星々の王と妃   作:旭姫

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エピローグ①です。


エピローグ
エピローグ① 2096年入学式


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色々と過激な出来事があった春休みも終え、達也達は無事に2年生へと進級を果たした。

 

始業式を向かえたここ、第一高校では魔工科設立に伴う大規模なクラス替えが行われていた

 

まず、2年生以上を対象とした魔工科設立により2年生からは魔法科を一科生4クラス、二科生3クラスの計7クラスになり、魔工科を1クラス作られることになった

 

魔法科に進級する生徒は卒業前の最後の試験でクラスを決定し、魔工科に進級する生徒は試験をパスした

 

達也達のグループでは、

 

深雪、水波、雫、ほのかがA組残留

 

エイミイとリーナ、二科生からの昇格で幹比古がB組に

 

達也と美月、そして鋼が魔工科に入るのでE組に

 

最後にエリカとレオはF組となった。

 

ここ第一高校前に佇む喫茶店『アイネ・ブリーゼ』では進級パーティーをしていた

 

達也「まさか、美月だけじゃなく鋼も魔工科に来るとはな。」

 

鋼「まぁ、僕はそういう系統に興味があったしね。」

 

エイミイ「はぁ、今年は鋼君と違うクラスか…」

 

リーナ「駄目よ、エイミイ。そんなところで落ち込んでちゃ。」

 

エイミイ「そうよね!女は度胸!!」

 

リーナ「ええ。それでこそエイミイよ!」

 

達也と鋼がお互いの恋人の会話を聞いて呆れていた

 

エリカ「ねぇミキ。ブルームになった感想は?」

 

幹比古「え、ええと。その~」

 

レオ「いやなやつだな」

 

エリカ「美月も魔工科に行っちゃったし…クラスメイトはこの筋肉ダルマだけか…」

 

レオ「おい、誰が筋肉ダルマだ!おい!」

 

美月「ちょっ、ちょっとエリカちゃん…レオくんも、喧嘩は駄目ですよ…」

 

雫「深雪、今年は負けない」

 

深雪「ええ。こちらこそ負けないわよ。」

 

水波「ほのかさん、今年のバトル・ボードの優勝は私が貰います」

 

ほのか「わ、私だってまけないよ!!」

 

そんなこんなでパーティーも終えて翌日

 

ついに2096年度生が入学した

 

―――――――――――――――――――

 

4/7

 

今年、2096年度の新入生総代は真由美の1個前の代以来の男だった。

 

今年の総代は七宝琢磨

 

十師族、特に七草家に対する確執を達也達と過ごすことで克服し、十師族に執着することが無くなったことで魔法力の強化に努めることが出来た

 

その努力の結果が、今回の総代獲得だった。

 

特に、今年はあの【七草の双子】も入学してくるということもあり、琢磨の成長がよく分かる

 

ちなみに余談だが、文弥と亜夜子の黒羽の双子は当主である真夜の命で第四高校に入学した

 

その時に、亜夜子が物凄い抵抗をしたんだとか…

 

現在、達也とリーナは中庭の桜の木の前琢磨と話していた

 

達也「琢磨、入学おめでとう」

 

リーナ「おめでとう、琢磨。前の琢磨じゃ考えられないけど…」

 

琢磨「ありがとうございます。これも達也さん達のお陰です」

 

達也「七草に執着していた心を押さえ付けたのも、それから成長できたのも、全部お前自身の力だ。誇っていい」

 

リーナ「私はただ、琢磨を模擬戦で倒しただけよ」

 

琢磨「ですが、2人がいたから成長が出来たんです。」

 

リーナ「そ、そうね。」

 

3人で話していると、達也のもとに連絡が入る。

 

達也「琢磨、そろそろ講堂へ向かおう。呼び出しだ」

 

琢磨「分かりました。では、お先に失礼します」

 

琢磨が講堂へ向かって走っていった

 

