氷華は戦姫の隣で咲き誇る   作:クロウド、

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はい、昨日は投稿できなくてすみません。


新たな力

「ネフシュタンの鎧、か……。」

 

「そう、あのライブ会場から奪われた完全聖遺物第四号、それが彼女が纏っていたものの正体だ」

 

「「…………。」」

 

 弦十郎の説明に冬獅郎と響は押し黙る。あの二年前のライブ会場の惨劇、ライブと並行して行われた聖遺物起動実験、その際に失われた鎧だという。

 

「要するにアイツの後ろにあの惨劇を起こした奴がいるってわけか」

 

「後ろ?彼女本人ではなくて、ですか?」

 

「あんなガキにこんなだいそれた事ができるわけあるか、まず間違いなく裏に誰かがいると見るべきだ。そうだろう?」

 

 冬獅郎の問いかけに同意するように押し黙る大人たち。

 

(どこのどいつかは知らねぇがあの事件の落とし前はつけてもらわねぇとな……。)

 

 冬獅郎は深く拳を握り、その相手への怒りを強める。

 

「で?あの女の動向は?」

 

「不明だ、そして、例のノイズを発生させていた杖についても」

 

「……そうか」

 

 冬獅郎は響にあんなこと言った身だがあの少女とは、どこかで自分が相手をしなければいけないような気がしていた。

 

「それで、今度はこっちから聞きたいんだけど……。」

 

「なんだ、検査なら受けねぇぞ」

 

「あらあら、まだ信用されてないのね。それもあるけど、あのときつけてた仮面は何なの?」

 

「仮面?ああ、これか?」

 

「「「「ッ………!!!?」」」」

 

 そう言った冬獅郎の右手に白い霊子が固まり、一つの仮面に変わる。冬獅郎が今まで被ってきた仮面だ。その恐ろしさを知っているオペレーターが一歩後ずさる。

 

「安心しろよ、これは形を作ってるだけでただの仮面だ」

 

「―――その力を虚化と言っていたな、虚とは確か悪霊のことだったと記憶しているが」

 

「あぁ、そうだ。霊体は虚になると胸に孔が空き、顔に仮面が現れる。こいつはその仮面だよ。そして、虚化というのは―――一つの魂魄に虚の魂魄を流し込みその上で魂魄間の境界を破壊することで対象をより高次の魂魄へと昇華させるという試みだ。……立花、お前頭から煙吹いてるぞ」

 

「ごめん、全くわからない……。」

 

 全く理解できず思考回路がショートして頭から煙を吐き出している響を今回ばかりは仕方ないと冬獅郎は説明を補足する。

 

「簡単に言えば、死神に虚の力を上乗せする行為だ、本来ならな」

 

「どういうことだ?」

 

「その技術は制御不能、虚の魂魄を混在すると理性を失い文字通り怪物になる。そして、最終的には―――」

 

 冬獅郎は手に持っていた仮面を地面に落とし、その仮面は落ちるとともに砕け、霊子となって消滅する。

 

「二つの魂の境界が崩れ―――意思に関係せず自滅する」

 

『ッ………!!?』

 

「だが、俺は特殊な方法でそれを取得したお陰で制御を可能にした」

 

「特殊な方法って?」

 

「色々あったんだよ、力を奪われたり、変なモヒカンに殺されかけたり、ゾンビにされたり、マッドな科学者に薬の実験台にされたり、そのあと下駄帽子の怪しい男に実験台にされたり」

 

「凄く気になるんだけどッ!?」

 

「やめろっ!思い出したくもない!!」

 

 本気で絶叫を上げる冬獅郎。実験台にされたときのことを思い出し、顔を青くする。あのときのことは思い出したくもないのだ。

 

「俺の話は終わりだ。とっとと今後の動きについて話そうぜ」

 

「う、うむ、そうだな」

 

 弦十郎も冬獅郎の話には興味があったようだが、本人が触れてほしくなさそうだったのでそれ以上は追求しなかった。

 

「我々がすることは今までと変わらない。だが、問題はあの少女だ。相手は完全聖遺物。こちらには冬獅郎君がいるとはいえ……。」

 

 弦十郎の言葉に二課に重い空気が流れる。前回のように、冬獅郎が常に彼女が現れる場所に備えてるかわからない。次はもしかしたら間に合わない可能性だってあるのだ。

 

