の、ハズだった。
あなたの信者の1人より。
性欲に従順な生物『人間』。
特に男。と言われているが、偏見だろう。
性欲の行き着く先は交尾だが、交尾で酷使されるのは、彼らではない。
紛れもなく彼らの生殖器である。
今日はそんな可愛そうな器官たちに焦点を当て、話をしていこうと思う。
とはいえ、この話は私の最初で最後のものとなろう。私は、敬愛するK先生の作品を参考にして、先生自身の布教活動ができるような作品を作るつもりで来た、ただそれだけなのだから。
話は本題に戻る。
今宵も多くの男女が性を組み交わしているであろうこの瞬間、1人の男は、初体験もまだのまま、自分の番を今か今かと待っていた。
名は織多虹星(おだこうせい)。関西圏在住の21歳、独身である。
言うまでもないが、そんな彼は生まれてこの方、リアルに充実した生活
を送ったことがない。
数年前、彼が高校生の頃。
中学では友人がほとんど0であった虹星は、高校生にもなれば友達の1人や2人、彼女だって出来るだろう。そう信じて地元の私立高校に入学した。
入学してから1カ月、彼の高校生活は望み通り進んでいた。
かのように思えた…。
実をいうと、彼が友人だと思い込んでいる少数のクラスメイトでさえも、彼を慕ってはいなかった。むしろ、煙たがっていた。
一部の優しいクラスメイトのみが、彼の気分を損ねてはと表面上で彼の友人を取り繕う最悪な状況であったのだ。
何故こうなったのか。
理由はすべて、彼.虹星による奇行から来ていたのだ。
休み時間中は、彼を気遣う優しいクラスメイトにストーカーまがいの付き纏い行為をして、時々、怒らせてしまったり。
そのくせ授業時間中は騒音を立てるか寝るかしかしない。
そんな彼を友だと思ってくれる人は果たしていただろうか?
答えは、NOだ。
そして、彼女も当然出来なかった。
こればかりは仕方のないことだが、彼自身醜い。歯がすごいのだ。
そのくせ、この上無く陰湿で、ネット上では自分を偽り、友人の多いリア充のふりをしている。いわゆるイキリインキャなのだ。この奇妙な癖は彼が21歳になった今でも続いている。
何より、男子からでさえ嫌われている彼である。
そんな彼に、果たして運命の女神があらわれるであろうか?
これもまた、答えはNOである。
しかし、そんな彼でも、積極的に話してくれる者はいた。
1人は、雌のオランウータンである。
彼女の言葉は常識を逸しており、常人には理解しがたい。
何故だか、虹星と同じ高校に属していたそのオランウータンは、授業中当てられても、『エェェエトッ・エェェエ…』という奇声を発しては、クラス中の笑いを掻っ攫っていた。いわゆるクラスの人気者であった。
しかし、不思議なことに、彼女もまた、友人がいなかった。
見た目がオランウータンであるという理由だけで?謎は深まるばかりだ。
2人目は、若ハゲタクネである。
彼は、身長が低く、少々筋肉質な体を持っている。それだけ聞くと、結構かっこいい姿を想像してしまうが、顔はオタクを彷彿とさせるものであった。実際、彼は中学の美術部で培った画力を武器に、高校時代に修学旅行の夜中に、一人でアニメのキャラを熱心に描く姿が目撃されているような、正真正銘、オタクであった。
彼らは高校時代、たびたび3人で話す様子見られた。
当時の彼らの様子を、クラスメイトはこう語った。
クラスメイト兼、当時委員長Y.Sクン
『あれって、逆ハーレムっつうか?羨ましいよねぇ。俺も混ざりたかったよなぁ〜。いやさぁ、あいつらが美男美女ならまだ見れるんだよ?
