美醜逆転アズレン世界における色物系Yongshiber SHIKI-KAN☆TV 作:SHIKI-KAN
……よし、そろそろ12時か。なんとか正門前に到着したぞ。間に合って良かった。ダラダラ歩いてたせいでギリギリになってしまった。
……だってしょうがないじゃん? 基地の中を見て歩いてたら、チラホラとKAN-SENらしき娘が基地内を歩いてるのが見えるんだから。凝視するしかないじゃん? みんな超絶可愛いし。目は死んでるけど。
【ゴォオオオオオオン…… ゴォオオオオオオン……】
おお? なにこれ? 12時の鐘? お寺の鐘じゃねえか。こう言う所は日本じゃなくて重桜って感じが出てるよなあ。日本でも地域によってはありそうだけども。
……お? 正門奥から小さい人影が走って……って! ちょちょちょちょちょッ!?
「ス、スタァァァップ!!! 雪風ちゃんスタァァァップ!!! その勢いで突っ込まれたら俺は確実に致命傷になる!! そうなったら雪風ちゃんが法を犯して罰金払わされて牢屋に入れられちゃう事になるから!! 止まって止まって!!」
「……ッ!? ……そ、そうだったのだ。シキカンはか弱い存在だったのだ。忘れてたのだ」
「……お、おう。 ……俺も元居た所では普通だったんだけどね? なんかこっちではか弱いの基準がオカシイと言うかね? 闘技場のリングを担いで持って来れない奴は全員B級未満のか弱い奴って認識されてそうだからね? ……と、取り合えず門の前で話すのもあれだからちょっと木陰に移動しようか? なんか門番鬼神さんがジロジロ見てきて怖いからね」
「……わかったのだ! 雪風様もシキカンとはゆっくり話したいのだ! あっちの静かな所で話すのだ!」
「……ふぅ。 この辺なら大丈夫かな? ……いやー、さっきはごめんね? 俺が手を振ったばっかりに、訓練中なのに対応させちゃって。 ……大丈夫だった? 怒られてないよね?」
「……大丈夫なのだ! むしろ手を振ってくれなかったら、雪風様はあんたに気が付かなかったのだ! 走って駆け寄ったのも雪風様の意思なのだ! シキカンは何も悪くないのだ! …………むしろ、シキカンはなんでわたしに手を振ってくれたのだ? ……シキカンは。 ……雪風様の事を。 ……知って、いたのだ?」
「え、え~っと? 俺は偶然ね? この重桜基地に【蓮】って人が所属してるって噂を聞いてね? もしかしたら俺の配信を観に来てくれていた雪風ちゃんかな~? と思ってね? 何となく来てみただけというかね? 確証はなかったと言うかね?」
「……それは。 ……それは凄い、偶然なのだ。 ……そんな情報だけで、ここに来るなんて。 ……わたしに、会いに来てくれるなんて。 ……そして、実際に、会えるなんて。 ……そんなの、凄い偶然なのだ。 ……物凄い。 ……幸運なのだ」
「い、いや~!? ホントにたまたま! たまたまだからね!? ちょっと噂を聞いただけだからね!? 雪風ちゃんの容姿も、ちょっと噂で知ってたから、もしかしたらそうかな~って感じで手を振っただけだからね!? そ、そんな大袈裟な事じゃないからね!?」
「………………シキカン。 ……あんたは。 ……あんたは、わたしの。 ……雪風様の、噂を。 ……知ってる、のだ?」
「……え、えーっと? ……う、噂というかなんというか。 ……俺が知ってる噂は、偉大で可愛い雪風様がこの基地に居るかもって事だけなんだけど? ……雪風ちゃんは、この基地でも有名だったりするの?」
「………………シキカン。 ……あんたは、わたしが。 ……この雪風様が、他のみんなから、なんて呼ばれてるのか、知ってるのだ? …………『悪運の強い奴』、 ……『人の運を吸い取る化物』、 ……『仲間を盾にする人でなし』、 ……挙げ句の果てには、『疫病神か死神の化身』……だなんて、呼ばれて、いるのだ。 ……誰も、雪風様の事を、『幸運』な奴、だなんて、呼んでくれないのだ。 ……幸運で無敵な雪風様、なんて言うのは、全部、わたしの自称なのだ。 ……わたしは仲間を盾になんて、した事ないのに。 ……他の人を見捨てるどころか、助けてやったりもしてるのに。 ……敵の弾も、頑張って敵を観察して、危ない場所に行かない様に、避けているだけなのに。 ……本当はわたしに、運なんて、あんまり、ないのだ。 ……本当に運が良かったら、こんな所で、こんな風に、なってたりなんか、しないのだ」
