった。
達也「さて、Showtimeの始まりだな。」
2人がそれぞれの櫓にたつと、試合開始までのカウントダウンが始まった。
達也(これは、ただの演舞ではない。……四葉以外の十師族に対する挑発でもある。……深雪が気付いてるかは知らないが。まぁ、将輝は気付くだろうがな。)
試合の開始の合図がなると、達也と深雪が
達也と深雪が
すると、2つのフィールドで冷たいところと熱いところに別れた。
『
振動系の系統魔法。
対象エリアを二分し一方の振動、運動エネルギーを減速し、その余剰エネルギーをもう一方に逃がす魔法
隣接するエリアに灼熱と極寒を同時に発生させる。
時折魔法師ライセンス試験でA級受験者用の課題として出題され、多くの受験者に涙を呑ませている高難易度魔法でもある。
それぞれの相手は情報強化で防ごうと魔法を変えるが、熱気に耐えられずにどんどん崩れていった。
達也「終わりだ。」
深雪「終わりです。」
またもや同じタイミングで冷気を強めて、残りの氷柱を全て破壊した。
歓声は…鳴り止まなかった。
これが書いてみたくてやりました。
次回は氷柱倒しの続きです。
将輝VS達也、エイミイVS栞、深雪VS雫をやれるだけやるつもりです。
では、また次回。