6話 そうだ、紅魔館へ行こう。
見えるのは大きな洋館。それを取り囲む高い塀。近くには大きい湖が見えている。
「ここが紅魔館かー」
「そう。ここがこれから俺たちの寝泊まりする場所であり、特訓を積む場所だ。ほら、ぼさっとしないで、さっさといくぞ?」
「あ、うん」
まさに現実にないようなスケールの大きさだね・・・。と、そんなことを思い、圧倒されながら門まで歩いていくと、赤い服を着た女性が。チャイナ服だろうか。
そしてまた朱雀が知っているのか、門の前に立っている女性に声を掛けた。
「よお、美鈴。珍しく寝てないんだな」
「そんなに毎日寝てる訳ないですよっ。全く・・・。おや?そちらが例の人ですか?」
おっと、お呼びのようだね。女性の方に向き直し、帽子のつばを持って帽子を少し前に傾ける。これが私の自己紹介の時のスタンダードなのだ。メリーには格好つけすぎとか言われたけどこのスタイルはかえるつもりはない。
「ええ、私は宇佐見蓮子。蓮子って呼んでもらって構わないわ。よろしく」
(めっちゃ決まったって顔だな・・・絶対自分でかっこいいって思ってるぞこいつ)
というような冷ややかな目線を朱雀から感じるが気にしないで。
「咲夜さんからご用件は聞いてますよーこれからよろしくお願いしますね。蓮子さん。さあどうぞ」
礼儀正しくていい人そうだし仲良くなれそうだな。でも少し覇気・・・かな?みたいなものを感じたんだけどなんなんだろう。
その美鈴が門に手をかけ、ゆっくりと開ける。ギイイッと開けられる門の音はまさにこれから物語が始まるようだった。深呼吸をして、私たちは門をくぐり抜けていき、入り口へと向かった。
「ねえ、朱雀」
手前を歩いている朱雀に声を掛ける。
「ん、なんだ?」
「あの美鈴って人なんだけど・・・」
「美鈴がどうかしたか?」
「あの人に少し覇気を感じたんだけど、何かあるという訳じゃないわよね?」
そう言うと、朱雀は何か思いだしたというような顔になって、
「あっ・・・と、言い忘れてたな。あいつは一応妖怪なだ。それともう一つ、武術の達人で気を使う能力を持っているんだ。蓮子が覇気を感じたというのは多分それだろう。基本妖怪は妖力を抑えているのだが・・・あらかた気を操るトレーニングでもしていたんだろうな」
「へえ~そうなんだ」
あの人柄と体型からは全く想像つかないな。武術の達人・・・ということは近接戦が得意ということか。戦いの時に使う可能性もなきにしもあらずだから教えてもらうのもいいかもしれない。
そして玄関へとたどり着き、朱雀がドアを開ける。
「勝手に入っちゃっていいのかしら・・・?」
「呼び鈴もないし、問題ないだろ、咲夜ー!」
朱雀が名前を呼び、声がホール全体に響く。しばらくすると、メイド服を着た人が正面に見える階段から降りてきた。
「待っていましたわ、無能護衛、間車朱雀」
そう言いメイドさんは冷徹な笑みを浮かべる。このキリッとした顔立ちにこの言葉、初見殺しのファーストボスみたい。そして朱雀はいたって笑顔。
「あはは、もういい加減その二つ名やめてくれないかな?このガチレズ淫乱メイド」
シャキン!
「誰がガチレズ淫乱メイドかしら?」
「大変申し訳ない」
瞬間的に朱雀の目の前にメイドさんが現れ、右手に持っているナイフが朱雀の首もとをスレスレにとらえていた。メイドさんが相変わらず冷徹な笑みをしているかわりに朱雀は表情は保っているものの、顔が青ざめていた。
え?何なになに?速すぎて見えなかったんたけど。瞬間移動ってホントに存在したんだ!?と蓮子が呆気にとられている間にメイドさんが構えていたナイフを下ろし、左足の太ももの収納ポケットにしまった。
「相変わらず手が速いな・・・反応しきれないぜ」
「まああなたには止められないでしょうね。この能力を極めた私からは逃れられない」
「でも、俺のいた時代はこれよりかなり強いから正直今の対応は演技だったけどな・・・(ボソッ)」
「?何か言ったかしら」
「いーえ、何でもございませんけど?」
私にははっきり聞こえたよ、演技って!あれに反応出来るわけ!?恐ろしや恐ろしや。まああの霊夢と互角にやり合えるしね。でもそれだと朱雀がいた時の霊夢が朱雀よりかなり強いってことになるんだけど・・・?