「雪風、ちゃん……?」
「……でも。 ……シキカン、あんただけは違ったのだ。 ……最初は、本当に偶然だったのだ。 ……わたしは、Yongshibeの実況者なんて、普段は殆ど見ないのに。 ……たまたま、ライブ中の画面が出てたから、本当に、気まぐれに、観てみただけなのだ。 ……最初にあんたを観た時は、コイツはヤベー奴だ、としか思わなかったのだ。 ……ホラーゲームなのに、全然びっくりしないし。 ……オフニャなんかを膝に抱えてるし。 ……でも、あんたの反応を聞いている内に、もしかしたら、と思ったのだ。 ……もしかしたら、この人は、わたしの事も、この雪風様の事も、悪く言わないんじゃないかって。 ……あんなホラーゲームのキャラの事も、悪く言わないし。 ……開発者さんにもお礼を言っていたのだ。 ……あんたなら、わたしを。 ……この雪風様の事を、ちゃんと見てくれる、と思ったのだ」
「それは……、まあ……。 ……それで、オフニャコの島配信の時は最後辺りでコメントしてくれてたんだね。 ……喧嘩腰とかで絡んでくる人ならともかく、俺の配信を観に来てコメントまでしてくれてる人達に対して、流石に悪い事なんか言わないよ?」
「……実際、その通りだったのだ。 ……いきなり配信に来ただけの、わたしのリクエストを聞いてくれるし。 ……一緒に、ゲームをして、遊んでくれたのだ。 ……わたしは、あのゲームが、好きなのだ。 ……見た目で差別なんかされないし、助けてあげたらちゃんとお礼も言ってくれるのだ。 ……現実とは、大違いなのだ。 ……ただ、それでも、声が気持ち悪い、とか、お前だけ攻撃が当たらなすぎ、サボっているのか、とかはよく言われたのだ。 ……でも、それくらいの事は言われ慣れてるのだ。 ……今さら、そんな事は気にしないのだ。 ……それよりも、わたしが、誰かの、助けになっているっていう、実感が欲しかったのだ」
「……そんな事無いって! 実際、雪風ちゃんのサポートは、ちょっとぎこちなかったけど役に立ってたしねっ! いっぱいアイテムもくれたし! 正直アレが無かったら最初はグダグダの配信が続いてたと思うし!」
「……シキカンは、本当に、わたしが思っていた通りの人だったのだ。 ……わたしの声を聴いても、気持ち悪いだなんて言わなかったのだ。 ……それどころか、か、可愛い、声……なんて事まで、言ってくれたのだ。 ……わたしの声を聴いて、そんな事を言ってくれた人は、今まで居なかったのだ。 ……正直、ちょっと、動揺してしまったのだ。 ……普段は見せないような、ハイテンションのわたしで、隠すくらいしないと、落ち着けないほどだったのだ」
「……うん、俺はあの時の雪風ちゃんしか知らなかったから、逆に今日の病んでる姿を見てびっくりしたんだけどね? いや、気持ち悪いとかじゃなくて、配信時とのギャップでね? ……容姿は想像してた通りだったから。 むしろ、想像を軽々と超えるレベルだったから。 もう完全に、雪風様なのだ! って感じの、可愛いオーラが出っぱなしだから」
「……ありがとう、なのだ。 ……シキカンは、いつもわたしに、優しくしてくれるのだ。 ……ゲームで少し手間取っても、文句も言わないで、助けたらお礼まで言ってくれたのだ。 ……フレンドカードも、雪風様のカードを、その場限りじゃなくて、ちゃんと消さないで、ずっと取って置いてくれてるのだ。 ……他にも、こんな雪風様の、ずうずうしいお願い事まで、色々と聞いてくれたのだ。 ……雪風様の家来になれ、だなんて、完全に冗談だったのに。 ……シキカンには、わたしの。 ……この雪風様の言葉が。 ……雪風様の気持ちが、ちゃんと伝わってるのを、感じるのだ。 ……伝えたら、ちゃんと、返ってくるのだ。 ……言って欲しかった言葉が。 ……やって欲しかった事が。 ……わたしは、それが、とても、とても嬉しいのだ」
