Joker-Angel Ripper   作:萬三昧

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【邂逅、そして異常】

202x年、春。その日日本では祝福の星と呼ばれた流れ星が流れた。

突如流れた緑色の流れ星。

その光を見たものは翌日、小さな幸運に恵まれた。

落ちていた100円を見つけたり、不仲だった友人と仲直りしたり、少しだけ、スーパーが値引きした上にスーパーの利益が少しその日は増えたり……と、

海桜奏(みざくらかなで)、その少女もそんな幸運に恵まれたごく普通の少女だ。

黒髪の少しだけ天然のウェーブがかかった小柄な少女だ。親は海外移動で、実質ひとり暮らし、趣味は音ゲー、特技はローラースケート。そんなありきたりな少女に降りかかった幸運は。

クジで1000円当てたこと。それだけだ、いや、小さい幸運にしては大きいものか、とにかくその翌日、いつも自炊で音ゲーの機器や音ゲーに当てるための金を少しでも作ろうとしていたが、たまにはと思いファミレスで夕飯を食べた。その帰りだった

「ふは~……♪」

音ゲーを食後に満喫し帰路へ着く。昨日と違い少し雲がかかっているのを除けば素晴らしい一日だったと悦に浸る。

「む~……しかしデニムはどうしても嫌いだなぁ……うむ、そのデニムこそ我の糧とか言ったやつ、出て来い」

と、やはり音ゲーの愚痴を漏らしながら歩く。

「だいたい弐寺って、あれなのよね~……BMSと違って独特の空気があるって言うか……」

と、ボヤきながら歩くとービチャ……

と、音が。

水溜まりにでも足が触れたのかと思い見ると、

【ドス黒い赤い液体が奏の足を染めていた】

「……ぇ……?」

今まで悦に浸っていた態度とは一転、緊張半ば生理的恐怖が身体に走る。それ以上いくな、それ以上いくなと本能がブレーキをかける中、本能が足を掴んで動かす……そんな矛盾した感覚に陥りながら……歩みを進めた

ー結果がどうだ、人が倒れていた

人が倒れていた血を「え……」出して人が倒れていた

人が倒れていた「う……」血を出して

ドス黒い血を出して死に絶えた「あ、」ように人が倒れていた

16歳の奏よ「ああ……」り幼そうな子が「あああ」血を出して倒れていた

髪の緑色と「あああ」累色である赤「ああああ」色の液体をまき散らして倒れていた。

今にも死にそう「ああああ」な身体で横に「あああああ」倒れていた

最後の望みを見たように緑髪の少女が倒れ「ああああああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁあああーーーーーーーーーーーー!!ーーーー!!ーーー!!ーーーーー!!!!!!!!」

非日常な光景に認識がようやく追いついた。生理的に嫌悪する生臭い鉄のような匂いが鼻腔を刺激した。本能が嫌悪を示した。内臓をを動かした。トマトやレタスや肉の塊が踊り狂い外に出ようとした、口を抑えて堪えた。堪えた、堪えた堪えた。堪えきった。

……目を閉じて嘘だと信じたかった。しかし真実を目は捉えてしまった。ショックが脳に染み込んだ。覚えてしまった。消せない。

………………

幾許かの時を経た。体感にして1時間、1日……1年……長く長く、感じ取れたが、それでも、視界の隅に入る夜空がそれほど時を経ていない事を奏に伝える。

「は……ッッ……は……ッッ……は……ッッ……」

溺れた子供が必死に水面に顔を出して醜くもがいて酸素を求めるように荒い呼吸を2、3度する。

「なに……なんなの、よ……これ……ッッ!?」

しかし、パニックが今度は訪れる。自らを見失わないように、言葉に口にしたが、答えはどこからも聞こえなかった

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っぷ…!」

パニックが落ち着こうとすればにおいでまた吐き気が戻りパニックになりかける。再び口に手を当てて格闘。

下を向き声にならない声を出しながらどうにか落ち着かせる。

「きゅ、きゅうきゅう、救急車…そうだ、救急車!!」

慌ててカバンの中をひっくり返しスマホを取り出す…が、

「何でよ、何で繋がらないのよっっ!?」

ガタガタと手を震わせながら119,119と何度も打っては発信、打っては発信を繰り返すも、呼び出し音どころか通話中の音も出ない、無音なのだ。

スマホ本体の音を最大に変更しても意味がない

「…ど、どうすんのよ、どうするのよこれッッ!!」

またパニックに陥りかけるがはっ…、はっ…という焦りから出る浅い息の音が何とか最後の頼みの綱を握っているかのように奏の理性をつなぎとめている。

だが…

―ガキィィィィィンッッ!!という甲高い金属音が地面を揺らす振動とともに奏の耳に背後から勢いよく入る。

「ひっ…!?」恐る恐る見ると、短剣が一振り地面に突き刺さっていた。黒色の握りに赤の鍔が装飾されたところ以外は何の変哲のない銀色の刃を持った短剣である

 

