少々遅れまして申し訳ございませんでした、どうぞ
朱雀の開けた隙間をくぐり抜けると、なにやら輪っかのようなものが何層にも重なったような空間が広がっていた。
「一体この空間はなんなの?」
「これは時間を遡る空間だ。これを抜けると事件のあった2年前の幻想郷に出るんだ」
「2年前の幻想郷…」
「その時の人間にはもう話をつけてある。とある場所で特訓を受けてもらうからそのように理解しててくれ」
「うん、わかった」
それからしばらく空間を歩いて行き、出口付近にドアらしきものが見えてきた。
「…これを開ければ幻想郷だ」
「そっか…これが…」
私は一度深呼吸し、そのドアを開けた。
開けた先は私たちがさっきいた所と同じようで違う場所だった。私の所の博麗神社は古びた誰も寄り付かないような場所だったけどここはどうやら違うようだ。設備はしっかりしてあるし綺麗に掃除してあるし生活感があるようだ。
「ここは誰か住んでいるのかしら?」
ちょうど後ろのドアから出てきた朱雀に聞いてみる。そうすると朱雀は頭をかきむしりながら、
「ああ、巫女が住んでるよ。名前は博麗霊夢。多分この幻想郷で一番強いんじゃないのか?」
「へえ、一番強いってことはここの人から教わるのかしら?」
「いや、残念だが違うんだな。あいつ教え方下手だしもともと才能持ってたような奴だからな。あいさつしにきたみたいなもんだ。あ、でも最終的に強くなったら戦ってもらうけどな」
一番強い人が教えられなくてどうするのよ、と直感的に思った。まあでもそんな人もいないこともないからねえ…仕方ないか。
「せっかくここに来たから呼んでみるか。おーい、霊夢ー!」
朱雀がそう言うと、襖がすうっとゆっくり開いて、
「何ようるさいわねえ…。せっかくゆっくり寝てたのに…」
赤い色の巫女服を着た女の子がでてきた。これが巫女さんか。きれいだけどイメージとなにかちがう!もっとこう、私の中では清楚なイメージなのになあ…。と腕を組んで考える。
「ん?そいつが例の修行をつけにきた奴ね?朱雀」
「ああ。事情は一応こっちの紫から聞いてあるだろ?」
「ええ。2年後にそんなことが起こるとは考えにくいけどねえ…。紫があんなに真剣に言うんだから間違いはなさそうね」
「理解してくれたようでこっちとしても助かる。ありがとうな」
「なに、おやすい御用よ」
こっちの紫さんということは朱雀が全て手配したのかしら?
「あ、そういえば連れてきたのを紹介するよ。宇佐見蓮子だ」
「はじめまして。これからよろしくね。勝手に霊夢って呼ばせてもらうわ」
「ええ、よろしく蓮子。……?」
「どうかした?」
「あんた…何か能力持ってるでしょ?」
「え?よくわかったわね。月を見て時間と場所を知るくらいの能力だけど…どうして?」
「ん?ただの勘よ」
勘ですかい!?というツッコミは心に留めておくことにした。
「へ、へえ~そうなんだ」
「巫女の勘ってやつだ。隠し事とかするときは気付かれないようにしろよ~?」
と、耳元でボソッと朱雀が言ってきた。どうやら相当勘が冴えるらしい。そう言えばメリーも結構違和感に気付くことあったわね。蓮子は隠し事本当下手ね…。とか言われてたような気がする。そんなに隠し事下手だったかなあ……?ポーカーフェイスとか仕草とか自然にしないとな~今後のために。
「何ヒソヒソ話してるのよ朱雀。余計なこと言ってんじゃないでしょうね」
「いやあそんなことは全くないぜ?ただ勘が鋭すぎて困っちゃう巫女もいるもんだな~とか言っただけだぞ?」
「やっぱり言ってるじゃない……。まあそのくらいだったらいいけどさ。もし金銭面だったらぶち殺してるところだわ」
「お前が俺をぶち殺す?はははっ!冗談はそれくらいにしといた方がいいんじゃないのか?」
「何?倒せないとでもいうの?……上等じゃない……博麗の巫女に喧嘩売るやつは久しぶりね……!いいわ!弾幕ごっこで勝負しようじゃない!」
「そうこなくっちゃな!バトル開始だ!」
ええええ!?いきなり弾幕バトルって何がどうなっているのか展開が早すぎてついていけてないんだけど!?二人とももう臨戦態勢に入ってるし……!
