氷華は戦姫の隣で咲き誇る   作:クロウド、

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昨日から、お気入数がとんどもないペースで増えている、だと!?


特異災害対策機動部二課

「で、なんでリディアンに来たんだ?」

 

 冬獅郎たちは黒服たちの案内で職員が誰もいなくなった暗いリディアンの廊下を歩いていた。冬獅郎は死神なので夜目がきくが響はそうも行かないので前を歩いて先導する。

 

「もうすぐ分かるよ、さっ、ここだ」

 

 奏の視線の先には、巨大な金属製の横扉があった。

 

「エレベーター?」

 

「……地下か」

 

「正解です」

 

 その巨大な横扉がスライドし、中から飛び込んでくる光に響と冬獅郎は目を抑える。闇に慣れていた目には少しばかり刺激が強かったらしい。

 

 黒服達と、冬獅郎、響、奏、翼がエレベーターに乗り込む。そして、緒川が持っていた端末を装飾のような部分にかざすと、何かの認証をしたようにピーンという音が響き、扉が閉まり更に壁際から金属製の取っ手のようなものが現れる。

 

「ちゃんと掴まってたほうがいいぞ、ふたりとも」

 

「はい?」

 

 奏の注意に二人は疑問符を浮かべる。だが、その答えは、すぐに訪れた。

 

 通常のエレベーターではありえない速度で急激に下降を始めたのである。響は驚いて悲鳴を上げたが、冬獅郎はというと、

 

「……………。」

 

 まさに直立不動だった。この程度の衝撃、死神時代に嫌というほど体験している。

 

 響もやがて、なれてきたのかガラス張りのエレベーターの外を眺めている。

 

「……ゴメンな、響。こんなところに付き合わせちまって」

 

「え?」

 

 不意に奏から発せられた言葉に、響は目を見開く。

 

「冬獅郎はともかく、一般人のあんたを巻き込んじまって」

 

「俺はともかくってどういうことだ」

 

「『死神』をここにつれてくるのはノイズを倒す次にここでの最重要事項でしたので」

 

「まじかよ……。」

 

 冬獅郎は自分がそこまでマークされていたことで密かな驚きを見せる。やがて、エレベーターは目的地についたのかその重厚な扉を開く。

 

「「「「ようこそ、人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!!」」」」

 

 扉が開くと赤毛の巨漢の男性が最前列に立っていて、その後ろには制服姿の男女がクラッカーやらドンドンパフパフとなるパーティグッズのラッパに、並べられたテーブルには豪華な食事の数々、さらには新装開店のような花飾りが並んでおり、なぜか目に墨入っていないダルマまである。なぜあるのか響は気になった。

 

 そして、極めつけは垂れ幕に書かれた『熱烈歓迎!立花響様☆日番谷冬獅郎様☆』という文字。

 

 それを見た冬獅郎は、体を百八十度回転させて自分が乗ってきたエレベーターの中に戻ろうとした。

 

「「待て待て待て!!」」

 

 その肩を左右から奏と翼に掴まれ引き止められる。

 

「離せ、天羽、風鳴。俺はこんな茶番に付きあうためにテメェ等についてきたわけじゃねぇ」

 

「気持ちはわかる、気持ちはわかるが!もう少し抑えてくれ!」

 

 話が始まる前からブチ切れる寸前という最悪な状態から、話し合いがスタートしようとしていた。

 

「ハハハ、どうやら我々の歓迎は気に入ってもらえなかったようだな」

 

「当たり前だ」

 

 白いシルクハットを脱いだ巨漢の男―――風鳴弦十郎の苦笑しながらの言葉に冬獅郎はイライラした様子でそう答える。

 

(なるほど、全く隙がない。隣の彼女に危害を加えようとすれば一瞬のもとに斬り捨てられるだろう)

 

(こいつ、下手したら茶渡と互角レベルか?霊力を使わずに人間がこのレベルに至るとはな)

 

 弦十郎と冬獅郎は互いにスキを見せず、お互いの力量を分析する。

 

「あの〜……。」

 

 冬獅郎と弦十郎が睨み合っていると、響が遠慮気味に手を上げて話に入ってくる。

 

「おっと、済まない。自己紹介がまだだったな、俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている」

 

「そして、私はできる女と評判の桜井了子よ」

 

 弦十郎の隣で白衣の女性が名乗り、二人に向かってウィンクする。響は緊張した様子だが、冬獅郎は常に圧を発しており、不機嫌さを隠そうともしていない。

 

「君たちをここに呼んだのはほかでもない。協力を要請したいことがあるのだ」

 

「協力って……。」

 

「俺とお前の力についてだろう」

 

「あっ!」

 

 冬獅郎の言葉で脳裏に自分の体に起きた異変を思い出す。ノイズを倒せる圧倒的ななにかの力、そして、隣で今も黒い袴姿で立つ幼馴染の少年の力。

 

「―――教えて下さい。アレは一体何なんですか?」

 

 問いかけると、了子と弦十郎はアイコンタクトで頷きあい、口を開く。

 