 

「…な、何よ、こ、これ…!?」

恐る恐る振り向いてゆっくりと短剣を地面から抜く、運が良いのかそこまで深く刺さってはいなかったので簡単に抜けた。

 

「…ま、まさか」

ここで奏はある一つの最悪の可能性を考え付いてしまう

―これは目の前に深手の傷で倒れている少女に傷をつけた張本人からのメッセージ、【立ち去らねば殺す】と、いう。

そんな考えを思いついた時だった

「いたぞ!!」

という男の声が【頭上から】聞こえた

「え…?」

空を見るとそこには、十人ほどだろうか…まず、一様に同じ白色の甲冑で顔を隠しているのに目が行く…そして最大の違和感、背から明るい黄色の羽をはやした集団が一様に同じデザインをされた槍を持って、フワフワ…と、地面からちょうど一軒家の二階くらいの高さに浮遊していた

「な、何よ、何なのよ、いったい何なのよ!?」

驚きに目を丸め恐れるように焦点が合っていない目で奏は集団を見つめる。

だが次の瞬間、-パァンッッ!!と空気がはじけるような音を出したのに気が付いた時には

―ドォォォンッッ!!轟音とともにブロック塀に地面に体が埋まっていた

「かはっ…」

喀血の様に切れた唇から血を撒き、肺の中に納まっていた空気がすべて吐き出された。

「…」

あまりに突然のことで何が何だかわからない。やがて意識をやけでも起こしたような靄がかかった感情とともに手放そうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿者!!」

と、集団のリーダー格らしき人物が光撃の魔法を打ったメンバーを叱責する

「で、ですが、あのままではガブリエル様は襲われていたのかもしれませんよ!?」

「…まぁ、いい。ひとまずはこれを使って早く傷を癒させなければ…」

そういうと虹色に光る小さな極小の粒を緑髪の少女の傷、その一番ひどい背中に当てる。すると一瞬のうちに傷は癒え数瞬のうちに目も覚ました。

「ご無事ですか、ガブリエル様…!?」

そう安堵したかのように話すリーダー格のメンバー

だが少女は

「あ、ああ…」

「?が、ガブリエル様?」

「い、嫌!来ないで、来ないで、殺さないでッッ!!」

パニックに陥ったように手を左右に振って逃げ出そうとする

…そう、見ていたのだ。駆け寄った少女がいた事を、その少女が自身のために手を施そうとしていたのも、その少女が吹き飛ばされていたのも、それ故に目の前の集団を敵と思い逃げ出そうとする、が。

「お待ちください!!」

と、リーダー格の人物が手をつかんで動きを抑える。

「隊長!!」

「くっ、まさか予見が的中するとは…仕方あるまい、今一度眠ってもらうしかないな」

「では、あれを…?」

「ああ、麻酔を…」

と、やり取りをしたのち別のメンバーが取り出したのは小さな注射器

「あ、や、やぁ…!!」

「ガブリエル様、申し訳ありません…今はお休みに…!!」

そう言い注射器を少女の首筋に当て薬を流し込む瞬間だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―轟ッッ!!という爆発のような音と共に注射器は粉々に、そして注射器を打ち込もうとしたメンバーの腕が飛んだ

「あ、がぁぁぁぁあぁぁああああああああああああ!!」

のたうち回り、腕があった場所を抑えるメンバー。その脳天をーグシャァッ…!!という音共に衝撃が走る

―バタッ、という音共に倒れこんだメンバーの一員は意識を失った

「き、貴様あああああああああ!!」

睨みつけんとばかりに甲冑の集団が槍を中腰に構える

「あ…。っ!!」

一方緑髪の少女は驚きとそしてかすかな希望を見つけたように、凶刃を放った張本人を見張った

 

 

そこにいたのは、先に落ちたナイフを持ち先の返り血を顔に少し浴び、煌煌と紅い煉獄のような炎を体現したような目で甲冑の集団を睨む、奏だった   

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