「……うん。フレンドカードなんて1回交換したらわざわざ消したりしないよ? せっかく雪風ちゃんのフレンドになったんだから。それに雪風ちゃんのお願い事って言っても、俺にとってはそんな大した事をしてた記憶はないしね。家来になれってスペチャとかも、逆に面白いリクエストくれてありがとうって感じだったし。 ……そ、そんな大袈裟に考えなくて大丈夫だからね?」
「……そんな事、ないのだ。 ……雪風様とフレンドカードを交換する人は少ないし、交換しても次の日には消えてることが、多いのだ。 ……シキカン、あんたはやっぱり、ちょっと変な奴なのだ。 ……でも、そんな人と、わたしは、出会えたのだ。 ……やっと、出会える事が出来たのだ。 ……これまで、雪風様は、自分が本当に幸運だなんて、信じてなかったのだ。 ……幸運だ、なんて。 ……本当は、陰でわたしが頑張ってるのを、みんなが認めてくれないから、自分で勝手に、言ってただけなのに。 ……でも、シキカンは違うのだ。 ……配信を見つけた時も。 ……一緒にゲームが出来た事も。 ……雪風様のリクエストを聞いてくれた事も。 ……そして、今、ここで、こうしてわたしと、シキカンが、話せている事も。 ……雪風様は何もしてないのだ。 ……本当の、本当に、ただの幸運が、重なっただけなのだ」
「……そ、そんな事は、な、無いと思うけど? ……確かに、雪風ちゃんが俺の配信を見つけてくれたのは偶然だったかもしれないけど。その後はもう完全に雪風ちゃんの意思で、俺の配信を観に来てくれてたんだから。 ……ここで会えたのも、もしかしたら実際に雪風ちゃん達と会えるかもって、俺が思ったから来ただけだしね」
「……それでも、すごい幸運なのだ。 ……わたしがこの基地じゃなくて、他の基地に居たかもしれないのに。 ……今日は休暇を取ってたかもしれないのに。 ……演習じゃなくて、セイレーン討伐に出撃して、この基地に居なかったかもしれないのに。 ……本当に、今の雪風様は幸運なのだ。 ……こんなに自分の幸運を実感したことは、今までなかったのだ。 ……たぶん、今日が。 ……シキカンに出会えた、この日が。 ……この雪風様の、今まで頑張ってきた、全ての運が、集まって来ている日なのだ。 ……今日を逃したら、もう、これ以上の幸運なんて、やってこないのだ。 ……この、雪風様の気持ちを伝えるには。 ……雪風様のお願い事を聞いて貰うには。 ……今日、この日しか、あり得ない……のだ」
「……え? ……えっと? ゆ、雪風サン? そ、そんなに意気込んで、どうしたのかな? いや、俺も雪風サンの事を助けてあげたいとは思ってるけど? 出来る限り力になりたいと思ってるけど? ……で、でも、あ、あんまり凄いお願い事とかは、か、叶えられないと、思うけどな~?」
「……大丈夫、なのだ。 ……シキカンにとっては、簡単な事なのだ。
……このわたしを。 ……雪風様を。 ……どうか、シキカンに。 ……貰って欲しい……だけなのだ。
……ずっと、シキカンと。 ……一緒に居させて欲しい……だけなのだ。
……今までは、ずっと、我慢して居たのだ。 ……シキカンと一緒に遊べるだけで、自分は幸運なのだって。 ……これ以上の幸運なんて、望んだらダメなのだって。 ……でも、もう、ダメなのだ。 ……直接、こうやって会ってしまったら、もう、我慢できないのだ。 ……今日を、逃したら、絶対に、ぜったいに、後悔するのだ。
…………シキカン! お願いなのだ! ……このわたしを! 雪風を! ずっとシキカンのそばに置いて欲しいのだ! ……その為ならなんだってするのだ! シキカンの迷惑にならない様に、一杯、いっぱい、頑張るのだ! こんな、雪風の、全然役に立たない幸運なんかも!! 全部!! ぜんぶっ!! シキカンにあげるのだ!!!
