星々の王と妃   作:旭姫

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三章 第三十一話 空飛ぶ選手達と暗躍する達也

達也は試合終わりに大会委員に呼び出されていた。

 

理由は他校から飛行魔法が本物なのかという疑問や、飛行魔法は反則ではないのか?といった声が出た為に、検査するから、だそうだ。

 

そして、飛行デバイスが返ってきたのは試合が始まる2時間程前だった。

 

達也(競技用飛行デバイスのコピーでもしたのか?…まぁいい、他校の選手が飛行魔法を使った瞬間に深雪と愛梨の一騎討ちが確定するからな。)

 

すると、達也の端末に連絡が入る。

 

相手は響子で独立魔装大隊で使われている暗号を利用した暗号メールだった。

 

内容はジェネレーターを使用した大量殺戮を〈無頭龍〉が行ってきて、それを阻止したという内容だった。

 

達也(本当に救いようのない連中だな。…決めた。今日の夜決行しよう。)

 

達也は響子に今日〈無頭龍〉に襲撃をかけることを暗号つきメールで伝えた

 

 

本戦ミラージ・バット決勝

 

決勝は達也の予想通り、飛行術式のリークがあった。

 

達也(飛行術式は誰でも使える(・・・・・・)が、誰もが同じように使えるわけではない。…この試合、深雪の勝ちは決まったな。)

 

7人の選手が試合開始の合図で飛行魔法を起動して宙に浮いた。

 

試合が始まって約15分後、1人の選手が疲労と想子不足で術式の制御が崩れ、落下した。

 

しかし、それは飛行魔法に組み込んである安全装置によって事故を免れた。

 

達也(どうやら、術式自体は変えてないみたいだな。…これで飛行術式の安全性が保証された。)

 

その後、どんどんと脱落していき、残りが深雪と愛梨だけになった。

 

深雪(なんて鋭い演技なの!?)

 

愛梨(なんて華麗な演技なの!?)

 

((でも、私は負けない!!))

 

愛梨は自身の限界を感じ、飛行魔法の使用をやめて跳躍に切り替えた。

 

そして、試合が終わると、勝ったのは――深雪だった。

 

愛梨は疲れきって落下する。

 

それを深雪が止める。

 

深雪「貴方はこんなところで倒れていい人じゃないわ。」

 

愛梨「…ありがとう。司波さん」

 

深雪「深雪でいいわ。」

 

愛梨「分かったわ。私のことも愛梨でいいわよ。」

 

深雪「楽しかったわ、愛梨。またやりましょう?」

 

愛梨「ええ。」

 

 

―――――――――――――――

 

優勝が決定して、立食パーティーをしていた一高だが、達也がいなかった。

 

真由美「達也君は?」

 

深雪「お兄様は疲労で休んでおります。」

 

真由美「そう。」

 

しかし、達也は疲労で休んでいた訳じゃなかった。

 

達也「お待たせしました。藤林少尉(・・・・)

 

響子「大丈夫よ。じゃあ、行きましょうか。中佐殿(・・・)

 

そのまま達也と響子は車を走らせた。

 

ついたのは横浜だった。

 

達也達は横浜ベイヒルズタワーに向かった。

 

達也「鍵がかかっているようですね。」

 

響子「まかせて。」

 

響子が魔法を発動すると、鍵が開いた。

 

達也「さすがは【電子の魔女(エレクトロン・ソーサリス)】ですね。」

 

響子「おだてても何にもでないわよ?…有線の方は真田大尉が処理済みだから、好きなだけやっていいわ。」

 

達也「ありがとうございます。」

 

―――――――――――――――

 

横浜中華街にあるホテルには客には伝わっていない部屋がある。

 

そこでは、4人のジェネレーターに守られた5人の男達がいた。

 

「まずい、早く極秘手帳だけでも持ち出せ!!」

 

「くそ、日帝軍の特殊部隊がしゃしゃりでおって!!」

 

「それよりも、あの餓鬼の始末だ。」

 

「風間達也といったか?何者だ?」

 

