星々の王と妃   作:旭姫

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四章 第十五話 灼熱のハロウィン

戦線に残った魔法科高校生の善戦のお陰もあり、ゲリラ達は鎮圧されつつあった。

 

前線にたっていた独立魔装大隊のメンバーは偽装揚陸艦が山下埠頭から脱出しようとしているのを確認した

 

柳『残存兵力は上陸部隊に任せて、我々は直接揚陸艦を叩くぞ!』

 

柳の合図に兵は動こうとしたが止められた

 

『揚陸艦への直接攻撃はお止めください』

 

柳『藤林。なんでだ?』

 

響子『敵揚陸艦はヒドラジン燃料を利用しております。もし、ここで叩いた時の資源へのダメージは図り知れません。』

 

柳『じゃあ、どうする。』

 

『引け、柳。』

 

柳『隊長!?』

 

風間『撤退するわけではない。残存兵力は鶴見・藤沢の部隊に任せ、帰投しろ。』

 

柳『はっ!聞いたかお前ら。帰投するぞ!』

 

―――――――――――――――――――

 

魔法協会のある横浜ランドマークタワーの屋上には達也が着いていた。

 

達也はローブのフードを取って上がってきた人達を労った。

 

達也「皆さん、お疲れさまです。」

 

響子「お疲れさまです、シールズ中佐」

 

達也「ここには知人しかいないのでいつものやつで大丈夫ですよ。」

 

響子「じゃあ、お言葉に甘えて。お疲れさま、達也君。」

 

達也「響子さんもお疲れ様でした。」

 

風間「さて、達也。準備はいいか?」

 

達也「もちろんです。」

 

響子「敵艦は時速30ノットで大島と伊豆諸島の中間を走行中。殲滅は可能です。」

 

風間「さて、一応〈サード・アイ〉は持ってきているが、どうする?」

 

達也「あの程度なら使わなくても大丈夫です。こっちで行きます」

 

達也はネックレスを服から取り出した

 

風間「なるほど、では準戦略級魔法『星屑の穴(スターダスト・ホール)』、発動!」

 

達也はネックレス―思考一体型CAD〈クローバー・スター〉に想子を流し込んだ

 

達也「『星屑の穴』発動!!」

 

――――――――――――――――――――

 

「やはり日本軍は攻撃してきませんでしたね。」

 

「ヒドラジンの流出を恐れたのでは?」

 

「同じことだ。今さら環境保護なんて偽善に浸っているからみすみす逃すんだ」

 

「覚えておれよ。この仮は倍にして返してやる」

 

その時、艦船内のCAD照準システムが反応した

 

「何事だ!!」

 

しかし、報告は無かった。

 

言葉を発する隙もなく全てが消失した

 

――――――――――――――――――――

 

敵艦の周囲が夜に包まれる夜空に瞬く流れ星が敵艦に触れる

 

触れたところから空間に()()()()()

 

穴に敵艦が吸い込まれて、穴が閉じると夜も晴れて何もなくなっていた

 

響子「敵艦の消滅を確認しました。」

 

風間「うむ。ご苦労だった。」

 

――――――――――――――――――

 

横浜騒乱が起こったことで全部の魔法科高校は翌日の学校を休校にしている。

 

しかし、受験が控えている3年生や魔法の練習をするために学校に来る人が多いので学校が閉まっているわけではなかった。

 

横浜騒乱から2日後、学校に登校した生徒は横浜騒乱など夢物語だったかのように何事もなく登校していた。

 

リーナも深雪達もいつものメンバーでいつも通りに仲良く会話している

 

そこに達也の姿は無かった。

 

リーナも深雪も理由を大まかには聞いているがいつまでいないのかは知らない

 

エリカ達も達也が軍属なのはあのときに知っていたので今いないのも軍関係だろうというのも予想はできていた

 

達也を心配する声はここだけではなく、鋼やエイミイを含めたB組メンバー、生徒会メンバー、そして真由美もである。

 

そんな心配されている達也は現在対馬要塞に来ていた

 

対馬要塞は第三次世界大戦時に敵国に一時的に占領され町を壊された対馬を国防軍が要塞とした都市で昔は人が住んでいたのだが、それも相当昔で今ではその面影が一切ない

 

そんな基地のとある一室に達也達独立魔装大隊の面々が来ていた

 

達也は封印解除した〈サード・アイ〉をとりだしていた

 

風間「さて、中佐。これを見てくれ。ここは大亜連合の鎮海軍港の映像だが、艦隊が集まっている。我が国と大亜連合は講和条約が結ばれていない。この動きはおそらく中国地方、四国地方、九州地方のどれかを占領しようとしているように見える。―つまりこれは我が国に対する宣戦布告と見てもいいだろう。」

 

風間は一息おいて話を続けた

 

風間「対する我々は海軍が先日やっと集まり始めたところ。よって、我々はここで戦略級魔法をもってこの状況を対処する。なお、本件は統合閣僚会議、及び連邦国軍参謀本部の認可を受けた作戦である。」

 

風間「さて、タツヤ=シールズ中佐。戦略級魔法『質量爆散(マテリアル・バースト)』をもって敵を殲滅せよ」

 

達也「了解。成層圏カメラのリンク完了、『質量爆散』発動!」

 

照準は旗艦についた水滴

 

水滴を強引にエネルギーに分解してそのエネルギーで爆散させる

 

旗艦についた一粒の水滴が大きな爆風となって軍港ごと破壊する

 

映像が復帰した時にはそこには巨大な穴ができていた。

 

若い隊員達はその光景に体調の優れないものが続出だった。

 

響子「敵は…」

 

達也「消滅しました。津波の心配は?」

 

響子「ありません。」

 

風間「全員帰投準備!作戦は終了だ。」

 

――――――――――――――――――――

 

灼熱のハロウィン

 

後世の歴史家は、この日のことを、こう呼ぶ。

 

それは軍事史の転換点であり、歴史の転換点とも見做されている。

 

それは、機械兵器とABC兵器に対する、魔法の優越を決定づけた事件。

 

魔法こそが勝敗を決する力だと、明らかにした出来事。

 

それは魔法師という種族の、栄光と苦難の歴史の、真の始まりでもあった。




ここまで長かったですが、ついに横浜騒乱編は完結しました。

途中で投げ出しかけたり、忙しくて日にちが空いてしまったりと不定期な投稿でしたが、なんとかここまで出来ました。

この後は番外編として横浜騒乱編以降の話や冬休みの話等を挟んで、最終章である映画の所―隕石爆発編にいきたいと思います。

なので、今後ともよろしくお願いいたします。

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