……だから!!! シキカン!!! お願いなのだ!!!
……こんな雪風と!!! わがままなわたしと!!! ずっと一緒に!!! 居てください!!!!!
……………………なのだぁ。
……………わぅ。……わ“ぅ”ぅ“! わ“ぅ”う“う”う“う”う“う”う“!!!」
「ぐっほおおおおおおおおおお!?!? ゆ、雪風サン!? いきなりタックルしな……痛たたたたた!? ぐわあああああ痛い痛い!? 雪風サン!? ちょ、落ち着いて!?
抱きついてるつもりだろうけど!? もはやサバ折り状態だから!! このままだとお願い聞く前にシキカン死んじゃうから!!! 取り合えず力緩めて欲しいのがあああ!?!?! 雪風サンにするシキカンの最初のお願いだから嗚呼ああああ!!?」
「わ“ぅ”う“う”う“う”うう“う”う“う”う“!! わ”ぅ“う”う“う”う“う”う“う”う“! ……わぅうう。 …………わぅ」
「よ~~~しよしよし。落ち着いて~~。大丈夫だからな~~。そんなに強くサバ折らなくても俺は逃げないからな~~。 ……うわ~、ケモ耳モッフモフだな~~! でも触り心地抜群だな~~! すっごいサッラサラだし! 雪風様はやっぱり凄いな~~! 尊敬しちゃうな~~!」
「……わぅぅぅ。 ……そんなに、頭を撫でないで欲しいのだ。 ……物凄く、くすぐったいのだ。 ……シキカンはわたしの、この雪風様の、一生に1度しか言わないお願いをちゃんと聞いていたのだ? ……はぐらかすなら、いくらこの雪風様でも、承知しないのだ!」
「……痛たたたた!? ……聞いてた、聞いてたよ! ものすっごい魂の叫びみたいな告白みたいな何かを! ……でもなぁ。 ……なんか雪風ちゃんも、同じそうなんだよなぁ。 ……人との関係が圧倒的に足りていないというか、なんというか。 ……俺と一緒にいるだけで解決出来そうなら良いけど、そうでも無さそうなんだよなぁ」
「……何を言ってるのだ? ……雪風様はシキカンさえ居れば満足なのだ。 ……それ以上を望むなんて、いくら雪風様が幸運でも、叶うはずがないのだ。 ……神に逆らうレベルの事なのだ。 ……シキカン、あんたは、雪風様と一緒に居るのが。 ……いやなのだ?」
「いやいや! 雪風ちゃんと一緒に居るのが嫌なわけないよ!? むしろバッチコイやぁ! ナンボでも相手してやるけん! みたいな感じだけども! ……でも、俺だけじゃぁなぁ。 ……ちなみに、雪風ちゃんは仲が良い人は居ないの? たとえば、この基地内とかに」
「……そんなの、居るはずないのだ。 ……わたしはこの基地内でも、かなりの嫌われ者なのだ。 ……仲が良い人どころか、たまに話す人さえ、殆ど居ないのだ。 ……わたしも、もう自分から話しかけようとかなんて、思ってないのだ」
「……そうか~。 ……じゃあまず、雪風ちゃんのお願い第1弾は、この基地で仲が良い人を見つける事からかな~。 ……まあ、でも、丁度良かったかな! ……よし! 雪風ちゃん! ちょっと待ってて! これから俺の友達をここに呼ぶから!」
「……な、なんなのだ!? ……シキカンの友達!? ……シキカンはこの基地に初めて来たんじゃないのだ!? もう知り合いがいるのだ!? ……や、やめるのだ!! ……そ、そんな人を呼んでも、きっとわたしの事を悪く言うだけなのだ!! シキカンも、わたしも、その人も、みんなが傷つくだけで終わるのだ!! 残念な結果なのだ!!!」