「問題ありません、司令」

 

「そうだよ、今度は負けない。冬獅郎、修行のレベルもうちっと上げてくれよ。実践でもいいよ、寧ろそっちのほうがあたしには向いてると思うし」

 

「わっ、私も今度は遅れを取らないよう力をつけます!」

 

 その重い空気を振り払うように装者たちはそれぞれ意気込む。しかし、肝心の冬獅郎は重い表情のまま腕を組んでいる。

 

「冬獅郎?」

 

「師匠、どうかしましたか?」

 

「―――一つだけ」

 

「「?」」

 

「一つだけ、こいつらの力を数倍から、数十倍に引き上げる事ができるかも知れない手っ取り早い方法がある。」

 

『『『『―――ッ!!!!?』』』』

 

 冬獅郎の言葉に、その場にいた全員の顔に驚愕が浮かぶ。なにせ、人類守護の要である装者の力を一気に数十倍に引き上げることができると宣言したのだから。

 

「冬獅朗君っ!!それは本当かッ!!?」

 

「…………。」

 

「どうなんだよ、冬獅郎!まさか冗談でしたなんて言わないよな?」

 

「―――本音を言えば、俺はお前らにその力を教えたくはねぇ」

 

 弦十郎と奏からの追求に冬獅郎は渋々ながら口を開いた。その表情は迷いと思わず口にしてしまった言葉への後悔の色が色濃く映っていた。

 

「どうしてですか?」

 

「……曰く付きだからだよ、その力に目覚めた人間の多くはその能力が原因で人生を狂わせてる。ただでさえ、人の常識を超えた力だ。そんな力を教えたくないと思うことになんの不思議がある?」

 

 緒川からの質問に冬獅郎は顔を背けて答える。そう、今から冬獅郎が教えようとしているその力は目覚めさせた多くのものを不幸にしてきた力だ。故に、幼馴染や弟子に教えたくないと思うことになんの不思議もない。

 

「教えて下さい、師匠。その力について」

 

「元々、シンフォギアなんてものを持ってるんだし、常識を超えた力なんて今更だよ」

 

 だが、奏と翼はそんなこと関係ないという表情をしていた。響の方を見てみるとこちらも似たような表情をしている。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………わかったよ」

 

((((凄く、大きなため息………。))))

 

 冬獅郎は大きなため息を吐いたあと、指を二つ立ててその場にいるものに見せる。

 

「俺達の世界には俺達死神と同じように霊圧を武器として戦う人間が大きく分けて二種類存在する

 一つは滅却師、これは血筋によるものが強く説明が長くなるから今回は省くぜ。

 そして、もう一つが完現術(フルブリング)と呼ばれる力、これが今からお前達に教える力だ」

 

「ふる、ぶりんぐ?」

 

「そう、”物質”に宿る”魂”を使役し、自らを強化、また様々な特殊能力を行使する力だ。」

 

「生物以外にも魂は存在するんですか?」

 

「ああ、この世のありとあらゆるものには魂が存在する。無論、生物に比べればその質量は小さい。

 たまに感じたことがないか?いつも自分が使っているもののほうが普段の自分より高い能力を出せることがあるって思ったことは?」

 

 例えば、楽器。全く同じものでも、自分が長年使ってきたもののほうがより美しい演奏ができる場合がある。。他にも調理器具や筆記用具、全く同じものでも自分が長年使ってきたもののほうが自分の限界より強い力が出せたりすることが偶にある。

 

「あ〜、あるある」

 

「それはそいつがその物質に宿る魂を理解した証拠だ。この完現術(フルブリング)を使えば地面を完現術(フルブリング)して反発を強化して跳躍することも、空気を完現術(フルブリング)して空中に立ったり走ることもできるようになる」

 

「シロちゃんの瞬歩みたいだね」

 

「あれは空中の霊子を霊圧で固めてんだよ。

 次に、その能力を発現させる人間には一つの共通点が存在する」

 

「共通点?」

 

「―――虚の霊圧の影響を受けていること。ここまで言えば、わかるだろう?」

 

 冬獅郎の言葉に全員は理解した。確かに、彼女たち三人はその条件を満たしている。三人は虚の力が混ざった冬獅郎の霊圧の一部を譲渡されているのだ。

 

