その後もちょくちょく遭遇したが、イタすぎるので無視していた。
俺も随分と腹が立って、誰もいない放課後に問い詰めようとしたが幼馴染が迎えに来た。
というところから始まります。さっと読めます。
…………他に何を書けばいいのでしょうか。
「ねぇねぇ、起きて~っ!」
放課後、机に突っ伏していると、何者かに声を掛けられた。と言っても、このクラスで俺に話しかける物好きは一人しかいない。
「ほら起きて! 早く帰ろ~よ~!」
それにしてもうるさい。こんなバカみたいに大きな声を出して疲れないのだろうか。それとも、バカは疲れにくいのだろうか。脳筋って言うものね。
『おい、答えなくていいのか?』
……何でコイツがまだ居るんだ。
『てゆぅかぁ……お前さっきクラスでぼっちだって言ってただろうが嘘ついたのかあぁぁん!?』
「ねえ早く帰ろうよ、ねえねえ」
『おい、さっきの言葉は嘘だったのかよぉっ!』
「起きてるんでしょ? ねえ無視しないでねえねえ」
「うるせえええええええええええええええええ!!」
俺はキレた。たぶんメロスもこんな気持ちだったのだろうか。知らんけど。
「人が気分よく寝てんだから静かにしろやあああああああああ!!」
思わず声を荒げてしまったが後悔など微塵も感じない。むしろ溜まっていたものを出せてスッキリした。……いや、アレな意味ではなく。
「やっと返事してくれた! 早く一緒に帰ろ!」
「お前はどんだけ俺と帰りてえんだよ……」
いや、一緒に帰ってくれる人が居るだけでありがたく思うべきかもしれないが、このバカにも人間関係というものがある。
こいつはバカだが良い奴でもある。友人も多い。……だから、たかが幼馴染の俺と一緒にいるよりも、友人と一緒に買い食いとかして友情を育むのが、このバカの為にもなるのだ。……少し寂しいが、俺なんかに構ってコイツまでぼっちの道を歩んで欲しくはない。
『急にビックリさせんなよ! 驚きすぎてショック死するところだったわッ!』
いやお前、自分で幽霊名乗ってたじゃねえか! ……まあ、ウソなんだから当たり前か。一瞬でも信じた俺がバカだった――いや、このバカと同列は嫌だな。
とにかく、コイツは初めて会った時から幽霊だの記憶喪失だのほざきやがる変人で、こいつも俺に付きまとってくる。確かに幽霊みたいな白い肌だし、頭に変な白いの付けてるけど、制服着てるし足もあるから幽霊なわけがない。……カギカッコが違う? 何だそれ。
「そもそも何でお前はここに居るんだよ。クラス違うだろ? 流石に俺でもクラスメイトかどうかはわかる。ぼっちだからな!」
「……え? いや私同じクラスじゃん! ひどいよ!」
……いや、お前に言ったわけじゃねえよ? この自称幽霊に言ったんだよ?
「そもそも、ぼっちじゃないじゃん! 私がいるじゃん!」
いや、だからお前のために……仕方ない、このバカのためにも、はっきり言わなくては。
「このクラスに友達なんていねえ! 俺はぼっちだッ!!」
ここまで毅然とぼっち宣言をするのは何か少々悲しい気もするが、気にしたら負け、というヤツだろう。っていうか、俺はお前に話してたわけじゃねえんだよ!
「で、お前は別のクラスの筈だ。さっさと出ていけ」
『この前から散々説明してるだろ! いい加減信じろよ!』
「わ……私は友達じゃない……それって、こ、こいび……」
残念だな、俺は自分とドギ◯マンしか信じねえんだ。悪いな。
あとバカは何で顔紅くしてんの? バカだから理解するのに時間がかかって知恵熱出た?
「ゆうれいなんてかっこいいねすごいすごい」
『お前マジで呪うぞ』
おうおう、やれるもんならやってみな。ゴーストタイプ以外ののろいなんて怖くねえよ。
とりあえず、この手の変人はまともに話し合うことだけ無駄とわかった。バカも静かになったし二度寝でも……
「さっきから誰と話してるの?」
「は?」
「え?」
何言ってんだこいつ。まさか本当に幽霊で、俺にしか見えないとでも? んなわけねえだろ。少し背筋がゾクリとしたが、先日から肌寒い感覚がちょくちょくあった気もする。
……な、ないよな?
「だ、誰って言っても、ここにいつこいつしかいないだろ」
「私には何も見えないけど……幻覚? 薬でも使ったの?」
そうそう、薬物乱用で幻覚と幻聴が……ってバカヤロウ。そこは疲れてるの? ではないだろうか。まあ、さっきまで寝てたんですけどね。
『な? これでわかっただろ?』
そう言って勝ち誇った笑みをむけてくる自称幽霊。ぶん殴ってやりたいが、こんなところで問題を起こしてはいけないし、目撃者もいる。抑えろ、俺。素数を数えて落ち着くんだ……0って素数?
『いい加減認めちまえよ~、このこの~』
うぜえ。
「わかったわかった、そういうことにしといてやるよ」
「……」
さすが俺、優しさの体現者である。
だが、なぜこいつはこんあに幽霊にこだわるのだろうか。どうせなりきるならもっと格好いいのがあっただろうに。
そして、なぜ幼馴染のバカはそんな眼で俺を見るのだろうか。そんな、哀れなものを見るような眼で……
「……病院、行こっか……!」
するとすぐに携帯を取り出し、誰かと話し始めた。……親御さんかな、でも敬語だしな。それに覚せい剤とか幻覚とか言ってる。ははは……
「…………は?」
十五分後、ずいぶんとリアルなタイミングで、バカによって教室内に隔離されていた俺を救ったのは救急隊員だった。
俺は初めて、救急車に乗った。
『おいお前、何か言えよ! 誤解とか何とか!』
「ジャ◯プって結構幽霊系多いよね。あ、ミ◯マ好きです」
『何かって何でも良い訳じゃねえよ』
次回(ない)「キレイなピンク色ですよ」 お楽しみに。
この作品を楽しんでいただけたのなら、それは僕の手柄ではありません。
そして、この作品をイマイチと感じたのなら、それは僕のせいではありません。
原作(友人)のせいです。