「う~ん、たぶん大丈夫だと思うけどな~。取り合えず呼んでみるよ。 ……え~っと、綾波ちゃんの番号は……これか。よし、ちょっと電話かけるから待っててね~。 ……【プルr『はい綾波ですシキカン大丈夫ですか今行くです直ぐ行くですどこに居るです』 ……はやっ!? ……まあすぐ来てくれるのはありがたいけど。 ……え~っと、ここは綾波ちゃんと今朝別れた門から、ちょっと離れた日陰になってる所n「来たです。シキカン、大丈夫ですか。何かあったですか。綾波に出来る事ならなんでもするです」 ……だから早いって!? もうなんなの!? 綾波ちゃんは忍者なの!? 縮地とか出来る系なの!? 綾波ちゃんもしかしてずっとそばに居たりしてたの!?」
「……ここからは少し離れていましたが、シキカンに何時呼ばれても良い様に、休み時間はずっと待機してたです。綾波は通信を聞き逃す、なんて事は、もう絶対にしないです」
「……あ、ありがとうね? でも休み時間は休憩取ろうね? 待機とかしてなくて良いからね? そんなに緊急な連絡をするなんて殆どないからね?」
……ううむ、綾波ちゃんの迅速すぎる行動で話が逸れたぞ。まあ、ありがたかったけど。
「……えーっと、綾波ちゃんはこの娘のこと知ってる? この娘は雪風ちゃん、というか蓮ちゃんなんだけど。俺の配信で一緒にセイハンHやった娘なんだけど。 ……覚えてる?」
「……この人が、シキカンの配信で一緒にゲームで遊んだ、蓮さん……ですか? たしかに、この人は、この基地に所属している蓮さんで合ってるですが。 ……基地に居る時は、雰囲気が全然違うですよ?」
「え~っと。 ……この娘も綾波ちゃんと同じで、基地に居る時はしゃべらなかったと言うか、なんか除け者にされてたと言うか。 ……兎に角、この雪風ちゃん……蓮ちゃんは、綾波ちゃんと遊んだあの娘で間違いないよ? 話してみた感じ、俺の配信に参加してくれてた娘で間違いないみたいだし」
「……そうですか。 ……綾波も、基地内での交流は殆ど無いので、あの蓮さんだったとは気づけなかったです。 ……蓮さん、まともに話すのは、初めまして……です。 ……私は綾波、シキカンの配信では柚と名乗ってた……です。 ……あの配信では、蓮さんにも、とてもお世話になった……です。 ……綾波と友達になってくれて、ありがとう、です」
「……あんたが、あの配信で一緒に遊んだ、柚だったのだ? ……確かに、そんな名前の奴もこの基地にいたのだ。 ……でも、本当に、あの柚だったなんて。 ……雪風様には、信じられないのだ」
「綾波ちゃんはあの柚ちゃんで間違いないよ。配信の内容も全部知ってるしね。今日もこの綾波ちゃんにこの基地まで案内して貰ったんだしね。基地を見たいって言ったのは俺なんだけど」
「……シキカンと柚は知り合いだったのだ? ……配信だけの仲じゃなかったのだ?」
「……え、え~と? ……柚ちゃんも昨日、俺と偶然? いや必然? 的な感じでバッタリご対面したというか? それでオハナシし合った仲というか? やましい仲ではないというか? ……ほら俺配信で顔も出してるしね? ご対面したら流石にわかるよね? 雪風ちゃんも俺を認識したらマッハで駆け寄って来てくれた位だしね? ……まあでも、ここまで来れたのは綾波ちゃんのおかげではあるけどね?」
俺1人だと、電車の中でオシクラオフニャンされて潰されるまであったからね。
「……柚が、シキカンを、ここまで連れて来てくれたのだ? ……柚のおかげで、わたしはシキカンと会えたのだ?
