カーク・ターナーの憂鬱   作:ノーマン(移住)

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登場人物一覧です。ご確認ください。


第五章 登場人物

第五章登場人物(~宇宙暦745年)

 

 カーク・ターナー

今作の主人公。おぼろげながらある島国の宰相として上り詰めた記憶を持つ。(前世は田中角栄さん)オレンジの髪とエメラルドの瞳を持つ。超長期目線で、対帝国の必勝策を卒業論文とした。ドラゴニア会戦で勝利に貢献したメンテナンス部隊も彼の上申により設立された。

 

第二次ティアマト会戦では右翼を担当。ベルティーニがコーゼルの策で戦死した後は、寡兵で右翼を支え、その後応援に来たファン率いる第8艦隊と共に、寡兵で帝国軍左翼を押さえ続けた。ブルース率いる別動隊の突撃に合わせて戦線を展開し、帝国軍主力を包囲下に置く事に貢献した。5章終了時は大将、統合作戦本部次長、第13艦隊司令官。

 

■家族と友人

 

 両親

惑星エコニアの開発計画の話を聞いて、全財産をはたいてそれに応じた。カークを含めて4人の子供をもうけている。末っ子はカークの子供であるシュテファンとほぼ同い年。

 

カークが生まれた頃は打ち捨てられたしがない地方惑星だったエコニアも、捕虜収容所の大規模新設や地道な緑化事業が続けられ、同盟の同化政策の中心地、経済的にも地方星系の中で、頭2つ分ほど抜き出た惑星になっている。カークの妹弟たちはエコニアで身を立てる方針。

 

 グスタフ・ウーラント

仕えていた貴族の政争に巻き込まれ、娘と息子を連れて同盟への亡命を決断した帝国騎士。ウーラント商会の財務責任者。修行から戻った嫡男ユルゲンが戻ってきて経営に参画しているため、肩の荷が下りた。

 

ユルゲンの妻であるジェシーの妊娠を知り、嫡孫の誕生を期待している。義息のカークには恩義を感じているが、カークも見込んでくれた事を恩義に関しているため、関係は良好。孫たちとバーベキューをするのが楽しみの一つ。

 

 クリスティン・ターナー

今作のヒロイン。カークとの間に4人の子供を授かっている。接する機会が多かったカークの僚友達には、淑女然とはしているが、実は嫉妬深くてヤバイ事がうすうすバレている。

 

任官以来、単身赴任をさせている事にも罪悪感を感じている。テルヌーゼンにあるターナー邸を守る一方、ウーラント商会の顧問、ターナー商会の共同経営者でもあり、留守がちなカークを公私両面から支える良妻賢母。

 

 シュテファン・ターナー

カークとクリスティンの嫡男。名付け親はウォーリック商会会長のグレック・ウォーリック。ウォリス達も通ったメープルヒル校でフライングボール部に所属している。体力面では士官学校候補生のアレク、勉学面では記念大生のタイロンやサラに指導を受け、文武両道の学生になっている。

 

 エリーゼ・ターナー

カークとクリスティンの長女。名付け親はオルテンブルク侯爵(ジャスパーの祖父)。ファイアザード会戦の戦勝記念パーティーでは、ウォリス・ウォーリックと手を繋いで記念撮影にのぞんだ。頭の回転が速く、本質を掴むことに秀でている一方、接する機会が多い年長の男性陣は時折みせる予言めいた発言に恐怖を覚えさせている。

 

 ヴェルナー・ターナー

カークとクリスティンの次男。名付け親は祖父であるグスタフ・ウーラント。ファイアザード会戦の戦勝記念パーティーでは、ブルース・アッシュビーに抱かれて記念撮影にのぞんだ。ターナー邸にはタイロン・アレク・サラを始め、個性豊かな年長者が出入りしており、彼らの影響を受けながら成長している。

 

 オスヴァルト・ターナー

カークとクリスティンの三男。名付け親はジークマイスター室長。名前の由来は「弾劾者ミュンツァー」。ミュンツァーは帝国の国政を司法尚書として粛正して蔓延していた腐敗の一掃を行った人物。ジークマイスターとしては同盟がそうならないようにという想いも込めた命名だった。 

 

