全てが終わり、何もかもが、とはいかないがある程度は丸く納まった本編の後の世界。
本来、存在しえなかったはずの彼女は、何故か見知らぬ空間にいた。
だだっ広い、なんでもあるように見えて何も無い、そんな空間。
見渡す限りのその空間に見知らないはずなのに、客人は何故か懐かしい気持ちを覚えた。
なぜここに来たのか、客人はそれだけは分かっていた。分かっていたが、ここで成すべきことがなんなのか、それはよく分からないでいた。
あの時のように
その場に留まっていた所で進展もなさそうなので、彼女はとりあえずあてもなく歩く。
しばらく歩いていると不意に声をかけられた。
「おや? こんな所に誰か来るなんて。これは少し予想外だな。どこからか迷い込んだ……なんてことは無いな。どうやってここに来たんだい?」
この世のどことも言えない空間にいた彼女は少し驚いた表情で自分の客人を見る。
客人である人物は自分がここへ来た経緯を語った。
「ふむ……そういうことか、確かにありえない話ではないね。まぁ、ここには何もないが、ゆっくりしていきたまえ……と言いたいところだが、ここにとどまっていれば、いずれ良くないことが起きる」
彼女はそう言って客人を諭すが客人はそれでも帰ろうとはしなかった。
やることがある、それがなんなのかわからないけど、そんなことを言い、彼女を見つめ返す。
しばらく見つめ合いが続いた。先に折れたのはこの空間の主であった。
「仕方ないね……あまり、いい方法ではないけれど、if……もしもの可能性は示唆して見ることは出来るさ。それを君に見せてあげよう。まぁ、ロスタイム……いや、ボーナスタイムみたいなものかな」
そう言って彼女はいくつかの宝石を取りだした。キラキラと輝くその宝石は力を秘めているように感じられた。
「さあ、どれを見るか選ぶといいよ」
微笑む彼女に客人はその中からひとつを選びとった。
どくどくと脈打つ、なんとも言えない禍々しさを纏うそれは、なぜだか客人の心を惹いたのだ。
「それを選ぶのか。それは……かなり、特殊な可能性の世界だ。その世界には君の求めるものは無い可能性が高い。それでも、その世界を選ぶかい?」
客人は強く頷いて宝石を手に取る。宝石が一際輝き始める。
「そうか。じゃあ、いってらっしゃい、
空間の主に見送られながら客人の意識は闇へと落ちていった。