「───こちらです」
咲夜さんがドアを開けるとそこにはとても広い部屋。色々揃ってるしバスルームも付いているみたいだ。嬉しいことこの上ない
「ありがとうございます、こんなにいい部屋を用意してもらえて」
「そんなことないですよ。さ、少し落ち着いたら食堂にいらっしゃって下さいね」
咲夜さんは一礼し、部屋から出て行った。と同時に軽くため息をつく。ちょっと座ろうか…とベッドに腰掛け、被っていた帽子をとり、ベッドの上に置いた。
……いや素晴らしい。柔らかすぎず、固すぎずの感触、ホテルのベッドだね。他にも最高レベルの物が備え付けられていて私にはもったいないものだ。ありがたいなあ。いやいや、こんな暮らしに甘んじてはいけない。ちゃんと奴からメリーを取り返すんだから!ん?そう言えば……
「朱雀の言ってた奴って何者なんだろう?」
今まで奴としか朱雀が言ってこなかった謎の人物。私はまだ名前も何も情報が一切ない。唯一分かっていることといえば紫さんていう人の能力を吸収したということだけだ。あとで朱雀に聞いてみよう。今後に情報を知ることで今後に大きく繋がるかもしれないし。
…おっと、少し考え事が長かったかな。そろそろ食堂に行こう。
私は立ち上がって部屋を出て事前に貰っていたルームキーを使って鍵を閉め、食堂に向かった。
~少女移動中~
「お待たせしました…ってまだ咲夜さんしかいないんですね」
咲夜はキッチンで料理をしていた。今は最後の盛り付けの段階に入っている。私が話すと振り返って、
「あら、早かったのね。あともう少しで出来るからゆっくりしてて」
「何か手伝えることありますか?ただご飯を食べるだけだと申し訳なくて」
私がそういうと咲夜さんは柔らかい笑みを浮かべる。
「ありがとう。でもその気持ちだけで充分ですわ。客をもてなすのはメイドとして当たり前のことですし、何より」
「?」
「あなたと朱雀はこれから私達とこの幻想郷を救わなければならないという重大な責任を背負ってるんだから少しでも手助けをしないとね。私達も戦うけど」
…そうだ、メリーのためだけじゃない。幻想郷、私のいた世界をみんなで守るために。そのためにも強くならないと。
「…ありがとうございます。咲夜さんやいろいろな人がいてくれて本当に心強いですよ」
「いえいえ、たいしたことは出来ないけど。でも、少しずつ皆さんが持ってる力を融合すればそれは強大な力になる。今こそ幻想郷中が結束して来たる時に備えるべきだと思うの」
真面目になり、理想を語る咲夜さん。
「…私もそう思います」
「でも、そんな人数が集まるかは定かではないけどね。勝手な妖怪が多いし」
「…きっと集まります、集めてみせます。私が。頑張っていきましょう!咲夜さん」
咲夜さんはええ、そうね、と頷き、少し固かった表情が柔らかいものにまた戻った。
「さ、てと」
と、咲夜さんが言った瞬間時が止まったような気がした。それまで何もなかったテーブルにはたくさんの料理が並べられている。
「あ、れ?」
「時間を止めたのよ」
ポカーンと不思議に思う私にナイフをナプキンで拭きながら説明してくれた。
「なる…ほど!それが咲夜さんの能力なんですね」
「そういうこと」
結構なチート能力見せてくれてありがとうございます!と感想を述べたところで食堂のドアが開いた。二人?うすい紫色ロングの髪をしていて月と星の飾りの付いた帽子を被っている人ともう一人は完全に悪魔って感じの人だね。ここの人かな…?
