星々の王と妃   作:旭姫

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四章 第二話 瓊勾玉(にのまがたま)系統の聖遺物(レリック)

達也が呼び出された魔法幾何学室につくと、鈴音以外にも五十里と小春と廿楽先生がいた。

 

廿楽先生は二十の数字をもつ数字付きの家で研究者を多く排出する家だ。それとは別に、コンビネーション魔法の権威としても言われている。

 

そのなかでも廿楽先生は大学卒業とともに大学准教授の位を獲るが、自由すぎた為、教育を理解するために第一高校に送られて、魔法理論系のオンライン授業や2-Aの実技を担当している。気に入った生徒は一科二科問わずに迎え入れて、徹底教育を施すことで有名であり、服部もそのうちの一人だった。

 

廿楽「呼び出してしまって申し訳ないね。」

 

達也「いえ、問題はないです。」

 

廿楽「論文コンペは知っていますね?」

 

達也「一応は理解しています。」

 

廿楽「実は、君に今回のコンペの助っ人を頼みたいんだ。…詳しいことは市原君達から聞いてください。」

 

そう言って、廿楽先生は部屋を出ていった。

 

達也「市原先輩がどうして俺に協力を申し出たのですか?」

 

市原「それは今回のテーマが〈重力制御魔法式熱核融合炉の技術的可能性〉だからです。」

 

達也「なるほど、あの時のことを覚えていたわけですね?」

 

市原「お互い忙しかったので話す時間もあまりなかったので。丁度いい機会なので助っ人として参加してもらおうと」

 

達也「いいですよ。…それに、同じような研究テーマでも人によってやり方が違いますからね。…市原先輩、平川先輩、五十里先輩、よろしくお願いします。」

 

――――――――――――――――――

 

帰り道

 

今日は水波は先に帰っているために、3人で帰宅していた。

 

達也「……って、感じで論文コンペの助っ人になった。」

 

リーナ「達也って本当に非常識ね。……って感じで、じゃないわよ。」

 

深雪「でも、論文コンペは3人ですよね?…その辺は大丈夫なのですか?」

 

達也「俺は助っ人扱いだからな。…当日は舞台に立たないし、ようは裏方役だ。」

 

リーナ「あの世界的エンジニアであるMr.シルバーを助っ人につけるなんて、普通あり得ないわよ。」

 

達也「シルバーのことは秘密だからな。…俺のイメージとしてはただの技術力がずば抜けている頭のおかしい天才って感じだろうな。」

 

深雪「お兄様は天才ですが、頭はおかしくありません!!」

 

達也「相手方のイメージだ。…おれ自身は天才だとも頭のおかしいだとも思ってないから…。」

 

深雪「だとしても許せません!!」

 

達也「深雪…落ち着けって……!?」

 

リーナ「どうしたの、達也?」

 

達也「母さん達がまた泊まりに来たのかと思ったら、家の方の駐車場に車が止まっている。」

 

深雪「珍しいですね。…普段はその横の元お兄様の家に来るはずなのですが……」

 

ちなみに、夏休みを期に、深夜と真夜と穂波は本家に戻っており、家も達也とリーナは司波邸に引っ越してある(達也とリーナが隣に移って空いた家は四葉の名義で残ってはいるが、達也達の来客用の部屋として使っている)。

 

そして、真夜と深夜はよくそっちの方に泊まりにくれば、翌日になると、葉山や穂波が強制的に連れて帰るので達也達に実害はない。

 

達也「まぁ、とにかく入ってみよう。既に水波も帰ってきてるんだ。」

 

「「そう(です)ね。」」

 

家に入ると、水波の靴以外に2足の靴がおいてあった。

 

水波「おかえりなさいませ。深夜様が来ておられます。」

 

達也「珍しいな。…何かあったのか?」

 

水波「達也様に用があるようでして。」

 

達也「わかった。…2人とも、水波と着替えておいて。」

 

そして、達也は1人で部屋に入る。

 

達也「お久しぶりです、伯母上。…半月振りくらいですかね。」

 

深夜「そうね、そんな感じよ、達也。どう?元気にしてる?」

 

達也「ええ。もちろんです。…それに、成り行きで論文コンペの助っ人に選ばれました。」

 

深夜「成り行きでって……。まぁいいわ。本題に入りましょう。」

 

そう言って、深夜が鞄から取り出したのは箱だった。

 

その箱を空けると、中から出てきたのは勾玉だった。

 

達也「これは……瓊勾玉(にのまがたま)系統の聖遺物(レリック)ですか。」

 

深夜「そうよ。それが今朝、MSTに届いたと真田本部長から連絡が来たからそれを受け取ったのよ。」

 

達也「どこで出土したか聞いてますか?」

 

深夜「わからないわ。」

 

達也「……なるほど、国防軍絡みですか。」

 

深夜「それの解析と複製を頼まれたそうだけど、無理だって言って送り返したら、また帰ってきたのよ。」

 

達也「で、引くに引けなくなったと、」

 

深夜「そう言うことよ。…それに、その聖遺物には魔法式を保存する機能があるそうよ。」

 

達也「…!?…それは実証された事実ですか?」

 

深夜「さぁ、そこまでは知らないけど、それが事実なら…」

 

達也「無視は出来ないでしょうね。……期間は決まっていますか?」

 

深夜「決まってないわよ。」

 

達也「わかりました。お預かりします。…どうします?夜も遅いですし、今日も泊まっていってはどうですか?」

 

深夜「そうするつもりであっちに穂波が準備しに行ったわ。」

 

達也「そうですか。」

 

深夜「これの研究が進めば、達也の夢に一歩近づくわよね。」

 

達也「ええ。…絶対に成功させて見せます。」

 

深夜「その意気よ、頑張りなさい。」

 

達也「はい。」

 

その後、達也達は皆で夕飯を食べた後、穂波と深夜は地下室を通って泊まる部屋へ行き、達也は1人、怪しい反応を潰しに行った。

 

その時、魔法を一切使わずに1000m級の狙撃をされるが達也が寸前で分解して、逆に返り討ちにした。

 

その時に、襲ってきた連中が大陸系の男だったのを達也は見逃さなかった。

 

もちろん、この後風間少佐に連絡して監視カメラの映像を消してもらったのは言うまでもない。

 

――――――――――――――――

 

ここ、池袋にあるビルにはとある男達がいた。

 

「MSTから消えたレリックはどこへ……。そう言えば、今日()()()()が向かった家のことは何かわかったか?」

 

「あの家には椎原深夜の子供達が住んでいるようです。」

 

「何者だ?」

 

「第一高校一年の司波深雪、風間達也、工藤利奈、桜井水波の四名だそうです。」

 

「第一高校か…。好都合だ。魔法大学付属第一高校も監視対象に追加しろ。(リュウ)上尉、現地で指揮を取れ。よそ者が嗅ぎ回っていたら消せ。」

 

(シー)




次回はこれの続きです。

そして、今回小早川先輩は事故にあってないので多分あのシーンは無いと思います。

では、また次回。

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