星々の王と妃   作:旭姫

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四章 第七話 論文コンペ前夜

翌日、達也はリーナととある電話に出ていた。

 

『と、言うわけで、スパイの実働部隊は無事壊滅しました。』

 

達也「すごい手際のよさですね。流石です、藤林少尉」

 

そう、電話の相手は達也達と協力関係にある独立魔装大隊の少尉で【電子の魔女(エレクトロン・ソーサリス)】の異名を持つ藤林響子だ。

 

『達也君が呂剛虎を捕らえてくれたお陰で潜伏場所もはっきりしたことで、神奈川県警と協力して実働部隊は全員捕まえたわよ。……まぁ、隊長の陳祥山(チャンシェンシャン)は逃がしたけどね。』

 

リーナ「実働部隊は捕獲できたのは大きいと思うわ。」

 

達也「それに、陳祥山は公瑾の元にいると思います。」

 

『確かにそうね。』

 

達也「まぁ、呂剛虎は殺したわけではないから彼が移送されたら危ないですが…」

 

『呂剛虎は明日、論文コンペの日に外国人収容所に移送予定よ。』

 

達也「そうですか。…狙うとしたらその時ですね。…そして、外国人収容所は横浜にある。…明日は最悪戦争になる可能性もありそうだな。」

 

『そうね。私も、知り合いの警部さんにも協力を仰いでみるわ。』

 

達也「もし戦争になって、俺たちが出動しなければならない時。その時は俺達のことを中佐ではなく、協力員と言うことで()()の階級で呼んでください。もちろん、敬語もなしです。」

 

『了解しました。隊長にはそのまま伝えておくね。』

 

達也「ありがとうございます。」

 

『じゃあね。論文コンペ会場で会いましょうね。』

 

達也「じゃあ、また。」

 

通信が切れると達也はここ数日の疲労でソファーに寄りかかった。

 

リーナ「明日は荒れそうね。」

 

達也「そうだな。…明日戦争が起こるのなら彼奴が来てくれたら嬉しいのだが。」

 

リーナ「あいつ?…ああ。一時期、うちに来ていた新入りね。」

 

達也「彼の帰国は来年な筈だが、おそらく参謀部もこの事態を掴んでいるだろう。…彼の見習い期間を早めて日本に帰国させることもしかねない。」

 

リーナ「彼、達也のこと心底慕ってたよね。」

 

達也「まぁ、ifを並べても仕方がないか。…よし、MSTに行こう。」

 

リーナ「明日の為?」

 

達也「ああ。」

 

達也達はその後、リーナを連れてMSTに向かった。

 

 

つくと、達也達はそのまま真田が本部長をしている軍関連部門に顔を出した。

 

「やぁ、達也君にリーナちゃん。珍しいね、連絡もなしに来るなんて。」

 

達也「明日きな臭いことが起こりそうで。」

 

「その話は聞いてるよ。…準備はできてる。」

 

達也「今回は〈ゲイ・ボルグ〉と〈クローバー・スター〉を持っていきます。リーナの〈ブリオネイク〉と俺の〈サード・アイ〉はおいていって、使わなくてはならない状態に陥った時に持ってきてください。」

 

「分かった。…おい、持ってきてくれ。」

 

真田が合図すると独魔所属の技術士官が達也の2つのCADを運んできた。

 

達也の〈ゲイ・ボルグ〉は槍状の武装一体型CADであり、〈クローバー・スター〉とは達也が『流星群(ミーティア・ライン)』と『星屑の穴(スターダスト・ホール)』を使うための特別な思考一体型CADである。

 

ちなみに、この2つの魔法はCADが無くても発動できるが、このCADを使うことで、2つの魔法を使用したときの負担を大幅に削減することが出きるのだ。

 

さらにリーナの〈ブリオネイク〉はケルト神話の神ルーの持つ槍〈ブリューナク〉から来ている。

よって、普通に槍としても使うことが出き、達也の〈ゲイ・ボルグ〉と性能はほとんど同じである。

 

達也「ありがとう。ハードの部分の改良も終わって…ますね。流石です。」

 

「そこは専門だからね。」

 

達也「じゃあ、調整してきます。」

 

「明日もあるから、あまり熱中しすぎないでね~」

 

その後、家に帰って調整を施していた。

 

その日の夜

 

藤林響子の姿は横浜のとあるレストランにあった。

 

目の前には千葉寿和警部もいる。

 

「藤林さんのおかげで今回のヤマも何とか目処が立ちましたし、今日は本官からのせめてものお礼です」

 

「お互い様ですよ、警部さん。私も彼らを放置しておくわけにはいかなかったのですから。ところで警部さん。今日誘っていただいたのは、〝お礼〟だけなんですか?」

 

「え!?」

 

「できれば今晩だけじゃなくて明日も付き合ってほしいのですが?」

 

「え、あ、は、ハイ!本官でよろしければ、喜んで!」

 

「ありがとうございます。それでは、朝の八時半に桜木町の駅でよろしいでしょうか」

 

「朝?」

 

てっきり明日の夜だと思っていたのだろう。

彼の口から出たのは朝と言う疑問だけだった。

 

「明日は国際会議場で全国高校生魔法学論文コンペティションが開催されるんですが、ご存知ありませんか?」

 

「それは、存じておりますが…。」

 

「それに私の知り合いが助っ人として参加するので観に行きたいのですよ。」

 

「はぁ…。」

 

「あ、そうそう。できれば部下の方々にもお声を掛けておいてくださいね。CADだけでなく、武装デバイスや実弾銃もご用意いただけると助かります」

 

「そ…それは!?」

 

「まぁ、何もないのが一番いいのですけどね。」

 

――――――――――――――――

翌日、論文コンペの会場に向かった達也達は小春と紗耶香を待っていた。

 

その時、やはり周りの目は達也の背負っている槍に注がれていた

 

達也「槍どこにおいておこうか…。」

 

リーナ「確かに置く場所が無いわよね。」

 

達也「しょうがない。持っておくか。」

 

「達也、リーナ!!」

 

突然、達也とリーナに声がかかった。

 

達也達が振り向くとそこには、会場警備の腕章をつけた将輝と鋼がいた。

 

達也「将輝、それに鋼も。…そうか、会場警備は2人でペアになったんだな。」

 

将輝「ああ。……し、司波さん、お久し振りです。ダンスパーティー以来でしょうか。」

 

深雪「そうですね。…お久し振りです、一条さん。会場警備ですか。」

 

将輝「はい!!」

 

深雪「一条さんが目を光らせてくださっているのであれば、わたしたちもいっそう安心できます。よろしくお願いしますね」

 

将輝「ま、任せてください!!」

 

達也「(現金なやつだな…これでは愛梨の苦労が秤知れん。)…鋼、あのバカ(将輝)が暴走しないように見ててくれ。」

 

将輝「おい、達也!!どういう意味だ!!」

 

達也「どういうって…そのままの意味だが?」

 

リーナ「深雪に頼りにされて舞い上がった将輝が空回りしないようにってことよ。」

 

将輝「なっ!?…にしても、今日はその槍を持ってきてるんだな。」

 

達也「なんか嫌な予感がしてな。一応持ってきた。」

 

将輝「なるほどな。…達也どう思う?」

 

達也「お前の思う通り、隠しきれていない殺気が漏れ出ている。…用心するに越したことはないだろう。」

 

将輝「そうだな。…じゃあ、俺は見回りに戻る。またな。」

 

達也「ああ。」

 

 




ここで切ります。

次回は響子さんと会うところからです。

※論文コンペの発表部分は省略します。

では、また次回。
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