それからしばらく桜の木の前のベンチで本を読んだりしながら(リーナは達也の膝枕で寝ている)、入学式が始まるまで待っていた

 

そんな時、達也は突然声をかけられた

 

「達也君。」

 

達也「七草…先輩?」

 

達也に声をかけたのは卒業生で達也がお世話になった七草真由美だった。

 

真由美「リーナさんはまた寝てるのね。あの時と同じように…」

 

達也「去年が懐かしいですね。…ところで七草先輩はどうしてこんなところに?」

 

真由美「ああ、それはね…」

 

真由美が理由を話そうとすると、何処からか声がした

 

「お姉ちゃんから離れろ!!」

 

声の方向へ達也が向けると、高速で飛んでくる人がいた

 

達也はリーナを起こさないようにベンチに寝かせて、自分は飛来してくる人の対処をした

 

まずは、蹴ってくる足を避けて受け止める

 

達也が受け止めたのは女の子だった

 

その女の子は達也から抜け出して、達也の前に立って戦闘態勢に入った

 

すると、もう1人達也達のもとへと走ってきた

 

「香澄ちゃん!!」

 

「泉美、こいつ強いよ!」

 

「香澄ちゃん…って貴方は風間達也さんですか!?」

 

あとから合流した方の泉美という少女が達也をみて驚いた

 

達也「あ、ああ。如何にも俺が風間達也だが…」

 

「やっぱり!あの一条家の次期当主相手に互角の戦いを見せ付け、モノリス・コードでは打ち勝つという実力を見せ付けた、あの!!か、香澄ちゃんこの人が風間達也さんですよ!!」

 

「え!?じゃあこの人が…いてっ」

 

香澄という少女が突然頭を叩かれた

 

真由美「ちょっと、香澄ちゃん!達也君になんてことするのよ!」

 

「だって、姉ちゃんに近づいてたんだもん…それに、あの風間達也さんだって知らなかったんだから…」

 

達也「あ、あの…。」

 

真由美「あ、ごめんね、達也君。こちら香澄ちゃんと泉美ちゃん。今年の新入生よ」

 

達也「なるほど、彼女達が【七草の双子】でしたか。」

 

真由美「達也君、知ってたの?」

 

達也「詳細は知りませんけど、七草家には息がピッタリな双子がいると。俺にも情報網がありますので、そのくらいは調べてあります」

 

「初めまして、風間達也さん。七草家三女の七草泉美と申します。あえて嬉しいです。」

 

「ボクは七草家次女の七草香澄。よろしくお願いします」

 

達也「知ってるかもしれないが、俺の名前は風間達也だ。まぁ、アイス・ピラーズ・ブレイクは引き分けだったし、モノリス・コードはあれは仲間がいなきゃ勝てなかったからな…俺だけの力じゃない」

 

香澄「それでも、あのモノリス・コードは凄かったです!!」

 

泉美「香澄ちゃんは実技も出来ますけど、基本は実践派なんですよ。なので風間先輩のモノリス・コードの試合は凄いと思います。」

 

真由美「まぁ、達也君は優勝の立役者だしね。エンジニア面でも対一条君面でもね。誇っていいのよ?」

 

達也「え、ええ。ありがたく受け取っておきます…。ところで2人はもうすぐ入学式だろ?行かなくて良いのか?」

 

香澄「あ、あの…。ボクのことは香澄って呼んでください!!」

 

泉美「じゃ、じゃあ私のことは泉美と呼んでください」

 

真由美「えっ!?ちょっと2人とも!?」

 

達也「構わないよ。なら、俺のことは達也と呼んでくれ」

 

香澄「はい!よろしくお願いします!達也先輩」

 

泉美「よろしくお願いします。達也先輩」

 

達也「これからよろしくな、香澄、泉美。」

 

達也が香澄と泉美の頭を撫でる

 

香澄と泉美が驚いたように達也を見るが、気持ちがよかったのか顔を朱くして俯いた

 

達也「あ、すまない。リーナとかによくやるからつい…」

 

