星々の王と妃   作:旭姫

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三章 第三十二話 終わった九校戦

翌日、九校戦試合最終日に達也は十文字克人の出場する一高のモノリス・コードの観戦

 

では、無く。風間のもとに来ていた。

 

風間「昨夜は大変だったな。」

 

達也「そうですが、俺の我が儘を聞いてくれた風間さん達には何とお礼すれば。」

 

柳「心配すんなって、俺も襲われたし。」

 

真田「それに、実践データも取れたからね。…まぁ、OTH(Over The Horizon)射撃を得意とする達也君には物足りなかったんだろうけどね。」

 

達也「それにしても、東日本支部は潰しましたが、何時西日本支部が破壊されたのでしょうか?」

 

風間「私は何も聞いてはいないぞ。」

 

達也「なるほど、母さんですか。」

 

風間「まぁ、西日本支部がいつの間にか破壊されていたのは事実だが、達也が手に入れた情報は有効だったぞ。…壬生も大喜びだった。」

 

達也「内情も大変ですね。…首領はどうするんですか?」

 

風間「その件は佐伯少将とバランス大佐殿が日本とUSNAの軍魔法師部隊を混合編成して直接叩きに行くそうだ。」

 

響子「達也君は仕事もしっかりしたから呼ばれないかもね?」

 

達也「呼ばれなかったら呼ばれないでいいんですけどね。」

 

風間「そろそろモノリス・コードの決勝だ。…観戦するのか?」

 

達也「深雪に誘われまして…。」

 

風間「そうか。なら、もう行った方がいいんじゃないか?」

 

達也「そうですね。…失礼します。」

 

達也が部屋から出ていく。

 

真田「あの頃とは見間違える程に成長したね。」

 

柳「あのときは口の悪い糞餓鬼だった、達也が今では、礼儀正しいしっかりしたやつになって。」

 

響子「リーナちゃんや深雪ちゃんのお陰ね。」

 

風間達、独立魔装大隊の幹部達は息子みたいな奴(達也)の成長を見守る親のような感じで達也の成長を感じていた。

 

―――――――――――――――

 

風間達がそんなことを考えているとは思ってもいない達也は深雪のもとに行こうとしてとある人物に捕まった。

 

「「達也兄さん(兄様)!!」」

 

黒羽文弥、亜夜子と黒羽貢

 

達也の再従兄弟である文弥と亜夜子、そしてその文弥達の父親である貢を擁する黒羽家は四葉家の中でも達也の処分には反対派だった(反対だったのは黒羽家以外に、津久葉家だけである。他は達也の処分に賛成だった。)為、達也が日本に戻ってきた時も影から見守っていた。

 

ちなみに、貢達黒羽家が達也の処分に反対したのは達也が亜夜子の魔法適正を見極めて、それの使い方を教えたこと。つまり、亜夜子の黒羽家としてのアイデンティティを確立してくれたからである。

 

よって、貢は達也に感謝の念を、亜夜子と文弥は憧れの念をそれぞれ達也に送っている。

 

達也「亜夜子に文弥、それに貢さん。来ていたんですね。」

 

貢「まぁね。モノリス・コードの試合見たよ。優勝おめでとう。」

 

達也「ありがとうございます。」

 

亜夜子「達也兄様もこの試合観戦しますか?」

 

達也「ああ。」

 

文弥「じゃあ一緒に観戦しませんか?」

 

達也「あ、ああ。」

 

達也は2人の熱に勝てず、亜夜子達と試合を観戦することになった。

 

本戦モノリス・コードの決勝は一高VS三高となった。

 

つまり、三高にとっては新人戦のときの敵討ちになる戦いだ。

 

対する一高は準決勝までディフェンダーだった十文字克人がオフェンスに上がり、今までオフェンスであった桐原と服部がディフェンスに回った。

 

試合が始まると、十文字克人がまっすぐ歩き始め、三高選手を見付けると、自身の体の回りに『ファランクス』を纏って体当たりをする。

 

それを三人全員にたいして行って、試合が終了する。

 

試合が終わると、両腕を握って、拳を上にあげる。

 

そのとき、克人が達也の方を見て、「俺はお前よりも強い」とでも言うかのような絶対的な力を見せ付けた。

 

達也(十文字克人の『ファランクス』…何時見ても強力だが、これはいつもと使い方が違うのでは?)

