星々の王と妃   作:旭姫

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五章 第五話 九亜が逃げた理由

別荘に戻ると、深雪達は小さな女の子から話を聞いていた

 

エリカ「貴女の名前は?」

 

「九亜…です。」

 

エリカ「年は?」

 

「14歳…です」

 

彼女の見た目と年齢が一致してないと思ったのか、全員が驚く

 

雫「14歳…!?」

 

美月「もっと小さな子だと思っていました」

 

エリカ「九亜は海軍の基地から逃げてきたってことであってる?」

 

「ううん、基地じゃ…ない、…研究所…です。」

 

エリカ「何の研究所かわかる?」

 

「魔法の研究所…です。」

 

ほのか「え?九亜ちゃん、魔法師なの?」

 

「魔法…師?」

 

深雪「魔法師というのは魔法を使える人のことよ。九亜ちゃんは魔法師ではないの?」

 

「私達は〈わたつみシリーズ〉と呼ばれていた…です」

 

シリーズという言葉に、深雪達(特に、水波)は驚愕を示した

 

深雪は顔色を変えて、水波に命令を出す

 

深雪「水波ちゃん、すぐにお兄様に連絡を」

 

水波「は、はい!」

 

雫「私も手伝う」

 

水波が雫に手伝って貰って通話を繋げる

 

少したつと、達也が出てきた。

 

どうやら個室にシルヴィと2人でいるようだ

 

達也『もしもし…?どうしたんだ今はバカンスを楽しんでいるはずだが…』

 

深雪「お兄様、実は…」

 

達也は電話越しに、深雪達から九亜のことを話した

 

達也『なるほど…〈わたつみシリーズ〉か…。間違いないな。彼女は調整体魔法師だ』

 

深雪「やはり…」

 

達也『この通話を終えたら急いでそちらに向かおう。だから今は、その…九亜ちゃんだったか、の話を聞かせてくれ』

 

達也は自身では怖がらせるのではと思い質問をシルヴィを経由するためにシルヴィに前に来て貰った

 

ほのか「それで、九亜ちゃんは研究所でどんなことをしていたの?」

 

「…ときどき、大きな機械の中に入っていた…です。」

 

リーナ「大きな機械?」

 

達也『おそらく、大きな機械というのは大型CADのことだろう。大型CADを使う場合、魔法師はすべての要素が記述された軌道式に沿って、魔法式を自動的に組み立てるというケースも珍しくない。九亜も自分が何をさせられているのか分からなかった可能性があるな』

 

幹比古「それじゃあ、まるで機械のパーツみたいじゃないか!!」

 

エリカ「九亜はどうして研究所を抜け出したの?」

 

「逃げなさい…と言われた…です。」

 

エリカ「誰に?」

 

「森永さん、お医者さんの女の人…です。」

 

ほのか「その人が何故逃げろって言ったのか理由は分かる?」

 

彼女はほのかの言葉で逃げ出した経緯を思い出す

 

―――――――――――――――

 

―――――――――――

 

―――――――

 

「九亜、九亜!!逃げなさい」

 

九亜が森永の顔を見ると、

 

「このまま実験を続けると、貴女の自我が無くなって人形のようになってしまう」

 

九亜の顔を触りながら

 

「その前に…何とかしないと…」

 

――――――――――――――――――

 

「その前に…何とかしないと…」

 

エリカ「何とかしないとって…達也君、そんなことあり得るの?」

 

達也『無いとは言えないだろうな…しかし、まさかここまで予想通りになってしまうとは』

 

エリカ「達也君、それどういうこと?」

 

達也『いや、気にしなくていい。こっちの話だそれよりも』

 

達也はシルヴィに耳打ちをした

 

シルヴィ『…分かりました。大きな機械に入ったのは九亜ちゃん1人ですか?』

 

「ううん、私達…です」

 

シルヴィ『私達というのは〈わたつみシリーズ〉のことですか?』

 

「そう…私達、9人…です」

 

達也『調整体魔法師は9人…(まさか、理事長の懸念が当たっているとは…不味いな)』

 

深雪「その大きな機械に入った後はどんな気持ちだった?」

 

「気持ち…ふわふわ…溶けていくような…だったです」

 

深雪「何が溶けていくの?」

 

九亜が自分の胸に手を当てた

 

「私が…私達の中に…」

 

達也『自我喪失の自覚症状があるということか…』

 

ほのか「そんな…!?」

 

達也『複数の魔法師が魔法演算領域を強制的にリンクさせ、大規模な魔法式を構築する…。大戦中にそんな研究がされていたと聞いたことがある。…どうやら九亜がいた研究所はその研究を復活させたようだな。』

 

幹比古「…無茶苦茶だ。そんなことをして術者の精神が無事でいられるはずがない!!」

 

九亜がエリカの服をつかんでエリカに呟いた

 

「助けて…ほしい…です」

 

エリカは九亜の頭を撫でる

 

エリカ「安心して。ここで放り出すような真似はしないわ。最後まできちんと助けてあげる」

 

「ううん、私達を、助けてほしい…です。」

 

エリカ「私達って…」

 

達也『他の八人も助け出してほしい…ということだな』

 

九亜はエリカに抱きつきながら頷く

 

達也『はぁ…海軍の秘密研究所から調整体魔法師を8人脱走させることは海軍と事を構える事態になりかねない…余計な任務も増えたが乗りかかった船だ。最後までこなして見せよう』

 

エリカ「ねぇ達也君。何を隠してるの?」

 

達也『どういう意味だ?』

 

エリカ「ここまで予想通りだとか、例の魔法実験だとか、任務が増えたとか」

 

達也『それを聞いてどうするつもりだ?』

 

エリカ「その任務に参加させて貰うわ」

 

達也『エリカ、国家機密に触れる気はあるか?』

 

達也の口から出てきたのは肯定でも否定でもなく、()()()()という4文字

 

横浜でも聞いたその言葉がもう一度この場面に出てきた

 




今回はここまでです。

最初はこれを一話にまとめようと思ったのですが、予想よりも長かったので、何個かに分けさせていただきました。

次回はこれの続きです

この北山家別荘での会話は次の回までで終わらせたいなと思います

ではまた次回
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