 ユルゲン・ウーラント

ウーラント家の嫡男。カークの義弟。優しい性格で才覚もあるそうだが、軍人には向かないと父親は判断していた。カークを始め、周囲のできる兄貴分たちを尊敬し、また可愛がられた。エドワーズインダストリーでの修行を終え、婚約していたエドワーズ・ジェシーと結婚した。ウーラント商会の社長として経営に邁進している。3児の父。

 

 トーマス・ミラー

カークの4歳年上で、兄貴分。井上商会が捕虜収容所内に出店していた売店を任されていた。年の近いカークに井上商会の業務を教えたのも彼。母の妊娠を機に家計を助ける為に志願した。

 

新兵訓練を終え、任地であるカプチェランカの途上であるエルファシルで、ヤン・シーハンと出会い、恋に落ちる。任地であるカプチェランカの基地が帝国軍の大規模攻勢を受け、戦死した。

 

 ヤン・シーハン

カークの兄貴分のトーマスと出会い、恋に落ちた。共にいたのは一夜だが、お腹に命が宿る事となる。命名はタイロン。誕生日プレゼントを毎年とどけに来てくれていたキャプテン佐三と相思相愛となり、結婚した。(法的には初婚)

 

ウーラント商会のエルファシル支社の経営者でもある。タイロンがハイネセンに進学した事もあり、キャプテン佐三との間に2人の子供に恵まれている。

 

 ヤン・タイロン

カークの兄貴分であるトーマスとシーハンの子供。銀英伝原作読者なら知らないはずはないある人物の父親でもある。原作比で7年早めの登場。カークと出光による商人としての英才教育が開始されている。ビジネスの世界に進路を定め、名門である記念大経済学部に合格した。

 

在学中は名門校の経済学部が参加する仮想投資運用の競技で3連覇し、在学中にウォーリック商会の関連投資会社からスカウトされた。カークから多額の資金を預けられ、実際に運用された結果であることを知る人間は少ない。アレク曰く『錬金術師』。

 

また、同盟市民の中で3次元チェスの次に趣味として記載される事が多くなる『今日から提督』の製作発起人でもある。原作では古美術品のコレクターだったが、今作では退役軍人会で有名になるほどのミリタリーマニア。

 

 アデレード

ブルースの初婚の相手。激論が交えられた離婚調停の末に離婚した。調停役になったアルフレッドをして『女性を怒らせるものではない』と言わしめた人物。

 

 カトリナ・ローザス

進路は士官学校に隣接する音楽学校。カーク達の会食にも参加しており、クリスティンとも友人である。アルフレッド・ローザスと結婚した。3児の母としてシルバーブリッジの官舎を守っていた。宇宙暦744年に急病で倒れ、搬送されたものの急死した。末娘の名前はセシリア。

 

 ファネッサ

カークがダンスパーティーに参加する代わりにファンのダンスパートナーになった音大生。コミュニケーションが苦手なファンに合わせて楽しい時間を過ごせる。ある意味逸材。

 

ジークマイスター分室で愛妻弁当を食べるファンの姿は、ランチタイムの風物詩でもあった。ファンの出身地の名産を手土産に勧めるなど、交友が苦手な夫を支えてもいる。3児の母として家庭を守っていた。

 

 ルシンダ

ブルースの再婚相手、母親のナタリー代議員の秘書のひとりだった。アッシュビー重病説を流すために新婚旅行を兼ねて3ヵ月、バーラト星系の惑星シュリナーガルのリゾート施設で一緒に過ごしていた。

 

この配慮もあって、原作では誕生しなかったブルースの子供が誕生した。この時誕生した長男はドナルド。数年後に長女イヴァンカが誕生している。

 

 カタリーナ

ウォリスの結婚相手。長年愛人関係を続けていたが、ウォーリック重病説を流すためにリゾート施設に引き込もったウォリスに連れ添った。原作では恵まれなかったウォリスの子供を授かる。

 

士官学校の合格発表の日に、赤い三本線をウォリスの首元に付けた女性でもある。ドナルドと同い年の長男、イヴァンカと同い年の次男が誕生している。

 

 

■ビジネス界

 

 井上オーナー

誠実な商売を心掛けるウォーリック商会から独立した商人。惑星エコニアで食品を軸に商会を経営している。エコニアに新設された捕虜収容所内に売店を出店していた。カークとの縁もありエコニアの顔役ともいえる立場に。

