さて第2話どうぞ!
ガタンゴトンガタンゴトン
「──で、この写真から声が聞こえたのね?」
「…そう。早くおいでって。今までこんな事はなかったわ。本当に怖かった…連れて行かれるかと思ったわ」
博麗神社に向かう電車の中。不安と疑問が止まらない。もはや期待という言葉は蓮子の中にすらなかったのかもしれない。それほどまでにこの出来事は大きすぎた。目的地が近づくにつれて二人の危機感も増してきている。
「きっと大丈夫だよ。何かの聞き間違いかもしれないし、例えそうだったとしてもいざとなったら逃げるなりなんなりすればいいし何より、メリーは私が守るから」
「もう、ふざけないの。蓮子だけに怪我は負わせたくはないわよ。…私も守るんだから」
「お、いいねえ、そうこなくっちゃ。…さてと、冗談はさておき」
(冗談だったの…軽くショック)
「ん?何か言ったメリー?」
「い、いやなんでもない。続けて?」
「今回の境界のことを考えるとどうにも平行世界とか冥界とか、どこかに繋がってそうな気がするのよ。もしかしたらこれはメリーが生み出した世界なのかもしれない」
「私が生み出した世界?どういうこと?」
「正夢ってあるでしょ?メリーは夢に出てきたものを平行世界として具現化出来る力があるとかね。…まあそれらが元々あってメリーに何か助けを求めて夢に出てくるのかもしれないけど。これはあくまで仮の話よ」
(…助けなんて、やっぱり私って普通の人間ではないのかな…?嫌だ、行きたくない、行きたくないよ蓮子…)
「メリー?」
「ご、ごめん。少し驚いちゃって」
明らかに動揺を隠せていない。今までは顔に不安は出していたがこれほどまでにはっきりと分かるほどの表情はなかった。…話題かえようか。これ以上不安にさせるのもあれだしただのオカルト現象かもしれないし。
「あ、そういえば話かわるけどさ、メリーこの間告白されたでしょ?」
「な、な、なにいきなりそんなこと話しかわりすぎじゃない?」
「いやー見ちゃったんだよねその現場の一部始終を。見事に振ってたね!あはは」
「見てたの!?…うまく撒いたと思ったんだけどなあ~…」
「残念~この蓮子さんを欺こうなんて100年早いんだから!」
ふんす、と自慢げになる。うん、ここまできたらこっちのものだ。
「い、いつからいたの?」
「ん~後を付けてきたから…全部?」
「やぁああ…恥ずかしい…」
メリーが真っ赤になった顔を両手で覆い隠す。…あれ、なんだろうこの気持ち、何かに目覚めそう。いや、抑えろ抑えろ。
「…ま、嘘だけど」
「あ~もう全部見られてたなんて~……え?」
さてと、そろそろしっかりしないとね。なんかポカポカ叩いてくる可愛い生き物はいったんスルーして今回の調査方法を説明する。基本的には余り近寄らない方がいいとは思うのだが…今回は境界の中に入ってみることにする。最初はメリーが反対したのだがなんとか説得して了解を得た。中に入ることで何か分かるきっかけになればいいしね。でも危険と判断した場合には即座に逃げるよ。あとは向こうに行ってからの臨機応変な判断が重要になる。メリーはパニックになりがちだからそこは私がしっかりしないと。
今回は一つの判断で危険を回避出来るか出来ないかが決まる。一切の油断は禁物ということを二人で話してあるので大丈夫だろう。危険察知はメリーの方が早いしね。…まだ叩いてくるかこやつは。
「蓮子~聞いてるの~?」
「はいはいごめんごめん。…さ、そろそろ着くから降りる準備して」
「…むう、わかったわよ」
博麗神社に一番近い駅で降りる。無人で駅の周りは田んぼや山に囲まれていて自分たちが住んでいる京都とは大違いだ。まさに自然って感じで心地が良い。しばらく電車内で身体がなまっていたのでぐっと背伸びをする。
「んん~やっぱり田舎はいいね~」
「たまにくるからいいと思えるんでしょうね。毎日住んでたらたぶん都会が恋しくなると思うわ私だったら」
「あら、都会派かメリーは。私はどっちにも適正してるから田舎もありだな~。ただし家はエアコン、ドライヤー付きの近所は服買える所とかコンビニとか遊べる所とかがあっての条件付きだけどね~」
「思いっきり都会派じゃないの。田舎に何求めてるのよ」