「続けるぞ。能力を発現させるためにはその媒体となる物質が必要になってくる。持ち主にとって愛着が深く、常に身につけているもの」

 

「「「ッ!!!?」」」

 

 冬獅郎の言葉に翼と奏は自身の胸元にあるギアペンダントを、響は自分の胸の古傷に触れる。そう、その条件に合致するものは一つしかない。

 

「そうかっ!聖遺物の欠片の魂を使役するのか!!」

 

「その通りだ」

 

 冬獅郎が完現術を装者にあっていると考えたわけ、それはその媒体となるものがはっきりしているからだ。愛着があるものは他にもあるかも知れないが、戦うための媒体など聖遺物の欠片しかないだろう。

 

「お前らはその媒体(聖遺物)をシンフォギアとして全身に纏って戦ってる。そして、その在り方は完現術とよく似ている。歌によってその力を()()から解き放つシンフォギアと、魂のブーストにより()()から力を開放する完現術。内と外、その力の相乗効果は凄まじいだろう」

 

 冬獅郎の説明に、二課のメンバーたちはゴクリと生唾を飲む。それほどまでに冬獅郎の話す完現術による効果の絶大さに驚き、希望を見出している。

 

「お前らが完現術(フルブリング)を使いこなせたとすれば、それは間違いなくとてつもない強化になる」

 

「確かに冬獅郎君の言うとおりならシンフォギアを更に強くすることができるわね……。」

 

 冬獅郎の仮説にシンフォギアの開発者である了子も頷く。そして、説明を終えた冬獅郎は最後の忠告に入る。

 

「だが、こいつは俺にも使えない力だ。俺の力は虚や人間よりも死神の力に偏ってるからな。だが、純粋な人間であり虚の性質を持つ俺の霊圧を与えられたお前らなら、できるかも知れない。しかし、この力は目覚めさせたら封じることができない。さっきもいったが、力に目覚めた奴らの中には力の使い方を間違い人生そのものを狂わせたやつだっている。その上でもう一度聞くぜ?」

 

 冬獅郎の真剣な瞳に三人は息を呑む。

 

「それでも―――」

 

「無論ッ!」

 

「当然ッ!」

 

「勿論ッ!」

 

「……………。」

 

 冬獅郎の質問はそれぞれまちまちの了承の言葉で遮られた。冬獅郎の目は文字通り点になった。だが、すぐに『こいつら馬鹿か』という顔になる。そして、そのあと『そういえばこいつらこういう奴だった』という顔になった。

 

「冬獅郎君、百面相してないでなにか言ってくれ」

 

「あっ、ああすまねぇ……わかったよ。仕方ねえ、俺が教えられる範囲で教えてやる。

 だが、立花。お前はこれを習得するにはまだ早い」

 

「ど、どうして!?」

 

 自分だけ名指しで修行への参加を認められずその理由を問いかける。

 

「お前は自分の力の本質を理解してねぇ。なぜ、()()()()()()()()()()()()()わかってからやっても遅くはないはずだ」

 

「冬獅郎君、君は響君がアームドギアを顕現させられない理由がわかるのか?」

 

「断定じゃねぇよ、可能性の話だ。だが、その可能性は極めて高いだろう。それに自分で気づかなきゃ、完現術は使えねぇ」

 

「そんなぁ……」

 

(まぁ、時間の問題だろうがな)

 

 落ち込む響を見ながら、冬獅郎は昨日の彼女との会話を思い出し、すぐにその力の本質に気づくと思っていた。冬獅郎は彼女のことをよく知っているが故にその力の本質を理解していた。おそらく、未来が同じ場所にいたらすぐに気づいたいただろう。

 

「おっさん、しばらくトレーニングルーム借りるぜ。うちの道場で完現術使われて、ふっとばされたらたまんねぇからな」

 

「了解した、響君は今まで通り基礎から鍛えていこう」

 

「はい、師匠……。」

 

 ここに、シンフォギアのさらなる強化のための方針が決定した。




はい、ごめんなさい。三人はフルブリンガーになります。ですが特殊な能力はありません。三人の能力はシンフォギアと同じ、『歌を力に変えるもの』にして、シンフォギアの下からまとう感じ、いわゆる死神の力を取り戻した一護になってもらうつもりです。時間制限をつけるつもりです。
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