 

帝国風の食材を振舞うことにより、捕虜たちの同盟への同化に一役買っている。現在ではエコニアが所属するタナトス星系でも有数の商会に成長している。名実ともにタナトス星系を代表する名士の一人になった。

 

 キャプテン佐三(出光佐三)

井上オーナーと同じく、ウォーリック商会から独立した商人。商船の船長も勤める。定期的に会う機会があったヤン・シーハンとの一時に安らぎを感じ、求婚した。タイロンの養父となる。彼が経営する出光商会も、バーラト派・亡命派、そして軍部にも太いパイプを得て成長中。

 

 グレック会長 イネッサ夫人(ウォーリック商会)

ウォーリック商会の先代。現在は息子達に経営を任せている。バーラト系融和派の雄であり、亡命帝であるマンフレート2世とも面識があり、帝国の美術品にも造詣が深い。

 

『ハイネセンの嘆き事件』と『蝙蝠相場』に際しては同盟経済界を主導する立場となり、多大な利益を同盟にもたらした。宇宙暦741年に会長職を退き、引退を表明した。グレックはウォリスの次男が誕生した743年に肺炎で亡くなっている。

 

 ヴァレンティ補佐官

フェザーン自治領主府に所属する補佐官。同盟方面の案件を担当していた。『ハイネセンの嘆き事件』と『蝙蝠相場』で、同盟に持っていたフェザーンの影響力は失われ、天文学的な損失が生まれた。

 

後始末を終えた段階で、倒産した証券会社社員の逆恨みから射殺された。あまり話題にならなかったが、補佐官には本来護衛が付くことになっており、本来ならあり得ない状況だった。

 

■政界

 

 ナタリー・アッシュビー

国防委員会に所属する代議員。ブルース・アッシュビーの母。夫は軍需系の企業で役員をしている。事実上の別居状態。見た目も麗しく、人妻と承知で口説いてくる相手も多いが、靡かない。末っ子のブルースが大好きで、何かと構うが嫌がられている。

 

730年マフィアのファンとなり、彼らの為にも政界で頑張ろうと有力な支援者のひとりになった。ブルースの再婚に伴い、念願だった孫育ての為に任期満了に伴う総選挙に不出馬を決めた。孫のドナルドとイヴァンカの教育は実質ナタリーが権限を握っている。『同盟を偉大な国家に!』とか言い出すような教育がされるのかは不明。

 

 ラファエル

財務委員会所属の代議員。顔と弁舌だけが取り柄。圧倒的な女性票の確保で当選している。男性からの支持は壊滅的。ナタリー・アッシュビーとは旧知の仲だが、中身がない事は彼女にも見透かされている。懇ろになろうとナタリーを口説くが袖にされている。

 

■亡命派

 

 クラウス・フォン・オルテンブルク

ジャスパーの祖父。ジャスパーの活躍と亡命派への貢献を嬉しく思いつつも、亡命派の疑似的な貴族制を維持するために、それを公言出来ずにいる。付き合いのあるベルティーニ家を通じて、ジャスパーが縁を紡いだ案件に贖罪を兼ねて投資している。

 

 クラウディア・フォン・オルテンブルク

クラウスの妻、ジャスパーの祖母。本当なら初孫であるジャスパーを可愛がりたかった。ただ、正室との間に子供がいなかった為、可愛がればジャスパーの身が危険になると判断し、厳しく接した。ジャスパーの活躍を応援するために持参金を投資案件につぎ込むように進言した。

 

■軍関係

 

【帝国軍】

 

 マルティン・オットー・フォン・ジークマイスター

自分が生きている内は結果が出ない打倒帝国の夢を新しい希望とし、ターナーを支援する事にした。一時的には同盟内で屈指の影響力を得たが、個人の価値観で民主共和制の理想を実現する事は、民主共和制に反すると判断し、鍛えた730年マフィアの面々を分室から送り出した。

 

帝国からもたらされる情報は、同盟が防衛戦争を優位に進めるのに大きな貢献をしている。いずれも大勝に終わったファイアザード会戦・ドラゴニア会戦も、彼経由で帝国軍の作戦計画が入手されていた事が、勝利を決定づける大きな要素となった。