「それが、目立った情報がなかったらしい。」

 

「意図的に削除されたのか?」

 

「何者だ?」

 

すると、一体のジェネレーターが霧状になって消える。

 

そして、2体程消されたあと、電話が掛かってきた。

 

『Hallo No Head Dragon 東日本支部の諸君。』

 

聞こえてきたのは若い男の声だった。

 

―――――――――――――――

 

達也はその状況を『精霊の眼』で確認していた。

 

達也「夜逃げ…ですか。」

 

響子「今回の賭で相当な赤字になったからよ」

 

達也はその空間を守護するフィールドを壊してから手始めにジェネレーターを一体消した(・・・)

 

響子「『トライデント』身の毛がよだつとはこの事を言うのね。」

 

達也はそのまま通話を始めた。

 

「Hallo No Head Dragon東日本支部の諸君。」

 

『何者だ?』

 

「富士では世話になったな。ついてはその返礼にきた。」

 

そのままさらにもう一体ジェネレーターを消す

 

『14号、どこからだ!!』

 

そして、そのジェネレーターが指したのは横浜ベイヒルズタワーだった。

 

『何!?14号、16号、やれ!!』

 

『無理デス、届キマセン。』

 

『いいからやれ!!』

 

「やらせれると思うか?」

 

そのまま残り2体のジェネレーターを消す。

 

「人に言う前に自分でやったらどうだ?…まぁ、やらせる気は無いが。」

 

そして、男がライフルのスコープで達也を視認すると、達也が微笑んだ。

 

次の瞬間、レンズは分解されて片目を破壊された。

 

また、1人の男が組織に連絡をいれようとするが、

 

「無駄だ。この中で会話が出きるのは俺だけだ。」

 

『どうやって…!?』

 

「電波を収束した。どうやってかは貴様らが知る必要はない。……さて、本番だ。」

 

達也が思考一体型CADを起動すると、男達のいる場所が『夜』に包まれる。

 

『ま、待ってくれ。』

 

「何だ?」

 

『もう、九校戦には手出ししない』

 

「九校戦は明日で終わりだ。」

 

『…我々〈無頭龍〉は日本から引き上げる!!』

 

「お前にそんな権限があるのか?ダグラス=黄。」

 

達也の相手をしていた男は自分の名前が知られていることに驚きつつも、会話を続けた。

 

『リーダーも私の言葉を無視できない。』

 

「なら、当然、首領の名前、知ってるよな?」

 

『私は拝謁を許されている。』

 

「さて、首領の名は?」

 

彼は、ダグラスはその質問に答えることができなかった。組織の首領の情報は完全秘密。組織に対する忠誠心を恐怖心と共に刻み付けられたことで抵抗をしたのだった。

 

達也が『流星群(ミーティア・ライン)』を放つと、1人の体をその光線が貫くと、次の瞬間にはその男が消えていた。

 

『ジェームズ!?』

 

「今のがジェームズ=朱か。手配中の国際警察には悪いことをしたな。」

 

仲間が消されたことで組織に対する恐怖心が始めて、今、この状況での恐怖心に負けた。

 

『……リチャード=孫だ。』

 

「表の名は?」

 

『…孫公明』

 

それから、行きつけのバーや住まい等を聞いた。

 

『さて、答えたぞ。』

 

「そうだな。」

 

そして、さらに一筋の光がダグラスを残して全ての幹部を消した。

 

『グリゴリー!?…なぜだ、我々は誰も殺さなかったではないか!!』

 

「それは結果論でしかない。…お前達は俺の逆鱗に触れた。それがお前達の死ぬ理由だ。」

 

『この悪魔め。』

 

「金のために未来ある高校生を犠牲にしようとしたお前らの方が悪魔だろうが。」

 

『この力…そういえば、そうか、貴様は【星王】!?』

 

「悪魔は祓わないとな」

 

達也は『流星群』を使ってダグラスを消した。

 

これで、〈無頭龍東日本支部〉は消滅した。




次回で九校戦を終わらせたいです。

では、また次回。

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