では、どうぞ
「───だーかーら、あの時はゴメンってメリー」
「…全く、蓮子は一人でどんどん進んじゃうからいつもこうなるんじゃない」
夕方の大学のとある空き部屋。私、宇佐見蓮子とメリーことマエリベリー・ハーンは二人だけのオカルトサークル、秘封倶楽部に所属している。余り活動をしていないから周りからは不良サークルって呼ばれてるんだけど実はそうじゃない。秘封という意味は人に見られないよう厳重に封じ込めること。活動を公開しないということ。つまり活動をしていないようでしているんだよね。
活動の内容を話す前に私たちの秘密について教えておきましょうか。まずは私、宇佐見蓮子は月や星を見ることで今いる場所と時間を知ることの出来る程度の能力を持っている。
そして相方のメリーはこの世界の境目が見える程度の能力を持っている。境界と言ってもどこに繋がっているかは分かってない。だからその境界を暴くための活動をしているのだ!どう?世界の秘密を私たちだけが暴くってワクワクしてこない?え?メリーの言ってることは嘘なんじゃないかって?ないない。私はメリーを信じているし実際に境界の中に入ったこともあるんだから!…でも初めは結構おかしな子なのかなと思ったけど。
…で、この間とある墓場に行ってきたんだけどなにしろ私のテンションが上がっちゃってメリーを置いて先に行ってしまったから今この状態なんだよね。いつもそうなってしまうから次は気をつけないと…。
「本当に次は気をつけるからさ、今回は許してよ~」
「…もう、そんなこと言ってまたやらかして私がいなくなっても知らないわよ?」
若干本気じみた言い方だ。メリーは最近夢の中で境界を操る人がメリーを呼び、その瞬間境界の中にいるような空間に放り出される。それが毎回続くのでたまに夢の世界と現実の世界がわからなくなってしまうこともあるらしい。だから私がここが現実の世界だと分かるように夢の話を毎日聞いているのだ。
そんなことをやっていると私もメリーがいなくなったらどうしようとかを考えてしまうことがあり、とても不安になるときがある。メリー、心配しなくていいよ。ここが現実であり、私たちの居場所なんだから───
だからこそ、私たちは居場所を本当のものとするために境界を暴かなくてはならない。やるしかないんだ。
「だーいじょうぶ!メリーがいなくならないようにこの蓮子さんがいるんじゃないの!」
正面に向かい合いメリーの両肩に手を置いて私は笑顔で言った。
「既に言ってることとやってることが矛盾してるわよ?」
「ま、まーまー、そこは次にちゃんとするからさ」
「ふふっ冗談よ。ま、期待してるわね、蓮子さん」
なんとかお許しを得たね。ふー。さてと、次行きたい場所の説明を…っと
「───でさ、次行きたい所なんだけど、ここにしない?」
鞄から一枚の写真をとりだしメリーに見せる。
「…!」
途端にメリーの顔が強張った。一瞬の驚きはあったが少し考えれば検討がついた。一応理由を聞いてみる。
「メリー、どうかした?」
「蓮子、これ…写真の時点ですごく大きな境界が見えるんだけど…」
実は私もこの写真を見た時点で分かっていたことなんだけど…自分にも見える境界は初めてなので確認をとったのだ。一応ね。
「やっぱりそうなのね…間違いなかったわ」
「え、蓮子にも視えてるの…!?」
「…ええ。これを最初に見たときは本当に驚いたし何かの間違いじゃないかとも思ってあえて何も言わないでいたの。でも毎日その写真を見ると…」
「見ると?」
「…写真の空間が少し歪んだり境界の形が変わったりしてさ。…流石に怖いと思ったよ。メリーにはいつもこんな物が視えていると考えたら恐ろしくて…」
「蓮子…」
「でも、この大きな境界を暴くことでメリー、あなたにここがはっきりと現実だと思えるようになってほしいの。ほら、私たちで共有出来るものも増えるかもしれないしね」
「…そうね。この世界の秘密を暴かないとこのサークルの意味もなくなるしね。でも蓮子、この境界は今までとは全く違うわ。危ないと思ったらすぐに逃げましょう。もしかしたら怪我をするかもしれないわ」
「分かってるよ。最善の注意はする。でも出来るだけのことはしようと思うわ。それでオーケー?」
「それでいいわ。行きましょ。…でも今度は一人で行かないでよね」
「よし決まり。決行は来週の日曜日ね」
ふと窓の外を見上げた。外は既に暗くなりはじめていた。夕日の近くで一番星が輝いている。…18時5分か。
「話し込んでいたらもう暗くなるわね。帰ろうかメリー」
「そうね。このことはまた明日話しましょう。いろいろ考えないといけないし」
そう言って二人は席を立ち、空き部屋を出て校内を歩いていく。
「あっ…!蓮子、忘れ物しちゃったからとりにいつてくるわ」
「メリーにしては珍しいねー。ま、了解、私はここで待ってるよ」
メリーは軽く急ぎ足で部屋にもどった。忘れ物をとり、また部屋を出ようとする。……その時だった。
…ハヤク、オイデ……
「……えっ………?」
メリーは恐ろしさのあまり全力で走った。早くここから抜けだしたい、その一心だった。
「蓮子ーーーー!!!」
「え、メリー?」
全力で走ってきたのだ。一体何の虫が出たのだか。
「蓮子、聞いて!あ、あの写真が、こっちおいでって、それで」
「あー分かった。まずは落ち着きなさい。何があったの?」
「忘れ物をとりにいったらあの写真が…しゃべったの。早くおいでって怖くなって走ってきたの」
「…うん、分かった。それについても明日話してみよう。今日は遅いから一旦帰ろ」
「…分かった…」
薄々感づいていた。この境界の恐ろしさを…。でもまさか、あんなことになるとは誰も思わなかったのだ。
少し元気な印象の蓮子です。あとは文章力を上げたいなあ…なにはともあれこれからよろしくお願いします