 

第二次ティアマト会戦でもそれは同様で、情報漏洩が懸念されている事も踏まえてブルースは薄氷を渡るような作戦案を実行し、宇宙艦隊司令長官を含めた70名近い将官を討ち取る事に成功した。

 

 クリストフ・フォン・ミヒャールゼン

自身の手腕を発揮できる場として進んでスパイ網の構築・維持に取り組んでいた。ジークマイスターが同盟に亡命した後は、帝国に於けるスパイ網のトップのような立場となっている。

 

平民出身のコーゼルが正規艦隊司令となり、実力主義による任用を匂わせ、軍部貴族の競争心を煽る一方で、同志たちに噂を広めさせ、宇宙艦隊司令本部内の対立を煽った。

 

第二次ティアマト会戦の前後からコーゼル提督に疑惑を向けられている事に気づき、活動を休止するか決めかねている。本人は軍務省参事官になり、役職上は第一線から退いている。

 

 ケルトリング軍務尚書

伯爵家当主。元帥。就任直後に勅命により軍に皇族を多数引き受けさせられた。その結果多くの『名ばかり少将』が所属する事となり、対同盟戦で艦隊戦力を摩耗する事になる。

 

そのツケを支払うかのように嫡男は名ばかり少将を率いたファイアザード会戦で戦死。敗戦を覚悟の上で、名門軍部貴族中心で計画された出征を許可するも、想定以上の大敗となる。

 

次男もこの戦いで戦死し、ケルトリング伯爵家は後継ぎを2人ともアッシュビーに殺される事となった。第二次ティアマト会戦の前に倒れ、甥のミュッケンベルガーが見舞いに訪れた際に「アッシュビーを斃せ!」と二度呻いて憤死した。

 

 ツィーデン宇宙艦隊司令長官

侯爵家次男。元帥。統帥本部総長を中心とした名門軍部貴族たちの派閥抗争を抑えられなかった。結果として長年の友人であるケルトリング軍務尚書の次男を戦死させる事となる。これによりケルトリング伯爵家の直系は途絶えた。

 

アッシュビーを破る事を本懐とし、平民出身のコーゼルを相手に、本心を吐露するなど、政治的な能力は低いが、司令長官としては、器も人物眼もある人物。第二次ティアマト会戦は司令長官として参加した。

 

ブルースの薄氷を踏むような作戦の前に帝国軍は包囲殲滅され、彼も戦死した。宇宙艦隊司令長官の戦死という前例のない事態に、帝国軍だけでなく帝国政府も攻勢を断念する方向に動くことになる。

 

 ハウザー・フォン・シュタイエルマルク

少壮の戦術家で、巧緻な用兵家、また風格ある武人として後世まで名をなす名将。貴族出身だが、その才覚や人柄は貴族嫌いのコーゼルからも高く評価される。貴族出身ながら、選民主義に陥らず、実力主義に基づいた任用を訴えていた。

 

原作で言うヤンの様なポジション。優秀で先も見えているが、上層部の大多数は貴族の為、主流派にはなれずにいる。第二次ティアマト会戦ではブルースの起死回生の突撃をうまくいなし、友軍を最後まで援護するが、戦力の大部分が包囲された戦局を変える事は出来なかった。

 

 コーゼル

幅の広い貫禄ある身体に豊かな茶色の髪、そしてするどく明るい褐色の目を持つ剛直な職業軍人であり、右手の甲には白いレーザーの傷跡が残っていた。貴族出身の高級士官がほぼすべてを占める当時の帝国軍にありながら、平民出身で大将、正規艦隊司令を勤める。名門軍部貴族中出身の軍務尚書や艦隊司令長官も彼の能力は内心認めていた。

 

ミヒャールゼンの行動から不審を抱き、ドラゴニア会戦前に内心を吐露してきた司令長官の信頼に応える様に、自身が感じていた疑念を打ち明けた。第二次ティアマト会戦では戦艦のみで旗下を編成し、全軍の盾の様な役割を引きうけた。

 

最終局面では身を挺して司令長官の直卒部隊を掩護するも、3方向から攻撃を受けて旗艦に直撃を受け、その際に戦死した。彼が戦死した事により、統帥本部次長として組織の立て直しと情報漏洩の捜査という重要な役目が宙に浮くことになってしまう。