 

文弥「達也兄さん、十文字克人の『ファランクス』ってあんなに攻撃的な魔法でしたっけ?」

 

達也「『ファランクス』にこんな使い方があるとは驚いたが、あれも一種の使い方なのだろうな。だが、本来『ファランクス』は四種八系統の魔法全てや物理的な攻撃全てを通さない無敵の壁を作り出す魔法だ。…これはまるで自身の強さを見せつけているかのような試合だな。」

 

貢「真夜さんが言うには達也くんが一条の御曹司に勝ってしまったからね。…十師族の力が疑われてしまうって言う理由で十文字君が十師族の力を見せつけるようにという師族会議からの通達があったからだ。…真夜さんや九島閣下、それに一条剛毅殿は笑いを堪えるのに必死だっただろうね。」

 

達也「それはまぁ、一般人だと思われている俺が実は四葉の、それも本筋の人間だったんですからね。…詳細を知っている方々はさぞ辛かったでしょう。」

 

文弥「ねぇ、父さん。来年一高受けていい?」

 

貢「それは真夜さんと要相談だな。まぁ、それはまだ先の話だからまだ考えなくてもいいだろう。」

 

 

達也が貢達と試合を見ていることに深雪達(相手の名前は知らないけどなんとなく気づいたのはエリカと幹比古とリーナの3人)は、達也に声をかけようか悩んでいたが、達也が珍しく楽しそうに会話していたのでそっとしていた。

 

が、亜夜子の達也に対する態度に深雪とリーナが怒りかけるという珍事件が起こった。

 

そんなこんなで九校戦も終わり、懇親会が始まった。

 

最初の大人も参加できる時間には達也のもとには研究者や、有名なCAD会社が、深雪やリーナのもとにはTVや雑誌の関係者が集まっていた。

 

そして、その大人達もいなくなり生徒だけになったタイミングで、達也はあえて壁際にいたが、深雪が下心丸出しだが、何もできていないヘタレ男達に囲まれているのを発見して、助けに行こうとすると、1人の男が深雪の前に躍り出てきたのを確認した。

 

達也(将輝……そういえばお前もヘタレだったな。)

 

達也は深雪達の近くによった。

 

達也「深雪、将輝。」

 

深雪「お兄様。」

 

将輝「達也か。」

 

達也「こんな所じゃ邪魔になるだろ?…踊ってきたらどうだ?」

 

将輝「はい、是非!!……俺と踊ってくれませんか?」

 

深雪「よろしくお願いします。」

 

そして、将輝と深雪を送ったところで達也はほのかに声をかけられた。

 

ほのかがあたふたしていると、給仕中のエリカがやってきて一言

 

エリカ「お客様、そこは普通、男性から声をかけるべきだと思いますよ?」

 

達也「エリカ、幹比古は?」

 

エリカ「ミキは皿洗いよ。」

 

達也「そうか。……ほのか」

 

ほのか「ひゃい!!」

 

達也「踊ろうか? 」

 

ほのか「よろしくお願いします。」

 

達也はほのかと踊ったあとに雫、エイミイ、深雪、真由美と踊って、さらに愛梨、栞、沓子を筆頭に他高生とも踊った。

 

そして、踊り終わって壁際に向かったところで声をかけられた。

 

克人「風間、少し付き合え。」

 

克人のその言葉に頷いて外に出ると、克人が話しかけた。

 

克人「風間、お前は十師族の一員だな?」

 

達也「いいえ、違います。」

 

本当は四葉の人間だったのだが、既に離反しているので質問に否定を返した。

 

克人「そうか。師族会議に連なるものとして助言しておく。風間、お前は十師族になるべきだ。」

 

達也「は?」

 

克人「…そうだな、七草はどうだ?」

 