「ふん・・・あ、あなたが宇佐見蓮子さんですね?お話しは伺っておりますわ。私はここ、紅魔館のメイド長をしております、十六夜咲夜と申します。よろしくお願いしますね」
咲夜さんが手を差し伸べる。私もそれに答え、手を伸ばし、握手をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします。わからないことも沢山あると思うのでその時には助けてもらえるとありがたいです」
「もちろん喜んで。同じ衣食住を共にするお客様ですもの、出来る限りのことはさせていただきますわ」
「ありがとうございます」
なんだ、結構優しい人じゃないか。朱雀に対してのあの対応が嘘みたいだ。笑顔が素敵というかもう美しいです。
「さて咲夜。レミリアの所まで案内してくれないか?」
「言われなくてもそうするつもりでしたわ。ご案内します」
そうして私たちは咲夜さんに連れられ、そのレミリアという人の部屋へ向かった。
「────はい、ここです」
一つだけ異様な存在感を放っている赤い大きな扉。他にも部屋はあったがこの扉の⅔といったところだろうか。やはりここはお嬢様クオリティなのだろう。
コンコンッ
咲夜さんがノックをする。木の乾いたよく聞く音だ。
「失礼します。お嬢様。客人を連れて参りました」
「入りなさい」
咲夜さんを先頭に三人が入る。そしてすぐ目に入ってきたのは小学校三、四年生くらいの身長で髪は透き通った青色。背中には黒の大きな羽をした吸血鬼っと・・・これでも吸血鬼・・・なの?と疑問の声が出そうだがここは黙っておこう。本題に入れなくなる。
「よく来たわね。歓迎するわ、朱雀、蓮子。ずいぶんとややこしいことになってるけど悲観する必要はないわ。私たちがあなたたちを強くしてみせるから」
「そうしてもらえると助かる。でもフランはともかく俺、レミリアくらいなら余裕で倒せるからな・・・」
「何よその哀れみの目は!ちゃんと未来の私は強くなってるのかしら!?」
「それは歴史に関与するもんだ。言えないな」
「なんという都合のいい能力・・・」
これから先、この二人が話していると楽しそうだなーなんてほのぼのした顔で私はこの状況を見守っていた。
「まあいいわ。とにかく、今日からここでの生活が始まるわけなんだから部屋を決めましょう。部屋は沢山あるから一人一部屋自由に使えるからね。朱雀は・・・地下部屋?」
「いやいやいやどこからそんな単語が出てくるんだよあんなとこ毎日フランのおもちゃにされるぞ俺!普通の部屋でいいから!」
「あらそう?残念ねえ・・・。じゃあここと同じ二階で本館の奥から3番目の部屋は?」
「う、そこは・・・」
うん?普通の部屋だけど何をそんなに焦っているんだろう。
「何か問題でも?隣に小悪魔がいればい・ろ・い・ろとわからないことも教えてくれていいと思うんだけどー?」
(しまった淫乱2号か・・・)
「ぐ・・・わかった。いいよそこで」
「意外と早く決めてくれて助かるわ。蓮子は一階の咲夜の隣の部屋を用意してあるからそこでいいかしら?」
「もちろんいいですよー」
わざわざ泊めてくれるんだし断る理由もない。即答だ。
「じゃあ荷物は自室に置いてきて少ししたら食堂に集まって夕飯にしましょう。お嬢様も準備が出来次第お越しになって下さい」
その後、それぞれが了解の意を示し、各自の部屋へ戻っていった。
──朱雀サイド───
「はあ~・・・」
疲れを感じ、部屋にあるベッドに思わず飛び込む。
「・・・疲れた」
今日一日で結構な役割を果たした。紫の護衛任務は一旦中断しているので少し気が楽なのだが今度は別の事情を持った奴が現れたときたもんだ。奴を倒すことと二つの任務を背負ったことによりやることも増えたのだ。やり遂げるまでは気が抜けない。
ブーッブーッ
にとりに作ってもらった携帯、もといスマホが鳴る。時代を渡っても使えるようにしてもらったプレミアム仕様だ。画面を見ると発信源は紫。いったいどうしたというのか。着信ボタンを押し、電話に出る。
「もしもし紫さん?」
「やあ、しばらくぶりですな間車朱雀さん」
「!?お前っ・・・」
電話を掛けてきたのは紛れもなく奴だった。
テスト終わりでもう一つの方と並行してやっていたので長引いてしまって申し訳ないです!また平常に戻ります!
レミリア嬢はカリスマブレイクしなくて良かったですねwあと咲夜さんが淫乱とは・・・?それはこれからですね。
さて次回、奴からの電話、何が起こるのか!?お楽しみに!