 

 ウィルヘルム・フォン・ミュッケンベルガー

 

ケルトリング軍務尚書の甥。原作で宇宙艦隊司令長官として登場するグレゴール・フォン・ミュッケンベルガーの父親。能力的には軍人として素養を備えていたが、軍務尚書の息子の後任として正規艦隊司令になった事は、宇宙艦隊内部では情実人事と受け取られ、宇宙艦隊司令たちのスタンドプレーをむしろ煽る事に繋がった。

 

第二次ティアマト会戦の初期に斜線陣を組む同盟軍の時差攻撃に曝された直卒艦隊の援護をしようとした際に側面から集中砲火を浴び、戦死した。

 

 ロイズ伯

選民思想の典型の様な皇族。軍事的素養は全くなく。ファイアザード会戦までの途上でも何かと身勝手な行動を行い、司令官であったケルトリング中将(軍務尚書の長男)の足を引っ張った。

 

帝国軍右翼を担ったが、ブルース主導の背面突撃に一蹴され、泣きながら命乞いをした。後に帝室の予算から身代金として100億帝国マルクが支払われ帰国するが、即自裁を命じられ、ロイズ伯爵家は取り潰しとなる。

 

皇帝は一罰百戒のつもりだったが、一部皇族と後ろ暗い所がある門閥貴族が動揺した事で、帝国の政情は不安定になった。生前だけでなく死後も帝国に悪影響を及ぼした人物。同盟にとってはある意味英雄。

 

 ケルトリング兄弟

名門軍部貴族であるケルトリング伯爵家に生まれ、軍務尚書でもあった父から厳しく養育された。軍人としても水準以上の能力を持っていたが、兄は名ばかり少将達に足を引っ張られファイアザード会戦で戦死。弟は、統帥本部総長派に属した名門軍部貴族中心の出征に参加し、ドラゴニア会戦で戦死した。

 

■ドラゴニア会戦組

 

 ローエングラム伯

軍部貴族の中でも武門の家柄とされるローエングラム伯爵家の当主。帝国軍の派閥争いに関連して、統帥本部総長派に属し、宮廷工作・陛下への上申を行うなど主導的な役割を果たした。ただ、残念ながら軍人としての素養はそこまでなかった。

 

また優秀だった庶子の兄を妬んで冷遇した事で、その兄がミヒャールゼンの同志となり、彼の足元に罠をめぐらす事となる。結果として油断した彼が率いた出征軍はドラゴニア会戦で包囲殲滅され、彼自身も戦死した。

 

 エーレンベルク中将

侯爵家の3男。名門軍部貴族出身で、正規艦隊司令。ドラゴニア会戦では速戦を主張し、同盟軍の罠にはまる結果となる。挟撃成功後は同盟軍の増援3個艦隊の突撃を受け、旗下戦力は壊滅的な打撃を受けた。包囲殲滅の過程で戦死。

 

 フォーゲル中将

伯爵家次男。名門軍部貴族で正規艦隊司令。ドラゴニア会戦では慎重論を唱えたケルトリングに対して速戦を主張した。最左翼を担当していた彼の艦隊は、同盟軍の機動斜線陣の前に猛撃を受け続け、予備戦力を援護に回されるほどの損害を会戦序盤で受けていた。

 

挟撃の際も、真っ先に突撃を受け、限界に近かった事もあり一瞬で崩壊した。真っ先に崩壊した事で、彼の旗下のごく一部が包囲される前に戦場から離脱出来たのは運命のいたずらだろうか。 

 

 クラーゼン中将

伯爵家次男。名門軍部貴族出身で正規艦隊指令。ドラゴニア会戦では慎重論を唱えたケルトリングに同調するも、勝利を標榜していたローエングラム伯は、進撃を決定。最右翼を担当していた彼は、ケルトリングと連携して包囲後も奮戦するが、それにも限界があり戦死した。

 

■第二次ティアマト会戦組

 

 シュリーター大将

コーゼル提督とタッグを組み、帝国軍左翼を担当した人物。初戦ではターナー・ベルティーニ両提督の巧みな連携に翻弄されるが、会戦中盤にコーゼル艦隊と連携し、730年マフィアの最初の戦死者としてベルティーニを討ち取った。