霊夢のまわりには陰陽玉が二つ浮いていてやる気全開だ。対して朱雀の方は何を考えているのか不敵な笑みを浮かべている。止めるべきなんだろうけど朱雀の方も霊夢の方も実力を見てみたいのでそのまま見ていることにした。さあて……どうなることやら……。
カット!
「ぐっ……」
「自分から喧嘩しかけておいて負けるとか情けないわねえ……」
弾幕ごっこという名の遊びが終わり、今は三人で縁側に座り、お茶を飲んでいる。…すさまじい戦いだった。朱雀がロケットスタートしてペースを握り、パワーでかなり押していたのだが、霊夢がしばらく耐えているうちに朱雀のスタミナが切れ始め、そこで一気に攻勢にでた霊夢が圧倒的勝利。試合巧者は霊夢の方であった。
「ま、あんたは経験不足と自信過剰ね。実力はあるんだからその力を使いこなせるようにならないとそのあいつにも勝てないわよ?あと戦い方を知りなさい。相手の苦手分野を知ってそこを重点的に狙うとかなんとか戦術をたてなさい。一辺倒な戦い方しかしないから相手に読まれるのよ」
「あれ、お前そんなに的確なアドバイス言えたんだな……」
「失礼ね、経験値の差よ?中堅者なら誰でも言えるわこんなこと」
「それは俺が中堅にもなってないって言いたいのか……?」
「そういうことになるわね」
「はっきりといいやがったなこいつ……」
この二人、いつからの付き合いなんだろう?あんまり会ってないにしては結構言いたいこと言えてるみたいだし。それなりに仲がいいんだろうな。
「あ、バトルしてて気がつかなかったけどそろそろ紅魔館に行かないとな」
「あそこの連中と修行するのはあまりおすすめしないけど・・・咲夜がいるから大丈夫かしらね」
「あの、紅魔館って?」
「ああ。吸血鬼と魔法使い、それに仕えるメイドがいるところだ。言い忘れてたが俺らが修行する場所がそこだ」
…と、いつの間にかどこからかとってきた煎餅をバリッと一口とかじる朱雀。
うん?何?吸血鬼?魔法使い?メイド?そういうことは早めに言ってほしいんだけど…心の準備というものがあるし。…ってこれあきらかに私がメリーのポジションね。私が振り回してた時もこんな感じだったのかしら。
「咲夜ぐらいには勝てるようにはならないとね。あんた、見たところ頭はきれそうだから朱雀の参謀役お願いね。この馬鹿単純ですぐやられそうだから」
「なんか今日は良くない日だなあ…負けるしかなりビシバシ言われるし」
と、朱雀は肩を落とし、ガックリしていた。う~ん、プライド高そうだからなあ。立ち直りは早そうだけど。
「あの、朱雀。そろそろ向かいません?」
このまま行くと延々と会話が続きそうだったのでいい加減歯止めをかけるため声を掛ける。…あ、決してうまいこと言ったわけじゃないよ!?
「あ、ああそうだな。霊夢!次来る時は覚悟しておけよ…?」
霊夢に指を指し、こう宣言する。お?何かやる気になったかな?やっぱり切り替え早いんだな。
「はいはい。期待しないで待ってるわ」
少々呆れ顔で言う霊夢。でもこういう人って内心期待してたりするんだよね。なんだかんだで的確なアドバイスくれたり朱雀が気がつかない気遣いもしてるし強くなってもらいたい思いはあると思うんだよね。
「それと、蓮子も頑張りなさいね。友達を助けたいなら強くなるしか方法はないわよ?」
…そうでした。私も守らなければならない約束がある。
「大丈夫かな…?」
「そんなプレッシャーに思うことないわよ。助けたいっていう思いがあるだけで何倍もの力が出せると思うから。全力で取り組んで来なさい」
「──うん。ありがとう、霊夢」
大きいなあ。なんとも頼りがいがある存在だ。でもこれは自分の問題。頼ってどうこうの話じゃないから。私も頑張ろう!
「…じゃ、行くとしますかー」
朱雀が声をだすと同時に空間をあけてくれた。
「じゃあね、蓮子。もう一度言うけど頑張りなさいね」
「ええ!じゃあまた」
そうしてまた空間に入り、私たちは紅魔館という所へ向かったのだった。
カリスマですな~あの霊夢がかなり先輩っぽかったですね。
次回の更新も不定期になるかもです。出来るだけ定期的にしたいんですけどね。
それでは今回もありがとうございました!