氷華は戦姫の隣で咲き誇る   作:クロウド、

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唐突に鬼道で戦う死神の作品作りたいなぁって思って、好きな死神、冬獅郎!そや、冬獅郎の話書いたろってなったわけです。感想、評価待っています。


プロローグ

 ―――特異災害機動部二課。

 

 私立リディアン学院の地下に本部を構えるこの場所では特異災害『ノイズ』に対抗するために常に戦っていた。ノイズには通常の兵器は通用せず、聖遺物の欠片を組み込んだシンフォギアシステムでのみ対応できる、()()()()()()()()

 

「司令ッ、ノイズの反応が次々と消滅していきます!この消滅パターンは……『死神』ですッ!!」

 

「現れたかッ!!」

 

 ノイズの発生を確認していたオペレーターの言葉に全員が息を呑む。

 

 ―――『死神』。数年前からその存在が確認されている謎の剣士。レーダーに一切の反応を映さず、黒い着物を来てドクロの面をかぶり背負った刀でノイズたちを縦横無尽に切り裂く姿からつけられたコードネームだ。

 

 二課としてはノイズを倒せる力について詳しく知りたく、できることなら協力体制を取りたい。しかし、『死神』はその正体を隠し二課との不干渉を貫いている。

 

「奏、翼」

 

「わかってるよ、旦那」

 

「今度こそ、『死神』をここにつれてきます」

 

 司令である風鳴弦十郎の呼びかけに覚悟のこもった言葉で返す、青と赤の二人の女性。

 

 アメノハバキリ装者、風鳴翼と、ガングニール装者、天羽奏。ボーカルユニット『ツヴァイウィング』としても名の知られているこの二人が二課に所属するシンフォギア装者である。

 

 そして、ノイズが現れる現場で戦うこの二人は『死神』と何度も遭遇している。だが、そのたびに逃げられている。故に今度こそ連れてくると意気込んでいるのである。

 

(今日こそ、お前の素顔を見せてもらうよ『死神』)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 深夜、ノイズ警報によって人っ子一人いなくなった街中。黒い着物を纏い髑髏のような面を被り頭を布で隠した背の低い剣士が十字の鍔の刀でノイズを斬り裂き、その場を立ち去ろうとする。

 

「待て」

 

「今日こそはあたし達と来てもらうぜ、『死神』」

 

 しかし、前方からかけられた言葉に黒い着物の少年―――『死神』は足を止める。そこにはシンフォギアをまとった奏と翼が立ちふさがっていた。

 

「断る。馴れ合うつもりはねぇ」

 

 仮面のせいでくぐもっているだけでなく、どこか不気味な重圧のこもった声で答え刀を構える。

 

「奏、来るわよ」

 

 二人はそれを見て、互いに戦闘の構えを取る。だが、

 

「来る?何を言ってる―――もう終わってるぜ」

 

「「ッ!!!?」」

 

『死神』は一瞬にして、奏の目の前に移動してその胸に手をおいていた。触れられる寸前まで二人は彼が近づいてきたことを感知することができなかった。

 

「ッ!?奏ッ!」

 

「『六杖光牢』」

 

 瞬間、六つの光の帯が咄嗟に奏を突き飛ばした翼の体を捕らえる。

 

「動けないっ……!」

 

「翼ッ!」

 

「安心しろ、ただの拘束だ」

 

 光の帯に捕らわれた翼の体はピクリとも動かせない。

 

「次はお前だ、天羽 奏」

 

「ッ!名前、知ってたんだな」

 

「自分を追い回す連中の顔と名前を知らないとでも」

 

「そりゃそうだ」

 

 名前を覚えられていた、そのことに不思議な感動と幸福感を覚える奏。そんな場合ではないとわかっているが、何故かその感情を止めることはできない。しかし、残った理性で槍を握りしめる。そして、

 

「行くぞッ!」

 

 言いながら、突撃槍を構えて少年に向けて突っ込んでくる奏。少年は刀でそれを受け止めると数度の鍔迫り合いが続く。

 

(やっぱり、届かない……!)

 

 何度も打ち合ったからわかる、向こうが自分に合わせて剣速、打ち込みの力を合わせていることを。長年積み重ねられた戦士としての力が圧倒的にかけ離れすぎている。

 

(こいつ、こんな小さい体で……下手すれば中学生くらいだろ?どうやったら、一体その歳でどうしてこんな剣を繰り出せるんだ!?)