 

会戦終盤に直卒艦隊の援護に向かうコーゼル艦隊の穴を埋めるべく、半包囲される事を覚悟して渦中に飛び込んだ。アッシュビー率いる別動隊により帝国軍右翼は粉砕され、包囲されたあとも奮戦するが及ばす。戦死した。

 

 インゴルシュタット中将

旗下の艦隊は旧式艦で編成されており、敵戦力を引き付ける目的で動員された。当初は目的通りジャスパー率いる第4艦隊を引き付け、非戦力化に成功する。会戦中盤に当初予定されていた迂回進撃案を司令部が採用した事で、帝国軍最右翼に配置され、戦列を担った。

 

迂回進撃は成功するかに見えたが、アッシュビーの別動隊の突撃により帝国軍別動隊は崩壊。その勢いで側背面攻撃をうけたインゴルシュタット艦隊は、編成が旧式艦だったこともあり30分で壊滅した。

 

 カイト中将

会戦初期はシュタイエルマルク艦隊と連動して帝国軍右翼を担当。その後旗下の艦隊が最新鋭艦で編成されていた事もあり、当初案の迂回進撃を担当する別動隊に加えられた。

 

会戦初期に戦死したミュッケンベルガー艦隊を含めた彼の別動隊は、応対してきたコープ率いる第11艦隊を相手に優勢を維持し、挟撃は成功しかけた。だが、それはアッシュビーの作戦であり、第11艦隊に誘い込まれた別動隊は、アッシュビー率いる同盟軍の別動隊に側背面から突撃を受け、崩壊した。

 

 カルテンボルン中将

会戦初期はシュタイエルマルク艦隊と連動して帝国軍右翼を担当。最終局面でも直卒艦隊の右翼を担っていた。インゴルシュタット艦隊の想定以上に早い崩壊と、右舷に遊弋していたシュタイエルマルク艦隊がいなす様に後退したため、アッシュビー率いる同盟軍別動隊の突撃を側面からもろに受ける事になる。コーゼル艦隊が来援する時間を何とか稼ぐが、奮戦むなしく戦死した。

 

 

【730年マフィア】

 

 ブルース・アッシュビー

少尉の身である無名時代から大佐より偉そうに見えたという逸話が残る。正にこの時代の同盟版ラインハルト。必ずしもうまくいっていなかったアデレードとは離婚し、母の秘書のひとりルシンダと再婚した。再婚後は2児に恵まれ、母親のナタリーが数十年ぶりに教育ママとしての一面を発揮していた。

 

第二次ティアマト会戦では、ジークマイスター分室から事前に受けていた帝国軍の動向を元に、薄氷を踏むような作戦案を敢行。一歩間違えば同盟軍の全面崩壊を招きかねない状況から逆包囲を完成させ、40分間の戦闘で宇宙艦隊司令長官を始めとした70名近い帝国軍将官を戦死させる功績を上げた。この損害は帝国では『軍務省の涙すべき40分』と呼ばれ、同盟への攻勢を断念させる事となる。

 

本人は戦局が決定的になり、降伏勧告を始めた際に旗艦に命中した流れ弾による爆発で腹部を貫かれ、出血性のショックで戦死する事となった。その輝かしい武勲と、あまりにも早い死に『アッシュビー提督が生きていたら?』と言う想いを後世まで語られる事にもなった。五章終了時は元帥、宇宙艦隊司令長官。

 

 アルフレッド・ローザス

沈着で公正な良識人。優秀な同期達に称賛を感じつつも、劣等感を感じていたが、それを昇華し優秀な同期達の潤滑油足らんと志を立てた。幼馴染のカトリナ嬢と結婚していたが第二次ティアマト会戦の直前に急死した。本人も意外だったと語るほどこのことは精神的に彼を悩ませた。

 

当時司令長官だったブルースの慰留も固辞して半年間の休職に入るが、整理するには時間が必要で、精神的にも激務に身を置いた方が安定すると現役復帰した。そうして迎えた第二次ティアマト会戦ですぐ近くに乗り合わせていたブルースが戦死した事で、『自分が戦死していれば』という新たな十字架を背負う事になる。五章終了時は大将。宇宙艦隊総参謀長。

