星々の王と妃   作:旭姫

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四章 第九話 横浜事変開幕

テロリスト達が取り押さえられると、エリカ達が達也達の元に集まってきた。

 

「「達也(さん)!!」」

 

ほのか「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」

 

達也「大丈夫だ。…それよりお前達は大丈夫か?」

 

エリカ「大丈夫よ。…それより、この後どうする?」

 

達也「逃げ出すにしても、正面を何とかしたいな。」

 

エリカ「待ってろ、何て言わないよね?」

 

エリカはどこか好戦的な笑顔で達也に聞く。

 

達也「…お前が俺の言うことを聞くとは思えないな。」

 

エリカ「もちろん。」

 

達也「じゃあ、行こうか。」

 

「待って、達也!!」

 

達也「真紅郎か。どうした?」

 

真紅郎「この後はどうするつもりだ!!」

 

達也「正面の鎮圧だ。」

 

真紅郎「そうか。」

 

達也「あ、真紅郎。後で将輝と愛梨に伝えておいてくれないか?」

 

真紅郎「いいよ、何て伝えればいい?」

 

達也「後で迎えに行くって言っといてくれ。」

 

真紅郎「わかった。…じゃあ、また後で。」

 

達也「ああ。……じゃあ、行こうか。」

 

 

達也達のいなくなった講堂ではパニックに陥っていた。

 

そんな中、達也の動きに気付いていた真由美は達也の狙いを察して会場の落ち着きを取り戻そうとしていた。

 

真由美「あーちゃん!!……あーちゃん!!……中条あずさ生徒会長!!」

 

あずさ「か……ま、真由美さん!?」

 

真由美「このままじゃ大変ね。…あーちゃん、『梓弓』を使って」

 

あずさ「でも、あの魔法は!?」

 

真由美「これは、私の力でも摩利の力でも鈴音の力でもない。…貴方の力なのよ」

 

あずさ「でも……」

 

真由美「大丈夫、七草の名前は伊達じゃないのよ。」

 

あずさ「わかりました。」

 

あずさは胸元に提げていたネックレスを取り出して、想子を流す。

 

光の粒子でできた弓が現れ、それを弾く

 

すると、会場が嘘みたいに一瞬で静かになった。

 

『梓弓』とは、情動干渉系の系統外魔法で辺りの霊子を震わせて一定の範囲内の人間を一時的にトランス状態にさせる魔法である。

 

そして、あずさの持つペンダントこそが、『梓弓』を使うための特別なCADである。

 

そんなこんなで、静まり返った会場では、1人の女性の声がよく響いた。

 

真由美「―私は、第一高校前生徒会長の七草真由美です。……現在、この町は侵略を受けています。……港に停泊中の所属不明艦からロケット砲による攻撃が行われており、それに呼応して、国内に潜伏中のゲリラ兵が発起した模様です。」

 

この言葉は、冷静にさせられた生徒達を混乱に陥れるには充分だった。

 

真由美「この会場は地下通路で駅のシェルターにつながっています。ですが地下シェルターは災害や空襲に備えたもので、陸上兵力には必ずしも万全とは言えません。陸上兵力に魔法師が投入されていることを想定すると、魔法に対してシェルターがどの程度持ちこたえるのか、楽観はできません。……ですが、最も危険なことは、今この場に残り続けることです!!」

 

生徒達がだんだん慌て始めた。

 

真由美「各校の代表はすぐに生徒を集めて行動を開始してください! シェルターに避難するにしろ、ここから脱出するにしろ、一刻も無駄に出来ない状況です!」

 

真由美の言葉を聞き終えると、各校で隊列を組んで、行動を始めた。

 

真由美「シェルターに避難されるのなら、すぐに地下通路へ。脱出をお考えなら、沿岸防衛隊が瑞穂埠頭に輸送船を向かわせているという報告を受けています」

 

それぞれが移動を開始したのを見送った真由美はあずさに目を向けた。

 

真由美「…じゃあ、あーちゃん。後は任せたわよ?」

 

あずさ「かい…真由美さん?」

 

真由美「今の生徒会長は貴方だからね。よろしくね、あーちゃん。」

 

――――――――――――――――

 

真由美がそんなことをしてる裏で達也達は、正面玄関に向かっていた。

 

達也「止まれ!!」

 

達也は止めらなかったレオの襟を掴んで止めた。

 

レオ「グェ、」

 

ほのか「容赦ないですね。」

 

雫「でも、お陰で命拾い。」

 

達也「深雪、『凍火(フリーズ・フレイム)』だ。銃を黙らせろ。…それと、リーナは銃を黙らせたら俺と突撃だ。」

 

「「了解(しました)。」」

 

達也「始めるぞ。」

 

達也が手を出すと、深雪がそれに触れて魔法を発動する。

 

銃火器の燃焼を凍らせる『凍火』によって銃が無力化されたことを見抜くと、達也は『分解』を纏った手刀で、リーナは達也から借りた〈ゲイ・ボルク〉で確実に敵を葬っていく。

 

ある程度殺したところで、達也の後ろ付近から()()()()()()()()()

 

達也達はそれを察知して横にはける。

 

達也「(今のは『ミリオン・エッジ』……まさか)…なるほど、帰ってきてたんだな、琢磨。」

 

琢磨「お久し振りです、達也さん。リーナさん。」

 

リーナ「いつ帰ってきたの?」

 

琢磨「昨日です。」

 

達也「そうか。……この後どうしようか。情報が欲しい。」

 

雫「VIP会議室を使ったら?」

 

達也「VIP会議室?」

 

雫「政治家や官僚達が使う特別な部屋。…一般公開はされてないけど、パスワードもIDも知ってる。」

 

ほのか「叔父様は雫を溺愛しているから。」

 

達也「なるほど。案内してくれ。」

 

 





ここで切ります。

次回はこの続きです。


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