達也「それは、結婚相手にってことですか?」

 

克人「そうだ。」

 

達也「(こいつ、天然なのか?)…貴殿方の価値観を押し付けないでいただけませんかね。それに、俺には婚約者がいますし、七草先輩は貴方や五輪洋文との縁談話があるのではなくて?」

 

克人「……まぁ、そうだが。それに、価値観も人それぞれだからな。……だが、十師族の直系、それも次期当主に勝ったのは、お前が思っている以上に大きいぞ。」

 

最後に達也を見定めるような目を向けて克人は会場に戻っていった。

 

完全に戻ったのを確認して達也はやっと口を開いた。

 

達也「余計なお世話だっつうの…。それよりも、早く出てこいよ、リーナ。」

 

リーナ「あら、気付いてたの?」

 

達也「最初っからな。…さっきの話聞いてだろ?…俺はやっぱり十師族が…いやあの人が苦手だわ。」

 

リーナ「私もそう思ったわ。…最後の曲ね。ねぇ、達也。私まだ貴方とは一回もしてないんだけど?」

 

達也「もちろん、君との相手は最後にしようと思ってね。…リーナ、いや工藤利奈さん。俺と一曲踊っていただけませんか?」

 

リーナ「喜んで。」

 

曲も中盤に差し掛かったところで達也は

 

達也「少し盛り上がりに欠けるな。誰も見てないからいいか。」

 

達也はあらかじめ仕込んでおいたネックレスに想子を流し込む。

 

すると、そのネックレスは完全思考型CADに変わる。

 

そして、そこから魔法が発動され、辺りが『夜』に包まれる。

 

流星群(ミーティア・ライン)』を使ったのだ。

 

達也はその光の筋で場を盛り上げようとしたが、後ろの方で少し悲鳴が聞こえる。

 

「おっと、危な!!」

 

「きゃっ!!」

 

リーナ「え?」

 

リーナが後ろを向くと、将輝と愛梨、真紅郎の3人がいた。

 

リーナ「何時からいたのよ!!」

 

将輝「達也とリーナが踊り始めたところかな?…にしても、達也お前!!」

 

愛梨「当たったらどうするのよ!!」

 

達也「覗き見してたお前が悪い。」

 

リーナ「え?気付いてたの?」

 

達也「もちろん。」

 

リーナ「何で言わないのよ!!」

 

達也「にしても、愛梨と将輝は踊ったのか?」

 

「「な!?」」///

 

真紅郎「それだから、ヘタレ・プリンスだとか呼ばれるんだよ……。」

 

達也「やめてあげろよ、真紅郎。…ヘタレじゃない将輝なんて考えられるか。」

 

将輝「おい、お前ら~!!なに言ってんだ!!」

 

達也「何のようだよ、ヘタレ。」

 

真紅郎「将輝は女の子の方からよってくるからね。…だから逆は未経験なんだよ。」

 

達也「へぇ~。さすがだね」

 

将輝「絶対に許さん。」

 

愛梨「ちょっと、3人とも騒がないで!!」

 

リーナ「愛梨は早く将輝を誘いなさいよ。」

 

愛梨「へぇ、リーナ、貴方喧嘩売ってる?」

 

リーナ「喧嘩は売ってないけど、買ってほしいの?」

 

達也「そろそろ戻るか。」

 

真紅郎「そうだね。次に会えるのは論文コンペの時だね。」

 

将輝「今年は横浜だったよな。」

 

達也「じゃあ、また会おう。」

 

リーナ「また会いましょう?」

 

愛梨「またね。」

 

将輝「達也、次こそは勝つからな。」

 

達也「ふっ。望むところだ。返り討ちにしてやる。」

 

達也と将輝が最後、ハイタッチをしてそれぞれの宿舎の方へ帰っていきリーナは達也に真紅郎と愛梨は将輝について行った。

 

長かった九校戦もこれで、終わりを告げた。




九校戦が終わりました。

次回は番外編をいれるか、それとも、横浜騒乱編に入ります。

では、また次回。

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