 

「―――ッ!!」

 

「くっ!」

 

『死神』が震脚によって力の込められた横薙ぎの一振りによって奏は弾き飛ばされ後ろに飛んで着地する。

 

 力の差は火を見るより明らか、だが、同じ数少ないノイズを倒せるものとしてここで引き下がるわけには行かない。なんとしても彼の力を借りるために。なにより、未だに言えていないかつての大きな借りの礼を言うために。

 

「全力で行かせてもらうよ、一応言っとくけど死なないでくれよ」

 

 そう言うと、彼女の口から歌が紡がれる。

 

 その歌に呼応し、槍の先端が回転を始め彼女の頭上に竜巻が発生する。

 

 ―――LAST∞METEOR

 

 槍とともに振り下ろされた竜巻が死神に襲いかかる。対して『死神』は己の刀を空中に手放すと柄を手の甲で弾く、すると、刀は空中で激しく回転して円を描く。

 

「破道の五十八―――『闐嵐』」

 

 瞬間、円から奏の竜巻と互角の竜巻が放たれる。二つの竜巻はぶつかり合い、反発し合う。やがて、二つの竜巻はお互いの回転で互いに消滅し、辺り一帯を粉塵が覆う。

 

「なっ!?」

 

(なんて男だ、街への被害を最小限にするために奏と全く同じ威力の竜巻で相殺した……そんな芸当もできるのか!?)

 

 ただでさえ、常識の通じない力を持ち、その力すらも完璧に使いこなし底が知れない。翼も奏もどうやってもこの男に叶うイメージが浮かばなかった。並の剣士ではないことはわかっていた、だが、この力は常軌を逸している……そう、二人にはまるで目の前位にいる少年が()()()()()のように思えた。

 

 ―――粉塵が晴れ、奏は彼の姿を目視できると判断し再び槍を構える。だが、そこに彼の姿はない。しかし、その声はすぐ後ろから響いてきた。

 

「縛道の六十三―――」

 

「奏、後ろっ……!!」

 

「しま……!」

 

「―――『鎖条鎖縛』」

 

 奏が振り返るよりも早く、背後から伸ばしていた拳を閉じると同時に奏の体を光の鎖が蛇のように絡みつきその体を拘束した。

 

「クソッ、解けない……!」

 

「……………。」

 

『死神』は奏への拘束が完璧なものであることを確認すると刀を背中の鞘に納め、踵を返し、二人に背を向ける。そして、そのままその場をあとにしようとする。

 

「待てっ、待ってくれッ!!」

 

「……………。」

 

 奏の切実な叫びに『死神』の足が止まる。

 

「頼む、話だけでいい。あたし達と一緒に来てくれないか?」

 

「…………それはできねぇ」

 

「何故だっ!同じノイズを倒す者同士、足並みをそろえるべきだ!貴方が力を貸してくれればより多くの命が救える」

 

 翼も追随して『死神』を呼び止めようとする。だが、『死神』の反応は決して芳しくない。死神は首だけ二人の方向に向き直ると、顔を覆う骸骨のような仮面をずらし白目が黒く混濁した翡翠色の瞳で二人を睨み。

 

「俺の護りたいものとテメェらが護りたいものは違うってことだ」

 

『死神』はそれだけ告げると、目にも止まらない速さでその場から姿を消した。

 

「「ッ!!」」

 

 それから一拍おいて、二人の体を拘束していた帯と鎖が消えてなくなる。

 

『奏、翼、無事かっ!?』

 

「旦那」

 

「司令」

 

 図ったようなタイミングでインカムから弦十郎の声が聞こえる。

 

「二人とも無事です、しかし、『死神』には……。」

 

『そうか……だが、ふたりとも無事で良かった』

 

「無事っていうか、完全に手加減された感じだけどなぁ……。」

 

(そういや、あのとき礼言っときゃよかったなぁ……。)

 

 彼が足を止めたとき、以前の礼を行っておけばよかったと後悔する。

 

(まっ、ノイズと戦っていればまた会えるか。その時ゆっくり、口説くとするかぁ……。それにしても、あの目……。)

 

 彼がさり際に見せた翡翠色の瞳。少なくとも、あれは子供の目ではなかった。

 

(アイツは一体何者なんだ……?)

 

 その姿を少し離れたビルの上に移動した件の『死神』が見下ろしていた。彼が仮面に手を置くと仮面が光となって形を崩し、そのまま消えていく。

 

「懲りない奴らだ……。」

 

 風が彼の頭を覆っていた布を翻し、その下から現れた銀髪が風にたなびく。

 

 彼の名は、日番谷冬獅郎。

 

 嘗て、こことは違う世界……尸魂界と呼ばれる場所で護廷十三隊、十番隊隊長だった男。今は人間であり……ノイズを狩る()()だ。




何故虚化できるのかって?滅却師から卍解取り戻したときの名残とでも思ってください。
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