「貴方の質問に答えるためにも、二つばかりお願いがあるの。最初の一つは今日のことを誰にも内緒。」

 

 これに関しては当然と言えるだろう。見たところここは秘密機関、その内容を外部に持ち出すのはリスクが出るということだろう。さらに言えば、説明する術自体ない。

 

「もう一つは……。」

 

「……………。」

 

「取り敢えず脱いでもらいましょうか?」

 

「………え?」

 

 妙に艶めかしくつぶやかれた言葉に響の頬を紅潮していく。そして、その隣の冬獅郎は、

 

「………(カチャ)」

 

 今まさに氷輪丸を抜こうとしていた。それに気づいた奏が慌てて冬獅郎を背負じめにする。

 

「落ち着け、冬獅郎!」

 

「離せ、天羽!もう我慢の限界だ、その痴女たたっきってやる!」

 

「落ち着けって、ただの検査!ただの検査なんだって!!」

 

 その後、癇癪を起こした冬獅郎をなだめるため数人のエージェントが冬獅郎にふっとばされ、尊い犠牲となった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 本当にただの検査が終わった響が司令室に戻ってくると、了子は視線を冬獅朗に向ける。

 

「さて、響ちゃんの検査が終わったところで、結果は明日またここに来てもらえばわかるわ。できれば冬獅朗くんにも検査を受けてもらいたいんだけど」

 

「何度も言わせんな、俺はテメェらを信用してねぇ。それに自分の力は自分で説明できる」

 

「できれば、その力について教えてもらえないか?」

 

 弦十郎達は冬獅朗の力のことをどうしても知りたい。なにせ、シンフォギア以外で唯一ノイズを倒せる方法を持っている少年だ。もしその力が自分たちでも使えるものなら、知りたくないほうがおかしい。

 

「……………。」

 

 ふと、響の方を見てみると響も覚悟を決めた表情でこちらを見ている。どんな、内容だろうと受け入れる覚悟があるのだろう。冬獅郎はふぅとため息を吐いて、言葉を放った。

 

「俺は、死神だ」

 

「「「「「…………。」」」」」

 

 冬獅郎の口から出た言葉に全員がズッコケそうになる。

 

「いや、君が『死神』だってことは承知しているが」

 

「それはテメェらが勝手につけた通り名だろう。俺が言ってるのは正真正銘の意味の死神だ」

 

「―――それはつまり、君は本物の死神と言いたいのか?」

 

「そういったつもりだ」

 

 冬獅郎は語りだした。こことは違う世界、魂を管理するバランサーの存在を。

 

 ―――死神。現世に存在している整と呼ばれる善なる魂を、尸魂界に魂葬し、虚と呼ばれる悪霊を斬り、その罪を浄化するのが主な仕事だ。死神たちは護廷十三隊と呼ばれる組織に所属しており、十三の隊によって現世と尸魂界の魂のバランスを支えている。

 

「―――だが、俺はとある戦いで寿命を縮め気づけば人間としてこの世界で新しい生を得ていた。それが今の俺だ。なんで、ノイズを霊力で倒せるのかはしらねぇがな」

 

「「「「「「……………。」」」」」」

 

 冬獅郎の口から死神と尸魂界の基本的な情報を聞かされた二課のメンバーと響は驚愕で表情を固める。まさか、自分たちが『死神』と称していた相手がまさか本物の死神とは、思っても見なかった。

 

「死神、尸魂界、虚……俄には信じられないことばかりだが」

 

「別に信じてほしいとは思ってねぇ」

 

「いや、信じよう。君のあの卓越した力を見るとな、寧ろ腑に落ちる」

 

 弦十郎の言葉に奏と翼、二課のエージェントたちが心のなかで同意する。今までの行動、人間には不可能な技の数々、元が人間ではないならそれも納得がいくということなのだろう。

 

「そうかよ。俺は話せることは全部話した、今日は帰らせてもらうぜ」

 

「待ってほしい、最後に一つだけ聞きたい」

 

「なんだ?」

 

「君は護廷十三隊でどれほどの実力を持っていたんだ?」

 

 それはこの場にいる誰もが興味をいだいていた。アレだけの実力を持ち、なおかつ冷静に戦える実力者。冬獅郎が尸魂界に追いてどれほどの地位にいたのかは、響を含め皆気になるところであった。

 

「俺は―――数百年の間。護廷十三隊、十番隊隊長だった」

 

「ッ!?」

 

「十番隊……隊長……!!」

 

「数百年って……!?」

 

「死神は人間より長寿だ、おまけに俺はかなり若いときから隊長にされたからな」

 

 冬獅郎の返答にその場の全員が息を呑む。『隊長』、それはつまり護廷十三隊に十三にしかいない最高指揮官の一人であり、尸魂界における最強戦力の一人。その一人に若くして数えられ、数百年もの間その立場を守り続けた。

 

「いくぞ、立花」

 

「うっ、うん……!!」

 

 二課のメンバーはエレベーターに向かって歩いていく、小さな背中を眺めていた。彼が力を持つ理由、その一端を目の当たりにした瞬間だった。




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