でもなぁ…そうじゃないからなぁ…正直言ってキツかったね。』
そのような3人組であったが、若ハゲタクネもまた、虹星のことは嫌っていたらしい(諸説あり。)
そうこうしているうちに、時代はすっかり過ぎ切って、底辺大学を卒業し、無名な小企業に就いた虹星は、少々暮らしに飽きていた。
あの2人と再会できたらなぁ…。
そう思っていた。
"ピーンポーン"
突然自宅の呼び鈴が鳴って、急いで玄関のドアを開けると、頭頂部の皮膚の可視部が広がった、若ハゲタクネの姿があった。
話を聞いていると、高校を卒業して以来タクネは、いろんなところから金を借りて、今は逃亡生活を送っているという。
その中で金を借りて1番後悔したのが、高校時代同級生であったT.Sクンらしい。
あまり仲が良くなかったのにスッと貸してくれたと思ったら、翌月には、利息を元の2倍というとんでもない額にされて、今は手付かずだとか。(それもそのはず、T.Sクンは、今では立派なヤ○ザなのである。)
そうしていきなり、若ハゲタクネと再会した虹星は、例の如く、かつて友人であった者からお金を貸してくれと頼まれた。
彼の財力では貸せるハズもなく、結局若ハゲタクネは、『絶交な。』と言って虹星のもとを去ってしまった。
1人の友人を失った彼は、ストレスを自分の性欲発散材料に使った。
理解し難い性癖からなる、彼の小説は、まさに人類の最高傑作にして最悪の汚点と言えよう。
それでもまだ、彼の性欲は満たされず、女性と直接触れ合うことを決断し、家を出た。
目指す場所への交通手段である電車内、彼はイヤフォンをしながらアダルティックな動画を見聞きしていた。
前には素晴らしい肉付きの女性。匂いも最高であった。
彼の生殖器は途端に跳ね上がり、キャンタマも微動し始めた。
ここで、敬愛するK先生のお言葉を借りるなら【赤ちゃんミルク製造機が活発化した】とでも言えようか。
しかし、虹星はそれ以上、何もしなかった。
いやらしいことは想像したが、行動には移すことはなかった。
彼のくせにやるものだ。
しかしこれは、彼が目指す場にはこれ以上のものがあることを表していた。
ついたところは熱帯雨林。
勘のいい人ならわかっただろうが、虹星のお姫様と言うべき、かのオランウータンに会いに来たのであった。
木々をかき分け、ハエにたかられるのも気に留めず、虹星は進んだ。
4時間以上歩いた頃だろうか。
ふと上を見ると、木の上に2つの大きな影があった。
その一つは紛れもない。虹星の愛した彼女、オランウータンの姿であった。
そしてもう一つを確認した。
どこかで見たことのある3等身の風貌、聞き覚えのある個性的な鼻声、そう、彼はかつての高校時代、2人のクラスメートであった"神岡ピカル"だった。
なぜ彼等が2人きりで木に居たのであろう。虹星は模索したが、答えはすぐに判明した。
『結婚したのよ、私たち。』『ごめんねぇ。織多クン。』
虹星は背中の凍ったような、気持ち悪い感じがした。
高校の時、クラス内で自分を虐めてくるグループにチヤホヤされていたピカル。そんな奴が、雌オランウータンを好いていたと小耳に挟んだことはあるが、それもピカルの夢物語だと思っていた。
そういう奴に俺は負けたんだ。
そんなことをふと感じた虹星は、突如、自己に対するとてつもない嫌悪感に見舞われた。
気がついた頃には、自分の家に戻っていた。
そうして、高校時代、青春を共に作り上げた2人の現状を知った虹星は、『あいつらなんかどうでもいいや。』と呟きながら、自分の布団に入った。
そうしておもむろにスマホを取り出して、Googleを開き、検索欄に〈porn○○○〉と打ち込んだ。
部屋には、女性の『ヘイガーイズ、ウィーハブアギフトフォーユー』という声がただただ流れていた。
その30分ほど後であった。
突然、虹星が箱から1枚ティッシュを取り出して、性器に被せた。
その後、虹星は、1人寂しくこう呟いた。
『やっちゃえ…バーサーカー…。』
その瞬間、ティッシュは、液体が絡んだようになにかを受け止めて、静かにゴミ箱に入れられるのであった…。
おっと、いけない。
性器について話すんだった。
面倒だしもういい。
これで、K先生をちょっとでも信仰してくれる人が増えることを願って、この物語を終わりとする。