…………柚っ! ……わたしにっ! この雪風様にっ! 本当の幸運を運んできてくれたのはあんただったのだ!? ……それなら雪風様はあんたに感謝するのだ!! ……わたしと、シキカンを!! 今日、この日に、出会わせてくれて!! 本当にありがとうなのだ!!!」
「……いえ。 ……綾波は、シキカンが案内して欲しいと望んだから、ここまで連れてきただけ、です。 ……何も特別な事はしていない、です」
「……柚は、この雪風様が蓮だった事を聞いても、嫌いにならないのだ? ……この基地に居るのなら、雪風様の評判くらい、聞いてるはずなのだ。 ……ここは、ネットやゲームの中じゃないのだ。 ……偉そうにしてても、実際は、こんなに酷い容姿で、みんなからも蔑まれる存在だったのだ。 ……それなのに、なんで、お礼なんて、言ってくれるのだ?」
「……? ……蓮さんの噂、ですか? ……すみません、です。 ……綾波はこの基地でも、殆ど1人で行動してるですから。 ……正式な業務連絡ならともかく、噂とかは、綾波には届かない、です。 ……有名な人だったら、申し訳ない……です。 ……容姿の方も、特に気にはならない、です。 ……容姿については、綾波もあまり人の事は言えないですし。 ……それに、酷い容姿にいちいち驚いて、嫌っていたりなんかしたら、シキカンの配信をまともに見れない、です。 ……綾波はもう慣れた、です。 ……蓮さんこそ、綾波の容姿を見て、驚いたりしないのですか? 綾波は配信内で、みんなに、あんなに迷惑をかけてた……です。 ……それなのに、容姿も、実際はこんなに酷い……です。 ……蓮さんこそ、綾波を嫌って当然なはず……です」
「……そんな事、ないのだ。 ……たしかに、柚の容姿も、この雪風様と同じくらい、アレなのだ。 ……でも、柚は、この雪風様を見ても、何も悪口を言ったりしてないのだ。 ……それどころか、助けた事に感謝すらしてくれたのだ。 ……そんなあんたを、この雪風様が嫌うなんて事は、絶対に無いのだ!」
「……そう、ですか。 ……そう言って頂けるなら、綾波は嬉しい……です。 ……蓮さんも、綾波の大切な友達、です。 ……綾波が周りの迷惑を考えずに暴走して、ゲームで負けて落ち込んでた時も、コメントで綾波の事を励ましてくれてた……です。 ……そんな蓮さんが、こんなに近くに居たなんて、綾波は気付けなかった……です。
…………蓮さん。 ……もし、良ければ。 ……この綾波と、こっちでも、友達に、なってくれます……ですか? ……ゲームの世界だけじゃなくて……現実の世界でも。 ……そうしてくれたら、綾波は。 ……此処でも、もっと頑張れる気がする……です。 ……どう、ですか?」
「……そんなの、お安い御用なのだ! この偉大な雪風様が、慕ってくれてる家来を無碍にするなんて、そんなのする筈ないのだ!
……柚っ! あんたも今日からこの雪風様の家来……、じゃないっ! ……わたしの大切な友達……なのだ! 今日からこっちでも、よろしくするのだ! 何かあったら、いつでもこの雪風様を頼るが良いのだ! 偉大な雪風様の幸運をあんたにも分けてあげるのだー! ハッハッハー!」
「……良かったです。 ……配信の時の蓮さんです。 ……蓮さん、これからもよろしくお願いするです。 ……蓮さんと一緒なら、綾波は、シキカンと離れている時でも、少しは大丈夫になるはず……です。 ……ありがとうございます……です。
……シキカン、ごめんなさいです。 ……蓮さんとかなり長く話し込んでしまった……です。 ……シキカンは綾波に何か用事があったですよね? ……どんな用事か、まだ聞いていなかったです。 ……蓮さんと、何か協力してやる事でもあるのですか? ……それなら、綾波は頑張る……です。 ……任せて欲しい……です」
「……え、え~っと。 ……俺は取り合えず、2人を出合わせてみればなんか上手い事行くんじゃないかな~って思って、綾波ちゃんを此処に呼んだだけというか。 ……険悪な雰囲気になりそうなら、間に入って仲裁しようかな~ってくらいには考えてたんだけど。 ……なんか予想以上にスムーズにいったと言うか、なんというか。 ……凄いね、2人共」
……こんな環境なのに、なんか物凄い誠実というか、心が真っ直ぐというか。まあちょっと病んじゃってたのは仕方ないとしても。
……俺だったら絶対心が歪みそうな環境に居たのに、そんな事を言い合えるなんて。なんなの? 2人共実は天使なの? いやこっちでは天使は悪口なのか?
……なんなの? 2人共実は魔人なの?
