星々の王と妃   作:旭姫

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三章 第二十九話 裏切り者の正体と手口

試合を終えた達也達は3人で集まっていた。

 

達也「お疲れ様、2人とも。」

 

リーナ「ふぅ、疲れたわ。」

 

達也「さて…!?(この気配は!?まさか)」

 

幹比古「ん?達也、どうしたんだい?」

 

達也「い、いや。なんでも。ちょっと、俺は早く戻るな。」

 

そのまま達也は試合の疲れを感じさせない程高速で動き出した。

 

着替えを高速で終えた達也はそのまま目的の人物の所まで急いだ。

 

そして、その反応のあった部屋の前までついて扉を開けた。

 

達也「失礼します……母さん!!」

 

真夜「た、達也!?なんでここに」

 

烈「家族で積もる話があるだろうから邪魔物は退散するよ。」

 

真夜「別にいてくださっても構わないのですよ、先生。」

 

そして、達也は烈と真夜の3人で仲良く話を募らせた。

 

話も終わった後、達也は一高テントに来ていた。

 

真由美「達也君、話があるのだけど。」

 

達也「教えられる範囲までなら教えられます。」

 

真由美「貴方は何時九島閣下と知り合ったの?」

 

達也「どういう意味でしょうか?」

 

真由美「貴方が九島閣下と話しているところを見たと言う子がいてね。気になったのよ」

 

達也「さぁ、なんででしょう?…そんなしょうもない事を聞くためにわざわざ呼び出したんですか?…飛んだ拍子抜けですね。十師族だからって何でも聞いて答えが返ってくると思わないでくださいよ。…では、失礼します。」

 

達也はその場の空気を悪くして立ち去った。

 

真由美「何者なのよ…達也君は…。」

 

真由美の呟きは聞こえてないふりをして。

 

この日で新人戦も終わり、翌日から本戦に戻った。

 

翌日、達也は深雪といた。

 

達也「今日は最高のミラージ・バット日和だが、なんか嫌な予感がするな。」

 

深雪「まだなにか起こるのでしょうか?」

 

達也「わからないな」

 

その後、ちょうど試合に出る小早川のCADの検査を終えた平川小春に遭遇した。

 

達也「あ、平川先輩、唐突で悪いのですがCADを見せていただけませんか?」

 

小春「え?いいけど」

 

達也(なるほど、そういうことか)

 

達也はそのCADの異常な部分だけを破壊して、小春に返した。

 

達也「ありがとうございます。」

 

小春がなにも聞いてこなかったのはいい意味でよかったかもしれない。

 

その後、小早川は緊張で3位になってしまった。

 

小早川の試合も終わり、達也は深雪のCADを検査に出しに行った。

 

自分の番になり、検査装置にCADをおいて、検査を始めると、何か(・・)がCADに侵入した。

 

達也はそれを感知すると同時にその検査員を叩き出して床に倒して、膝で押さえた。

 

「なめられたものだな、検査装置で何を仕組んだ。只のウイルスではないだろう?」

 

取り押さえられた大会委員の男は達也の殺気に動けなくなっている。

 

それは回りも同じで、騒ぎを聞き付けた警官でさえも、達也の殺気に動けずにいる。

 

九校戦に参加している魔法科高校生は完全に尻餅をついてしまっている。

 

「…なるほど、そういうことか。この方法ならばれずにCADに細工を施せるな?…大会で使用するCADは検査装置のアクセスを拒めないからな。」

 

その言葉に達也を捕らえようとした警備員の男に対する目が被害者を見る目から加害者を見る目に変わる。

 

「今までの事故、全てがお前の仕業だとは思わん。…後ろにいるのは誰だ?お前に指示を出したやつは!!」

 

男はただただ首を横に降るだけだった。

 

「言いたくないか?…なら、楽に逝かせてやろう。」

 

達也の手刀が首筋を狙う。

 

それに伴う殺気に周りはこのままこの男の息の根を止めるだろうと思った。

 

しかし、手刀はとある男の乱入で振り落とされなかった。

 

「何事かね?」

 

とある男―九島烈によって

 

「九島閣下」

 

「誰かと思えば達也君ではないか。昨日の試合は見事だったよ。まぁ、君なら当然だろうけどね。」

 

「ありがとうございます、先生。俺がここまで出来たのは先生のお陰ですよ。」

 

周りは達也と烈が実は知り合いと言う点に驚いていた。

 

「お世辞も上手くなったようだね。…さて、何があったのかね?」

 

「当高の選手の使用するCADに不正工作があったことが発覚しましたので捕らえたのち尋問を」

 

周りは嘘だと思ったが言わなかった。…否、言えなかった。

 

烈は黙って不正工作のあったCADを確認する。

 

「なるほど、確かに異物が紛れ込んでいる。…これは電子金蚕だな。私が現役だった頃に流行った物だ。…CADのシステムに侵入して狂わせるSB(スピリチュアル・ビーイング)魔法。…我々もこれの正体がわかるのに苦労させられたものだ。……達也、君はこれを知っていたのか?」

 

「いえ、電子金蚕という名前は始めて聞きました。…が、自分が一から組み立てたシステムに何かが侵入したのは理解しました。」

 

「なるほどね。では、君はこの術式をどこで手に入れたんだい?」

 

烈の笑顔は歴戦の英雄が見せるような笑顔だった。

 

そして、烈の連れの警備員が男をつれて出ていった。

 

「大会委員に工作員が出るとは嘗て無いほどの不祥事。…言い訳はきかせてもらうぞ。」

 

大会委員長の顔が青ざめていく。

 

「さて、達也君。CADは予備を使うといい。…他にもまだ検査していない子はいないかね。私が確認しよう」

 

改めて達也はこの国の魔法師界を牽引する烈に対してまだまだ敵わないなと思った。

 

 





次回は本戦ミラージ・バットです。

ちなみに、書いていないだけで無頭龍はしっかりと悪巧みしています。


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