「咲夜、来たわよーと、おや?」
「あ、パチュリー様、まだお嬢様と朱雀が来ていないのでお掛けになってお待ち下さいね」
「この子が例の…」
と言いかけたところで私が前に出る。
「はい、宇佐見蓮子っていいます」
「なるほど、よろしく。勝手に蓮子って呼ばせてもらうわね。私はパチュリー・ノーレッジ。この紅魔館の図書館の主よ。で、隣にいるのが…って」
「うわははは~これは素晴らし…じゅるり」
なぜか私をキラキラとした眼ですごーく熱い視線を送ってくるんですが…
「こら、何をしてるのあんたはっ」
パシーンと軽快な音が鳴り響く。
「はうっ!?そんな強く叩かなくても…」
「あら、煩悩なあなたにはちょうどいい痛みだと思うけど?」
「そんなあ~ひどいですっパチュリー様だってあんなことやこんなことだって…って聞いてるんですか!?」
「あ、ごめんなさい」
「完全に耳塞いでましたよね…」
必死の訴えもパチュリーさんは無視。このやりとりちょっとかわいいと思ってしまう自分もいるのだが。
「はいはい、さっさと自己紹介なさい」
「誰のせいで…もういいですっ、えーと私はパチュリー様の秘書をしております小悪魔です。こあって気軽に呼んでください!」
と軽くお辞儀をする。こちらこそよろしく、と私もお辞儀を返した。
「そう言えばお嬢様はまだでしょうか…?」
「…さっきからここにいるんだけど」
「「「「えっ?!」」」」
一同仰天。なんとパチュリーさんとこあさんと話している短時間で入ってきたというのだ。存在感いったい…。
「私としたことが…お嬢様の居場所は常におさえておかなければならないというのに…一生の不覚っ!」
「わー咲夜さん!!頼むからナイフを首から下ろして!!!とりあえず落ち着いて!あなたはまだ若い!!」
「なんだうるせーな…」
不思議そうに朱雀が入ってきた。疲れからだろうか、どこか元気がないように見える。
「ん?咲夜、そんなことしたらレミリア嬢が悲しむだけだと思うが」
「そうでしたわ」
はっと我に返った咲夜さんが首のナイフをどける。
なるほど、何かあったらレミリアさんのことを言えばいいのか。
「さあ、皆さん集まりましたので夕食にしましょう」
咲夜さんがそう言った次の瞬間にはテーブルに数々の料理が並べられていた。
「では皆さんどうぞ、いただきましょう」
ではでは、頂きます。
食事をしている間、ふと朱雀をみると何かを一生懸命考えているようだった。いったいなにがあったんだろう?試しに話しかけてみる。
「朱雀?」
「………」
反応がないので今度は少し強めに。
「朱雀!」
「!お、おう」
「どうしたの?さっきから何か考えているみたいだけど…」
「いや、これ俺だったらこうすんのになーって考えてたんだ」
「なによ、私の料理が不満なら自分ですればいいじゃないんかしら、今度から全部」
「そ、それは勘弁だ、悪かったよ」
「ふん…」
咲夜さんはこう言いながらも異変に気付いているみたいで首を傾げていた。
そして私たちは食事を終え、各々の所へ戻っていく。
私は片付けをしている咲夜さんの手伝いをしていた。
「いや~おいしかった~一流ホテル並みの技術ですね咲夜さん!」
「あら、誉められる出来ではないわよ。あんなのレシピがあれば出来るようになるし。それより、朱雀の様子が少しおかしくなかったかしら。あの人意外と考えこむことあるのよね」
ここで私はテーブルを拭くのを一旦止める。
「…咲夜さんもそう思います?」
「ええ。…話相手になってあげてほしいわ。意外と朱雀、抱えてるから」
「了解です。困った時はお互い様とか言いますしね」
「悪いわね。私が心配すると朱雀顔赤くしてそっぽ向いちゃうのよ。何でかしらね」
ははーん、そんなこともあるんだね。了解了解。その辺も聞き出してみようか。
「ふふっ何ででしょうかねっ。では私は明日からの特訓に備えて休みたいと思います。お休みなさい咲夜さん」
「ええ、お休みなさい蓮子」
そうして私はキッチンを後にした。
ここは伏線パートになるのかな?朱雀の悩みとはなんなんでしょうかねーあとは咲夜さんのこと…んまあただ恥ずかしいだけかもしれないしね。それではいつになるか分かりませんが次回をお楽しみ、です。