「……そんな事無い、のだ。 ……シキカンが柚を紹介してくれなかったら、雪風様は絶対この娘があの柚だなんて、気づかなかったのだ。話しかけようとすら思わなかったのだ。 ……雪風様はそんなに良い奴じゃないのだ。シキカンは雪風様の事を買い被り過ぎなのだ。猫に小判なのだ」
「……綾波も、そんなに良い子ではない、です。 ……自分が大切に思っている事を傷つけられそうになると、しょっちゅう周りが見えなくなる……です。 ……でも、シキカンが、綾波の事をそう想ってくれているのなら、綾波は嬉しい……です。シキカンの理想の綾波に近づけるように、これからも、もっと頑張る……です」
「……う、うん。2人共自分に自信がないのは相変わらずか。 ……まあ性格が歪んでないなら、これもその内元通りになるのか……な? ……兎に角! 2人がこっちでも友達になれて良かった! これからは基地であんな能面みたいな表情してたらダメだからね!? アレは俺でも精神に来るレベルの表情だったから!」
「……シキカン、ありがとうなのだ。 ……本当は、わたしが、雪風様が、シキカンのために何かをしたかったはずなのに。 ……また、シキカンに助けられたのだ。 ……シキカン! あんたから貰った、この借りは絶対、ぜったいにいつか返すのだ! どんなに借りが大きくても! どんなに時間がかかっても! この雪風様は、借りを返さないなんて事はしないのだ! だから、シキカン!! それまであんたは、絶対に、この雪風様の前から居なくなってはダメなのだ!!
……約束、するのだっ!!!」
「……うわっ! 雪風ちゃん!? いきなり飛びつかないでね!? 俺もそんなに体格良くないからね!? 勢い強いとコケちゃうから!! ……わかったわかった! 大丈夫大丈夫! 俺は雪風ちゃんの前から居なくなったりしないから! 俺の家からここまで直ぐに来れるって事はわかったしね! なんなら俺の家にも何時でも遊びに来て良いくらいだから! だからちょっと落ち着こうか!?」
「……ッ!?!? シ、シキカンの家に遊びに行ってもいいのか!? ゆ、雪風様が!? ほ、本当に良いのだ!? ほ、他の人の家に、遊びに誘われるとか、雪風様は一度もないのに!?」
「お、おっけーおっけー! 大丈夫だから! 俺は何時でも大歓迎だから! まあ流石に寝る時間は欲しいけど、現状ほぼニートだしそんなの何時でも取れるから! 雪風ちゃんも綾波ちゃんと一緒に遊びに来て良いからね!? ……えっと、綾波ちゃんもそれで良いかな?」
「………………はい、です。 ……シキカンと、2人きりの時も良いですが。 ……みんなと、一緒に遊ぶのも、綾波は好き、です。 ……蓮さんと一緒なら、この先もきっと楽しくなるはず……です。蓮さん、これからもよろしく……です」
「シ、シキカン……! ゆ、柚も……! ……ありがとうなのだ!! ……わたしも! 雪風様も! ずっとみんなで、こんな風にしたかったのだ!! こんな風に、遊ぶ約束とかをしてみたかったのだ!! ……今日はやっぱり、雪風様が想ってた事が、全部叶う日なのだ!! やっぱり、今日が、わたしにとって一番幸運な日なのだ!! シキカン!!! 柚っ!!! 本当に、本当にありがとうなのだ!!!」
「……おおう! なんだかこっちの雪風ちゃんは幸運の閾値が物凄く低いみたいだなー。 ……でも! 今日からは違うからね! 今日までの幸運なんて、逆に不幸だったんじゃないかって思わせる位には楽しく過ごそう! ……まあどんな事しようかはまだ何も考えてないけど。 ……2人共、これからよろしくね!」
「……シキカン、蓮さんも。これからもよろしく……です。 ……みんなで、一緒に、いっぱい、遊ぶです。綾波も、楽しみにしてる……です」
「……遊びの事なら雪風様に任せるのだ! いっぱい、いっぱいやってみたい事があるのだ! みんなと一緒に、沢山遊んでみたい事があるのだ! これから、思う存分、やってやるのだ!! シキカン!! 柚もっ!! これからも、ずっと一緒なのだ!!!」
「……よし! じゃあまずは、この3人でリアル友達同盟結成だ! この調子でどんどん増やしていくぞー! みんな一緒に頑張ろう! えい、えい、おー!!」
「「えい! えい! おーーー!!」……です」
あーくろいやる:駆逐艦ばんざああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!
……お前の席はねえからああああああああああああああ!!!!!
綾波と雪風がリア友になりました。