泉美「い、いえ。…気持ちよかったので…」///

 

達也「ん?何か言ったか」

 

泉美「何でもないです」///

 

リーナ「ふぁ~。あれ?達也…」

 

達也「あ、起きてしまったか。」

 

リーナ「あれ?七草先輩?それに…誰?」

 

達也「ああ。彼女達は七草香澄と七草泉美。七草先輩の妹達だよ」

 

リーナ「へぇ~。私は工藤利奈よ。」

 

香澄「工藤利奈先輩ですか!?」

 

リーナ「そ、そうだけど。」

 

香澄「ボクは戦闘魔法師を目指していて、とても尊敬しています!!」

 

リーナ「そ、そう」

 

達也「どうやら、香澄はモノリス・コードをみてファンになったみたいだぞ」

 

リーナ「へ、へぇ~。なるほど。よろしくね、香澄」

 

香澄「な、名前を呼んでくれた…嬉しい」///

 

そんなこんなで話をしていると、入学式の時間が迫ってきた

 

達也「香澄、泉美。そろそろ講堂へ行かなくていいのか?」

 

泉美「もうそんな時間でしたか。では、達也先輩、利奈先輩。私達は今から向かいますので、またお会いしましょう。」

 

達也「ああ。じゃあ、俺達は巡回の手伝いをしなきゃいけないので、失礼します。2人ともまた今度な。」

 

達也はリーナを連れて校舎の方へと歩いていった

 

香澄「泉美、決めた。2人にボクのお兄ちゃん、お姉ちゃんになってもらう」

 

泉美「いいですね。私も賛成です。」

 

真由美「ふぇ!?ちょ、ちょっと、2人の姉は私よ!」

 

後に、【七草の双子】が達也を兄と、リーナを姉と呼ぶことで校内が氷に包まれる事件があったが、それは別の話

 

―――――――――――――――――――――――

 

校内を巡回するという風紀委員の仕事をなぜか手伝わされている達也達は新入生を案内したりしながら(その道中で新入生から握手を求められたり色々あったが)、進んでいると、1人の男の子があたふたしていた

 

達也「君、大丈夫か?」

 

「あ、あの~。会場は何処ですか?」

 

達也「ん?LPSは持ってないのか?」

 

「すみません…最近帰化してきたもので、USNA製のGPSならあるのですが…」

 

達也「ほぉ…なら端末を貸してくれないか?」

 

男の子があわてて端末を達也に渡す

 

達也は端末を操作してLPSをダウンロードした

 

達也「これで使えるはずだ。」

 

「あ、ありがとうございます。……あ、あの。風間達也先輩ですよね?」

 

達也「そうだが…」

 

「やっぱり!!あの天才的な作戦(タクティス)、最高な調整(チューニング)で一高を勝利に導いた!!」

 

達也はいつも声をかけられる時はモノリス・コードの試合のことや一条将輝と張り合ったことをきっかけに来られるのだが、今回は全然違う観点でとても驚いてしまった

 

「僕、それを見たので四高から一高に変えたんです。結果はこの通りですけど…」

 

男の子は制服の肩部分を見せた

 

そこには刺繍はついていなかった。

 

つまり、二科生として入学してきたのである

 

達也「別に、悲観することはない。そこから努力していけばいいんだ」

 

「ありがとうございます!!あ、僕は隅守賢人と言います。苗字はSmithの当て字ですけど…風間先輩!よろしくお願いします」

 

達也「よろしく」

 

これが、後に、九校戦を湧かした一高最強エンジニアグループと呼ばれる2人の生徒の最初の会合である

 

 

賢人を送ったあとは講堂に向かい、琢磨のスピーチを聞いて入学式は終わりを向かえた





今作のエピローグですが、3話構成でいきたいと思います

第一話は2096年度入学式

第二話は高校在学中の出来事(主に四葉家次期当主発表)

第三話は高校卒業後

こんな感じでいきたいと思います

というわけで、もう少しお付き合いください

では、また次回

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