「田舎にだってそれくらいはあるわよ。ねえ?」
「誰に聞いてるの!?」
「これをよんでry」
「ちょっと!メタい話はやめましょう蓮子!」
あれ?軽い冗談なのに。メリーはこの世界の事象を知ってるのかしらん?まあそれはさておき、私達は田んぼ道を抜け、河原沿いを歩き、山まで向かっていく。ここらは今くらいの季節夜になると蛍が綺麗らしいんだよね。帰りに少し見ていけそうだ。そして河原沿いを少し外れ、山への道を行けば……見えた。博麗神社の鳥居だ。その向こうには長い階段も見える。
鳥居をくぐり抜け、階段を登っていく。
「さあて…そろそろだよ」
「そうね…あっ…見えた…!」
見えてきた境界は写真で見るのとは全くスケールが違った。怪しげな目が中からこちらを覗いており、何やら両端にリボンが付いていて楕円形になっている。高さとしては…私達の背と同じくらいだろうか。
でも何かおかしいな…違和感みたいな物を感じる。
「すごい…今まで色んな境界を見てきたけど一番驚いたわ…。絶対何かある。蓮子、慎重に調べましょ」
「ええ、心得てるわ。…どうする?入ってみる?」
(!…蓮子にしては珍しい、勝手に判断しないのね。冷静なのか怖いのか…表情からは読み取れないけど)
「…入ってみましょ。境界の謎を暴くために」
「よしきた」
せーの、という掛け声で二人一斉に中に入る。…うわあ、さっきは一つしか見えてなかった目が四方八方に…。
「はっきり言って不気味、よね」
「ええ…誰かに見られてる気もするんだけど」
「そりゃこんなたくさん目があれば見られてる気分にもなるよ───っメリー!」
「え?きゃっ!!」
ドカーーン!
メリーを抑え急いでしゃがみ───なんとか爆発は免れたようだ。
「メリー!逃げるわよ!」
「え、ええ!」
境界から急いで外に出て少し離れ様子をうかがう。
出てきた境界はさっきとはちがい中の目が歪みに歪んでいる。
「いきなり何が起こったの!?」
「さあねえ。けど私達が中に入ってからの攻撃だとすると邪魔者扱いで排除したのか誘いこんでいたかの二つしか考えられないわ」
「誘いこまれたってそれじゃまるで私が言われてたあの言葉と…」
「そう!まさに。ヤバいよこれは。逃げた方がいいかもしれない」
──その時。
グワァアア!!!
「「!!!」」
境界の中から真っ黒の手が何本も出てきて私達に遅いかかる。メリーは距離をとっていたから逃げれた。しかし私が───
「…くっ、苦しい……!」
首を掴まれてしまったのだ。
「蓮子!!!」
「その子を助けたいかい?」
「だっ誰!?」
メリーの前に腕の正体であろうこれまた真っ黒の人型の物体が現れたのだ。
「名前はとくにないよ。…君が必要なんだ。僕と来てくれ。さもないと…」
「…蓮子の命がないと言いたい訳ね」
「ご明察。まあ来てくれればこの子の保障はしよう。どうする?まあ答えは一つだろうけど。大切な友人を傷つけたくないもんねえ?」
そう言い黒い奴は勝ち誇ったような満面の笑みをこちらに向けてくる。
「メリー…私のことは…気に…しないで…」
「蓮子…私はあなたに出会えて本当に嬉しかった。今までから今日まで今の私がいるのも全部蓮子のおかげだよ。だから…私が今度ら友人として借りを返す番。もう会えないかもしれないけど…ありがとう……」
「メリー…いかないでっ……」
「さあ、行こうか…なっと!」
一瞬にして私が離され、メリーを黒の手が抱え、境界の中へと引き込んでいく。
「また……会いたいよっ……蓮子…」
「メリーーーーーー!!!!!」
境界は消えた。何もかも。涙が止まらない。後悔、不甲斐なさが溢れ、何が悪かったとかそんなことばかりが頭の中をグルグルかき回していた。
「何でよ……どうして?何も出来なかったの?…嘘よ…こんなこと…」
私はもう、メリーには会えないの?
「ねえ?」
誰かに呼ばれた気がした。…メリー?そんなはずないか…男の人の声だもん…
「君、メリーを助けたいかい?」
「……え?」
いきなりの言葉に私は固まってしまった。
オリキャラついに登場です。はたして次回はどうなるのやら…笑
では次回でまたお会いしましょう!
誤字、脱字等ありましたら教えていただけるとありがたいです。これ毎回言っていこうと思います!