自己評価の超低い、内面ひねくれまくってる癖して外面は気弱な女子がCiRCLEスタッフをさせられる話   作:#NkY

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プロローグ 高望みしてない夢すらたった一言で破れてしまう、こんな世の中なんて!

 高校という場所が私は嫌いだ。

 高校生という肩書が私は嫌いだ。

 15歳~18歳という時期が私は嫌いだ。

 

 つまり、私の今の身分が大大、大っ嫌いだ!!

 

 なんでって? そりゃー外野がとにかくうるさいんだよ、この時期っていうのは。

 やれ勉強だ、やれ部活だ、やれ青春だ。そうやって頑張って汗垂らして、涙流して、笑顔溢れさせて。それを見て世の大人たちは『青春っていいよなあ』って好き勝手につぶやく。今を生きてる私は見世物じゃないってのにさ。

 

 あー、腹立つ。仮に見世物だとしてもさ、そんなのどこがいいんだか。

 だって自ら辛いこと苦しいことにめんどくさいこと、そしてめんどくさくてめんどくさーいことにわざわざわざわざ飛び込んでいくとかさ、高速道路を走行中の自動車から喜んで路上に飛び降りるような行為に他ならないでしょ?

 それでもってさ、当然泣いて、私には理解不能なんだけど笑って、私には全く意味不明なんだけど『あの時は楽しかったなー』って懐かしんで気持ち悪く感慨にひたひたするんでしょ?

 それが世の中の大人様がたが偉そうにありがたーくご高説を仰っていただいている、『青春』というやつ、なんでしょ?

 

 ほんと。ほんっと、ほんっっとーに。

 気持ち悪い、気持ち悪いよそんなの。ドドドMのドドド変態。

 

 そんでもってさ? その『青春』とやらをさ? 私たちのことを1mmも知らないくせに自分が経験してるから知ってる振りしてる大人たちからさ? いっぱいいっぱい、いーっぱい強要されるのが高校という場所なんでしょ?

 だから私は高校が嫌いなんだよ。まあ私は高校入りたてなんだけど、それでもそういう場所なんだって分かってるんだから。

 

 青春しなければ何が残るか、だって? ……何も残らなくていいよ、そんなの。どうせ私みたいな底辺人間が頑張ったところで、何か出来るなんてあり得ないんだから。無駄にしかならないよそんなの。

 

 だから全部が全部無駄に終わるような私は、ただただこの3年間をなるべく目立たずに過ごして、波風立てずに穏やかに卒業して……それでごくごく普通でごくごく適当で、最低でも私が邪魔にならないような職に就けばそれでいいんだ。

 そうやって山なし谷なしの人生を送って、緩やかに、だいたい3、40歳くらいで死ぬのを待つ。それが私のあと20年くらいの人生プラン。極力世間に私の場所を取らない省エネスタイルな人生だから、誰かの迷惑にもなりにくい。まさに完璧な計画。

 JK始めたてなのに、既に人生の終わりまで考えている人なんてそうそういなんじゃないかな? 唯一自慢できるところ、かもね。こんなゴミみたいな私が。

 

 ……でもさ。

 

千夜(ちよ)。部活は入らないのだろう?」

「……そうだけど」

「ならば、明日からライブハウス(CiRCLE)の手伝いをして来い」

「は……?」

 

 私の思い描いていた終活プラン。

 それが父のしょうもなく下らなさすぎる思い付きのせいで早々に崩れ去るとか。

 

 ……何かの冗談ですか?


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