氷華は戦姫の隣で咲き誇る   作:クロウド、

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やっぱり凄いな、お気に入り数のペースが……もっと言えば感想がもっとほしい


夜空の下で

「「……………。」」

 

 冬獅郎と響はバイクに乗って冬獅郎の家に向かっていた。彼のバイクは二課の人間が既に回収していたらしく、そこに乗っていた響達の荷物も無事だった。弦十郎が響の名前を知っていたのは彼女の荷物から名前を割り出したからであった。

 

 なぜ、冬獅郎だけでなく現在リディアンの学寮で未来とルームシェアをしている響が冬獅郎の家に向かっているのか、何故二人の表情が浮かないのか―――その理由は響の手に握られている冬獅郎のスマホの画面に映るメッセージにあった。

 

「ヤバイよね……?」

 

「………だろうな」

 

 そのスマホのメッセージには小日向未来からのメッセージでこう書かれていた。

 

『貴方の家で待っています、響もちゃんと連れてきてね』

 

 傍から見れば完全に病んでる恋人のメッセージだ。二人は知っている、このメッセージの意味は相当キレている合図だということに。

 

 何故、未来が冬獅郎の家に上がれるのか、それは二年前の一件で響が道端で襲われたりしないように一時的に冬獅郎の家に響が生活していた時期があるからだ。そもそも冬獅郎がいる時点で、そこ以上に安全な場所などない。その響を心配して、未来も何度か泊まりに来ており、もともと広かった冬獅郎の家には未来と響の自室があるほどだ。

 

 響達の両親もいっそ、寮ではなく冬獅郎の家に居候すればいいのではと提案したが、本人たちも乗り気だったが、そこは流石に男の抵抗というか、冬獅郎が断固拒否したがふたりとも鍵は持っているので自由に出入りできる。帰れば間違いなく、怒ると怖い幼馴染の説教が待っている。

 

「…………。」

 

 だが、響の顔が暗いのはそれだけが理由ではない。二課で冬獅郎が語った自身の正体。数百年もの間、一つの世界を支えた死神。今まで身近に感じていた、幼馴染の存在がずっと遠いものに感じてしまった。

 

「立花」

 

「……なに?」

 

「お前が何を考えてんのかはだいたい察しが付く、長い付き合いだからな」

 

「……シロちゃんからしたら、一瞬じゃないの?数百年生きてるんでしょ?」

 

「……たしかに俺の前世は死神で長い時間を生きてきた。今までお前にそのことを隠して騙し続けてきた、そのことを否定するつもりはない。だけどな、」

 

 冬獅郎は意を決したように響に自分の胸の内を吐き出す。

 

「お前らといられた時間は本当に楽しいと思えた、それこそ尸魂界(ソウルソサエティ)にいた時間に負けないくらい……これだけは信じてくれ」

 

「っ!………うん」

 

 冬獅郎の口から発せれた本心に響は自分の考えを恥じる。自分たちのことを本当に大事に思っていくれている、彼のことをちゃんと見ていなかったと。その事に気づき、彼の腰に回していた腕の力を強めた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「相変わらず、大きいよね。シロちゃんのお家」

 

「でかすぎて落ち着かねぇよ」

 

 二人の目の前にそびえ立つ、巨大な武家屋敷。ここが現在の冬獅郎の家、どうやら何代か前の彼の先祖がかなりの資産家でその名残としてこのやたらデカイ屋敷が残されているらしい。彼が天涯孤独のみになっても普通に生活できるのはそのお陰でもある。

 

 冬獅郎が意を決して、横開きの戸を開くと、そこには玄関で仁王立ちする黒髪の少女小日向未来が冬獅郎を見下ろしていた。

 

「お帰り、シロちゃん、響。それで?こんな時間までなにしてたのかな〜?」

 

 冬獅郎は久しぶりに、冷や汗をかいた気がした。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ふ〜ん、ノイズから逃げたときに落としたかばんを探してて遅くなった、ねぇ?」

 

「う、うん……。」

 

 居間に移動した冬獅郎と響は、未来に正座させられこんな時間まで何していたのかを問い詰められていた。流石に二課のことや、ノイズと戦ったことについて正直に話すわけには行かないのでバイクに乗っているときに打ち合わした内容を話していた。

 

「シロちゃん、ほんと?」

 

「あぁ」

 

「でも、なんで響はこんなドロドロなの?」

 

「逃げてる途中で俺とはぐれてな、そのときノイズから逃げるために水路に落ちたらしい」

 

 一応、二人の言い分は筋が通っている。だが、まだ少し納得していない様子の未来、だが、やがて、はぁとため息を吐くとさっきまでの険しい表情ではなくどこか困ったような表情で二人を見る。

 

「二人が無事だったのは良かったけど、もう少し早く連絡してよ。こっちだって、心配するんだから」

 