 

 フレデリック・ジャスパー

とかく派手な用兵を好む亡命系原理派の雄、オルテンブルク侯爵家の庶子。彼自身は亡命してすら疑似的な貴族制を取る亡命系原理派に息苦しさを感じていた。ダンスパーティーで知り合った音大生と結婚。ベストカップルにも選ばれている。

 

第二次ティアマト会戦では初戦は帝国軍の別動隊への牽制役を担当。その後、ミュッケンベルガー艦隊を撃滅したが損害の多かった第11艦隊に代わって同盟軍左翼を担当した。別動隊の攻勢から直卒艦隊を守ろうと艦列に割り込んだコーゼル艦隊に大攻勢をかけ、組織的な抵抗をさせなかった事も功績としてあげられる。ティアマト星系の帝国軍地上部隊への降伏勧告も彼が担当した。五章終了時は大将、第4艦隊司令官。

 

 ウォリス・ウォーリック

常に容姿・言動がキザで芝居がかっており「男爵」と揶揄されたが、むしろ本人が気に入って自ら名乗るほどだった。バーラト系融和派の雄であるウォーリック商会の直系の3男。カークの画策により、長年愛人関係だったカタリーナと結婚した。

 

第二次ティアマト会戦では同盟軍最左翼を担当。シュタイエルマルク艦隊と一進一退の攻防を繰り広げた。第五章終了時は大将。宇宙艦隊副司令長官、第5艦隊司令官。

 

 ヴィットリオ・ディ・ベルティーニ

ヘビー級ボクサーのような体躯に、無数の小さな戦傷にいろどられた赤銅色の顔と剛い頬髯という見た目。体躯は全く正反対の小柄な音大生と恋仲になり結婚した。将官になったのを機に、熱帯魚を飼う趣味を始めた。

 

第二次ティアマト会戦ではカークと共に右翼を担当。持ち味の破壊力のある攻勢でシュリーター艦隊に損害を与えたが、攻勢を待ち構えていたコーゼルの堅陣に攻勢を止められ、逆撃を受けて戦死した。司令官の戦死を受けて後方で再編された旗下の第9艦隊残存兵力が別動隊の先陣となり、故人となった彼顔負けの突撃を敢行した事が最終的な同盟勝利の要因ともなっている。ブルースと共に国葬が営まれ、死後元帥号を贈られた。

 

 

 ジョン・ドリンカー・コープ

ドリンカーというミドルネームだが酒は一滴も飲めず、勝利の祝杯もアップルジュースで済ました。バーラト系原理派出身でブルースとは幼馴染。ダンスパーティーで知り合った音大生と結婚。3児を授かっている。

 

第二次ティアマト会戦では左翼を担当。斜線陣による会敵タイミングのズレを活かし、直卒艦隊の援護をしようとしたミュッケンベルガー艦隊を少なくない損害を受けつつも撃破した。会戦後半では帝国軍別動隊の牽制を担当し、寡兵ながらブルース率いる別動隊の突撃に合わせて帝国軍別動隊を誘引した。

 

別動隊の突撃後は包囲から逃れたシュタイエルマルク艦隊を牽制し、包囲網の維持に貢献した。戦史研究家の中にはブルースの突撃のタイミングを称えながらも、コープの帝国軍別動隊誘引を勝因に挙げる者も存在する。第五章終了時では大将、第11艦隊司令。

 

 ファン・チューリン

この時代では数少ない地方星系出身の士官学校卒業者。人間関係の構築を苦手としていたが、僚友達の影響もありかなり改善された。ダンスパートナーとなったファネッサと結婚し、3児を授かる。

 

第二次ティアマト会戦では当初は同盟軍左翼を担当。ヴィットリオ率いる第9艦隊がコーゼルの策で大損害を受け、自身も戦死するにあたって、孤軍奮闘していたカーク率いる第13艦隊の援護に、旗下の分艦隊の半数を直卒艦隊に引き継いだ上で向かった。

 

合流後は第13艦隊も2個分艦隊を直卒艦隊に引き継いだ為、同盟軍右翼部隊は倍近い帝国軍を同盟別動隊の突撃まで抑えるという一歩間違えば戦線が崩壊するような作戦案を敢行した。

