星々の王と妃   作:旭姫

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四章 第三話 尾行の正体

レリックをもらってから数日たつと、自身のサーバーにハッキング攻撃がかかっているのに気づいた。

 

達也(このアドレスはダメだな。変えるか)

 

達也は黙ってカウンタープログラムを起動することにした。

 

―翌日―

 

達也「……ってことがあったんですが、五十里先輩は大丈夫でしたか?」

 

啓「僕のところはそれは無かったな。」

 

達也(となると、犯人の目的はレリックか。……何か手を打つか。)

 

花音「お待たせ~」

 

摩利「久し振りだね。達也君。」

 

達也「そうですね。それで、俺をわざわざ風紀委員室に呼び出してどうしたんですか?…まさか、勧誘とか?…それだったらお断りですが…。」

 

摩利「違う違う。今日は達也君にお願いがあるんだ。」

 

達也「お願い?」

 

摩利「ああ。毎年論文コンペに参加する選手には護衛をつけることが決まっているのさ。」

 

達也「護衛というと、サイバー攻撃とかからですか?」

 

摩利「いや。そうじゃなくて、ひったくりとか暴行とかだ。……それで、達也くんには平河の護衛を頼みたいんだ。」

 

達也「護衛は風紀委員と部活連から出るのでは?」

 

摩利「確かに、五十里には花音とそれからもう1人、市原には桐原と服部が着くらしい。」

 

達也「会頭自ら護衛ですか?」

 

摩利「市原には頭が上がらないんだろうな。」

 

達也「そうですか。…それで、なぜ俺を平川先輩に?」

 

摩利「護衛という立ち位置なら口出ししても文句は言われんだろうし、第一これは平河自身の希望だ。」

 

達也「そうなのですか?」

 

小春「うん。風間君なら安心できるかな~って、」

 

達也「なるほど。わかりました。お引き受けします。」

 

摩利「分かった。達也君の相方には壬生を付けようと思う。」

 

達也「紗耶……壬生先輩をですか?」

 

摩利「壬生とは長い仲なんだろ?」

 

達也「何故それを……まぁ、いいです。紗耶香さんと組めばいいんですね?」

 

摩利「ああ。それに、ついでにサブでエリカも加えておくから必要なら直接声をかけてやれ。」

 

達也「わかりました。」

 

摩利「じゃあ、私は部活連に報告してくる。」

 

達也「…それより、引退した筈の摩利さんが代わりにやってるんですか?」

 

摩利「それは~まぁな。」

 

達也「お人好しなんですね。」

 

―――――――――――――――

 

帰り道、達也は護衛メンバーと言うことで紗耶香と話しながら帰っていた。

 

達也「(つけてきてるな。)ちょっとよりませんか?」

 

紗耶香「いいわよ。」

 

2人は近くのカフェ〈アイネ・ブリーゼ〉に入った。

 

達也「気付きました?」

 

紗耶香「もちろんよ。つけてきてるわね。」

 

達也「今から結界を張るので、行きます?」

 

紗耶香「もちろん。」

 

達也はばれないように結界を張って、曲者に会いに行くことにした。

 

―――――――――――――――

 

その男は達也を監視していたのだが、途中でカフェに入られたので待つことにした。

 

紗耶香「私達に何かようかしら?」

 

(な!?いつの間に!?)

 

「いや、なんでもない。(この子隙がないな。)」

 

達也「さっきから散々俺たちを尾行してきて、何が目的だ?」

 

(風間達也!?)

 

「なんでもないんだ。…それに、君たちはまだ学生だろ?帰って勉強をしなくてもいいのか?」

 

達也「問題ない。だから、さっさと目的を答えろ」

 

「(ここまでか…。事は起こしたくなかったがやむを得ん。)誰か~!!助けてくれ、強盗だ!!」

 

達也「ここは既に結界の中だ。何をしても意味はない。」

 

紗耶香「さて、何が目的か答えてもらおうじゃない。」

 

男はすぐさま、ボクシングのスタイルになって動き始めた。

 

が、達也はそれを全てみきって交わしていく。

 

男は達也に対する攻撃を諦めて、紗耶香にスローイングタガーを投げる。

 

が、それも紗耶香が刀形状の武装一体型CADではたき落とす。

 

この武装一体型が、達也が紗耶香を呼び出した理由のひとつでもあった。

 

このCAD、銘は『朧月(おぼろづき)』と言って達也が紗耶香の為に作ったCADである。もちろん、この武装一体型は日本刀をモチーフにしているため、魔法を使わずとも殺傷力はある。

 

そのまま達也が男を地面に押さえつけた。

 

達也「ケミカル強化…なるほど。通りで普通の人間とは威力が異なるわけだ。」

 

紗耶香「さて、何が目的か話してもらうわよ。」

 

「分かった。…私は敵ではない。」

 

達也「説明してもらおうか?」

 

「私はジロー=マーシャル。いかなる国の政府機関にも所属していない。」

 

紗耶香「つまり、非合法工作員(イリーガル)ね。」

 

「私の目的は魔法の最先端技術が()()に漏れでないように、監視することだ」

 

達也「東側ね。」

 

「君も、きみのその技術も東側の標的になっているんだぞ!!」

 

達也「あっそ」

 

「この国の平和ボケは治ったと思っていたが、若者にまでそれを求めるのは酷か。」

 

そして、その男ジローは懐から拳銃を取り出した。

 

「これを出さなかったのが敵ではない証拠だ。」

 

しかし、達也と紗耶香はびびらない

 

達也「そんなもの撃てんのか?お前に」

 

「結界が張られているなら問題はない。」

 

達也「まぁ、撃たせるつもりは無いがな。」

 

そのまま達也が拳銃を『分解』する。

 

「なっ!?」

 

達也「俺達をただの高校生だと思ったら大間違いだ。……それに、もう聞きたいことは聞けたから結界は解除した。……出たければでればいい。」

 

男はその場を高速で離れた。

 

次の駅までの距離を走りきった男は速度を落とさなかった。

 

理由は自身を追ってきている男がいたから。

 

路地裏に隠れて返り討ちにしようと、隠していたもう1つの拳銃を取り出した。

 

男が姿を表す。

 

「な!?……人喰い虎(The man eating-tiger)呂剛虎(リュウガンフウ)

 

その男、呂剛虎は笑みを浮かべると、男の手を折って、そのまま殺す

 

そして、懐から紙を取り出すと、血を拭き取り男の死体に落とす。

 

その紙は男の死体を一緒に燃やした。

 

成果を確認して呂は自分達の隠れ家に帰っていった。

 

達也(呂剛虎……なかなかに厄介なのが出てきたな。)

 

達也はその様子を監視して警戒度をあげた。





達也と紗耶香が護衛に参加しました。

2人をペアにしたのは単に2人が昔からの仲だからです。

そして、呂剛虎も出てきました。

次回はこれの続き、(多分)実験のシーンです。

では、また次回。

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