「……すまねぇ」

 

「ごめんね、未来」

 

「ふぅ、それじゃお説教はお終い。今日はもう夜遅いし、私達泊まってもいいよねシロちゃん?」

 

「あぁ」

 

 幼馴染とはいえ、年頃の少女を二人も泊めるあたり冬獅郎もなかなか……。

 

「それじゃ、響。取り敢えず、お風呂入ろ!」

 

「うん、もうベタベタで気持ち悪かったんだぁ〜」

 

 そういって、ドタドタと風呂まで走っていく二人の幼馴染。年頃(肉体年齢)の少年をおいて、そんなことをするあたり、信頼されてると喜ぶべきか、貞操観念がしっかりしてないと叱るべきか。

 

「あっ、シロちゃん?」

 

「ん?」

 

 廊下の戸から戻ってきた未来が顔を出す、念のために釘を差しに来たのかと冬獅郎は思ったが、

 

「覗いてもいいけど、責任とってね♪」

 

 そういって、未来は走り去っていった。

 

「どんな、釘の差し方だ!?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ふあぁ〜……。」

 

 風呂に入り、冬獅郎と未来が作った夕食を食べた響は寝床についたのはいいものの先程までの興奮のせいか寝付けず、台所で水を貰いに行こうとしていた。

 

「あれ?」

 

 その途中、居間の扉が開いているのに気づき中を覗いてみると居間と隣接した縁側に座って空に浮かぶ三日月を眺める冬獅郎の姿があった。冬獅郎は響の気配に気づき振り返る。

 

「眠れないのか、立花?」

 

「う、うん」

 

 響はなんとなく、冬獅郎の隣に座る。すると、冬獅郎は何度か口ごもる仕草を見せるも、意を決したように口を開いた。

 

「……立花、お前。ノイズと戦う覚悟はあるか?」

 

「え?」

 

 冬獅郎が突如発した言葉の意味がわからず、驚きの声を出す。冬獅郎は、響にもわかるようその言葉の意味を説明する。

 

「あいつら、特異災害対策機動部二課とかいったな、あいつらは多分、お前にノイズを倒せる力があるとわかればお前にノイズを倒すための協力を要請してくるはずだ。あいつらは強制はしないだろうが、その上の連中は何を言い出すかわからない」

 

「……よくそんなことわかるね」

 

「これでも尸魂界では隊長だったからな、そういう話は何度も耳にしたことがある」

 

「なるほど……。シロちゃんは、どうしたらいいと思う?」

 

「俺は―――お前のやりたいことを支えるつもりだ」

 

 響は心優しい少女だ、そんなことを頼まれれば引き受けようとするのは目に見えていた。

 

「そもそも俺にはお前の行動を強制する権利なんてねぇしな、だけど、お前が戦うって言うなら俺は隣で戦うし、お前が戦いたくないって言うのなら、俺はお前をアイツラから護る」

 

 冬獅郎はふぅと一度息を整えると、口にした。

 

「多分、二度と言わないからよく覚えておけ。お前が例えどんな選択をしたとしても―――俺はお前の味方だ」

 

 冬獅郎は真っ直ぐな瞳で空を見上げながら、響にそう告げた。そのときの彼の横顔は、落ち着いた表情だったがその言葉は今まで彼が発したどの言葉よりも温かかった。

 

「うんっ……!」

 

 その涙が出そうになるほど、温かい言葉に響が頷くと、冬獅郎は縁側から立ち上がる。

 

「そろそろ、寝るか。お前も明日は学校だろう」

 

「シロちゃんだってそうでしょ?」

 

「悪いが、俺の学校は明日開校記念日で休みだ」

 

「えぇっ、なにそれズルい!」

 

「ズルくはねぇだろ、お前らの学校だってそのうち開校記念日になるんだから」

 

 そんな何気ない会話をしていると、月の光に照らされて二人の背後にゆらりと影が映る。背筋が凍るような感覚に二人が振り返ると、

 

「ふ〜た〜り〜と〜も〜、何してるのかな?」

 

「みっ、未来……!?」

 

「小日向!?」

 

 そこには般若のような顔をした、未来が立っていた。その気迫には冬獅郎ですら、最上級大虚(ヴァストローデ)と対峙したときのような汗が頬を伝う。どうやら大きな声で騒ぎすぎたようで眠れる鬼を起こしてしまったらしい。 

 

 未来は一度にっこり笑うと、

 

「さっさと寝なさい!!!」

 

「あ、ああ……。」

 

「はい……。」

 

 二人を叱りつけるように怒鳴り、二人は完全に萎縮し、それぞれの寝床に戻った。




どうしよう、ハーレムのつもりが完全に響メインじゃねえか……いけない!これはいけないぞ!!
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