 

戦史研究家の中では、ブルースの突撃のタイミングの妙を称えながらも、第二次ティアマト会戦の勝因として、同盟軍右翼の決死の戦線維持を上げる者も存在する。第五章終了時は大将、ウルヴァシー駐留艦隊司令、第8艦隊司令、同盟軍最高幕僚会議常任委員。

 

【部下・同盟陣営登場人物】

 

 エレン・バスケス

スパルタニアン乗りの中尉。撃墜数5機でエース資格持ち。カークが指揮した第111強行偵察大隊の数少ない女性士官。タイロンを弟分として可愛がると共に、理想的な上官のカークに密かに想いを寄せていた。

 

残念ながら彼女の想いは実ることなく、ハイネセンの試作部門のテストパイロットとして転出した。試作担当のヤマハ技研のエンジニアと結婚。

 

 ハドソン

カークが指揮した第111偵察大隊の旗艦の機関長。ムードメーカーでもあり、部下たちに慕われている。従軍前はエンジニアもしていた。カークが昇進して半個分艦隊を指揮する事になった際、自ら売り込んで旗艦である長門へ転出した。

 

 アッテンボロー中将

ターナー旗下の第13艦隊の参謀長。孫娘たちとの時間を作るために退役するつもりだったが、ファンの転出に伴い、ご意見番的な参謀長を求めていたカークの三顧の礼により、退役を延期した人物。

 

歴戦の経験に基づいた進言は新進気鋭の集団である730年マフィアの面々にも一目置かれている。統合作戦本部次長職をカークが兼任してからは実務面で艦隊司令に近い事をしていた。孫娘のひとりはパトリックという男性と結婚し、3人の娘とひとりの息子に恵まれる。

 

 アレクサンドル・ビュコック

出身地の惑星バラスの経済発展に伴い、家族の徴兵名簿順位を下げるために志願し辺境出身の若者。姉と結婚した元帝国軍捕虜のデニスの伝手で、ターナーの従卒となった。

 

初陣はドラゴニア会戦。メンテナンス部隊のオペレーターを見事に勤めた。書類仕事を経験する中で知識の必要性を感じ、コナー曹長の娘、サラと勉強する事となる。士官学校に入学し、ターナー家の面々やタイロンと接点を持ちながら軍人としての素養を磨いている。

 

 サラ・コナー

ターナーの秘書官であるコナー曹長の娘。記念大の経済学部を目指していた。休日に一緒に勉強する様になったビュコックに思いを寄せる。志望していた記念大の経済学部のキャンパスが、士官学校と同じテルヌーゼンにある為、ビュコックが士官学校を志望する様に画策した。

 

ターナー邸に寄宿しながら記念大に通っている。主要な軍駐屯地のには勤務地がある成長企業、ターナー商会に入社したいと考えている。理由の大半は意中のアレクについていけるから。

 

 コナー曹長

ターナー旗下の第13艦隊司令部付きの秘書官。エルファシルが駐屯基地だった頃から事務関係を担っていたベテランの女性下士官。サラと言う娘がいる。ビュコックに思いを寄せた娘にアドバイスを求められ、士官学校へ進ませる画策を勧めた。どちらかと言うと勤務中は言葉少なめなタイプ。機密に触れる事が多いターナーの状況を理解し、線引きした業務遂行が出来る人物。

 

 アビー曹長

アッシュビー旗下の第2艦隊司令部付き秘書官。コナー軍曹同様、エルファシルが駐屯基地だった頃から事務を担当していた。明るく甲斐甲斐しい人柄だが、怒らせると怖い。

 

 エスピノ曹長

ウォーリック旗下の第5艦隊司令部付き秘書官。コナー軍曹同様、エルファシルが駐屯基地だった頃からの事務を担当していた。コナー・アビー・エスピノの3軍曹の会議はエルファシルにある第3駐留基地ではかなりの権威を持ち、帝国3長官会議になぞらえて3軍曹会議などと呼ぶ者もいた。

 




次で最終章ですが、時系列よりも事柄順で読んで頂いた方が面白くなりそうなので、結構年代が行ったり来たりしそうです。お付き合い頂ければ幸いです。
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